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強力な援護射撃
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殿下達の騒ぎの間に現れたベルティーユ様達に、周りの視線が集中しました。ラフォン侯爵家とは犬猿の仲でもあるカロン侯爵家のベルティーユ様が声をかけたので、周りも何事かと思っているのでしょう。私達の仲がいいのは学園では知られた話ですが、それも学園内でのこと。社交界では相変わらず犬猿の仲のイメージのままなのです。
「ファリエール伯爵令息に、お姉様からの伝言をお預かりしてきましたの」
「アデレイド様からの?」
ベルティーユ様の言葉に、エルネスト様だけでなく周りの貴族たちが目を瞠りました。子爵家出身の伯爵令息に、王子妃殿下が伝言を遣わすなんて普通はあり得ないですものね。皆様、何事かと息をひそめているのが伝わってきます。
「ええ。リシャール殿にアクセサリーのお礼を。想像以上に素晴らしい品に感謝する、との仰せです。第二王子殿下も満足されていらっしゃいましたわ」
「身に余る有難いお言葉、光栄至極にございます」
「ふふ、さすがはヴァン ダンジュのオーナーね」
深々と一礼したリシャール様に、ベルティーユ様は満足そうな笑みを向けました。今の彼女はアデレイド様の名代なので、その言葉の重みは相当なものです。リシャール様を見上げると、緊張した面持ちの中にホッとしているのがわかり、私の中に言い様もない安堵と嬉しさが広がりました。
「まさか…アデレイド様が…」
「確かに今日のネックレスは素晴らしいものでしたが…」
「あれがヴァン ダンジュの品だったとは…」
ベルティーユ様との会話で、周りにいた方々の間にざわめきが広がっていました。まさかリシャール様がアデレイド様と繋がりがあるなんて思いもしなかったのでしょうね。今のは最上級の謝辞でしょうから、その意味と重みは皆様にも伝わった事でしょう。そしてそれはドミニク様達にも、です。
(リシャール様を馬鹿にするからよ、いい気味だわ)
性格が悪いと言われようとも、リシャール様を貶めた彼女達は許せません。今の会話でリシャール様の価値が大きく上がったのは間違いなく、今後彼女たちは一層難しい立場になるでしょうね。
それに、エルネスト殿下にもちょうどいい牽制になります。実はエルネスト様、王太子殿下や第二王子殿下とは母親が違う上、お二人に比べると出来が悪いのもあって、苦手意識がかなりあるのですよね。アデレイド様との繋がりを知ればリシャール様に突っ掛かってくる可能性は減るでしょう。
「よかったですわね、リシャール様!」
「ええ、お喜び頂けたようで、肩の荷が下りました」
「ふふ、私も拝見したけれど本当に素晴らしい品だったわ。あら、今日のレティシア様のアクセサリーもとても素敵ね。それってもしかして…」
「ええ、リシャール様からの贈り物ですの」
「まぁ、羨ましいわ。素敵な婚約者を得られましたわね」
ベルティーユ様がキラキラした目で私のアクセサリーを見つめていました。ふふ、こういうところはベルティーユ様も普通に女の子ですわね。彼女は私なんかよりもずっとお洒落に興味を持っているので尚更でしょう。
私達がそんな話している間に、ドミニク様達はそそくさとどこかへ去っていきました。喧嘩を売るなら相手をよく調べてからにするべきですのに、まだまだ甘いですわね。
「ふふ、これで少しはお役に立てたかしら?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、そっと囁いたベルティーユ様ですが、これも周りの皆様が私達の会話に聞き耳を立てているとご存じの上でしょう。アデライド様からの賛辞は何よりも強力な援護射撃であり、お店にとっては有益な宣伝になるからです。
「ファリエール伯爵令息に、お姉様からの伝言をお預かりしてきましたの」
「アデレイド様からの?」
ベルティーユ様の言葉に、エルネスト様だけでなく周りの貴族たちが目を瞠りました。子爵家出身の伯爵令息に、王子妃殿下が伝言を遣わすなんて普通はあり得ないですものね。皆様、何事かと息をひそめているのが伝わってきます。
「ええ。リシャール殿にアクセサリーのお礼を。想像以上に素晴らしい品に感謝する、との仰せです。第二王子殿下も満足されていらっしゃいましたわ」
「身に余る有難いお言葉、光栄至極にございます」
「ふふ、さすがはヴァン ダンジュのオーナーね」
深々と一礼したリシャール様に、ベルティーユ様は満足そうな笑みを向けました。今の彼女はアデレイド様の名代なので、その言葉の重みは相当なものです。リシャール様を見上げると、緊張した面持ちの中にホッとしているのがわかり、私の中に言い様もない安堵と嬉しさが広がりました。
「まさか…アデレイド様が…」
「確かに今日のネックレスは素晴らしいものでしたが…」
「あれがヴァン ダンジュの品だったとは…」
ベルティーユ様との会話で、周りにいた方々の間にざわめきが広がっていました。まさかリシャール様がアデレイド様と繋がりがあるなんて思いもしなかったのでしょうね。今のは最上級の謝辞でしょうから、その意味と重みは皆様にも伝わった事でしょう。そしてそれはドミニク様達にも、です。
(リシャール様を馬鹿にするからよ、いい気味だわ)
性格が悪いと言われようとも、リシャール様を貶めた彼女達は許せません。今の会話でリシャール様の価値が大きく上がったのは間違いなく、今後彼女たちは一層難しい立場になるでしょうね。
それに、エルネスト殿下にもちょうどいい牽制になります。実はエルネスト様、王太子殿下や第二王子殿下とは母親が違う上、お二人に比べると出来が悪いのもあって、苦手意識がかなりあるのですよね。アデレイド様との繋がりを知ればリシャール様に突っ掛かってくる可能性は減るでしょう。
「よかったですわね、リシャール様!」
「ええ、お喜び頂けたようで、肩の荷が下りました」
「ふふ、私も拝見したけれど本当に素晴らしい品だったわ。あら、今日のレティシア様のアクセサリーもとても素敵ね。それってもしかして…」
「ええ、リシャール様からの贈り物ですの」
「まぁ、羨ましいわ。素敵な婚約者を得られましたわね」
ベルティーユ様がキラキラした目で私のアクセサリーを見つめていました。ふふ、こういうところはベルティーユ様も普通に女の子ですわね。彼女は私なんかよりもずっとお洒落に興味を持っているので尚更でしょう。
私達がそんな話している間に、ドミニク様達はそそくさとどこかへ去っていきました。喧嘩を売るなら相手をよく調べてからにするべきですのに、まだまだ甘いですわね。
「ふふ、これで少しはお役に立てたかしら?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、そっと囁いたベルティーユ様ですが、これも周りの皆様が私達の会話に聞き耳を立てているとご存じの上でしょう。アデライド様からの賛辞は何よりも強力な援護射撃であり、お店にとっては有益な宣伝になるからです。
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