8 / 22
第1章
第8話
しおりを挟む
「「「「かんぱーい!」」」」
かこん、と四人分の木製ジョッキが打ち合わされる。
ここは第一迷宮都市にある大衆酒場の中でも、それなりに上等の店だ。
俺は店のテーブルの一つを占拠して、ユキ、セシリー、ルシアの三人とともに今日の打ち上げを始めていた。
テーブルの上には、色とりどりの料理が次々と運ばれてきている。
注文した分がすべて揃えば、テーブル上はたくさんの料理で埋め尽くされることになるだろう。
「さ、今日は先輩である俺からのおごりだ。じゃんじゃん飲んで食ってくれ」
「押忍、ごちそうになります、クリード先輩! いっただっきまーす! はぐっ、もぐもぐっ……んんーっ、おいひーっ!」
「うぇーい! さすがクリードの兄貴、太っ腹! うちもいただくっすよ! がつがつ、むぐむぐ……むぐっ!?」
「ああもう、ルシア。がっつきすぎて、のどに詰まらせてんじゃないわよ。ほら、お水」
ユキ、ルシア、セシリーの三人は、三者三様、宴会を楽しみ始める。
考えてみれば、こう賑やかな飲み会は久しぶりだ。
ここ最近は一人酒ばかりだったからな。
──冒険者ギルドに行って一通りの処理を済ませた俺たちは、その足でこの酒場まで来て、宴会を始めた。
ギルド併設の酒場でもよかったんだが、こっちの店のほうが、多少値は張るにせよ酒も料理も上等なものが揃っている。
今は金には困っていないので、こっちを選んだ。
俺は上等のビールをジョッキ一杯飲み干すと、足元に置いた小型の樽を取って、おかわりのビールを注ごうとする。
「んーっ、んぅーっ!」
が、それに気付いたユキが、エビを頬張りながらぶんぶんと首を横に振る。
口に入れたエビをごくんと呑み込んでから、ユキはこう言ってくる。
「待ってください、先輩! 先輩のビールは、ボクに注がせてください!」
「ん、そうか? 悪いな」
「いえいえ、全然です。もうクリード先輩には、たくさんお世話になってますから。こんなことなら喜んでやりますので、ボクのことはアゴで使ってください。ささ、どうぞどうぞ」
席から立ったユキは、樽を抱えて俺のジョッキに中身を注ぐ。
とぷとぷとぷっと注がれていくビールは、やがて泡がジョッキからあふれ出しそうになった。
俺はその前にジョッキに口をつけて、中のビールをぐぐっと飲んでいく。
うまい。
隣には、にこにこしながらその様子を見ているユキがいる。
この娘もさっそく酔ってきているのか、頬がほんのり赤く染まっている。
「うまいな。ここのビールがうまいのもあるが、ユキに注いでもらうとまた格別だ」
「またまたぁ。クリード先輩ってば、上手なんだからぁ♪ えへへーっ、でも嬉しいです」
「っと、ユキのジョッキも空いてるな。入れるか?」
「あ、いただきます! ありがとうございます、先輩!」
とぷとぷとぷっと注いでいくと、こちらもジョッキから泡が溢れ出そうになる。
ユキは「おっとっと」と言ってジョッキに口をつけ、んぐぐっとビールを飲んでいく。
「ぷはーっ! やーっ、先輩に注いでもらったビールもおいしいです! 最高!」
「そりゃあよかった」
「んふふーっ。──でも、セシリーはこういうの、できなさそうだよね」
絶好調に酔っぱらった感じのユキは、今度は犬猿の相手にちょっかいをかけはじめた。
「……別に。やろうと思えばできるわ」
「でも、やろうと思わないんでしょ?」
「そういう上下関係みたいなのは、好きじゃないのよ」
「だったらここの払いも、セシリーの分は自分払いだね。クリード先輩は先輩だから、おごるって言ってくれてるんだしさ」
「ぐっ……! そ、それは……」
「『ごちそうさまです』って、感謝ぐらい見せなよ~。もちろん、ルシアもね」
「ほへっ? ご、ごめんっす、料理に夢中で聞いてなかったっす」
「えーっ! 二人ともひどいよ。可哀想なクリード先輩。ぎゅううううっ」
俺の横に立ったユキが突然、その両腕を広げて、椅子に座った俺の顔をがばっと抱きしめてきた。
少女の柔らかな胸の感触が、俺の顔面に直撃してくる。
……おいおい。
俺はその腕の中からするりと抜け出すと、対象を失って「あれ?」と首を傾げているユキの背後に回り、その体を抱えて彼女の席に座らせてやる。
