私の事を誰かに話したら命はないって言ったよね?

イセヤ レキ

文字の大きさ
3 / 7

3、5年前の暗殺業!!……と、美少女?

しおりを挟む
「シェーラ、次は初めて単独のお仕事ですよ」
「おおー!これでやっと一人前って訳ですね!」
「一人でも出来る位の簡単な仕事ってだけだろ」
何だとう!?
ジロリと当時16歳の私は茶々を入れてくるフォルトナを睨んだ。
まだこの頃のフォルトナは15歳で、先輩に対する口のききかたを学んでいない奴だった。……今も学んでないか。
人捜しをする為にオスターウォルド様にスカウトされて付いてきたらしいけど、入隊してから直ぐに仕事を任される能力の高さも、私の癪に障る奴だった。
「そんな事言ってると、フォルトナの人捜しなんて手伝ってやらな──」
「はい、そこまで」

オスターウォルド様が冷気を放ってきたので、私達は口を閉じる。

「今回のターゲットは、侯爵家の男色家です。お金に困っている未成年の平民を雇い入れては、手を出していたらしいのですが……とうとう、とある伯爵家を陥れて破産させ、援助を条件にその息子を養子に要求してきたそうです」
「はい」
「その侯爵家の男が息子さんを性的に可愛がる目的だとは知らずに書面を交わしてしまい、私達が全体像を把握した時にはもう遅く、まだ13歳のその息子さんがその男に迎え入れられてしまったらしいので……今日にでも、ってきて下さい」
「はい」
私はオスターウォルド様の命で、その晩侯爵家に忍び込んだ。

忍び込んだ先で、豚みたいな体型の男に、髪の短い美少女がカタカタ震える手にペーパーナイフらしい物を向けていた。
「ほらほら、親子の絆を深めましょうねぇ……?危ないものは捨てて、こちらにおいでぇ」
ぐひひ、と涎を垂らしながらその美少女に近づく豚さんの口元を背後から抑え、「ごめんね~、ちょっと目を瞑っててくれる?」と私は美少女に声を掛ける。

豚さんはふごふご何か言おうとしていたが、美少女は急に現れた私に驚きながらも瞳をぎゅっと瞑ってくれたので、私は一気に喉元を横にナイフで裂いた。


崩れる豚さんを転がし、自分の顔を隠していた黒い布地でそっと美少女の瞳の上から被せる。

「見てて気持ち良いものじゃないからね、しばらく目は開けちゃ駄目だよ?私が逃げたら悲鳴上げて、屋敷の人を呼んでね」
美少女がこくりと頷いたので、私は窓枠に足を引っ掛けた。
「あのっ……!!」
ん?女性にしては太い声が後ろからして、私は振り向く。
バッチリ美少女と目が合う。
……あれ?何で目隠し取ってるのさ?というか、完全に私の顔、見ちゃってますね!?

私は半眼になって考えた。

どうする?顔を見られたから……殺す?
いや、ターゲット以外は殺したら絶対怒られる。
顔を見られても、多分……怒られる。


「あ、あの、お名前を……!!お名前を、教えて下さい……っっ!」
くわっ!と目を見開き、私は美少女に告げた。
「私の事を誰かに話したら命はないからね」
「はい、勿論……っ!」
「じゃ」
「あの、お名前を……!!」
何故か、私は答えた。多分、二度と彼女と会う事はないと思ったから。
人殺しだし、暗殺者だけど──誰かのヒーローとして、存在を残したかったのかもしれない。
「シェーラ」
一言だけ伝えて。ヒーローっぽく、格好良く。私は窓から外に躍り出た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

公爵令嬢のひとりごと

鬼ヶ咲あちたん
ファンタジー
城下町へ視察にいった王太子シメオンは、食堂の看板娘コレットがひたむきに働く姿に目を奪われる。それ以来、事あるごとに婚約者である公爵令嬢ロザリーを貶すようになった。「君はもっとコレットを見習ったほうがいい」そんな日々にうんざりしたロザリーのひとりごと。

女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る

小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」 政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。 9年前の約束を叶えるために……。 豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。 「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。 本作は小説家になろうにも投稿しています。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました

チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。 そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。 そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。 彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。 ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。 それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。

王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。

みゅー
恋愛
 王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。  いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。  聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。  王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。  ちょっと切ないお話です。

処理中です...