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当たり前の家族の幸せ

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『麗華…あのね、私も…慶都さんが好きだったの。ごめん、黙ってて。でも、言えなかった。雪都を授かって身を引こうとしたけど、再会して、自分の気持ちに気づいて…』


『何よ、それ。自分だけ幸せになるなんてズルいわ。さっさと別れなさいよ!慶都さんは私の婚約者だったんだから』


その勢いに思わず後ずさる。


『…でも、麗華にはたくさんボーイフレンドがいて、それはきっと慶都さんも知ってたはずだよ』


『何?私が悪いっていうの?みんな友達よ。結婚したいと思える人なんていなかった。慶都さんみたいなハイスペックな人、他にいる訳ないじゃない。それに、結婚するから友達と会っちゃいけないなんて決まりないでしょ?慶都さんなら、全て受け入れてくれると思ってた。なのに、彩葉さんに乗り換えて。どうせあなたが誘惑したんでしょ、私への腹いせに』


麗華の辛辣な言葉が私の胸をえぐる。


『腹いせなんて。私はね、麗華のことを大切な妹だと思ってる。だからずっと苦しかった。あなたの気持ち…痛いほどわかるから。もし逆の立場だったらっていつも考えてたよ。私以上に…麗華はものすごく苦しかったんだよね』


母になってわかったことがある。


自分がいなくなったら雪都はどんなにつらいだろうか、その悲しみを背負うことがどんなに苦しいことだろうか。


だから、いつも笑って、元気に生きていたいって。


なのに麗華にはお母さんがいなくて…


それを思うと心が苦しくなる。


でも…


でも、私のお母さんだって、本当は麗華の前でずっと笑っていたかったはず。


どうすることも出来なくて、だんだん笑えなくなったお母さんのつらさも…


子どもを持った今だからこそ、よくわかる。


『やめてよ!あなたに何がわかるの?わかるはずない。私達は…住む世界が違うんだから』


『私はずっと麗華と何でも話せる友達みたいな関係になりたかった。今でも同じ気持ちだよ』
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