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【R18】afterStory happy honeymoon〜
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しおりを挟む「あっという間に、三日間が終わってしまいましたね」
滞在するハネムーン仕様のスイートルームは、私たちの不在の間にベッドメイクも部屋も綺麗に整頓されていた。
「非日常は、時間の感覚を麻痺させますからね」
遊び疲れていた私たちだが、明日の昼には帰国の途に就かなければならない。部屋に戻ってすぐ購入したお土産やランドリーサービスで届いた洋服をスーツケースへ片づけていた。
「今度はもう少し長く休みを取って、旅行しましょうか」
嬉しい提案に、ピクリと反応する。
「はい……! 国内はもちろん、色んな国に行ってみた――……へ……へっくしゅんっ!」
今回の旅行はクリスと再会できてミアとの新しい出会いもあった。千秋さんとこれからも沢山の思い出を――と思っていた矢先、ブルリと体が震える感覚とともに、大きなくしゃみが出てしまった。
途端、横から鋭い視線を感じた。
背中がひやりとする私。
……まずい。
「……桜さん、もしかして――」
ギクリ。
すかさず千秋さんが隣にやってきて、私の服の襟元に触れられる。
「やっぱり……」とちょっと嗜めるような目をされる。
――バレてしまった。
レインコートを着ていたものの、欧米人よりも小さな日本人女性……よりもさらに小さな私には、とてもじゃないがサイズ感が合わなかった。
緩い首元から入った水流のせいで着ていたトップスや下着はだいぶ濡れてしまっていた。
レノックスおじさんが借してくれたタオルで髪や肌の湿り気は取れたものの、未だ服や下着は湿り気を帯びていた。
千秋さんにディナーの前に「服は濡れませんでしたか?」と心配をされた。だが私は「もう乾きましたよ!」と堂々と嘘をついてしまっていた。だって、帰れる状況でなかったし。
でも、こうして心配そうな千秋さんを前にすると、少し心苦しくなってくる。
「嘘ついてすみま……――ひゃっ……!」
だけど、謝罪の声は最後まで続かなかった。
「え? 千秋さん……?」
体がふわりと浮いて、慌ててしがみつく。なぜか智秋さんに子供のようにひょいと抱えられていて、どこかへ向かっている。
――いや、どこかって、もうこの状況、ひとつしかないんだけれど……
「まだ濡れているんでしょう? なら、早く温まった方がいい」
――……やっぱり。
「俺が隅々まで、温めてあげましょう……」
そして、なんとも魅惑的な予告が続き、きゅうっとお腹の奥が熱くなる。
「ア、アタタメルッテ……」
それって、一緒に入るってことだよね……?
恥ずかしいと口にする前に、化粧台の上に座らされ、千秋さんがシャツのボタンを外し脱ぎはじめる。
引き締まった体が露わになると、私はもうドキドキして何も言えなくなる。
今まで何度か一緒に自宅のバスルームで入ったことはある。でも、そうすると大抵、明るいライトの下で、見せつけるように愛撫され啼かされ、そして大きな一物で貪欲に貫かれる。
いくら千秋さん大好きな私でも、明るい場所でそんな風に乱されるのは恥ずかしい。
こうして千秋さんに誘われるまでは、一緒に入浴することはあまりなかった。
とはいえ、嫌なわけではないのだけれど……
「ライト、消してくれたりは――……」
「昨日もその前もおあずけ食らってるんです……消すわけないでしょう」
要望を一蹴し、千秋さんはシャツを落とし引き締まった体を披露すると、私のトップスをすぽんと頭から引き脱がした。そして、リボンを解いて、ショーツもろともボウタイパンツを脱がし、張り付いたいたブラジャーを床に落とした。
――きゃあっ!
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