そして俺自身も、自分の席に戻る。
「ユキ、酔っぱらい過ぎだ。おすわり」
「はっ……! す、すみません先輩、ボクとしたことが! わん、わんっ」
「……お前、相当酒に弱いだろ?」
「ボク、お酒は好きですよ? でも実家のお父さんからは、お前は飲むととんでもないことをしでかした上に記憶をなくすから、外では絶対に飲むなって言われてます。わんっ」
「いや、じゃあ何で飲んだんだよ」
「敬愛するクリード先輩がせっかくお酒をおごってくれるというのに、そのお酒を飲まないなどありえないです、わんっ! あと大事なことなので二回言うと、ボクはお酒が好きです、わんっ!」
「……そうか。とりあえずお前、そのままステイな」
「分かりましたっ。ボクは今、先輩の忠実な犬なので、先輩の命令には従います! わん、わんっ」
このワンコ後輩、三人の中では一番まともかと思っていたが、認識をあらためる必要がありそうだ。
まさかルシア以上の暴走を見せるとは思わなかったわ。
ちなみにそのルシアへと視線を向けると──
ばくばくと食事にがっついていた【プリースト】姿の少女は、俺の方を見て、「ほへっ?」と言って首を傾げた。
「ルシア、お前は食ってばっかだな」
「んぐんぐ、ごくんっ。──そりゃあクリードの兄貴のおごりと聞いたら、食べるに決まってるっすよ。たっぷり食い溜めするっす」
「すがすがしいぐらいの意地汚さなんだよなぁ」
「たくましいと言ってほしいっす」
そう言って、ルシアはまた食事をバクつき始める。
はいはい、たくましいたくましい。
なお、もう一人のセシリーはというと、ユキやルシアと比べると、どちらかといえば上品にフォークやナイフを使って食事をし、ときどき上物のワインを口にしていた。
その姿をぼんやりと見ていると、当の本人が恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「……な、何よ、クリード。あまりじっと見られると、恥ずかしいんだけど」
「ああ、悪い。なんかつい見惚れちまって」
「見惚れ、ってね……。お世辞を言っても何も出ないわよ」
容姿をほめられたと思ったのか、照れくさそうにするセシリー。
俺はサクッと話題を変える。
「それはそうと、今日の迷宮探索はどうだった?」
「むっ、それは……一言で言うと、地獄だったわね。でも──」
セシリーはその懐から、自身の冒険者カードを出して俺に見せてくる。
「迷宮探索初日に、いきなり3レベルアップ。冒険者ギルドの受付で、ありえない、異常だって言われたわ。それを考えればね」
俺はセシリーの冒険者カードを受け取って、ステータスを確認する。
1レベル段階のステータスと比較で見ると、じわ伸びだが、確かに成長していた。
【名 前】 セシリー
【職 業】 ウィザード
【レベル】 4
【筋 力】 5 (+1)
【耐久力】 6 (+1)
【敏捷力】 9 (+2)
【魔 力】 15 (+3)
【S P】 3 (+3)
俺はセシリーにカードを返す。
するとセシリーは、なんだかものすごく言い出しにくそうな様子で、俺の方をちらっとだけ見て、こんなことを言ってきた。
「だから、その……恨み言よりは、感謝のほうが大きいわ。つまり、えっと……」
セシリーの視線が、宙を泳ぐ。
そして最終的には、うつむいて、絞り出すように声を出す。
「……あ、ありがとうございます、クリード先輩。……今後とも、よろしくお願いします」
最後のほうは、消え入りそうな声だった。
顔を見ればゆで蛸のようで、耳まで真っ赤になっていた。
しかもタメ口&呼び捨てを選んだセシリーなのに、敬語で先輩呼びだ。
まあ別にどっちでもいいけど。
「いや、無理してお礼言わなくてもいいぜ。俺も自分の都合あってやってることだし」
「むぅ~っ! 私だって、本心だから言っているの! 私は自分の心に嘘をつきたくないだけよ。……でも、あれだけの格の違いを見せつけられたら、さすがに対等だなんて思えない……。……冒険者としての私は今、あなたに守られて、育てられている存在だとしか思えないんだもの。こうもなるわよ」
