ヒアラ・キュアー

るろうに

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2章

69話 叛逆

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ペルセポネの凄まじい一撃が兵士達に直撃し砂煙が大きく立ちのぼる

「アハハハハ!!もっと…もっと頂戴!私を満足させてぇ!……あら?この感覚は…」

ペルセポネは違和感を覚え煙の中に目を凝らす。すると間一髪でマホロの展開した空気の壁が鎌を止めていた

「物理貫通なら実体が無い壁を作ればいいだけだ」

「マホロさん!すごいです!」

「……あんた、上質な魔力を持っている奴ね?でもあんたも他とはまた少し違う匂いがするわね。食べたいわ…強い匂いをプンプン感じるわ!止められたのは心外だけどあなたを食べられるならそれでもいいわ♡」

ペルセポネは楽しそうに笑いながら鎌をマホロに向かって振り下ろす

「させません!マホロさん!手を!」

マホロの手を取ったシュリは瞬時に座標操作で瞬間移動を行い鎌を避ける

「…なに!?」

「攻撃が物理貫通だとしても、物理防御はどうですか!」

そのまま上空にマホロが展開した巨大な塊を操作しペルセポネに投げつける

しかし直径5メートルを超える塊はペルセポネに直撃したかに思えたが、直前でなんと素手で止められていた

「そんな…!?」

「ふふふ…アハハ!あなた、可愛いわね♡貧弱な体、使いこなせていない力、それでも立ち向かう勇気…あぁ、なんて健気なの…?可愛いわぁ!」

「うっ…な、なんですかこいつ、気持ち悪いんですけど…」

「…自我が生まれてから厄介になったな。」

そうしている間にも兵士達はペルセポネに戦車での攻撃やロケットランチャー、銃火器を用いて攻撃をしているがダメージが少ないどころか全く胃にも介していない様子のペルセポネは体中撃たれながらくねくねと楽しそうにしていた

「埒があかねぇ!防御面でも物理的な攻撃は致命打にならない!概念系の天啓持ちを集めろ!!」

兵士達は直ぐに陣形を立て直し魔力でのスキル攻撃に変更しようとする

「させないわよ!!」

ペルセポネは直ぐに阻止しようと鎌を振るうが、既に空間掌握をしているマホロの壁が展開され攻撃は防がれる

「はぁ…あなた達も大概厄介ね。目覚めの軽い運動もちょうどいい頃合だしそろそろ本格的に戦うとしようかし…らっ!」

ペルセポネはそのセリフを吐き捨てると同時、瞬きの瞬間にマホロとシュリの背後に瞬間移動し攻撃を繰り出す

「速いっ!でも反応さえ出来れば防げると…っ!?」

少し反応は遅れたがしっかり壁を展開したマホロ。しかしそのペルセポネの攻撃はなんと破りはしないものの壁ごとマホロを押し飛ばしたのだ

「マホロさん!」

強く飛ばされ地面に直撃したマホロは間一髪でクッションの壁を展開したものの背中に強い衝撃を受けた

「がはっ…!」

なんだ…!?俺の壁は座標に展開している…押したりするなんてありえない…っ!

「よくもマホロさんを!!」

「可愛い子猫ちゃん…あなたの動きは読めてるのよ!諦めなさい!」

シュリは瞬間移動でペルセポネの背後を取る…が、取ったと思ったはずの背後はそこにはなく、代わりにデコピンを構える手があった

「ほぉら!吹き飛びなさい!」

強く弾かれたデコピンはデコどころではなくシュリを強く吹き飛ばした

「きゃぁぁあ!!」

「クナイちゃん!」

シュリが地面に衝突する寸前、間一髪でヒアラ・キュアーがキャッチすることに成功するが、あまりに勢いが強く2人とも地面に衝突する

「うぅ…だ、大丈夫ですか!?ヒアラさん!」

「う、うん…私は治癒とヒールがあるから即死じゃなければ大体大丈夫…!…それにしても痛いなぁ!あのデコピンでこんなに飛ばされるなんて思ってなかったよ!私とヒアラが間に合わなかったら死んじゃうとこだったよ!?」

