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二章
八十四話 逆撃Ⅰ
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街の中は、予想外な方向で、それはもうえらい騒ぎだった。
何が予想外って、一般住民と傭兵団がガチで戦っている辺りだ。
傭兵団は決して練度が低くない。
というか、そこらの雑兵ですらおそらく俺よりレベルが高い。
そして、傭兵団が住民相手に本気を出せずに手をこまねいている……といった様子でもない。
そりゃもう必死の形相で、ガチでやり合ってる。
これは何というか、村人NPCもモンスターも全てにレベル表示ゲームで、シナリオクリア後に訪れる街で、街の中で歩いている幼女や死にかけの爺さんのレベルがラスボスのそれを大きく超えているのを見て「こいつらが世界を救えばよかったんじゃねぇのか」と、つい口に出してしまったときのことを思い出した。
いや、もちろん住人の全員が戦ってるわけじゃない。
老人や子供は見当たらないし、戦ってるのは全体から見ればごく一部のガタイのいいおっちゃんがほとんどだ。
たまに美人のお姉さんがすげぇ勢いで薙ぎ払ったりしてるが、それは特殊なレアケース。
だが、そのごく一部の強さがおかしい。
いやだって、パイ見たいなお菓子売ってたおっちゃん、箒で歴戦のツワモノっぽい斧使いと普通にやり合ってるし……
――でもまぁ、これなら街の心配とかは一切必要なさそうだ。
一方の俺達といえば、ハティの背中で悠々自適と言った感じだ。
連中の目標の一つがハティなのだから当然といえば当然なんだが、なんというか、餌に群がるアリのように傭兵たちが寄ってくる……んだが。
「グルァ!」
とハティが腕を振るえば
「ギャァァァ!」
と傭兵が吹っ飛ぶ、といった有様で、何というか無双という言葉がひどくしっくりと来る光景だ。
恐ろしいのは、そういったなぎ倒されていく傭兵の中には明らかに風格の違う猛者も紛れているということだ。
強烈な攻撃をいとも容易く踏み潰し、背に乗る俺達を狙い撃ちにした魔法は圧倒的なハティの魔法耐性によって尽く弾き返されていた。
何というか、ハティが凄すぎる。
というか、毎度思うが色々ダメだろう。ゲームバランス的に。
まぁ、俺にとってなんの不利点もないし、運営がコレでいいというのなら正直俺は一向に構わん。
というか、これだけ長いこと一緒にいると流石に愛着も湧くし、間違いなくエリスも悲しむから取り上げると言われても困るわけだが。
まぁそんな訳で、超強い乗り物のおかげで堂々と城に到達できたまでは良かったんだが……
「まぁ、当然、門は閉まってるよなぁ」
ハティはあくまで目的の一つ。
大目的が王座であるなら、城が攻められてるのも当然……というかむしろこっちが本命だよな。
「ぐるっと城の周りを囲まれてるみたいだね。背後が崖になってるから攻め手を絞れる半面、閉鎖に弱いみたい」
「直接的な攻撃に対する防御はしやすい代償みたいなもんか……エリスは何か見えるか?」
「ううん……入口だけじゃなくて、お城の周りは全部人で囲ってるみたい」
「そうか……」
中に入ろうと思ったら、最悪強行突破だなこれ……
ここまで割と堂々と敵中突破してきたし、こっちに俺達が来ている事は相手方にもとっくに伝わっているハズだ。
今はうまい事隠れられているけど、見つかるのも時間の問題だろうし……。
「夜まで隠れて闇に紛れて飛び込んでみる?」
「夜までバレずにいられたら、それもありかもしれんけど……」
「まぁ、無理だよねぇ」
閉鎖している連中とは別に明らかに何かを警戒して……というか探している連中がいる。
囲いの外側でそんなことをしているという事は十中八九目標は王様じゃなくて俺達だ。
しかもさっきから見かける人数から見ても、結構な人員を割いているみたいだし、おおよその潜伏位置も絞り込まれているとみて間違いない。
特定されるのも時間の問題。
とはいえ、相手方にもハティのヤバさは伝わってる筈だし、探索を嫌がって飛び出せば、待ち構えられている可能性が非常に高い。
というか、二~三人程度で抑えられるほどハティが生易しくない事は知ってる筈だし、捕まえる事よりも、俺達を燻り出すのが目的だろうなぁ……
もし見つかっても二~三人程度なら倒す事もできるが、相手は城を包囲できる程の大所帯だし、そんなことをしても意味が……
「……いや、意味はある……か?」
「キョウ?」
「何? 何か思いついたの?」
確かに、相手は百人やそこらではない大所帯だ。
一人二人削ったところで、押し寄せられて圧殺されるのが目に見えている。
全体的に見た時のダメージを計算した場合たしかにその通りだと思うが……
「あ、いや……思いついたというか……」
数で計算せずに見た場合、どうなる?
「あの人数に飛び込むのが危険だから、今俺達は潜伏してるだろう?」
「まぁ、そうよね」
「うん」
そう、結局のところどこまでいっても問題なのは数だ。
「でも、ここまで中央突破してきたことから考えても、数人程度ならハティがなぎ倒せるし、俺達でも2~3人なら何とか対処できるだろ?」
「でも、あの大群相手には焼け石に水じゃない? 暴れるのは良いけど私たちの居場所を知らせるだけになるだけでしょ」
「まぁ、暴れたら当然そうなるわな」
でもそれは派手に暴れまわったらの話だよな。
「あっ……!」
「エリスは気付いたな?」
「何々? どゆこと?」
チェリーさんよりもエリスのほうが察しが良いのかい。
別にそこまで捻った事を考え付いたわけじゃないんだけどな。
「なに、俺たちばかり見つからないように息をひそめて、ストレス被るなんて不公平だろ? だから嫌がらせをしてやろうと思ったんだよ」
「嫌がらせ?」
そう、嫌がらせだ。
俺たちがこんな苦労してるんだから、お前らもちょっと苦労しとけと、そんな嫌がらせ。
「出会った奴らを片っ端からぶちのめして大立ち回りなんてしても、すぐに連中の仲間が集まってきて、いくらハティが強いといっても先に疲弊するのはこっち側だと思う」
「そうよね?」
「――なら、見つからないように少しずつ、始末していったら?」
「…………? ああ……嫌がらせってそういう」
「ハイド&シークって奴だよ。鬼につかまったら人知れずご退場ってな」
全体から見れば微々たる数だが、このエリアを捜索している連中に限って言えば、無視できない人数になるだろう。
しかもハティという移動手段もある。
かなりの広い範囲で失踪者が増えていけば、単独犯とはなかなか思えないだろう。
きっと、ただ事ではない何かが起きていると考えるはず。
そうやってストレスをかけてやれば、相手側も何か新しい動きを起こすはず。
短気を起こしてどこか囲いの一角から人員でも引き抜いてくれれば突破も多少楽になる。
「敵は、不意打ちでいきなり一般人の首を刈りに来るような外道共だし、躊躇なくサクッと殺れるのは精神的に楽でいいな」
「サクッと殺っちゃうんだ?」
「人を殺していいのは殺される覚悟のある奴だけだよ。俺達の命を狙ってきたんだから俺達に殺されるのも文字通り自業自得だろうさ」
「ドライねぇ。私そこまで割り切れるかしら」
まぁ、我ながら結構バッサリと割り切ってるんだよな。
もし人を殺すような事になったら、てっきりもっと狼狽とかすると思っていたんだが……
だが、そうやって割り切ってないと、平和な日本とは違いこの世界では生きていけない。
相手が人間だからと躊躇するような余裕は無いと野獣使いの時に嫌というほど思い知ったしな。
俺がどれだけ平和主義を語っても、相手が武器を抜いた時点で殺し合いだ。
無抵抗でやられてやれる程、俺は諦めが良くないという自覚はある。
というか普通、おとなしく殺されるような奴は居ないだろうけどな。
「これは俺がそうってだけで、普通にゲームで遊べるチェリーさんまでこの考え方に染まる必要は何もないと思うけどな」
「そんなもんかしら?」
「そんなモンだよ」
ゲームなんて自分が楽しめる方法でやるべきだし、他人に合わせてプレイスタイル変えてもストレスたまるだろうからな。
俺だってハイナ村のNPCやそれ以外にも良くしてくれた相手を傷つけるのは躊躇うけど、逆に、見ず知らずの相手にはそこまで入れ込む気にはならない。
それが、命を狙ってくるとなればもう、ただのモンスター扱いで良いだろってのが俺のスタイルだ。
この街に来るまでの間に護衛の人に聞いたのだが、旅人を襲う山賊や盗賊の類に関して、よっぽどの大物でもない限り捕縛命令は出ず討伐令になるそうだ。
つまりこの国では物取り、人殺しには法的にもろくに人権なんて認められていないという訳だ。
過剰防衛で番所に突き出される恐れもないならこちらも躊躇う必要もない。
「今まで正面突破してきたからといて、これからも力押しにこだわる必要はないだろ?」
やること自体はシンプルだ。
位置を変えながら、孤立した奴から狩っていく。
それだけだ。
「キョウくん、もしかしなくても怒ってる?」
「こちとら攻撃されればリアルにダメージ受ける身ですから。悪意には悪意で返すくらいしますよ?」
「ああ、そういえばそうだったね……私達みたいな一般テスターと違ってキョウくんにはそれがあったんだった。そりゃ腹も立つか」
まぁ、殴られてへらへらしていられるほど温厚じゃないもんで。
しかも連中は当たり前のように暗殺で俺の首を狙ってきた。
つまり痛いとかもうそんな次元じゃない訳だ。
ゲーム内で殺されたところで、もしかしたら死ぬよりも痛いかもしれないだけで、実際に死ぬことはないのかもしれない。
だが、だからといって切られただけで死ぬほど痛いのに、実際死んだらどうなるかなんて試す気にもなれん。
それで痛みのあまり本当にショック死したらシャレにならんし、このゲームであれば本当にしかねないからな。
「向こうから、しかも一方的に命を狙うなんて直接的な喧嘩吹っ掛けてきたんだ。自分達が狩る側だと思い込んでる連中に、誰に喧嘩吹っ掛けたか思い知らせてやる」
何が予想外って、一般住民と傭兵団がガチで戦っている辺りだ。
傭兵団は決して練度が低くない。
というか、そこらの雑兵ですらおそらく俺よりレベルが高い。
そして、傭兵団が住民相手に本気を出せずに手をこまねいている……といった様子でもない。
そりゃもう必死の形相で、ガチでやり合ってる。
これは何というか、村人NPCもモンスターも全てにレベル表示ゲームで、シナリオクリア後に訪れる街で、街の中で歩いている幼女や死にかけの爺さんのレベルがラスボスのそれを大きく超えているのを見て「こいつらが世界を救えばよかったんじゃねぇのか」と、つい口に出してしまったときのことを思い出した。
いや、もちろん住人の全員が戦ってるわけじゃない。
老人や子供は見当たらないし、戦ってるのは全体から見ればごく一部のガタイのいいおっちゃんがほとんどだ。
たまに美人のお姉さんがすげぇ勢いで薙ぎ払ったりしてるが、それは特殊なレアケース。
だが、そのごく一部の強さがおかしい。
いやだって、パイ見たいなお菓子売ってたおっちゃん、箒で歴戦のツワモノっぽい斧使いと普通にやり合ってるし……
――でもまぁ、これなら街の心配とかは一切必要なさそうだ。
一方の俺達といえば、ハティの背中で悠々自適と言った感じだ。
連中の目標の一つがハティなのだから当然といえば当然なんだが、なんというか、餌に群がるアリのように傭兵たちが寄ってくる……んだが。
「グルァ!」
とハティが腕を振るえば
「ギャァァァ!」
と傭兵が吹っ飛ぶ、といった有様で、何というか無双という言葉がひどくしっくりと来る光景だ。
恐ろしいのは、そういったなぎ倒されていく傭兵の中には明らかに風格の違う猛者も紛れているということだ。
強烈な攻撃をいとも容易く踏み潰し、背に乗る俺達を狙い撃ちにした魔法は圧倒的なハティの魔法耐性によって尽く弾き返されていた。
何というか、ハティが凄すぎる。
というか、毎度思うが色々ダメだろう。ゲームバランス的に。
まぁ、俺にとってなんの不利点もないし、運営がコレでいいというのなら正直俺は一向に構わん。
というか、これだけ長いこと一緒にいると流石に愛着も湧くし、間違いなくエリスも悲しむから取り上げると言われても困るわけだが。
まぁそんな訳で、超強い乗り物のおかげで堂々と城に到達できたまでは良かったんだが……
「まぁ、当然、門は閉まってるよなぁ」
ハティはあくまで目的の一つ。
大目的が王座であるなら、城が攻められてるのも当然……というかむしろこっちが本命だよな。
「ぐるっと城の周りを囲まれてるみたいだね。背後が崖になってるから攻め手を絞れる半面、閉鎖に弱いみたい」
「直接的な攻撃に対する防御はしやすい代償みたいなもんか……エリスは何か見えるか?」
「ううん……入口だけじゃなくて、お城の周りは全部人で囲ってるみたい」
「そうか……」
中に入ろうと思ったら、最悪強行突破だなこれ……
ここまで割と堂々と敵中突破してきたし、こっちに俺達が来ている事は相手方にもとっくに伝わっているハズだ。
今はうまい事隠れられているけど、見つかるのも時間の問題だろうし……。
「夜まで隠れて闇に紛れて飛び込んでみる?」
「夜までバレずにいられたら、それもありかもしれんけど……」
「まぁ、無理だよねぇ」
閉鎖している連中とは別に明らかに何かを警戒して……というか探している連中がいる。
囲いの外側でそんなことをしているという事は十中八九目標は王様じゃなくて俺達だ。
しかもさっきから見かける人数から見ても、結構な人員を割いているみたいだし、おおよその潜伏位置も絞り込まれているとみて間違いない。
特定されるのも時間の問題。
とはいえ、相手方にもハティのヤバさは伝わってる筈だし、探索を嫌がって飛び出せば、待ち構えられている可能性が非常に高い。
というか、二~三人程度で抑えられるほどハティが生易しくない事は知ってる筈だし、捕まえる事よりも、俺達を燻り出すのが目的だろうなぁ……
もし見つかっても二~三人程度なら倒す事もできるが、相手は城を包囲できる程の大所帯だし、そんなことをしても意味が……
「……いや、意味はある……か?」
「キョウ?」
「何? 何か思いついたの?」
確かに、相手は百人やそこらではない大所帯だ。
一人二人削ったところで、押し寄せられて圧殺されるのが目に見えている。
全体的に見た時のダメージを計算した場合たしかにその通りだと思うが……
「あ、いや……思いついたというか……」
数で計算せずに見た場合、どうなる?
「あの人数に飛び込むのが危険だから、今俺達は潜伏してるだろう?」
「まぁ、そうよね」
「うん」
そう、結局のところどこまでいっても問題なのは数だ。
「でも、ここまで中央突破してきたことから考えても、数人程度ならハティがなぎ倒せるし、俺達でも2~3人なら何とか対処できるだろ?」
「でも、あの大群相手には焼け石に水じゃない? 暴れるのは良いけど私たちの居場所を知らせるだけになるだけでしょ」
「まぁ、暴れたら当然そうなるわな」
でもそれは派手に暴れまわったらの話だよな。
「あっ……!」
「エリスは気付いたな?」
「何々? どゆこと?」
チェリーさんよりもエリスのほうが察しが良いのかい。
別にそこまで捻った事を考え付いたわけじゃないんだけどな。
「なに、俺たちばかり見つからないように息をひそめて、ストレス被るなんて不公平だろ? だから嫌がらせをしてやろうと思ったんだよ」
「嫌がらせ?」
そう、嫌がらせだ。
俺たちがこんな苦労してるんだから、お前らもちょっと苦労しとけと、そんな嫌がらせ。
「出会った奴らを片っ端からぶちのめして大立ち回りなんてしても、すぐに連中の仲間が集まってきて、いくらハティが強いといっても先に疲弊するのはこっち側だと思う」
「そうよね?」
「――なら、見つからないように少しずつ、始末していったら?」
「…………? ああ……嫌がらせってそういう」
「ハイド&シークって奴だよ。鬼につかまったら人知れずご退場ってな」
全体から見れば微々たる数だが、このエリアを捜索している連中に限って言えば、無視できない人数になるだろう。
しかもハティという移動手段もある。
かなりの広い範囲で失踪者が増えていけば、単独犯とはなかなか思えないだろう。
きっと、ただ事ではない何かが起きていると考えるはず。
そうやってストレスをかけてやれば、相手側も何か新しい動きを起こすはず。
短気を起こしてどこか囲いの一角から人員でも引き抜いてくれれば突破も多少楽になる。
「敵は、不意打ちでいきなり一般人の首を刈りに来るような外道共だし、躊躇なくサクッと殺れるのは精神的に楽でいいな」
「サクッと殺っちゃうんだ?」
「人を殺していいのは殺される覚悟のある奴だけだよ。俺達の命を狙ってきたんだから俺達に殺されるのも文字通り自業自得だろうさ」
「ドライねぇ。私そこまで割り切れるかしら」
まぁ、我ながら結構バッサリと割り切ってるんだよな。
もし人を殺すような事になったら、てっきりもっと狼狽とかすると思っていたんだが……
だが、そうやって割り切ってないと、平和な日本とは違いこの世界では生きていけない。
相手が人間だからと躊躇するような余裕は無いと野獣使いの時に嫌というほど思い知ったしな。
俺がどれだけ平和主義を語っても、相手が武器を抜いた時点で殺し合いだ。
無抵抗でやられてやれる程、俺は諦めが良くないという自覚はある。
というか普通、おとなしく殺されるような奴は居ないだろうけどな。
「これは俺がそうってだけで、普通にゲームで遊べるチェリーさんまでこの考え方に染まる必要は何もないと思うけどな」
「そんなもんかしら?」
「そんなモンだよ」
ゲームなんて自分が楽しめる方法でやるべきだし、他人に合わせてプレイスタイル変えてもストレスたまるだろうからな。
俺だってハイナ村のNPCやそれ以外にも良くしてくれた相手を傷つけるのは躊躇うけど、逆に、見ず知らずの相手にはそこまで入れ込む気にはならない。
それが、命を狙ってくるとなればもう、ただのモンスター扱いで良いだろってのが俺のスタイルだ。
この街に来るまでの間に護衛の人に聞いたのだが、旅人を襲う山賊や盗賊の類に関して、よっぽどの大物でもない限り捕縛命令は出ず討伐令になるそうだ。
つまりこの国では物取り、人殺しには法的にもろくに人権なんて認められていないという訳だ。
過剰防衛で番所に突き出される恐れもないならこちらも躊躇う必要もない。
「今まで正面突破してきたからといて、これからも力押しにこだわる必要はないだろ?」
やること自体はシンプルだ。
位置を変えながら、孤立した奴から狩っていく。
それだけだ。
「キョウくん、もしかしなくても怒ってる?」
「こちとら攻撃されればリアルにダメージ受ける身ですから。悪意には悪意で返すくらいしますよ?」
「ああ、そういえばそうだったね……私達みたいな一般テスターと違ってキョウくんにはそれがあったんだった。そりゃ腹も立つか」
まぁ、殴られてへらへらしていられるほど温厚じゃないもんで。
しかも連中は当たり前のように暗殺で俺の首を狙ってきた。
つまり痛いとかもうそんな次元じゃない訳だ。
ゲーム内で殺されたところで、もしかしたら死ぬよりも痛いかもしれないだけで、実際に死ぬことはないのかもしれない。
だが、だからといって切られただけで死ぬほど痛いのに、実際死んだらどうなるかなんて試す気にもなれん。
それで痛みのあまり本当にショック死したらシャレにならんし、このゲームであれば本当にしかねないからな。
「向こうから、しかも一方的に命を狙うなんて直接的な喧嘩吹っ掛けてきたんだ。自分達が狩る側だと思い込んでる連中に、誰に喧嘩吹っ掛けたか思い知らせてやる」
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