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第二章 ゾロ目企画『令和二年二月二十二日』
第七回 もう一つの『りかのじかん』……起の編。
しおりを挟む――前言撤回。
『春リトルに近し帰り道』と、前回謳ったその文面。
月曜と違って、クルクルと寒波が舞い戻ったから、
――時よ、時よ、時よ、と奏でる『冬の散歩道』……サイ&ガーファの曲。この時ばかりは、僕の大好きなエブリ系のアニメ曲、カントリーロードの心境になれなかった。
胸躍る? ……ゾクッと胸騒ぎ? それでも靡くマフラー。
僕はイエロー、傍を歩く梨花はピンク。この日も……いやいや今日も、可奈は学校を休んだ。その上にまだ執筆も進まず、もう五日……大丈夫かな?
そう思いながらも今は帰り道、 息も白く弾ませながら……
「君たち、寄り道はいかんよ」
と、未来さんは言う。……確かに、ここは喫茶店で、お家ではないけれど、
「パパがいるから大丈夫だよ」
と、ニッコリと、僕か言い返した。
そう、ここはパパの勤め先。――梨花も僕と同じく猫舌で、フウフウと一緒に飲むコーヒー。もうアルバイトではなく、店長の御計らいにより正式に社員へと昇格したパパが入れてくれたものだから、心もポカポカと温まってくる。本当に至福の刻と感ずる。
「パパのいるところは、僕のお家。……パパのお仕事が終わるまで待つの。だから一緒に帰ろ、パパ。……ねえ、いいでしょ? 未来さん」
と、僕は言う。これでも――「必死なんだね千佳」と、梨花はニッコリ……いや、ニヤリと笑う……笑っている。何とも言えない『意地悪な顔』へと変化を遂げてゆく。
「駄目だよ千佳、パパのお仕事の邪魔しちゃ。……実はまた、お母さんと喧嘩しちゃったんだね。お家に帰りにくいんでしょ? 僕が、お家まで送ってってあげるからね」
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