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花火が咲いた夜、君と見た景色~慶都side~

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『蓮とは仲良しだったし、あいつは誰よりも研究者としての才能があった。なのに、全てを捨ててしまったんだ。しばらくはどこにいるかもわからないままで、俺もかなりショックを受けた。気づいたら…そこから女性を信じられなくなって、恋愛するのが怖くなった』


全て、彩葉に話してしまった。


きっと、優しい彩葉は心を痛めてしまっただろう。


身内の恥を話して良かったのか、わからなかったが…


それでも、俺のことを全部知って欲しかったから。


『そうだったんですか…その後、蓮さんとは…?』


心配そうに聞いてくれる彩葉。


『ああ、ずっと音信不通だったが、数年前に、結婚して海外で暮らしてると連絡があったんだ。今は幸せだから心配するなと。どうやら彼女の噂が蓮の耳に入って、結局は誤解だったとわかってくれたみたいだ。でも…まだ蓮とは会えていない』


『良かった…誤解は溶けたんですね。慶都さん、大切な御家族ですから蓮さんに会いたいですよね』


『ああ、会いたい。いつか…あいつに会って話をするのが楽しみなんだ』


『必ず会えます。たくさんたくさん話して下さいね』


『ああ、そうだな、ありがとう。彩葉は本当に…優しいな』


君を好きになれて、君が側にいてくれて…


全て話せたことで、俺が抱えていた苦悩は消えていった。


いつか必ず弟にも会える、彩葉の言葉で、それは確信に変わった。


『慶都さんには、いつも笑顔でいて欲しいですから』


『笑顔…ずっと忘れてたよ、さっきみたいに心から笑うことを。子どものような無邪気な心を思い出させてくれた君には…感謝しかない』


『慶都さん…』


『君を、彩葉を好きになれて本当に良かったと思ってる。海外にいる間も、他の誰にも目移りすることなく、ただ君を…一途に想ってた』


この気持ち、全て君に届けばいいのに…


どういう言葉で伝えればいいんだろうか?


あまり恋愛をしてこなかったからか、語彙力の乏しさにもどかしささえ感じる。


こればかりは、どんなにテストの点数が良くても無駄なようだ。
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