君の視線の向かう先は。

勇黄

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男だから。

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(え……?今のなに………?)














僕の足がとまる。















やまちゃんは話し声が
聞こえなかったのか
勢いよくドアを開けた。
















「だだいま~!」















「わ…おお、おかえり。」














皇教きみのりさんは少し慌てた様子で。

















こっちを見てわずかに微笑んでいる
まぁくんを僕は直視できず
目をそらして隣に座った。

















「くりっと、海月気に入ったって~」













嬉しそうにお兄さんに
やまちゃんが言って僕も頷く。















「く、らげ?あの刺されたら
めちゃ痛いやつ?」














まぁくんは怖そうに
俺刺されたことあるんだ、言って。
















真仁まひとさん怖がりっすね!
大丈夫っすよー?
なかなか管理が大変っすけど…。
綺麗っすよ~?見に行きます?」














やまちゃんは見せたいようで
熱心に誘っている。













「や、やめとく…。」














まぁくんは苦笑いだ。













よっぽど苦手意識があるらしい。






















僕はといえばさっきの言葉が
頭をぐるぐると回って
ボーッとしていた。














(最後まで…いけなかった、って
聞こえた…。もしかして
あのキスマークのときかな…。
やっぱそういうこと
しようとしてる、ってことだよね…。)












急にいたたまれなくなった僕は。


















「………ぼ、僕そろそろ帰ります。
ありがとうございました!
お邪魔しました。
やまちゃんまた学校でね。
失礼します。」















気がつくとそう言って席を立っていて。














「ちょ、ちょっとくーちゃん?」
















まぁくんが戸惑った声をあげていたが
勢いのついた僕は止まれなかった。

















逃げるように部屋を出て
靴を履き外へ飛び出した。

































無我夢中で走って我にかえると
全然知らないところで
呆然とする。
誰かに聞こうにも誰も通らない。


















(はぁ…。やまちゃんにも悪いこと
しちゃったな…。どうしよう…。)



















僕は道端に座り込んでしまった。


















どれくらいそうしていたのか
あたりはもう暗くなりかけている。


























「…ゃん!…ーちゃん……
くーちゃーん!あー!くーちゃん!
いた!あぁぁ…よかった………。」





















まぁくんに抱きしめられ
僕の頭は真っ白になる。
















「ま、ぁく…ん?」














「くーちゃんなんでスマホ
電源切ってんだよ!バカ!
それになんで急に帰っちゃうんだよ…
拐われたんじゃないかって
すごく心配したんだから!もう!」
















僕の頭をぐりぐり撫でて
そう言うまぁくんは汗だくだった。















「ごめ………?な、…んで………」














(なんで僕なんかのことそんなに…?)
















大和やまとの弟くんがなんかこのへんで
変質者の男の情報があるって
言うからさ…もうほんと心配した…。」




















「僕、男だから大丈夫、だ、よ?」


















「…男の子だけど可愛いから
狙われるかもだしさ…。」














まぁくんが僕を離し汗を拭いながら
そう言い立ち上がって電話をかけた。



















「…もしもし?いた!
………うん。…うん。わかった。
じゃあな。」
















僕はやっとのことで立ち
急いでスマホを取りだして
電源を入れる。















電源が入ったとたん
電話が鳴った。やまちゃんだ。


















「くりっと!?よかったぁ…………。
大丈夫?」
















「……………………………やまちゃん。
………ごめんね、心配かけて…。」

















「くりっとが無事ならいいんだよ~!
また遊びに来てくれよ!な?」















「うん…ありがとう。
お兄さんにも謝っといてね。 
本当にごめんなさい。」














 














僕が電話を切るともう一度
抱きしめられる感触がした。

















「ふ、ぇえ…?」














「はぁ…本当に心配した…。
……………………あ、ご、ごめん。」


















離れようとするまぁくんの腰に
僕は抱きついた。


















(少しだけ…少しでいいから…。)

















「…くーちゃん。」
















やっぱり優しい手で頭を
撫でてくれるまぁくん。















「ごめんなさい…。」













「ううん……………。帰ろうか。」















「…………………………………うん。」


















まぁくんは僕を家まで送ってくれた。
 













「…まぁくん。今日は本当にご……」















「もう謝らなくていいよ。ふふ…。
帰り道ずっと謝ってたじゃん。
大丈夫だから。ね。」













「ごめん。あ…。ふふ。

………奈那美ななみもうバイトから
帰ってる時間だと思うよ?
寄っていく?」
















「ん……………。今日はやめとくよ。
くーちゃんまたね。中、入りな。」















「まぁくん…ありがとう。
まぁくんこそ………行って?」
















「っ。…………はははっ。
うん。じゃあ、ね。」
















まぁくんは手をふって帰っていき。














僕は見えなくなるまで
その背中を見つめていた。


































その後僕は3日間高熱を出した。
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