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第十二章 あの頃の初恋は今、本当の音色を奏でる。
第六十四回 本番! それは、これから知りゆくこと。
しおりを挟む僕は君のことを。
君は僕のことを。
――同じ時に巡り合わせて、稀な、本当に稀に巡り合わせた僕たち。
それが最初から描かれていたシナリオとは……本当に、摩訶不思議。ふと思うそのワードたち、脳内を駆け巡る。……それでも僕はまだ幼くて、難しいことはわからない。
ただ、何となくだけど、
潜在的なものから、それらは現れたのだと思う。だから、思ったことを行動する。
それもまだ、
全部わかるまでの、氷山の一角にも満たない出来事なのだと思う。――されど今、目の当たりにあることは、決して幻ではなく事実……真実の有様なのだ。
「僕……」
僕は太郎君の前ではファーストな、僕のことを「僕」って言った。
その前は、私……だったから、もう! ヘタこいた。……ああっ、太郎君の顔が表情が徐々に、段々だんだんとドン引きに……って、あれ? で、さらに、
「最高だよ、千佳!」
と、さっきの僕よりも、ぎゅっと僕を抱きしめた。「強い、強すぎだよ、太郎君」と嬉しい悲鳴を上げるほどに。傍らの梨花は、只々キョトンとするばかりで……
ハッとなり、またしても胸中で……ああっ、と叫ぶ。
梨花のこと、すっかり忘れていた。でもでも、咄嗟に浮かぶこと、それは、
「この子も、僕と同じ『ボクッ娘』なの」――と、僕は言い放った。その視線は、紛れもなく梨花を指す。僕は目で、太郎君に訴えていた。それと同時に思い出したのだ。太郎君はゲームの他に、アニメが好き。その中でも『ボクッ娘キャラ』が好きだったことを。
もう笑顔満開。このドラッグストアの出入口に咲き誇る。その中に於いて、
「星野梨花です、初めまして。僕は、この子の双子の姉です」――と、威風も堂々と。
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