「そっかー。でも話聞いてると、お前もまあまあめんどくさいやつだよな」
「はあっ……!? ちょっ、ちょっと……それはひどくない!?」
「ははははっ。俺も自分の心に正直になってみた」
「うぐぐぐっ……! ──はぁっ。まあそうね。私って、相当めんどくさいのかも」
そう言って、くすっと笑うセシリー。
なんだかセシリーが笑うところを、初めて見た気がする。
「セシリーの笑顔って、普段むっつりしてる分だけ新鮮みがあって、すごく可愛く見えるな」
「なっ……!? そ、それってもしかして、口説いているの……?」
「いや。自分の心に正直に言っているだけだぜ」
俺がニヤニヤ笑いを浮かべて言うと、セシリーは羞恥で頬を染めつつギリリと歯噛みして、最後に捨て台詞を吐いた。
「くっ……覚えてなさいよ、クリード! いつかギャフンと言わせてあげるから!」
──とまあ、この夜はそんな調子で、飲んで、食って、騒いで、笑った。
楽しいひと時は、あっという間に過ぎ去った。
ちなみに、後輩ワンコは最後には眠りこけてしまったので、仕方がないので俺が背負って宿まで運ぶことになった。
ユキを女子部屋のベッドに放り出した後、俺も自らの部屋に帰って、酔いに任せたままベッドに倒れ込んだ。
そして、翌朝──
かこん、と四人分の木製ジョッキが打ち合わされる。
ここは第一迷宮都市にある大衆酒場の中でも、それなりに上等の店だ。
俺は店のテーブルの一つを占拠して、ユキ、セシリー、ルシアの三人とともに今日の打ち上げを始めていた。
テーブルの上には、色とりどりの料理が次々と運ばれてきている。
注文した分がすべて揃えば、テーブル上はたくさんの料理で埋め尽くされることになるだろう。
「さ、今日は先輩である俺からのおごりだ。じゃんじゃん飲んで食ってくれ」
「押忍、ごちそうになります、クリード先輩! いっただっきまーす! はぐっ、もぐもぐっ……んんーっ、おいひーっ!」
「うぇーい! さすがクリードの兄貴、太っ腹! うちもいただくっすよ! がつがつ、むぐむぐ……むぐっ!?」
「ああもう、ルシア。がっつきすぎて、のどに詰まらせてんじゃないわよ。ほら、お水」
ユキ、ルシア、セシリーの三人は、三者三様、宴会を楽しみ始める。
考えてみれば、こう賑やかな飲み会は久しぶりだ。
ここ最近は一人酒ばかりだったからな。
──冒険者ギルドに行って一通りの処理を済ませた俺たちは、その足でこの酒場まで来て、宴会を始めた。
ギルド併設の酒場でもよかったんだが、こっちの店のほうが、多少値は張るにせよ酒も料理も上等なものが揃っている。
今は金には困っていないので、こっちを選んだ。
俺は上等のビールをジョッキ一杯飲み干すと、足元に置いた小型の樽を取って、おかわりのビールを注ごうとする。
「んーっ、んぅーっ!」
が、それに気付いたユキが、エビを頬張りながらぶんぶんと首を横に振る。
口に入れたエビをごくんと呑み込んでから、ユキはこう言ってくる。
「待ってください、先輩! 先輩のビールは、ボクに注がせてください!」
「ん、そうか? 悪いな」
「いえいえ、全然です。もうクリード先輩には、たくさんお世話になってますから。こんなことなら喜んでやりますので、ボクのことはアゴで使ってください。ささ、どうぞどうぞ」
席から立ったユキは、樽を抱えて俺のジョッキに中身を注ぐ。
とぷとぷとぷっと注がれていくビールは、やがて泡がジョッキからあふれ出しそうになった。
俺はその前にジョッキに口をつけて、中のビールをぐぐっと飲んでいく。
うまい。
隣には、にこにこしながらその様子を見ているユキがいる。
この娘もさっそく酔ってきているのか、頬がほんのり赤く染まっている。
「うまいな。ここのビールがうまいのもあるが、ユキに注いでもらうとまた格別だ」
「またまたぁ。クリード先輩ってば、上手なんだからぁ♪ えへへーっ、でも嬉しいです」
「っと、ユキのジョッキも空いてるな。入れるか?」
「あ、いただきます! ありがとうございます、先輩!」
とぷとぷとぷっと注いでいくと、こちらもジョッキから泡が溢れ出そうになる。
