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2回目の人生

2回目の人生は「簡単」?

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「……この記憶があれば、前回よりも完璧に魔王が倒せるかもしれません」

……なんて考えていた時期が、私にもありました。

甘かった。甘すぎました。
甘いドーナッツにたっぷりのチョコレートとキャンディーをコーティングして、その上に砂糖をまぶすよりも甘い考えでした。

「セシリア、あれやってよ。早く動けるようになる魔法!」
「セシリア、転んで怪我した! 治して!」
「セシリア、痛いの無理だから、結界出してよ~」

一回目前回よりも完璧なサポートを! ……と、頑張った結果。勇様の口癖は「セシリアー、〇〇して」になってしまいました
どうして……

……ええ、分かっています。
分かっていますとも。
私が! 他でもない私が! 甘やかしすぎました!!

「ゆ、勇者様。今はただの移動ですよ? 戦闘でもないのに、補助魔法は不要ではありませんか?」
「えー、だって疲れたんだもん」

「それに怪我と言っても、小さな擦り傷ですよね? 見たところ血が出ている様子もありませんし、治癒魔法も不要だと思います。魔物との戦いのためにも、魔力の温存も必要なことです」
「魔物との戦い? そんなのセシリアがやればいいだろ?」

「ですから、私が魔法を使うためには魔力が必要という話で……それに私の魔法だけでなく、勇者様も魔物と戦って経験を積まないといけません」
「あー、もう! 分かった、分かったよ! じゃあ今度は俺も戦うよ! それで良いんだろ! でも結界魔法は使ってくれよ? 怪我はしたくないからね」

今回の勇者様は終始この調子です。

甘やかしてしまった私の責任もありますが、正直に言うと困っています。
今の勇者様は、前回の勇者様よりもずっとずっと……ずーーーーーっと弱いのですから。

前回の鍛え上げた勇者様ですら、旅の終盤は魔王には敵わないと弱気になっていました。
今の勇者様では、魔王の元へ辿り着けるかも怪しいです。

……ですが、魔王を殺せる聖剣を使えるのは勇者様だけ。
魔王を殺せる唯一の武器である聖剣(と勇者様)だけは、絶対に魔王の元へ送り届けないといけません。

「最悪、魔王は私が倒せばいいですね。勇者様には、聖剣でとどめだけ刺してもらいましょう」

そう決めて、私は前回以上に努力を重ねることを決めました。
前回以上の修行を積めば、きっと一人でも魔王を倒せるはず。

……それがまだまだ、甘い考えだったと私が気付くのはもう少し後……
魔王との対決の時になってからでした。
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