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三章
百二十八話 キルシュ
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「ところで話は変わるんだけど、えぇと……ハティだっけ? でっかいウサギもいたもんだよなぁ。オイラこんなの始めてみたよ」
ん? ……ウサギ?
「いやいや、ハティは狼だぞ?」
「え?」
いや、そんな驚く事か? 全然見た目違うだろ。
「ハティはワンちゃんだよ?」
「え?」
「え?」
んん? 犬? いやでもみんな月狼って言ってるだろ? 狼じゃないのか?
もしかして狼モドキなのか? タラバガニはカニじゃない的な。でも犬にたてがみは無いよな普通?
「わんわんって言うんだよ?」
「狼もワンワンっていうぞ? 遠吠えでワオーンとも啼くけど」
「狼もワンちゃん?」
ああ、エリスの中ではワンと吠えるものは全部ワンちゃんなのか。
そうだよな、よく考えたらエリスって普通の犬を見たことなかったんだった。
俺はワンと鳴く犬が身近に居たからワンちゃん=犬なんだが、エリスの場合身近なワンとなくのがハティだったからそういう認識になるのな。
でもこの世界での世間一般に狼ってペットとして普及してるのか? ……多分無いよなぁ。となるとやっぱりワンちゃんと言われれば犬だよな。
「うーん、ワンちゃんの凄いのがハティだな」
「じゃあ凄いワンちゃんだね!」
えぇと……それでいいのか?
ハティは特に気にした様子ないし、ハティがそれで良いならまぁ良いってことにしておこう。
「というか、犬はまだ見た目ほとんど同じだから判らんでもないが何でウサギ?」
「ええ? だってウサギは耳が長くてもふもふで前歯が尖ってるって聞いたよ?」
ううむ?
確かにハティの耳は普通の狼に比べて長いよな。もふもふというのもまぁ間違ってない。前歯もまぁ肉食動物だから尖ってはいるわな。
確かに言葉だけで情報をすり合わせると一致しなくもないのが恐ろしい所だな。
「キルシュ、ウサギってのはもっと丸っこくて可愛い感じなんだぞ? いや、こっちのウサギを見たことないから断言するのは良くないけど、俺の知ってるウサギとハティは全然別物だな」
「そうなのか~。オイラも始めてみたからてっきりウサギってこういうもんだと思ってた!」
変な勘違いが発生するところだったなオイ。素直な少年に変な知識を教え込むようなことにならなくてよかった……
「で、そのワンちゃんのハティ、滅茶苦茶強そうだけど、どうやって捕まえたの?」
どう、と言われてもな。
「うーん……捕まえたつもりはないんだよなぁ。理由は判らんけど何というか突然懐かれてさ。周りに危害加える様子もないし、人の言葉もバッチリ理解できるみたいだから、一緒に居たいってならそれでも良いかなって。エリスも喜んでるしな」
「ハティ好き~」
「わぅっ!」
ご覧の通り仲良しこよしだ。
ここまで仲良くなってはもうハティを追い出すとかそういう選択肢は残されていない。
それでも、仲良しペットだったはずが突然飼い主を食い殺す猛獣なんてニュースは時折ネットで見かけることがあったから、ハティが普通の獣であったら何らかの理由をつけて山に返していたかもしれない。
それでも「まぁいいや」と思えたのは、ハティが人語を完璧に理解した上でちゃんと応答できる事がわかったからだ。
――というか、俺が抵抗しようにもハティが強引に居座ろうとすれば、それを止めることなんて誰にも出来ないしな!
「へぇ~そういう事もあるんだなぁ。俺も一緒に戦える相棒とか欲しいなぁ」
「そういうのって普通は居ないのか?」
「野獣使いとかなら出来るんだろうけど、アレって餌やりとか遊んでやったりとか結構気を使うみたいでさ。オイラには向いてないなって諦めた! でも兄ちゃんとハティみたいに自然に一緒にいられるのを見たら、何かまた欲しくなってきちゃってさ」
「まぁ、判らんでもない」
ネトゲとかやってても、ペットとか見るとつい欲しくなっちゃうからな。
戦力的になにか変わるわけでもない、ただ見た目だけのペットアバターでもそうなんだから、一緒に戦ってくれるとなると更に欲しくなってもおかしくない。
「でも俺達とハティの関係はちょっと特殊すぎるから、あまり参考にはならんと思うな」
「そっかー。残念」
正直こっちは何の努力もしてないのに懐いてくれてるからな。
こっちに来て色々な獣を見たが、肉食獣だけじゃなく草食獣ですらかなり攻撃的だから、ここまで人馴れした動物ってそうそう出会えるものじゃないと思う。
「お、あれが獣避けの木だよ」
「という事は、あそこが本来の街道って事か」
「そういうことだね」
開けた場所に出てみれば、たしかに街道だった。
石造りに舗装されてたりする訳ではないが、道は踏み均され柵で覆われていてキッチリと街道の体を保っている。
今まで見た道の中でもかなり上等な部類だろう。
人通りもかなり多く、牛っぽい生き物に引かせた車や普通の村人といった感じに人達まで、結構な数の人が歩いていた。
王都に向かう途中で通った街道よりも遥かに人が多いなコレ。
というか……
「今まで進んできた道だと思ってたものは何だったのか……」
「何と言われても……獣道?」
そういや、川伝いに街道進めばって言われてたのに、川だけ意識して取り敢えず通れそうな道とも言えない様な獣道を大して違和感も覚えず進んでた気がするな。
正しい道を知った今、思い返してみればかなり間抜けな行動だ。街道って方をちゃんと意識すれば、少なくともそれらしい道を探してたかもしれない……ような気がしないでもないし、片手落ちな道案内だったとは思うがあの人だけを責められんなコレ。
「ずいぶん丁寧に道が整備されてるな。利用頻度が多いのか?」
「そうだなぁ、商人たちは頻繁に使ってると思うよ? クフタリカは王都程ではないけど、それを除けばこの辺りでは一番大きな街だからね」
そういえば、立ち寄った街の事はチェリーさんの落書きには何も書いてなかったな。
クフタリアと、東の港町っぽいのはつまりそれだけの大都市だってことか。
「それだけデカイ街なら周辺の開拓はもう済んじまって、手頃に修行できそうな場所って無いんじゃないのか?」
「ん~どうだろう。確かに害になるような獣なんかは街から離れないと居ないかもだけど、戦いの街だからね。色々道場みたいなものとか、訓練施設なんかも結構な数あったはずだよ。当然そういう所を使うとなるとお金がかかるんだけどさ」
金を払って使う訓練施設って言うとファンタジー版スポーツジムみたいなもんか?
でもただ身体を動かすだけなら毎朝毎晩、鍛錬欠かさずにやってるしなぁ。
「ちなみに、野獣狩りって意味ならこの森の中なら元手ゼロで好きなだけ戦えるけど」
「ここは正直まだ俺には早い気がするんだよな。チェリーさん位なら丁度いいかもしれんが、俺はもうちょっと地力を上げないとただ疲れるだけで、成長には繋がらん気がする」
「それはキョウくんの思い過ごしだと思うけどなぁ」
レベルが一回り違うチェリーさんと同じ感覚で言わないでくれ……
「ああでも、身の丈にあってない相手と手合わせしても何も得るものがないってのは何となく分かるかも」
「そうかなぁ? でもキョウくんだって無茶な相手と戦ったせいでレベル爆上がりしたんでしょ?」
「いや、あんなの二度とゴメンなんだが……」
ライノスやアーマードレイクと戦った時のことを思い出すと、今でも軽く背筋が凍る。
ああいうのと次に闘うのは適正レベルにあがってからだと心に誓っている。
「まぁ、アレを経験したあとなら、その気持は良くわかるけどね……」
「え? なにか言った?」
やたら小さな声で何かを言ったようだが、全く聞き取れなかった。
「なんでもなーい。それより、この森でのレベリングに関しては割りと真面目にアリだと思うんだけど。さっきのボス猿だって何だかんだで倒せたし」
「チェリーさんが引き付けて、その間に俺たちが殴るってやり方? たしかにそれで勝てるかもしれないけど、そうなると俺やエリスのスキルが攻撃一辺倒に上がっちまう気がしてなぁ。俺って攻めよりもどっちかと言うと護りや対応で戦うタイプだからそれだとちょっと困るんだよな」
「む、そう言われるとあまり強くは勧められないわね」
たしかにこの森を進むに当たって、無茶な連戦で耐久戦のスキルがいくつか手に入りはした。しかしスキルレベル自体はそこまで上がっておらず、どっちかと言うと戦い中の体力の分配感覚とか、多対一での戦いの立ち回り方なんかの知識がついた感じだ。
だが今は小手先のテクニックじゃなくて、純粋にレベルを上げる必要があるからな。
今の低レベルのままでは、色々プレイヤースキルで食い下がれはしても、相手とのレベル差に依るフィジカルパワーでぶち抜かれてしまう危険がある。
どういう訳なのか出会う敵の殆どが自分より格上の場合が圧倒的に多いからな!
どうしたものかと頭を悩ませていた所にキルシュから救いの手が。
「なんなら都市互助協会で丁度いい討伐依頼を探すって手もあるよ」
「都市互助協会?」
そういや以前どこかで『協会』がどうこうって聞いた記憶があるな。
というか、討伐依頼とかって事は……
「まぁ、都市間での困り事なんかを集めて、仕事として斡旋する場所なんだけどさ。その中に畑を荒らす害獣とか、人を襲うような猛獣の討伐依頼なんかもあるのさ。しかも結構な数がね」
これアレだ。製品版で言うところの冒険者ギルドだ。
こっちだと都市互助協会って名前なのか。
「討伐対象の危険度は協会が判定して張り出してくれるから、自分の身の丈にあった強さの相手を見繕うのにちょうどいいだろ? しかも仕事としてやっつければお金ももらえて良いことづくめ」
そう言われると、たしかにレベル上げしたい俺たちにとってはかなり都合がいい仕事といえる。
「そこに登録とかって何か条件有るのか?」
「登録する時に試験があるんだけど、そこでよっぽど酷いことにならなければ誰でも登録は出来るはずだよ」
「なるほどな。それは良い事を聞いた……かもしれん」
身分証明できるようなものが必要とかいう話ならどうしよかと思ったが、犯罪者じゃなければOKなんてゆるゆる審査だってのなら、登録するのも悪くないかもしれん。
……何かしら厄介なデメリットが無ければ、だけどな。
ん? ……ウサギ?
「いやいや、ハティは狼だぞ?」
「え?」
いや、そんな驚く事か? 全然見た目違うだろ。
「ハティはワンちゃんだよ?」
「え?」
「え?」
んん? 犬? いやでもみんな月狼って言ってるだろ? 狼じゃないのか?
もしかして狼モドキなのか? タラバガニはカニじゃない的な。でも犬にたてがみは無いよな普通?
「わんわんって言うんだよ?」
「狼もワンワンっていうぞ? 遠吠えでワオーンとも啼くけど」
「狼もワンちゃん?」
ああ、エリスの中ではワンと吠えるものは全部ワンちゃんなのか。
そうだよな、よく考えたらエリスって普通の犬を見たことなかったんだった。
俺はワンと鳴く犬が身近に居たからワンちゃん=犬なんだが、エリスの場合身近なワンとなくのがハティだったからそういう認識になるのな。
でもこの世界での世間一般に狼ってペットとして普及してるのか? ……多分無いよなぁ。となるとやっぱりワンちゃんと言われれば犬だよな。
「うーん、ワンちゃんの凄いのがハティだな」
「じゃあ凄いワンちゃんだね!」
えぇと……それでいいのか?
ハティは特に気にした様子ないし、ハティがそれで良いならまぁ良いってことにしておこう。
「というか、犬はまだ見た目ほとんど同じだから判らんでもないが何でウサギ?」
「ええ? だってウサギは耳が長くてもふもふで前歯が尖ってるって聞いたよ?」
ううむ?
確かにハティの耳は普通の狼に比べて長いよな。もふもふというのもまぁ間違ってない。前歯もまぁ肉食動物だから尖ってはいるわな。
確かに言葉だけで情報をすり合わせると一致しなくもないのが恐ろしい所だな。
「キルシュ、ウサギってのはもっと丸っこくて可愛い感じなんだぞ? いや、こっちのウサギを見たことないから断言するのは良くないけど、俺の知ってるウサギとハティは全然別物だな」
「そうなのか~。オイラも始めてみたからてっきりウサギってこういうもんだと思ってた!」
変な勘違いが発生するところだったなオイ。素直な少年に変な知識を教え込むようなことにならなくてよかった……
「で、そのワンちゃんのハティ、滅茶苦茶強そうだけど、どうやって捕まえたの?」
どう、と言われてもな。
「うーん……捕まえたつもりはないんだよなぁ。理由は判らんけど何というか突然懐かれてさ。周りに危害加える様子もないし、人の言葉もバッチリ理解できるみたいだから、一緒に居たいってならそれでも良いかなって。エリスも喜んでるしな」
「ハティ好き~」
「わぅっ!」
ご覧の通り仲良しこよしだ。
ここまで仲良くなってはもうハティを追い出すとかそういう選択肢は残されていない。
それでも、仲良しペットだったはずが突然飼い主を食い殺す猛獣なんてニュースは時折ネットで見かけることがあったから、ハティが普通の獣であったら何らかの理由をつけて山に返していたかもしれない。
それでも「まぁいいや」と思えたのは、ハティが人語を完璧に理解した上でちゃんと応答できる事がわかったからだ。
――というか、俺が抵抗しようにもハティが強引に居座ろうとすれば、それを止めることなんて誰にも出来ないしな!
「へぇ~そういう事もあるんだなぁ。俺も一緒に戦える相棒とか欲しいなぁ」
「そういうのって普通は居ないのか?」
「野獣使いとかなら出来るんだろうけど、アレって餌やりとか遊んでやったりとか結構気を使うみたいでさ。オイラには向いてないなって諦めた! でも兄ちゃんとハティみたいに自然に一緒にいられるのを見たら、何かまた欲しくなってきちゃってさ」
「まぁ、判らんでもない」
ネトゲとかやってても、ペットとか見るとつい欲しくなっちゃうからな。
戦力的になにか変わるわけでもない、ただ見た目だけのペットアバターでもそうなんだから、一緒に戦ってくれるとなると更に欲しくなってもおかしくない。
「でも俺達とハティの関係はちょっと特殊すぎるから、あまり参考にはならんと思うな」
「そっかー。残念」
正直こっちは何の努力もしてないのに懐いてくれてるからな。
こっちに来て色々な獣を見たが、肉食獣だけじゃなく草食獣ですらかなり攻撃的だから、ここまで人馴れした動物ってそうそう出会えるものじゃないと思う。
「お、あれが獣避けの木だよ」
「という事は、あそこが本来の街道って事か」
「そういうことだね」
開けた場所に出てみれば、たしかに街道だった。
石造りに舗装されてたりする訳ではないが、道は踏み均され柵で覆われていてキッチリと街道の体を保っている。
今まで見た道の中でもかなり上等な部類だろう。
人通りもかなり多く、牛っぽい生き物に引かせた車や普通の村人といった感じに人達まで、結構な数の人が歩いていた。
王都に向かう途中で通った街道よりも遥かに人が多いなコレ。
というか……
「今まで進んできた道だと思ってたものは何だったのか……」
「何と言われても……獣道?」
そういや、川伝いに街道進めばって言われてたのに、川だけ意識して取り敢えず通れそうな道とも言えない様な獣道を大して違和感も覚えず進んでた気がするな。
正しい道を知った今、思い返してみればかなり間抜けな行動だ。街道って方をちゃんと意識すれば、少なくともそれらしい道を探してたかもしれない……ような気がしないでもないし、片手落ちな道案内だったとは思うがあの人だけを責められんなコレ。
「ずいぶん丁寧に道が整備されてるな。利用頻度が多いのか?」
「そうだなぁ、商人たちは頻繁に使ってると思うよ? クフタリカは王都程ではないけど、それを除けばこの辺りでは一番大きな街だからね」
そういえば、立ち寄った街の事はチェリーさんの落書きには何も書いてなかったな。
クフタリアと、東の港町っぽいのはつまりそれだけの大都市だってことか。
「それだけデカイ街なら周辺の開拓はもう済んじまって、手頃に修行できそうな場所って無いんじゃないのか?」
「ん~どうだろう。確かに害になるような獣なんかは街から離れないと居ないかもだけど、戦いの街だからね。色々道場みたいなものとか、訓練施設なんかも結構な数あったはずだよ。当然そういう所を使うとなるとお金がかかるんだけどさ」
金を払って使う訓練施設って言うとファンタジー版スポーツジムみたいなもんか?
でもただ身体を動かすだけなら毎朝毎晩、鍛錬欠かさずにやってるしなぁ。
「ちなみに、野獣狩りって意味ならこの森の中なら元手ゼロで好きなだけ戦えるけど」
「ここは正直まだ俺には早い気がするんだよな。チェリーさん位なら丁度いいかもしれんが、俺はもうちょっと地力を上げないとただ疲れるだけで、成長には繋がらん気がする」
「それはキョウくんの思い過ごしだと思うけどなぁ」
レベルが一回り違うチェリーさんと同じ感覚で言わないでくれ……
「ああでも、身の丈にあってない相手と手合わせしても何も得るものがないってのは何となく分かるかも」
「そうかなぁ? でもキョウくんだって無茶な相手と戦ったせいでレベル爆上がりしたんでしょ?」
「いや、あんなの二度とゴメンなんだが……」
ライノスやアーマードレイクと戦った時のことを思い出すと、今でも軽く背筋が凍る。
ああいうのと次に闘うのは適正レベルにあがってからだと心に誓っている。
「まぁ、アレを経験したあとなら、その気持は良くわかるけどね……」
「え? なにか言った?」
やたら小さな声で何かを言ったようだが、全く聞き取れなかった。
「なんでもなーい。それより、この森でのレベリングに関しては割りと真面目にアリだと思うんだけど。さっきのボス猿だって何だかんだで倒せたし」
「チェリーさんが引き付けて、その間に俺たちが殴るってやり方? たしかにそれで勝てるかもしれないけど、そうなると俺やエリスのスキルが攻撃一辺倒に上がっちまう気がしてなぁ。俺って攻めよりもどっちかと言うと護りや対応で戦うタイプだからそれだとちょっと困るんだよな」
「む、そう言われるとあまり強くは勧められないわね」
たしかにこの森を進むに当たって、無茶な連戦で耐久戦のスキルがいくつか手に入りはした。しかしスキルレベル自体はそこまで上がっておらず、どっちかと言うと戦い中の体力の分配感覚とか、多対一での戦いの立ち回り方なんかの知識がついた感じだ。
だが今は小手先のテクニックじゃなくて、純粋にレベルを上げる必要があるからな。
今の低レベルのままでは、色々プレイヤースキルで食い下がれはしても、相手とのレベル差に依るフィジカルパワーでぶち抜かれてしまう危険がある。
どういう訳なのか出会う敵の殆どが自分より格上の場合が圧倒的に多いからな!
どうしたものかと頭を悩ませていた所にキルシュから救いの手が。
「なんなら都市互助協会で丁度いい討伐依頼を探すって手もあるよ」
「都市互助協会?」
そういや以前どこかで『協会』がどうこうって聞いた記憶があるな。
というか、討伐依頼とかって事は……
「まぁ、都市間での困り事なんかを集めて、仕事として斡旋する場所なんだけどさ。その中に畑を荒らす害獣とか、人を襲うような猛獣の討伐依頼なんかもあるのさ。しかも結構な数がね」
これアレだ。製品版で言うところの冒険者ギルドだ。
こっちだと都市互助協会って名前なのか。
「討伐対象の危険度は協会が判定して張り出してくれるから、自分の身の丈にあった強さの相手を見繕うのにちょうどいいだろ? しかも仕事としてやっつければお金ももらえて良いことづくめ」
そう言われると、たしかにレベル上げしたい俺たちにとってはかなり都合がいい仕事といえる。
「そこに登録とかって何か条件有るのか?」
「登録する時に試験があるんだけど、そこでよっぽど酷いことにならなければ誰でも登録は出来るはずだよ」
「なるほどな。それは良い事を聞いた……かもしれん」
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