ユキは「おっとっと」と言ってジョッキに口をつけ、んぐぐっとビールを飲んでいく。
「ぷはーっ! やーっ、先輩に注いでもらったビールもおいしいです! 最高!」
「そりゃあよかった」
「んふふーっ。──でも、セシリーはこういうの、できなさそうだよね」
絶好調に酔っぱらった感じのユキは、今度は犬猿の相手にちょっかいをかけはじめた。
「……別に。やろうと思えばできるわ」
「でも、やろうと思わないんでしょ?」
「そういう上下関係みたいなのは、好きじゃないのよ」
「だったらここの払いも、セシリーの分は自分払いだね。クリード先輩は先輩だから、おごるって言ってくれてるんだしさ」
「ぐっ……! そ、それは……」
「『ごちそうさまです』って、感謝ぐらい見せなよ~。もちろん、ルシアもね」
「ほへっ? ご、ごめんっす、料理に夢中で聞いてなかったっす」
「えーっ! 二人ともひどいよ。可哀想なクリード先輩。ぎゅううううっ」
俺の横に立ったユキが突然、その両腕を広げて、椅子に座った俺の顔をがばっと抱きしめてきた。
少女の柔らかな胸の感触が、俺の顔面に直撃してくる。
……おいおい。
俺はその腕の中からするりと抜け出すと、対象を失って「あれ?」と首を傾げているユキの背後に回り、その体を抱えて彼女の席に座らせてやる。
そして俺自身も、自分の席に戻る。
「ユキ、酔っぱらい過ぎだ。おすわり」
「はっ……! す、すみません先輩、ボクとしたことが! わん、わんっ」
「……お前、相当酒に弱いだろ?」
「ボク、お酒は好きですよ? でも実家のお父さんからは、お前は飲むととんでもないことをしでかした上に記憶をなくすから、外では絶対に飲むなって言われてます。わんっ」
「いや、じゃあ何で飲んだんだよ」
「敬愛するクリード先輩がせっかくお酒をおごってくれるというのに、そのお酒を飲まないなどありえないです、わんっ! あと大事なことなので二回言うと、ボクはお酒が好きです、わんっ!」
「……そうか。とりあえずお前、そのままステイな」
「分かりましたっ。ボクは今、先輩の忠実な犬なので、先輩の命令には従います! わん、わんっ」
このワンコ後輩、三人の中では一番まともかと思っていたが、認識をあらためる必要がありそうだ。
まさかルシア以上の暴走を見せるとは思わなかったわ。
ちなみにそのルシアへと視線を向けると──
ばくばくと食事にがっついていた【プリースト】姿の少女は、俺の方を見て、「ほへっ?」と言って首を傾げた。
「ルシア、お前は食ってばっかだな」
「んぐんぐ、ごくんっ。──そりゃあクリードの兄貴のおごりと聞いたら、食べるに決まってるっすよ。たっぷり食い溜めするっす」
「すがすがしいぐらいの意地汚さなんだよなぁ」
「たくましいと言ってほしいっす」
そう言って、ルシアはまた食事をバクつき始める。
はいはい、たくましいたくましい。
なお、もう一人のセシリーはというと、ユキやルシアと比べると、どちらかといえば上品にフォークやナイフを使って食事をし、ときどき上物のワインを口にしていた。
その姿をぼんやりと見ていると、当の本人が恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「……な、何よ、クリード。あまりじっと見られると、恥ずかしいんだけど」
「ああ、悪い。なんかつい見惚れちまって」
「見惚れ、ってね……。お世辞を言っても何も出ないわよ」
容姿をほめられたと思ったのか、照れくさそうにするセシリー。
俺はサクッと話題を変える。
「それはそうと、今日の迷宮探索はどうだった?」
「むっ、それは……一言で言うと、地獄だったわね。でも──」
セシリーはその懐から、自身の冒険者カードを出して俺に見せてくる。
「迷宮探索初日に、いきなり3レベルアップ。冒険者ギルドの受付で、ありえない、異常だって言われたわ。それを考えればね」
俺はセシリーの冒険者カードを受け取って、ステータスを確認する。
1レベル段階のステータスと比較で見ると、じわ伸びだが、確かに成長していた。
【名 前】 セシリー
【職 業】 ウィザード
【レベル】 4
【筋 力】 5 (+1)
【耐久力】 6 (+1)
【敏捷力】 9 (+2)
【魔 力】 15 (+3)
【S P】 3 (+3)
俺はセシリーにカードを返す。
するとセシリーは、なんだかものすごく言い出しにくそうな様子で、俺の方をちらっとだけ見て、こんなことを言ってきた。
「だから、その……恨み言よりは、感謝のほうが大きいわ。つまり、えっと……」
セシリーの視線が、宙を泳ぐ。
そして最終的には、うつむいて、絞り出すように声を出す。
「……あ、ありがとうございます、クリード先輩。……今後とも、よろしくお願いします」
最後のほうは、消え入りそうな声だった。
顔を見ればゆで蛸のようで、耳まで真っ赤になっていた。
しかもタメ口&呼び捨てを選んだセシリーなのに、敬語で先輩呼びだ。
まあ別にどっちでもいいけど。
「いや、無理してお礼言わなくてもいいぜ。俺も自分の都合あってやってることだし」
「むぅ~っ! 私だって、本心だから言っているの! 私は自分の心に嘘をつきたくないだけよ。……でも、あれだけの格の違いを見せつけられたら、さすがに対等だなんて思えない……。……冒険者としての私は今、あなたに守られて、育てられている存在だとしか思えないんだもの。こうもなるわよ」
「そっかー。でも話聞いてると、お前もまあまあめんどくさいやつだよな」
「はあっ……!? ちょっ、ちょっと……それはひどくない!?」
「ははははっ。俺も自分の心に正直になってみた」
「うぐぐぐっ……! ──はぁっ。まあそうね。私って、相当めんどくさいのかも」
そう言って、くすっと笑うセシリー。
なんだかセシリーが笑うところを、初めて見た気がする。
「セシリーの笑顔って、普段むっつりしてる分だけ新鮮みがあって、すごく可愛く見えるな」
「なっ……!? そ、それってもしかして、口説いているの……?」
「いや。自分の心に正直に言っているだけだぜ」
俺がニヤニヤ笑いを浮かべて言うと、セシリーは羞恥で頬を染めつつギリリと歯噛みして、最後に捨て台詞を吐いた。
「くっ……覚えてなさいよ、クリード! いつかギャフンと言わせてあげるから!」
──とまあ、この夜はそんな調子で、飲んで、食って、騒いで、笑った。
楽しいひと時は、あっという間に過ぎ去った。
ちなみに、後輩ワンコは最後には眠りこけてしまったので、仕方がないので俺が背負って宿まで運ぶことになった。
ユキを女子部屋のベッドに放り出した後、俺も自らの部屋に帰って、酔いに任せたままベッドに倒れ込んだ。
そして、翌朝──
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。
猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。
もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。
すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。
主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。
――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました――
風景が目まぐるしく移り変わる。
天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。
移り変わる景色こそは、
第一天 ヴィロン。
第二天 ラキア。
第三天 シャハクィム。
第四天 ゼブル。
第五天 マオン。
第六天 マコン。
それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。
気付けば明星は、玉座に座っていた。
そこは天の最高位。
第七天 アラボト。
そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。
――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる