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結婚したい人がいるんだ。①
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休日…。僕は実家の前にいた。
ともすれば呼吸を忘れそうなほど
緊張して立っている。
気持ちを落ち着かせようと
薬指の指輪を何度も撫でた。
中には母親しかいないはず。
インターホンを鳴らすと
母親は嬉しそうに出てきた。
「紅李翔!おかえり!」
「ただいま…。」
「お昼食べるでしょ?
支度してあるから。ほらはいって。」
「……………あり、がと。」
笑えているだろうか。
顔のこわばりを自覚しながら
母親が用意してくれた
オムライスを食べる。
「ちゃんと寝てる?
仕事はつらくないの?
ちゃんとやってるの?」
矢継ぎ早な質問に答えつつ
話を切り出す機会を伺っていた。
食べ終わって僕が洗いものをして
テーブルにつくと母親は
優しい顔をして聞いてくれる。
「…………で?どうしたの?」
「お母さん………。」
「わかるわよ~。
なんかあるんだってことぐらい。
あなたの顔見てると。それに…」
母親の目線は僕の左手の
指輪にいっていた。
「うん。…………結婚、したい人が
いる、んだ。」
「そう…。どんな人?
お母さんの知ってる人?」
「……………………………。」
「職場の方、とか?」
「そうじゃないんだ…。
僕。………。まぁくんと結婚したい。」
「え………。な何、柄にもない
冗談、言ってるの?
……………………ちょっとあなた
何、言ってるのか………
わかってる、の…?」
「僕は隅坂真仁さんと
愛し合っています。
結婚、したいんです。」
「く…り、と?」
「お母さん。ごめんなさい。
親不孝を許してください。
僕は小さい頃からまぁくんのことが
好きで好きで…」
「そ、れは…幼なじみだから…
でしょ?」
「違う。ずっと、ずっと、違ったんだ。
僕はまぁくん以外目に入らなかった…。
僕は普通の男の子とは違ったんだ…。」
「ちょっと…何、言って…。
だ、だってまぁくんは奈那美と…。」
「うん。その間もずっと………。
僕は好きだった。
一生まぁくんを想って
ひとりで生きていくつもりだった。」
「じゃあ…。」
「でも奈那美と別れたあとだよ。
付き合ったのは。
まぁくんも本当は小さい頃から
僕を想ってくれてた、んだ。」
「付き合っ、た、って…。
本当に、その…そういう関係、なの?
……今、ルームシェアしてるのも
そう、いう、こと、なの…?」
「うん。僕たち心底愛し合ってる。
ごめん。ずっと言えなくて…………。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
「………………………………。」
「僕は今、ものすごく幸せだし
なんの迷いもない。
職場にもお互い言うつもりだし
まぁくんの養子になって
同じ名字を名乗る。
これはまぁくんが…プロポーズして
提案してくれたんだ…。」
「……………ねぇ、紅李翔…?
本当にそれがどういうことか
わかってるの?
…………今は同性のその…。
そういうのも………。
理解が広まってる、とは言うものの
まだまだ差別や偏見は
たくさんある、わよ?
あなたそれに耐えられるの?」
「僕はまぁくんと生きられるなら
耐えられる。
たとえ誰になんと言われようと。」
「…………………………本当に…。
本当に覚悟、できてる、の?」
「うん。」
「………………………………………。
紅李翔。私はあなたが幸せならいい…。
あなたの人生だから
あなたが生きたいように
悔いのないように生きて…。
応援するわ。」
母親は泣きながら僕を抱き寄せる。
「うん……グズッ…おか…さん………。
僕を許して………。」
「許すもなにも…紅李翔は私の
自慢の息子なんだから。
今までも…これからもずっと…。
私の愛する息子よ。」
ひとしきり2人で泣いて
母親は悲しそうに呟いた。
「お父さんは…難しい、かも…。
ああみえて結構古くさいところが
あるし…。」
「……………………………。」
「孫が早くみたい、紅李翔の子
可愛いだろうな、って…。
最近それが口癖で…。」
「…………………お父さん…。」
「お父さんは私が説得するから…ね?」
「いや。僕…。ちゃんと自分で
お父さんに話すから。
心配しないで。」
「紅李翔…。わかったわ。
…………本当に大丈夫?」
「…………うん。」
「…………ちょっと部屋で
横になってきたら?
シーツ新しくしておいたから。」
「………うん。ありがとう。」
部屋に入ると綺麗に掃除されていて…。
風も通しておいてくれたのか
すっきりとしていた。
ベッドに座って思いを巡らせていると
涙が出てくる。
「ぅ…グズッ…ぅぅ…………。
お父さん…お母さん……ごめんね……。」
トントントン。ドアをノックする音に
顔を上げる。
「紅李翔ぉ?入るわよ~。って………
ちょっとどうしたの?」
入ってきたのは奈那美だった。
隣に座って頭を撫でてくれる。
「………仕事でなんかあった?」
「………ううん。違う、んだ。
グズッ…。………奈那美…ごめんね…………。」
「…………なに…どうした?」
「うん………………。僕…………。
まぁくんと結婚する。」
「…………………………なんだ。
そんなこと。」
「え?」
「…………。知ってたわよ。
それくらい。小さい頃から紅李翔は
真仁のこと大好きだったもんね。」
「なな…み?」
「真仁も紅李翔のこと
ずっと好きだったんでしょ?」
「な、んで、それ…。」
「わかってたわよ…。ずっと……。
ずっと真仁の視線の先には
紅李翔がいたもの。」
「な、なみ………。」
「でも、ね。私は女だから。
いつか紅李翔に勝てるんじゃないか…
って思ってた。ダメだったけど。」
「なな、み…ご…」
「謝らなくていいよ。
もう終わったことだし。
…………ねぇ、高校の時屋上で
お弁当一緒に食べてたの
紅李翔だったの?」
「…………うん。」
「やっぱりそっか。ならいいや。
…………他の女だったら今からでも
張り倒しに行くとこだった!
あははは!」
「奈那美…。」
「真仁も紅李翔も
幸せになってね。
2人とも私には…大切な人だから。
私も負けないぐらい幸せになる!
私が婿養子とってお父さんお母さんと
一緒に住むから紅李翔は安心して
真仁のとこ行きなさい。」
「奈那美…ありが…とう……………。
グズッ…ぅぅ…ありがとう………。」
バカね、なんで泣くの?と笑い
また頭を撫でてくれる奈那美。
「いろいろ大変だと思うけど
負けないで、ね。」
「僕はまぁくんと一緒なら
地獄でもなんでも幸せだから。」
「!!まー!もー!惚気けちゃって!
ビービー泣いてばかりの
鼻たれ小僧だったのに!」
「!!鼻はたらしてないよ!」
「たらしてたよ!何回拭いてやったか!
なんならおねしょの後片付けも
何度もしてあげたでしょ?
くふ!あはは!」
「もう!奈那美のバカ!…ふふふ!
…ぅぅ…………グズッ…ありがとう。」
「…グズッ………泣きむしは
相変わらずなんだから…。
しっかりしなさい、もう大人でしょ。」
「…グズッ………。うん。」
「………問題はお父さんよね…。」
奈那美は難しい顔で僕の頭を撫でた。
ともすれば呼吸を忘れそうなほど
緊張して立っている。
気持ちを落ち着かせようと
薬指の指輪を何度も撫でた。
中には母親しかいないはず。
インターホンを鳴らすと
母親は嬉しそうに出てきた。
「紅李翔!おかえり!」
「ただいま…。」
「お昼食べるでしょ?
支度してあるから。ほらはいって。」
「……………あり、がと。」
笑えているだろうか。
顔のこわばりを自覚しながら
母親が用意してくれた
オムライスを食べる。
「ちゃんと寝てる?
仕事はつらくないの?
ちゃんとやってるの?」
矢継ぎ早な質問に答えつつ
話を切り出す機会を伺っていた。
食べ終わって僕が洗いものをして
テーブルにつくと母親は
優しい顔をして聞いてくれる。
「…………で?どうしたの?」
「お母さん………。」
「わかるわよ~。
なんかあるんだってことぐらい。
あなたの顔見てると。それに…」
母親の目線は僕の左手の
指輪にいっていた。
「うん。…………結婚、したい人が
いる、んだ。」
「そう…。どんな人?
お母さんの知ってる人?」
「……………………………。」
「職場の方、とか?」
「そうじゃないんだ…。
僕。………。まぁくんと結婚したい。」
「え………。な何、柄にもない
冗談、言ってるの?
……………………ちょっとあなた
何、言ってるのか………
わかってる、の…?」
「僕は隅坂真仁さんと
愛し合っています。
結婚、したいんです。」
「く…り、と?」
「お母さん。ごめんなさい。
親不孝を許してください。
僕は小さい頃からまぁくんのことが
好きで好きで…」
「そ、れは…幼なじみだから…
でしょ?」
「違う。ずっと、ずっと、違ったんだ。
僕はまぁくん以外目に入らなかった…。
僕は普通の男の子とは違ったんだ…。」
「ちょっと…何、言って…。
だ、だってまぁくんは奈那美と…。」
「うん。その間もずっと………。
僕は好きだった。
一生まぁくんを想って
ひとりで生きていくつもりだった。」
「じゃあ…。」
「でも奈那美と別れたあとだよ。
付き合ったのは。
まぁくんも本当は小さい頃から
僕を想ってくれてた、んだ。」
「付き合っ、た、って…。
本当に、その…そういう関係、なの?
