ヒアラ・キュアー

るろうに

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1章

18話 押し寄せる脅威

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ノノとキュアーが合流し、一命を取り留めたソウヤとサヤを一度安全なところに運んだ一同は少しの休息を取っていた

「ヒアラ!お説教だよ!私とノノに無断で行動するなんて!同じパーティーだし、私とヒアラは一心同体でしょ!?」

「全く、心配したんだからな!とはいえ無事でよかった。一緒にいた人達も何とかなりそうだ。…それにしてもヒアラ、なんでこんなことしたんだよ?普段のヒアラらしくないだろ」

2人の意見はごもっともだ。私は心配をかけようとして行動したつもりだったが、心の底から信頼出来てなかったのかもしれない。いや、少しの負い目を取り返そうとしたのも少しはあるか…

「ごめん。商店街で民間人を避難させた時、頭痛がしたんだ。なにかに呼ばれるような気がして…」

「それがここだったってこと?」

「うん…多分。次元龍のイメージが強く浮かんできた。それと、隣にも何か…」

「うーん、ヒアラ、なんか次元龍に恨み買うようなことでもしたの?」

「分かんないよぉ!でも、2人に迷惑はかけられないと思って…1人で…」

「それは良くないだろ。ヒアラ、結局他の探索者の方に拾われて、結果危険に晒し命の危険まで…誰にも迷惑をかけないなんてことは、人間である以上無理なんだよ。それなら、その迷惑は俺らパーティに担わせてくれよ」

「…ごめんなさい」

「…はい!じゃあこの話終わり!ヒアラ、あちらの方達の様子を見に行ってあげて!私達は一旦アカネさんに連絡が取れるか試してみるね」

「分かった。ありがとう。」

2人と分かれると、3人が話していた場所から少し離れたところに寝ているソウヤとサヤを見守るカイがいた

「カイさん…。すみません、私のせいでこんなことになってしまって。」

「…次元龍に呼ばれた気がしたって、本当なの?」

「…あ、えっと」

「ごめん。聞こえちゃった。もしそれが本当なら、ヒアラさんに関わらなければこんな事にもならなかったのかな…」

「…本当に、すみません。」

「…なんてね!冗談だよ。まぁ、本音は混ざってるかもだけど全部そう思ってるわけじゃない。実際、サヤとソウヤが助かったのも君と君のパーティメンバーが来てくれたからだしね。でも…サヤのあんな姿…もう見たくない。正直キツすぎた…トラウマになる…とは思う。」

「……」

「でも、今回の件で自分達に足りないもの、もっと強くなるために必要なことが分かった気がしたんだ。2人がまだ探索者を続けられるかは分からないけど…もしまた立ち上がれそうなら、僕達はもっと強くなれると思うんだ。」

「カイさん…」

本当にこのパーティの皆さんは、探索者に向いてるなって思う。どんな事があっても、たとえ死にかけたとしても、前を向き続けている。

「だからもう謝らないでくれ。僕達は僕達の意思で君をパーティに迎えたんだからさ。…まぁ死人が出てたら恨んでたかもだけど!」

カイは不安や辛さをもう乗り越えたように、笑いながらこちらに冗談を言ってくる

「…そんな怖い冗談言わないでくださいよ。ふふっ…本当に、ありがとうございました。今後ももしお会いする機会があればいつでも力になります!」

そう言うとカイは笑顔を向けてくれた。
その瞬間…ソウヤが少し目を開けた

「!!ソウヤさん!大丈夫ですか?」

「…あぁ、治癒ってのはすごいもんだな、痛みや傷も治ってる。でも、一度全身焼けた感覚はまだ残っててな…上手く動かせないんだ…すまない。」

「大丈夫です!しばらくは寝ててください。」

「…サヤに治癒をしてくれてありがとう。びっくりしたけど、あれがなければ一刻を争う状況だった…。俺も…もう死ぬと思ってた。」

ソウヤは口を動かす感覚もまだ完全に戻ってないようで、少しずつ、ゆっくりと話をした。すると隣で寝ていたサヤも目を開いた

「…ここは?私は、何が起こって…?」

ぼっきり折れていた背骨、骨が突き出て腸が飛び出ていたお腹もヒアラの治癒で応急処置後、キュアーの高位回復で元通りに治っていた。本人はあまりに一瞬の出来事だったためその瞬間の記憶が飛んでいるようだった

「サヤさん…次元龍にしっぽで吹き飛ばされたんですよ、覚えてないですか?」

「ふぇ…?全然…なんで私、無事なの?」

「サヤ…ヒアラさんとそのパーティメンバーが助けてくれたんだよ」

「ヒアラさん…また助けてくれたんですね…それにパーティメンバーも合流出来たんだ…良かった…」

サヤさん…自分に起こったことを覚えていないとはいえ、真っ先に私のことを気にしてくれるなんて…

「サヤさん、ソウヤさん、カイさん。この後援軍が来たタイミングで安全なところに逃げてください。そこまで私たちが絶対に守りますから。」

「ヒアラさん達は…まだ戦うのか?」

「…私は、まぁ色々とありまして…ここに残ります」

ヒアラが次元龍に呼ばれた気がしたってことはカイしか知らないが、カイは2人には黙ってくれていた

「そうか…守ってくれる件のお返しはまたさせてもらうよ。今回は有難く逃げさせてもらう。回復してるとはいえ、すぐ戦線復帰とはいかなそうだ」

ピリリリリ、ピリリリリ

その時、カイの端末から探索者への緊急通知が来た

「また何かあるのか…?うげ!まじかぁ…」

カイは忘れてたものを思い出すように大きなため息を漏らす

「カイさん、どうしたんですか?」

「次元龍がでてきた穴の残りの小さい方全部が異常なエネルギーを発してるって。恐らく…出てくるって事だ」

「あー…でかいのに集中しすぎて小さいのはもうしばらく何も無いのかと思ってました…。って!カイさん達は早く逃げないとですよ!」

急いでソウヤとサヤを抱え逃げる準備をしているとキュアーとノノが走ってくる

「ヒアラー!もうすぐでアカネさん達着くって!要救助者は新潟駅付近に来てってさ!」

「分かった!キュアー、ノノも2人を運ぶの手伝ってくれる?」

「分かった」

6人は次元龍の穴のある現場を離れ一旦新潟駅へと向かった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時を同じくして別次元。次元の穴から現世を覗いている男達がいた。

「さぁて…ヒアラ…キュアーか。ようやく役者が揃ったな…ここであいつらを殺せばいいんだよな?」

「あぁ、そうだ。そうすればお前の望みを叶えてやる」

黒いマントに身を隠した男は金髪のチャラそうな男に諭す

「でもなんであんなメスガキ2人にそこまで固執してんだ?俺ぁ女は使うものであって殺すものとは思っちゃいねぇんだがな」

「…別に、殺すならその前にお前があの2人をどうしようが構わない」

「…へぇ~?そいつぁいいことを聞いたな。あのキュアーとかいう女、精霊なんだって?なんで肉体があるか知らねぇが健康そうで美味そうな体してそうじゃねぇか。たっぷり可愛がってやるぜ、へへへ」

「……。まぁ、そう上手く行けばいいが、健闘を祈る」

黒いマントの男はそう言うと穴の奥の方に消えていった

「…ちっ、つまんねぇやつだな。人生の楽しみ方を分かってねぇ。俺が教えてやるよ。街を破壊して人間の悲鳴を聞きながら女をいたぶる…シナリオは最高だな。さぁ、ショータイムだぜ」

そう言うと男はゆっくりと控えていた次元龍に乗り穴から現世へと出ていった

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