41 / 117
【原作】始動
勝利の微笑み【悪役令嬢視点】
しおりを挟む
さて、まずはやらなきゃいけないことから片付けますか。私はふんすと鼻息を上げて気合いを入れる。
第一に取り掛かる事案は大公子息殿下、ミシェル・ラド・ウィリアムズへの謝罪である。なんと二年も前から迷惑行為もといストーカー行為を繰り返していたらしく、その事実をアイナ伝手(つて)に聞いたときには呆れるあまり言葉もでなかった。
今の年齢が十二歳として、一体十歳から何をやっているんだか…。結果として全て私が清算しなければならない羽目(はめ)になったのだ。一発張り手でも噛ましてやりたいがその当事者はもうどこにも存在しないのだからやり場はない。
では、ここで一筆。
『ミシェル・ラド・ウィリアムズ様
長年の不届きとも言える迷惑行為及びストーカー行為に深く反省し、つきましては二度と干渉のないことを此処に固く誓います。
エディス・テナ・グラニッツより』
我ながらこの筆跡は素晴らしい! 特に最後の『.』が全ての芸術点に加算されている、気がする!
だいぶ適当かつ簡潔に書いたけどこれを送ったという事実さえあればいいのだ。だって私この人になにも悪いことしてないもん! もはや残念なまでの開き直りだがぶっちゃけこれが本音である。
さ、終わった終わった~ー。手紙を御者(ぎょしゃ)に頼んでようやく一息。ご飯の時間である。ルンルンで食事を待っていると沈んだ顔でトレーを手に持ったアイナが帰ってきた。
「アイナ、どうしたの?」
「ぁ、お嬢様…。申し訳ございません…、っ。このような、」
アイナが目を移したトレーを見てみると若干カビの生えたパンに具の一つも入っていない冷めたスープ。濁った色の牛乳に、どこも注視(ちゅうし)しなければ気づかない程度のものだが、明らかに子どもに出していい食事ではなかった。
前はよくこんな程度の低い嫌がらせで癇癪(かんしゃく)を起こしてたっけ。冷静に考えるとめちゃ恥ずかしいな、私。
でも、うん。こんな幼稚園児レベルの嫌がらせ、私にとっては僥倖(ぎょうこう)でしかない。ひたすらに申し訳ないと頭を下げるアイナの手を引いて、私はある場所まで向かった。
#####
時はずれて、ある深夜の寝室に一通の手紙を持った執事が入室した。
「ミシェル様、グラニッツ公爵令嬢から御手紙が来ております」
「捨て置け」
ベットで読んでいる本から目を離すことなく執事に言い放ったのは子どもながらに達観したミシェル・ラド・ウィリアムズだ。
「ですが、今回のお手紙はいつもとはまた随分趣向が変わっております」
「どうせあの公爵令嬢にそこまでの知能はない」
完全に皮肉った物言いも、この二年の執拗なストーカー行為を振り替えればもはや安い方に思える。そんな主に同情しつつ、執事はこの感動を一刻も早く伝えねばと口を開いた。
「端的に言って、とても素晴らしい内容になっております」
ピクリとミシェルの身体が固まる。長年大公家に仕える執事への信用はあるが、あの公爵令嬢からの手紙にそんな大層なものがあるとは到底信じられなかった。しかし、期待はしていないが若干の好奇心に逆らえずミシェルは問う。
「…どういうものだ?」
「エディス・テナ・グラニッツはミシェル・ラド・ウィリアムズ様に今後一切目の前には姿を現すことなく、関わらないことを此処に誓います。その他(ほか)にも手紙にはこれまでの迷惑行為について恥じ、猛省(もうせい)していると潔いほど簡潔に書かれておりますね」
「ハッ、どうせまたあの公爵令嬢の奇行だろ」
「しかし、この手紙からは本当に反省の様子が伺えますが…「もういい。…出ていけ」」
執事の余計なお節介に付き合って入られないと先にミシェルの方が折れた。主の複雑な心境も理解しつつ、決して深くは関わりすぎないようできる執事は身を引く。
「わかりました。それでは失礼致します。お休みなさいませ、ミシェル様」
執事の足音が段々と遠ざかるなか、これ以上読書を続ける気にはなれず半(なか)ば強引に寝台(しんたい)に灯った明かりを消して枕に頭を下ろした。
######
横幅の広い廊下に小さく響く靴の音。たまに通り過ぎる使用人からは驚いた視線を向けられつつ、私は目的地に到着した、
コンコンッ……、
躊躇うことなくその部屋のドアをノックする。後ろにつくアイナは目に見えて慌てているけど、こういうのは最初が肝心なのだ。後からとなぁなぁに済ませていれば状況はなにも変わらない。
「エディスです。お話があります、公爵閣下」
「……入れ」
「失礼します」
入室の許可も出たことで中に入ると、執務机に向かって仕事をしている四十代にしては張りの整った私の『父親』がいた。
