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王家の事情
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紫瞳は王族の証。それは平民でも知っている我が国の常識だ。国王陛下も王太子殿下も王女殿下も、そして先代の国王陛下の御子の王弟殿下も紫瞳をお持ちだ。
(え?じゃ…副団長が王子殿下と扱われていないのは…紫瞳を持たないから?)
確かに紫瞳は王族の証だけど、絶対に紫瞳が出るとは限らない筈だ。だって、王妃様は王族ではないから。王妃様の血が濃く受け継がれれば、紫瞳じゃない御子が出来ても不思議じゃない。
私だって髪は母の色だけど瞳は父の色だし、弟のリアムはその逆だ。それ以外でも隔世遺伝で祖父母の色を受け継ぐ場合だってある。王族だって同じ人間だから、紫瞳を受け継がない子が生まれる事だってあるだろうし、その孫に出る可能性もあるだろう。
「俺は紫瞳を受け継がなかった。だから生まれると死産と発表されてランベール公爵家に養子に出されたんだ」
「そ、そんな…」
「王家にとって紫瞳は必須なんだよ。これまでも紫瞳を持たない子供は王族とは認められていない」
「……」
髪や目の色なんて選べるものではない。もし選べるとしたら神様くらいだろう。なのにそんな理由で実子ではないと扱われるなんて…
「王家は代々そうして紫瞳を守ってきたんだ」
「で、でも…紫瞳がなくても、国王としての能力があったら…」
「それを認めてくれる国だったら、俺はここにいなかったろうな」
そう言って副団長は力なく笑ったけれど…確かに我が国では紫瞳を持たない者は王族とは認められていない。と言うか、王族には紫瞳以外の子が生まれる事はなかった…筈…って、あれ?そ、それって…
「……も、もしかして…今まで…」
「そういう事だ。紫瞳を持たない子は死産だったと発表された」
「…それで、養子に…」
それって酷くない?子供は神様の贈り物で、産む方だって命がけだ。なのに、瞳の色が違うだけでそんな事が…
「それでも、俺はまだましな方だけどな」
「え?」
「三代前の王までは、紫瞳を持たない子は文字通り死産だったからな」
「そ、それって…ま、さか…生まれてすぐに…」
「…そういう事だ」
「…っ」
あまりの暴挙に、言葉も出なかった。そんな…やっと生まれたのに、それだけの理由で…尊き血の王家がそんな事を…
(え?じゃ、この話を聞いた私って…)
考えたくもない怖い事を想像してしまった…この話って、いわゆる王家の闇、だよね?しかも副団長が王子って、そんな事を聞いた私って…もしかして消される…とか?
「ああ、心配しなくても消したりなんかしない」
「…っ」
思っていた事を言い当てられて息を飲んだ。そんなにわかりやすい表情をしていただろうか…でも…
「だが、誰かに話した時は…」
「わ、判りました!だ、誰にも言いませんし、忘れます」
「…すまんな。巻き込んだ形になって…」
急に弱々しい笑顔でそう言われてしまうと、何とも言い難い気持ちになった。そんなの反則じゃないだろうか…
「い、いえ…」
なんだろう、あんな話を聞いてしまった後では、無下にも出来ない気がした。これってもしかして、絆された、のだろうか…そういうのはノーサンキューだし、重くて暗い話は遠慮したいのだけど…
「俺が王女の求婚に答えられないのはそういう事だ。彼女がこの事を知ったのは半年ほど前なんだ。そのせいか、未だに受け入れられないらしくてな…」
「そ、そうですか…」
なるほど…王女殿下が婚約を望んでいたのは兄妹だと知らなかったせいか…あの様子だと急にそう言われても受け入れられない、とかだろうか。でも、さすがにそれはダメだろう…
「そういう訳だから、婚約の白紙はなしだ」
「…左様ですか…」
王女殿下の危険な一面も、王家の闇も見てしまった…どうやら私の平穏はまだまだ遠いらしい。
(え?じゃ…副団長が王子殿下と扱われていないのは…紫瞳を持たないから?)
確かに紫瞳は王族の証だけど、絶対に紫瞳が出るとは限らない筈だ。だって、王妃様は王族ではないから。王妃様の血が濃く受け継がれれば、紫瞳じゃない御子が出来ても不思議じゃない。
私だって髪は母の色だけど瞳は父の色だし、弟のリアムはその逆だ。それ以外でも隔世遺伝で祖父母の色を受け継ぐ場合だってある。王族だって同じ人間だから、紫瞳を受け継がない子が生まれる事だってあるだろうし、その孫に出る可能性もあるだろう。
「俺は紫瞳を受け継がなかった。だから生まれると死産と発表されてランベール公爵家に養子に出されたんだ」
「そ、そんな…」
「王家にとって紫瞳は必須なんだよ。これまでも紫瞳を持たない子供は王族とは認められていない」
「……」
髪や目の色なんて選べるものではない。もし選べるとしたら神様くらいだろう。なのにそんな理由で実子ではないと扱われるなんて…
「王家は代々そうして紫瞳を守ってきたんだ」
「で、でも…紫瞳がなくても、国王としての能力があったら…」
「それを認めてくれる国だったら、俺はここにいなかったろうな」
そう言って副団長は力なく笑ったけれど…確かに我が国では紫瞳を持たない者は王族とは認められていない。と言うか、王族には紫瞳以外の子が生まれる事はなかった…筈…って、あれ?そ、それって…
「……も、もしかして…今まで…」
「そういう事だ。紫瞳を持たない子は死産だったと発表された」
「…それで、養子に…」
それって酷くない?子供は神様の贈り物で、産む方だって命がけだ。なのに、瞳の色が違うだけでそんな事が…
「それでも、俺はまだましな方だけどな」
「え?」
「三代前の王までは、紫瞳を持たない子は文字通り死産だったからな」
「そ、それって…ま、さか…生まれてすぐに…」
「…そういう事だ」
「…っ」
あまりの暴挙に、言葉も出なかった。そんな…やっと生まれたのに、それだけの理由で…尊き血の王家がそんな事を…
(え?じゃ、この話を聞いた私って…)
考えたくもない怖い事を想像してしまった…この話って、いわゆる王家の闇、だよね?しかも副団長が王子って、そんな事を聞いた私って…もしかして消される…とか?
「ああ、心配しなくても消したりなんかしない」
「…っ」
思っていた事を言い当てられて息を飲んだ。そんなにわかりやすい表情をしていただろうか…でも…
「だが、誰かに話した時は…」
「わ、判りました!だ、誰にも言いませんし、忘れます」
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急に弱々しい笑顔でそう言われてしまうと、何とも言い難い気持ちになった。そんなの反則じゃないだろうか…
「い、いえ…」
なんだろう、あんな話を聞いてしまった後では、無下にも出来ない気がした。これってもしかして、絆された、のだろうか…そういうのはノーサンキューだし、重くて暗い話は遠慮したいのだけど…
「俺が王女の求婚に答えられないのはそういう事だ。彼女がこの事を知ったのは半年ほど前なんだ。そのせいか、未だに受け入れられないらしくてな…」
「そ、そうですか…」
なるほど…王女殿下が婚約を望んでいたのは兄妹だと知らなかったせいか…あの様子だと急にそう言われても受け入れられない、とかだろうか。でも、さすがにそれはダメだろう…
「そういう訳だから、婚約の白紙はなしだ」
「…左様ですか…」
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