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花火が咲いた夜、君と見た景色~慶都side~

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『私、ここまで慶都さんに想ってもらえて幸せです。一堂家にいる時から、ずっと遠くから見つめるだけで良かったのに、今は慶都さんがすぐ隣にいてくれて…これは夢なんでしょうか?』


夢なんかじゃない、目の前の俺を、ちゃんと見て欲しい。


『最初からこうなるべきだったんだ。これからは遠くからじゃなく、すぐ近くでずっと君を守る。だから…』


ちゃんと言葉にして、君に伝える。


治まらない動悸を必死で隠して、息を整え…


『慶都さん…?』


『俺と結婚してくれないか?そして、可愛い雪都と3人で一緒に暮らそう』


そう告げた瞬間、彩葉は目を真っ赤にした。


『雪都は俺に良く似てる。保育園で初めて会った時、こんな小さな体で一生懸命生きてるんだって思うと、この子の成長を…ずっと見守りたいって素直に思った。この腕でギュッと抱きしめてやりたかった』


堪えきれずに涙を流す彩葉。


ダメだ…情けないが、俺も…


子どものことになると、親はこんなにも涙腺が緩くなるんだ…


初めて親の本当の思いを知った気がした。


『自分の血が流れてる愛おしい雪都と、たくさん遊びたいし、いろいろ話したい。子どもが見てる世界を俺も一緒に感じたい。雪都が、俺を受け入れてくれるなら… これからは父親として、毎日側にいてやりたいんだ』


『本当に嬉しくて、感謝でいっぱいです。雪都はきっと慶都さんのことを父親として受け入れます。でも、私は、本当にこのまま慶都さんの申し入れをお受けしてもいいんでしょうか?』


申し訳なさそうに下を向いた。


『当たり前だ。君以外には考えられない。もうすぐ俺は…九条グループの副社長になる。その時、君には側にいて俺を支えて欲しいんだ』


『…』


『どうした?』


黙ってうつむいていた彩葉が、ゆっくりと話し出す。


『すみません…マリエさんのこと、私、ご本人からいろいろと聞いてしまいました』


『彼女、君のところに行ったのか?』


彩葉がうなづく。


『…すまない。彼女には何度話しても理解してもらえず、仕方なく君の名前を出してしまった。でも、わかってもらえるまでキチンと話しをするつもりだ。だから、心配しないで欲しい』
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