「はっ…!まずいです!マホロさんがやられたら今ギアを上げたあのペルセポネは誰にも止められない!」

シュリはヒアラにヒールを貰うと直ぐに戦線に戻ろうとする

「待ってクナイちゃん!ヒールはあくまで自然回復を早めてるだけ、体力は消耗するから治癒までかけさせて!」

「そんな…!時間が!みんながやられます!兵士たちだけじゃない!獣人の人達もいるんです!」

「大丈夫…!あっちにはまだスズハさんもいるし、クナイちゃんとマホロさんが時間稼いだ分魔法系の天啓持ちの準備が出来たはず!」

ヒアラの言った通り、ペルセポネがシュリを飛ばした頃にはスズハや魔法系の天啓持ちが陣形を整えることに成功しており、上手く応戦していた

「極スキル:魔導砲【拡散】!」

「うおぉ!スキル:火柱!」

「スキル:水龍【八岐大蛇】!」

「攻撃の手を止めるなー!バフ系の天啓はいないのか!?強化でも敵の弱体でもなんでもいいからかけてくれー!」

「上位精霊:サジタリウス!天窮の矢!」

「中位精霊:雷!風!合成スキルサンダーウィンド!」

人間、獣人問わず魔法や精霊召喚を行い絶えず攻撃を続けると、流石のペルセポネもダメージを受けているように苦しみ始めた

くっ…、流石にめんどくさいわね…特にあの魔導砲撃ってる女…魔力量が多いだけで特殊な力は感じなかったけど、あるがままの魔力質量をそのままぶつけてくる感じ…シンプルでありながら対処しずらいわ。避けるにしてもあの女のスキルだけホーミング性能があるし…こうなったら…

「どうやらギアをもうひと段階上げるしかないようね!」

そういうとペルセポネはさらに速さと力を上げて襲いかかってきた

「…さらに速く!?ホーミングが追いつかない!」

「滾るわぁ…やっぱり戦いはこうでなくちゃね!」

強大な力に恐るべき速さ、一瞬の油断も許されない死闘となっていた

約10分後~~~~~~~~~~~~~~

少ししてヒアラとシュリ、マホロも復活し戦線に参加していたがさらに力を付けたペルセポネを相手にギリギリの戦いを繰り広げていた

「はぁ…はぁ…うぅ~、絶妙に体が重いし魔力操作も気持ち良く出来ないなぁ~、ヒアラと完全に合体してないから?…そうかもね…けど2人に戻るよりは勝機ありそうだし悩みどころだ…」

戦闘開始から何人がやられただろう…ペルセポネの攻撃でやられたら消滅するからどれくらいやられたのかは見えないが、明らかに3万の当初に比べると半分以下にまで兵士達は減っていた。もれなく全員ボロボロでもはや立ち上がれる者はほとんど居なかった

「壁が押されるようになってからそれをカバーするために1度の展開で壁を3枚出してるマホロさんの消耗が激しい…私がカバーしないといけないのに…」

スズハも常に最前線で戦っており疲労が溜まっていたが、壁が押されないように3点で支える形で常に展開しているマホロの心配もあり休まずに戦い続けていた

「スズハさん!無理をしないでください…!もう相当魔力消費しているはず…ヒアラさんの治癒を受けてきてください!」

「いえ、私は…まだやれます…。魔導は多少ではありますが自分の意思で魔力を回復させられるんです」

心配するシュリに優しく大丈夫と伝えるとスズハはまた立ち上がる

しかし、どれだけ仲間を消しても立ち向かってくる、殺す気で攻撃してるのに止められる。そんな人間の姿にペルセポネは次第に苛立ちを覚え始めた

「あ~、いい加減飽きてきたわ。あんた達に構ってあげるのはもうおしまい。私はも~っとか弱いたくさんの人間を殺したいの♡だから近くの国を手当り次第滅ぼしてきま~す」

!?

「そんなこと…させない…っ!」

恐れていた事態が起きた…。スズハは前に立ち塞がり両手を広げる

「…ふん、あんたに何が出来るの?仲間と協力してもボロボロなのに1人で私を止められるわけないじゃない!アハハハハ!」

「………」

「……ふん、くだらないわね。自分でも分かってるんでしょ?あなたじゃ私に太刀打ちするのは無理よ」

ペルセポネはゆっくりとスズハの横を過ぎていく

スズハは両手を広げたまま、1歩も動けなかった

「自分の力が及ばない敵にこれまで出会った事がなかったようね。狭い世界でよくもまぁ呑気に生きてこれたものだわ。よく味わいなさい、それが敗北の味よ」

ボロボロのスズハは、ただ空中で手を広げながら俯き泣いていた

「さーぁ♪邪魔な虫も大人しくなった事だし国潰しにしゅっぱーつ!…ん~、近くに人間が沢山いるのは…あっ!みーつけた♡」

ペルセポネはシュリが置いていたマホロのコロッセオをまるでおもちゃのように蹴り砕くとスキップをするように歩き出す

そしてその進路は…アニマストに向かっていた
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