「用件を言え」
入室してから一度も私と目を合わせずさっさと追い払いたいとでも言うように吐き捨てた公爵に、私はもう数年も会話をしていなかったことを思い出した。
まぁ厳密には『私』じゃないんだけど、お母さんを早くに亡くしたエディスには辛かったのだようと、少しだけ同情した。
「公爵閣下に、これをご覧になって頂きたくて」
トレーを持ったアイナを前に出す。公爵はようやく此方(こちら)に目を移した。そして、固まる。
「それは、なんだ…」
「私の食事です。先ほど専属侍女であるアイナが厨房(ちゅうぼう)から渡されました。これに、処罰を申し上げたく参りました」
「まさか、我が公爵家にこのような低俗な輩がのさばっていたとはな」
怒りを押し止めるように声を出した公爵に、賭けに勝ったことを確信した。これで公爵が何も反応を示さなければそれはそれで第二、第三の手を考案するつもりだった。だけど、一度で片付けられるのならそれが一番いい。
「記憶に新しいものでは、異物の混入したシチューなどがありました。これは公爵家の立場を大きく揺るがす行為です。公爵家が軽(かろん)じられていると捉えても可笑しくありません。どうか、賢明なご判断を」
なるべく丁寧に、蔑(ないがし)ろにされたのは私ではなく、グラニッツ公爵家であることを強調して。目線をしっかり合わせることで説得力を押し出し、これまでの惰弱(だじゃく)で能無しのエディスの印象を払拭した。
「…そうだな。アダー、厨房の料理人を一掃し、屋敷の使用人を入れ替えろ。今後二度と、このような事態が起こらぬようにな」
「承知いたしました。エディスお嬢様。此度はこのような惨事、使用人総括である私めに責があります。誠に申し訳ございません」
使用人総括のアダー。公爵家に長く仕え、公爵の補佐を完璧にこなす有能と名高い人。本当に何も知らなかったようだし、ここで貸しを作っておけば後々役立つかもしれない。
まぁ公爵の補佐なんて忙しいのは目に見えてわかってるし私も経験があるからこの人にはあまり怒れないしね。
「謝罪を受け入れます。今後二度と、公爵家の品位を損なうようなことがなければ私はそれでよいのです」
「お嬢様の深いお懐、感謝してもしきれません」
なんか感動したのかアイナとのデジャブを感じる。でもこれで貸しは作れた。
「…見違えたな」
私が内心お祝いパーティーをしているといきなり私を見ていた公爵からそんな言葉が聞こえた。いやまぁそりゃ、中身丸ごと違うし。大人と子どもだしね!
「その件に関しては、謝罪致します。今までの未熟さを恥じ、今後は精進する所存にございますので、どうか温かい目でお守りください」
「…そうか。分かった。それで、大公子息殿下はどうするつもりだ?」
「大変反省し、謝罪と今後の関わりを断つ手紙を朝に出しました。どれだけ遅くとも一週間後には彼方(あちら)にも伝わるでしょう」
具体的に述べることで公爵は本当にハトが豆鉄砲で打たれたような、口を開いた面白い顔をしていた。
「そう、なのか…。本当に、変わったんだな」
「もう不吉な公女として噂される現実を受け止め、変わろうと思ったのです。いえ、変わりたいと」
「あぁ、そうだな。お前は私の娘でありグラニッツ公爵家の人間なのだから。今後もこのようなことかあれば言え。全て私が片付ける」
「ありがとうございます、公爵閣下」
「…敬称はいい」
「ぇ? …あ、そうですね。お父様」
なんとこの拗(す)ねた顔をした公爵、娘LOVEの人だったようだ。あんなの漫画だけかと思ってたけど、クマ見る限り忙しくて家庭の事情何も知らなかったサラリーマンに若干似てるし、本当は構いたかったのかな。
第一に取り掛かる事案は大公子息殿下、ミシェル・ラド・ウィリアムズへの謝罪である。なんと二年も前から迷惑行為もといストーカー行為を繰り返していたらしく、その事実をアイナ伝手(つて)に聞いたときには呆れるあまり言葉もでなかった。
今の年齢が十二歳として、一体十歳から何をやっているんだか…。結果として全て私が清算しなければならない羽目(はめ)になったのだ。一発張り手でも噛ましてやりたいがその当事者はもうどこにも存在しないのだからやり場はない。
では、ここで一筆。
『ミシェル・ラド・ウィリアムズ様
長年の不届きとも言える迷惑行為及びストーカー行為に深く反省し、つきましては二度と干渉のないことを此処に固く誓います。
エディス・テナ・グラニッツより』
我ながらこの筆跡は素晴らしい! 特に最後の『.』が全ての芸術点に加算されている、気がする!
だいぶ適当かつ簡潔に書いたけどこれを送ったという事実さえあればいいのだ。だって私この人になにも悪いことしてないもん! もはや残念なまでの開き直りだがぶっちゃけこれが本音である。
さ、終わった終わった~ー。手紙を御者(ぎょしゃ)に頼んでようやく一息。ご飯の時間である。ルンルンで食事を待っていると沈んだ顔でトレーを手に持ったアイナが帰ってきた。
「アイナ、どうしたの?」
「ぁ、お嬢様…。申し訳ございません…、っ。このような、」
アイナが目を移したトレーを見てみると若干カビの生えたパンに具の一つも入っていない冷めたスープ。濁った色の牛乳に、どこも注視(ちゅうし)しなければ気づかない程度のものだが、明らかに子どもに出していい食事ではなかった。
前はよくこんな程度の低い嫌がらせで癇癪(かんしゃく)を起こしてたっけ。冷静に考えるとめちゃ恥ずかしいな、私。
でも、うん。こんな幼稚園児レベルの嫌がらせ、私にとっては僥倖(ぎょうこう)でしかない。ひたすらに申し訳ないと頭を下げるアイナの手を引いて、私はある場所まで向かった。
#####
時はずれて、ある深夜の寝室に一通の手紙を持った執事が入室した。
「ミシェル様、グラニッツ公爵令嬢から御手紙が来ております」
「捨て置け」
ベットで読んでいる本から目を離すことなく執事に言い放ったのは子どもながらに達観したミシェル・ラド・ウィリアムズだ。
「ですが、今回のお手紙はいつもとはまた随分趣向が変わっております」
「どうせあの公爵令嬢にそこまでの知能はない」
完全に皮肉った物言いも、この二年の執拗なストーカー行為を振り替えればもはや安い方に思える。そんな主に同情しつつ、執事はこの感動を一刻も早く伝えねばと口を開いた。
「端的に言って、とても素晴らしい内容になっております」
ピクリとミシェルの身体が固まる。長年大公家に仕える執事への信用はあるが、あの公爵令嬢からの手紙にそんな大層なものがあるとは到底信じられなかった。しかし、期待はしていないが若干の好奇心に逆らえずミシェルは問う。
「…どういうものだ?」
「エディス・テナ・グラニッツはミシェル・ラド・ウィリアムズ様に今後一切目の前には姿を現すことなく、関わらないことを此処に誓います。その他(ほか)にも手紙にはこれまでの迷惑行為について恥じ、猛省(もうせい)していると潔いほど簡潔に書かれておりますね」
「ハッ、どうせまたあの公爵令嬢の奇行だろ」
「しかし、この手紙からは本当に反省の様子が伺えますが…「もういい。…出ていけ」」
執事の余計なお節介に付き合って入られないと先にミシェルの方が折れた。主の複雑な心境も理解しつつ、決して深くは関わりすぎないようできる執事は身を引く。
「わかりました。それでは失礼致します。お休みなさいませ、ミシェル様」
執事の足音が段々と遠ざかるなか、これ以上読書を続ける気にはなれず半(なか)ば強引に寝台(しんたい)に灯った明かりを消して枕に頭を下ろした。
######
横幅の広い廊下に小さく響く靴の音。たまに通り過ぎる使用人からは驚いた視線を向けられつつ、私は目的地に到着した、
コンコンッ……、
躊躇うことなくその部屋のドアをノックする。後ろにつくアイナは目に見えて慌てているけど、こういうのは最初が肝心なのだ。後からとなぁなぁに済ませていれば状況はなにも変わらない。
「エディスです。お話があります、公爵閣下」
「……入れ」
「失礼します」
入室の許可も出たことで中に入ると、執務机に向かって仕事をしている四十代にしては張りの整った私の『父親』がいた。
「用件を言え」
入室してから一度も私と目を合わせずさっさと追い払いたいとでも言うように吐き捨てた公爵に、私はもう数年も会話をしていなかったことを思い出した。
まぁ厳密には『私』じゃないんだけど、お母さんを早くに亡くしたエディスには辛かったのだようと、少しだけ同情した。
「公爵閣下に、これをご覧になって頂きたくて」
トレーを持ったアイナを前に出す。公爵はようやく此方(こちら)に目を移した。そして、固まる。
「それは、なんだ…」
「私の食事です。先ほど専属侍女であるアイナが厨房(ちゅうぼう)から渡されました。これに、処罰を申し上げたく参りました」
「まさか、我が公爵家にこのような低俗な輩がのさばっていたとはな」
怒りを押し止めるように声を出した公爵に、賭けに勝ったことを確信した。これで公爵が何も反応を示さなければそれはそれで第二、第三の手を考案するつもりだった。だけど、一度で片付けられるのならそれが一番いい。
「記憶に新しいものでは、異物の混入したシチューなどがありました。これは公爵家の立場を大きく揺るがす行為です。公爵家が軽(かろん)じられていると捉えても可笑しくありません。どうか、賢明なご判断を」
なるべく丁寧に、蔑(ないがし)ろにされたのは私ではなく、グラニッツ公爵家であることを強調して。目線をしっかり合わせることで説得力を押し出し、これまでの惰弱(だじゃく)で能無しのエディスの印象を払拭した。
「…そうだな。アダー、厨房の料理人を一掃し、屋敷の使用人を入れ替えろ。今後二度と、このような事態が起こらぬようにな」
「承知いたしました。エディスお嬢様。此度はこのような惨事、使用人総括である私めに責があります。誠に申し訳ございません」
使用人総括のアダー。公爵家に長く仕え、公爵の補佐を完璧にこなす有能と名高い人。本当に何も知らなかったようだし、ここで貸しを作っておけば後々役立つかもしれない。
まぁ公爵の補佐なんて忙しいのは目に見えてわかってるし私も経験があるからこの人にはあまり怒れないしね。
「謝罪を受け入れます。今後二度と、公爵家の品位を損なうようなことがなければ私はそれでよいのです」
「お嬢様の深いお懐、感謝してもしきれません」
なんか感動したのかアイナとのデジャブを感じる。でもこれで貸しは作れた。
「…見違えたな」
私が内心お祝いパーティーをしているといきなり私を見ていた公爵からそんな言葉が聞こえた。いやまぁそりゃ、中身丸ごと違うし。大人と子どもだしね!
「その件に関しては、謝罪致します。今までの未熟さを恥じ、今後は精進する所存にございますので、どうか温かい目でお守りください」
「…そうか。分かった。それで、大公子息殿下はどうするつもりだ?」
「大変反省し、謝罪と今後の関わりを断つ手紙を朝に出しました。どれだけ遅くとも一週間後には彼方(あちら)にも伝わるでしょう」
具体的に述べることで公爵は本当にハトが豆鉄砲で打たれたような、口を開いた面白い顔をしていた。
「そう、なのか…。本当に、変わったんだな」
「もう不吉な公女として噂される現実を受け止め、変わろうと思ったのです。いえ、変わりたいと」
「あぁ、そうだな。お前は私の娘でありグラニッツ公爵家の人間なのだから。今後もこのようなことかあれば言え。全て私が片付ける」
「ありがとうございます、公爵閣下」
「…敬称はいい」
「ぇ? …あ、そうですね。お父様」
なんとこの拗(す)ねた顔をした公爵、娘LOVEの人だったようだ。あんなの漫画だけかと思ってたけど、クマ見る限り忙しくて家庭の事情何も知らなかったサラリーマンに若干似てるし、本当は構いたかったのかな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる