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結婚したい人がいるんだ。③
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「くーちゃん…背中大丈夫か?」
実家からの帰り道まぁくんが
僕の背中を何度もさすってくれる。
「………お父さんには
言えなかったけど…。
めちゃめちゃ痛い…。ふふふ…。」
「ごめんな…。俺が殴られれば
よかったのに…。」
「そんなことないよ。
まぁくんが無傷でよかった…。」
「くーちゃん………。」
「それよりまぁくんなんで今日?」
「………ああ。同僚が緊急で
今日と明日の夜勤を
代わって欲しい、って言って
急遽変更になったからさ。
くーちゃん実家行ってるの
知ってたし、迎えに行こうと
思ってさ。」
「そうだったの…じゃあ明日が
夜勤なのね…」
「うん。さっき俺の実家にも
行ってきた、よ。」
「ええっ!なんで連絡を
くれなかったの?」
「うちは…。」
まぁくんが下を向く。
「くーちゃんとこの家族みたいに
いい家庭じゃない、から。」
「………まぁくん?」
「なんというか…誰とでもどうとでも
ご自由に、って感じだった。
勝手に出ていけ、って。」
「えっ………。」
「うち、は…さ、兄貴が2人と
1番上に姉がいて
俺は………小さいころから
家族になじめなかったから。
早くうちを出たかったのも
そういうのがあったからで。
帰りたくもない。
…………なんだろうね。
俺だけが異質なもの、みたいに
扱われてた。
父さんはなんだか
化け物を見るような目で俺を見て…。
母さんは憐れんだような目で
見てきて…。
たぶん俺、親の目から見て
ちょっと「普通」とは違うって
子供の頃から思われてたのかもしれない。
それでもちゃんと
学校を出してくれたんだから
有難いと思ってるけどね…。」
「そうだったんだ…。
聞いたことなかった…。」
「俺、あまり家族のことは
話してこなかったからね…。」
「…………僕が家族になるからね。
僕がいるから………。」
まぁくんの手に指を絡ませると
ぎゅっと握ってくる手が熱かった。
「くーちゃんありがとう。
俺はそれで充分。
くーちゃんがいてくれさえすれば
俺は幸せだから。」
「まぁくん…ありがとう………。
僕と巡りあってくれて
本当にありがとう…。」
夜道を寄り添って歩くと
幸せが溢れた。
僕はまぁくんのご両親にも
自分の両親にも父の日と母の日に
ささやかな贈り物を
毎年欠かさずにしようと心に決めた。
「俺はもう会社にも言った。
うちの会社は理解があるから
大丈夫だ。くーちゃんは別に
言わなくてもいいよ?」
「ううん。僕もちゃんと言うよ。
もう知ってる人もいるし。
堂々と生きていきたい。
悪いことしてるわけじゃないし。
いろいろ言う人もいると思うけど
僕は気にしない。
ね、お店のお客様に
弁護士さんがいるんだけど
相談乗ってもらえそうだから
聞いてみる?
その弁護士さんね。ご自身が
パートナーシップ宣誓したんだって。
葛城さんっていうんだけど。」
「そうだな…きちんとしたほうがいいし
頼んでみようか。」
個人事務所でLGBTQ+の人向けの
法律相談も広くやっている
葛城さんはとても親切に
相談にのってくれて。
僕たちは養子縁組の手続きをして
正式に同じ名字の夫夫になった。
********************
「38番でお待ちの隅坂さまー?」
「………………………………………っ!
あ、はい!」
(まだ、慣れないな…ふふふ………。)
心の中でクスクスと笑いながら
幸せを噛みしめる。
僕の顔はにやけていないだろうか。
銀行に今までの通帳を名義変更しにきた。
そして今まで貯めたお金を
定期預金にする。
これからもお店を始める資金を
貯めていかなきゃ…。
最初の約束通り生活費は
すべて割り勘、ということにしている。
ひと手間かかるけれど
ひとつの通帳にお互い給料から
同じ額を毎月入金して
2人の生活費のすべては
ここから支払う。
残ったら置いておいて貯まったら
海外旅行にでも行こうと
いうことになっている。
この方法が1番長続きすると思ったからだ。
まぁくんは全部俺が出したい、と
言ってくれたけれど…。
どちらもがを負担を感じずに
いられたほうが
気をつかわなくていい、って
僕が言ったんだ。
結果それでうまくいっていると思う。
定期的に自腹で美味しいものを
奢ってくれるまぁくんは
やっぱり優しい。
今日はこのあと空港の中のお店で
久々にディナーをすることになっていた。
僕はウキウキした足取りで向かう。
待ち合わせ場所に佇むまぁくんに
声をかけようとしたその時
隣に女性がいることに気がついた。
(え…。綺麗な女性………。誰!?)
まぁくんと親しげに話す女性は
少し歳上に見えたけど
とても綺麗な人で…。
僕の胸はワクワクから
妙な胸騒ぎへと変わる。
思いきって声をかけた。
「………まぁ、くん?」
「あ、紅李翔…。」
女性は僕らの間に割り込んできた。
「あなたが紅李翔くん?」
まぁくんが焦ったように
僕を守ろうとしたその時………。
僕はその女性に抱きつかれた。
「あなたが真仁のスィートハニーなのね!
ありがとう~!真仁を好いてくれて!
この子将来どうなるのかと
心配してたから嬉しかったわ~!
本当にありがとね!」
「ちょ!姉貴…。」
「!!!お、ねぇさん、ですか…。
は、はじめまして…紅李翔で、す…。」
僕は抱きしめられたまま挨拶をした。
「姉貴!離せよ!紅李翔が
びっくりしてる…。」
まぁくんは少し照れているようで
赤い顔をしている。
「あ、ごめんごめん。
海外生活が長いから慣れちゃって!
はじめまして!姉の真湖です!」
そう言う女性はよく見れば
まぁくんの面影もあって…。
「よろしくお願いいたします。
真湖、さん。ありがとうございます。」
「姉貴は親父の転勤で
家族で海外に行ったとき
俺らと一緒に日本に戻らずに
そのままそこに住んでて
現地の人と結婚したんだ。
俺が紅李翔のこと話したら
飛んで帰ってきた…。
もう、ややこしいからいいのに…。」
「ちょっと!あんた!
ややこしい、ってなによ!
まぁ……………。そろそろ日本に
行きたいと思ってたから
ちょうどよかったのよ。
紅李翔くん、この子変わってると
思うけどこれからもよろしくね!」
「…僕はとても愛おしいです。
まぁくんのこと。変わってる、なんて
思いませんよ?」
真湖さんは目を丸くして
びっくりしてそれから微笑んで言った。
「真仁よかったねぇ…。
本当に理解してくれる人に出会えて。」
まぁくんの肩を小突きそう言うと
ウインクして真湖さんは
旦那が待ってるから、じゃあね!と
颯爽と行ってしまい
遠くで男性とキスしているのが見えた。
「まぁくん…いいお姉さんだね。
前もって知らせてくれてれば
何かプレゼント用意したのに!」
「………俺も知らなかったんだよ~。
さっき[今、空港に着いたから!]って
電話かかってきてさ…。
いつもあんなんなんだよ…。
ほんとややこしい…。」
「んふふ…まぁくん…。
よかったね………。グズッ……。」
「な、なんで泣くんだよ~
くーちゃん…。」
「………ぅぅ…。なんか、嬉しくて…。」
「バカだなぁ…。紅李翔、おいで。」
人目を憚らずまぁくんの胸に飛び込む。
「………ま…家族にくーちゃんを
紹介できてよかった、よ………。」
「………まぁくん、ありがとね。
僕、嬉しかった。
お姉さん、お店に招待したら
旦那さんと来てくれるかなぁ?
聞いてみてくれる?」
「ん、わかった。」
その日はまぁくんとディナーを食べて
僕たちは帰路についた。
実家からの帰り道まぁくんが
僕の背中を何度もさすってくれる。
「………お父さんには
言えなかったけど…。
めちゃめちゃ痛い…。ふふふ…。」
「ごめんな…。俺が殴られれば
よかったのに…。」
「そんなことないよ。
まぁくんが無傷でよかった…。」
「くーちゃん………。」
「それよりまぁくんなんで今日?」
「………ああ。同僚が緊急で
今日と明日の夜勤を
代わって欲しい、って言って
急遽変更になったからさ。
くーちゃん実家行ってるの
知ってたし、迎えに行こうと
思ってさ。」
「そうだったの…じゃあ明日が
夜勤なのね…」
「うん。さっき俺の実家にも
行ってきた、よ。」
「ええっ!なんで連絡を
くれなかったの?」
「うちは…。」
まぁくんが下を向く。
「くーちゃんとこの家族みたいに
いい家庭じゃない、から。」
「………まぁくん?」
「なんというか…誰とでもどうとでも
ご自由に、って感じだった。
勝手に出ていけ、って。」
「えっ………。」
「うち、は…さ、兄貴が2人と
1番上に姉がいて
俺は………小さいころから
家族になじめなかったから。
早くうちを出たかったのも
そういうのがあったからで。
帰りたくもない。
…………なんだろうね。
俺だけが異質なもの、みたいに
扱われてた。
父さんはなんだか
化け物を見るような目で俺を見て…。
母さんは憐れんだような目で
見てきて…。
たぶん俺、親の目から見て
ちょっと「普通」とは違うって
子供の頃から思われてたのかもしれない。
それでもちゃんと
学校を出してくれたんだから
有難いと思ってるけどね…。」
「そうだったんだ…。
聞いたことなかった…。」
「俺、あまり家族のことは
話してこなかったからね…。」
「…………僕が家族になるからね。
僕がいるから………。」
まぁくんの手に指を絡ませると
ぎゅっと握ってくる手が熱かった。
「くーちゃんありがとう。
俺はそれで充分。
くーちゃんがいてくれさえすれば
俺は幸せだから。」
「まぁくん…ありがとう………。
僕と巡りあってくれて
本当にありがとう…。」
夜道を寄り添って歩くと
幸せが溢れた。
僕はまぁくんのご両親にも
自分の両親にも父の日と母の日に
ささやかな贈り物を
毎年欠かさずにしようと心に決めた。
「俺はもう会社にも言った。
うちの会社は理解があるから
大丈夫だ。くーちゃんは別に
言わなくてもいいよ?」
「ううん。僕もちゃんと言うよ。
もう知ってる人もいるし。
堂々と生きていきたい。
悪いことしてるわけじゃないし。
いろいろ言う人もいると思うけど
僕は気にしない。
ね、お店のお客様に
弁護士さんがいるんだけど
相談乗ってもらえそうだから
聞いてみる?
その弁護士さんね。ご自身が
パートナーシップ宣誓したんだって。
葛城さんっていうんだけど。」
「そうだな…きちんとしたほうがいいし
頼んでみようか。」
個人事務所でLGBTQ+の人向けの
法律相談も広くやっている
葛城さんはとても親切に
相談にのってくれて。
僕たちは養子縁組の手続きをして
正式に同じ名字の夫夫になった。
********************
「38番でお待ちの隅坂さまー?」
「………………………………………っ!
あ、はい!」
(まだ、慣れないな…ふふふ………。)
心の中でクスクスと笑いながら
幸せを噛みしめる。
僕の顔はにやけていないだろうか。
銀行に今までの通帳を名義変更しにきた。
そして今まで貯めたお金を
定期預金にする。
これからもお店を始める資金を
貯めていかなきゃ…。
最初の約束通り生活費は
すべて割り勘、ということにしている。
ひと手間かかるけれど
ひとつの通帳にお互い給料から
同じ額を毎月入金して
2人の生活費のすべては
ここから支払う。
残ったら置いておいて貯まったら
海外旅行にでも行こうと
いうことになっている。
この方法が1番長続きすると思ったからだ。
まぁくんは全部俺が出したい、と
言ってくれたけれど…。
どちらもがを負担を感じずに
いられたほうが
気をつかわなくていい、って
僕が言ったんだ。
結果それでうまくいっていると思う。
定期的に自腹で美味しいものを
奢ってくれるまぁくんは
やっぱり優しい。
今日はこのあと空港の中のお店で
久々にディナーをすることになっていた。
僕はウキウキした足取りで向かう。
待ち合わせ場所に佇むまぁくんに
声をかけようとしたその時
隣に女性がいることに気がついた。
(え…。綺麗な女性………。誰!?)
まぁくんと親しげに話す女性は
少し歳上に見えたけど
とても綺麗な人で…。
僕の胸はワクワクから
妙な胸騒ぎへと変わる。
思いきって声をかけた。
「………まぁ、くん?」
「あ、紅李翔…。」
女性は僕らの間に割り込んできた。
「あなたが紅李翔くん?」
まぁくんが焦ったように
僕を守ろうとしたその時………。
僕はその女性に抱きつかれた。
「あなたが真仁のスィートハニーなのね!
ありがとう~!真仁を好いてくれて!
この子将来どうなるのかと
心配してたから嬉しかったわ~!
本当にありがとね!」
「ちょ!姉貴…。」
「!!!お、ねぇさん、ですか…。
は、はじめまして…紅李翔で、す…。」
僕は抱きしめられたまま挨拶をした。
「姉貴!離せよ!紅李翔が
びっくりしてる…。」
まぁくんは少し照れているようで
赤い顔をしている。
「あ、ごめんごめん。
海外生活が長いから慣れちゃって!
はじめまして!姉の真湖です!」
そう言う女性はよく見れば
まぁくんの面影もあって…。
「よろしくお願いいたします。
真湖、さん。ありがとうございます。」
「姉貴は親父の転勤で
家族で海外に行ったとき
俺らと一緒に日本に戻らずに
そのままそこに住んでて
現地の人と結婚したんだ。
俺が紅李翔のこと話したら
飛んで帰ってきた…。
もう、ややこしいからいいのに…。」
「ちょっと!あんた!
ややこしい、ってなによ!
まぁ……………。そろそろ日本に
行きたいと思ってたから
ちょうどよかったのよ。
紅李翔くん、この子変わってると
思うけどこれからもよろしくね!」
「…僕はとても愛おしいです。
まぁくんのこと。変わってる、なんて
思いませんよ?」
真湖さんは目を丸くして
びっくりしてそれから微笑んで言った。
「真仁よかったねぇ…。
本当に理解してくれる人に出会えて。」
まぁくんの肩を小突きそう言うと
ウインクして真湖さんは
旦那が待ってるから、じゃあね!と
颯爽と行ってしまい
遠くで男性とキスしているのが見えた。
「まぁくん…いいお姉さんだね。
前もって知らせてくれてれば
何かプレゼント用意したのに!」
「………俺も知らなかったんだよ~。
さっき[今、空港に着いたから!]って
電話かかってきてさ…。
いつもあんなんなんだよ…。
ほんとややこしい…。」
「んふふ…まぁくん…。
よかったね………。グズッ……。」
「な、なんで泣くんだよ~
くーちゃん…。」
「………ぅぅ…。なんか、嬉しくて…。」
「バカだなぁ…。紅李翔、おいで。」
人目を憚らずまぁくんの胸に飛び込む。
「………ま…家族にくーちゃんを
紹介できてよかった、よ………。」
「………まぁくん、ありがとね。
僕、嬉しかった。
お姉さん、お店に招待したら
旦那さんと来てくれるかなぁ?
聞いてみてくれる?」
「ん、わかった。」
その日はまぁくんとディナーを食べて
僕たちは帰路についた。
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