君の視線の向かう先は。

勇黄

文字の大きさ
32 / 52

僕だけのもの。

しおりを挟む
朝、目覚めると隣にまぁくんが
ぐっすりと眠っていて
僕は幸せを実感した。

















スマホを見ると結構な時間で
慌ててまぁくんを起こす。
















「まぁくん…起きて。もうこんな時間…。
ねぇ、まぁくん?」
















寝ぼけ眼で僕を抱き寄せ
微笑むまぁくんに愛おしさが溢れ
思わずキスをした。














「んぅ!んっ………紅李翔くりと…。」
















「おはよ…まぁくん。」
















紅李翔くりと…俺………今なんか泣きそう…。
こんな幸せな朝ってある?
紅李翔くりとを抱きしめて…
紅李翔くりとからキスされて
目覚めるなんてさ…。」




















「まぁくん…。」

















まぁくんの目から涙が零れ落ちる。


















その雫を舐めとってまたキスをした。

















紅李翔くりと…俺。
紅李翔くりとと暮らしたい。
一緒に住まないか?」

















「まぁくん…。僕…まぁくんが
どう考えてるのかな、って思ってて…。
その…………。僕たちは結婚、は
できないじゃない?
…これから将来はさ。
どうするつもりなのかな、って。

僕は………。まぁくんと
一生一緒にいたい
一緒にいれるだけでいい、って
思ってる。けど………。」


















「うん…………。」


















「仕事のこととか家族のこととか
いろいろある、じゃん?」


















「………………。」

















まぁくんは無言でベッドを降り
鞄から何かを取り出し
こちらに戻ってくる。

















紅李翔くりと。……………。
俺と結婚して欲しい。
いろんな壁があると思うけど…。
将来はパートナーシップ
申請したい、って俺は考えてる。

………これ。」


















「まぁく、ん?」
















紅李翔くりと…。」

















パカッと箱を開け差し出された
それには2つの指輪が入っていた。



















「まぁくんこれって…。」















「うん。結婚指輪。受け取ってくれる?」

















「うぅぅっ…まぁくん………。」


















「絶対今日渡したかったんだ…。
またしばらく離れてしまうし…
俺の就職先がどこになるのかも
まだハッキリしない。でも…………。

俺のものにしておきたい。
紅李翔くりとを俺だけのものに…。
約束して欲しいんだ。」



















「まぁくん…………。もちろん………。
もちろん僕はまぁくんだけのものだよ。
まぁくんも僕だけのもの…。」




















紅李翔くりと…。」


















「まぁくん、はめてくれる?」
















「っ…ああ。」
















僕の手を握るまぁくんの手が
小刻みに震えている。


















左手薬指に指輪がはめられた。


















「…まぁくんありがとう。」
















僕は残った指輪をそっと取り
まぁくんの手を握る。

















まぁくんの手はひどく震えていて
僕はその手をしっかりと握りしめて
指輪をはめた。

















ぽたぽたとまぁくんの涙が落ちる。














紅李翔くりと紅李翔くりと
…ありがとう……ぅぅっ……………。」

















「まぁくん……泣かないで…。」
















僕は必死でまぁくんを強く抱きしめる。
















泣き崩れるまぁくんは
僕にしがみついてきた。




















紅李翔くりとごめんな…俺………。俺………。」

















「まぁくん…………。わかってる。
真仁まひとの考えてること
わかってるよ…。わかってるから…
大丈夫だから…ゆっくり、いこう。ね…。」



















「ごめんな…ごめ………紅李翔くりと…。」

















「………僕も。僕も同じだよ…。
まだカムアウトする勇気は出な、い。」




















紅李翔くりと…。」

















「いろいろ考えながら
一緒に話し合いながら
進んでいこう、真仁まひと。」


















「ありがと…くーちゃん………。」











「まぁくん、キスして…。誓いのキス。」


















僕たちは長い間キスをして
やっとまぁくんの震えが止まった。



















ホテルをチェックアウトすると
まぁくんが甘い声で囁く。
















「連れていきたいところが
あるんだけど…。いい?」

















僕は軽く身を震わせながら頷いた。
















電車に乗って着いたのは国際空港だった。


















「飛行機見ながらご飯を
食べられるところがあるんだ。
すごい近くで見られんだよ~。
1度くーちゃん連れてきたかったんだ。」



















「ここがまぁくんが
インターンシップで働いてるところ?」
















「うん。そうだよ。」
















「このままここに就職するかも、なの?」
















「まだわからない。勤務先が
どこになるか。たぶん今行ってる会社に
なると思うけど、場所は変わるかも。」





















「一流企業だよね…。
忙しくなりそう…。」





















「………まぁ、シフト制だからね…
不規則にはなると思う。
あと勉強勉強の日々になる。」




















「僕…まぁくんのケアを
してあげたいなぁ…。」


















「くーちゃん…。くーちゃんのほうは
どうなの?修行。」

















「僕…。」
















イタリア行きの打診のこともあって
僕は言いよどんでしまう。

















「僕…。できたらお店を持ちたいと
思ってる。でもそれはかなり先の話。
今は…。修行、まだまだしないと…。」




















「そう…か…。こうちゃんの店で
まだまだ働くなら…一緒には住めないか…。」




















ちょっと肩を落とすまぁくんに
僕は意を決して言った。



















「修行はどこでもできる。
僕、まぁくんについて行くよ。
もちろん隅坂すみさかシェフとも
ちゃんと相談する。」



















紅李翔くりと…。」


















「まぁくん。僕、決めた。
ずっとまぁくんのそばにいるよ。
まぁくんが就職したら一緒に住もう。」
















「ほ…んとに?紅李翔くりと…。
それでほんとに後悔しない?」


















「まぁくんと一緒に生きていかないほうが
後悔するから。まぁくんがダメだって
言っても僕はまぁくんとっ…!」

















「…っつ……………。紅李翔くりと
ありがとう。嬉しいよ…。紅李翔くりと
くーちゃん…。」





















真仁まひと。ふつつかものですが
よろしくお願いします。ふふふ…。」
















「こちらこそふつつかものですが…
よろしくお願いします!あははは!」




















笑いあっているとほんのすぐ近くに
飛行機が飛ぶ。


















「あの飛行機たちをまぁくんが
これから守っていくんだね…
僕はその支えになりたい。
まぁくんを守りたい…。」





















「くーちゃん…ありがとう。
俺も………必ず紅李翔くりとを守る。」





















テーブルの下でそっと手を繋ぐと
指輪がカツンと当たり
その感触にまた笑顔になり…。




















僕達は別れの時間まで穏やかで
優しい時を過ごした。





































また日常の慌ただしい生活が始まる。















僕は次の日からまた
翌日の開店のために準備をしていた。


















胸にはネックレスに通した指輪。
















(まぁくんがいつもここにいてくれる…。)
















僕は深く深呼吸し、仕事に向かった。



























*************************

春ーーーー。


















新しい門出を迎えたまぁくんは
関東の国際空港に勤務が決まり。















僕はイタリア行きを正式に断った。















また何年か後でもいつでも
来ていいよ、と言ってもらって
ありがたいかぎりで…。




















そして隅坂すみさかシェフと相談して
空港近くのお店に
移らせてもらうことにした。


















事情も聞かずシェフは
いろんな店で修行するのは
いいことだ、と信用のおける
シェフのお店を紹介してくれた。


















もしかしたらまぁくんとのことを
うすうす気づいているのかもしれない
隅坂すみさかシェフだが僕からは
言い出せずシェフも
僕に特になにも言わずにいてくれて。


















住まいも空港近くに
1DKのマンションを借りた。




















結局どちらの親にも
カミングアウトできずに
まぁくんとルームシェアを
することだけを伝える。

















僕ももう20歳を過ぎたから
自分で自分の責任を取る。

















ただ落ち着いたら……………
はっきり伝えなきゃな、とは
思っていた。




















そんな中、看護師を目指している
やまちゃんからLINEがきて………。


















[実は昨日親父が亡くなったんだ。]
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

処理中です...