……今、ルームシェアしてるのも
そう、いう、こと、なの…?」
「うん。僕たち心底愛し合ってる。
ごめん。ずっと言えなくて…………。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
「………………………………。」
「僕は今、ものすごく幸せだし
なんの迷いもない。
職場にもお互い言うつもりだし
まぁくんの養子になって
同じ名字を名乗る。
これはまぁくんが…プロポーズして
提案してくれたんだ…。」
「……………ねぇ、紅李翔…?
本当にそれがどういうことか
わかってるの?
…………今は同性のその…。
そういうのも………。
理解が広まってる、とは言うものの
まだまだ差別や偏見は
たくさんある、わよ?
あなたそれに耐えられるの?」
「僕はまぁくんと生きられるなら
耐えられる。
たとえ誰になんと言われようと。」
「…………………………本当に…。
本当に覚悟、できてる、の?」
「うん。」
「………………………………………。
紅李翔。私はあなたが幸せならいい…。
あなたの人生だから
あなたが生きたいように
悔いのないように生きて…。
応援するわ。」
母親は泣きながら僕を抱き寄せる。
「うん……グズッ…おか…さん………。
僕を許して………。」
「許すもなにも…紅李翔は私の
自慢の息子なんだから。
今までも…これからもずっと…。
私の愛する息子よ。」
ひとしきり2人で泣いて
母親は悲しそうに呟いた。
「お父さんは…難しい、かも…。
ああみえて結構古くさいところが
あるし…。」
「……………………………。」
「孫が早くみたい、紅李翔の子
可愛いだろうな、って…。
最近それが口癖で…。」
「…………………お父さん…。」
「お父さんは私が説得するから…ね?」
「いや。僕…。ちゃんと自分で
お父さんに話すから。
心配しないで。」
「紅李翔…。わかったわ。
…………本当に大丈夫?」
「…………うん。」
「…………ちょっと部屋で
横になってきたら?
シーツ新しくしておいたから。」
「………うん。ありがとう。」
部屋に入ると綺麗に掃除されていて…。
風も通しておいてくれたのか
すっきりとしていた。
ベッドに座って思いを巡らせていると
涙が出てくる。
「ぅ…グズッ…ぅぅ…………。
お父さん…お母さん……ごめんね……。」
トントントン。ドアをノックする音に
顔を上げる。
「紅李翔ぉ?入るわよ~。って………
ちょっとどうしたの?」
入ってきたのは奈那美だった。
隣に座って頭を撫でてくれる。
「………仕事でなんかあった?」
「………ううん。違う、んだ。
グズッ…。………奈那美…ごめんね…………。」
「…………なに…どうした?」
「うん………………。僕…………。
まぁくんと結婚する。」
「…………………………なんだ。
そんなこと。」
「え?」
「…………。知ってたわよ。
それくらい。小さい頃から紅李翔は
真仁のこと大好きだったもんね。」
「なな…み?」
「真仁も紅李翔のこと
ずっと好きだったんでしょ?」
「な、んで、それ…。」
「わかってたわよ…。ずっと……。
ずっと真仁の視線の先には
紅李翔がいたもの。」
「な、なみ………。」
「でも、ね。私は女だから。
いつか紅李翔に勝てるんじゃないか…
って思ってた。ダメだったけど。」
「なな、み…ご…」
「謝らなくていいよ。
もう終わったことだし。
…………ねぇ、高校の時屋上で
お弁当一緒に食べてたの
紅李翔だったの?」
「…………うん。」
「やっぱりそっか。ならいいや。
…………他の女だったら今からでも
張り倒しに行くとこだった!
あははは!」
「奈那美…。」
「真仁も紅李翔も
幸せになってね。
2人とも私には…大切な人だから。
私も負けないぐらい幸せになる!
私が婿養子とってお父さんお母さんと
一緒に住むから紅李翔は安心して
真仁のとこ行きなさい。」
「奈那美…ありが…とう……………。
グズッ…ぅぅ…ありがとう………。」
バカね、なんで泣くの?と笑い
また頭を撫でてくれる奈那美。
「いろいろ大変だと思うけど
負けないで、ね。」
「僕はまぁくんと一緒なら
地獄でもなんでも幸せだから。」
「!!まー!もー!惚気けちゃって!
ビービー泣いてばかりの
鼻たれ小僧だったのに!」
「!!鼻はたらしてないよ!」
「たらしてたよ!何回拭いてやったか!
なんならおねしょの後片付けも
何度もしてあげたでしょ?
くふ!あはは!」
「もう!奈那美のバカ!…ふふふ!
…ぅぅ…………グズッ…ありがとう。」
「…グズッ………泣きむしは
相変わらずなんだから…。
しっかりしなさい、もう大人でしょ。」
「…グズッ………。うん。」
「………問題はお父さんよね…。」
奈那美は難しい顔で僕の頭を撫でた。
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