無敵少女の意のままに

CHABO

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【previously on 無敵少女の意のままに】
特殊能力について説明を受けたエメリーとアン。
そしてアンをエメリーがおんぶして攻撃するという最強の合体技を身に付けたw

キャブルの町。
「変だな...男の数が圧倒的に少ないぞ」
「えぇ、殆どナックス城に反乱軍として出向いているわ」
「そんなに悪政働いていたのか?」
「そうなの...。高額税の取り立て、強制的な従軍、他地方への出兵とかね、それも突然何の説明もなく」
「ウルズは悪影響なかったのか?」
「多少はあったけどケルビム様の影響が大きいわね。ただおじいちゃんと遊びたいから来てただけなんだけど、勝手に町の用心棒みたいな扱いにされちゃってるからw あっ、表向きは信仰対象ってことになってるからよろしくね」
あのクソ天使、なんだかんだ役には立ってたんだなw
「よし、早速斡旋所に行ってみよう」
わたし達は仕事の斡旋所に出向く。

「冒険者さんですね、今ある依頼はこちらです」
一覧表から例の遺跡関連の依頼を探す。
「この遺跡のモンスター討伐依頼を受注したい」
「こちらは今3組の冒険者達が受注してますが、全員行方不明となっておりますので、かなり高難易度だと思われますがよろしいですか?」
全員やられたと見ていいな...。
「もちろんだ」
「ではこちらに代表者さんのサインを。何があっても斡旋所では責任は取りかねますので悪しからず...」
「お~ばさん、こんちわっ!!」
「あら~マァナちゃんじゃない、この人達とパーティ組んだの?」
「うん。ちなみに遺跡のモンスターってやっぱり『野良モンスター』?」
「えぇそうよ。だから遠慮はいらないからね!!」
野良モンスター?どういう意味だ??
わたし達は斡旋所を後にする。
「なぁマァナ。さっき言ってた野良モンスターってのはどういう意味だ??」
「えっ?知らないのソフィーちゃん。魔王管轄以外のモンスターのことよ」
「どう違うんだ??」
「魔王管轄モンスターは人は襲わないわ。むしろわたしなんて旅先で野良モンスターと戦ってたら助けてもらったこともあるくらいだから」
そうだったのか!?

「ティップの周辺では全モンスターが人の脅威だったぞ」
「下級モンスターはほとんど野良ね、何たって命令出来ないから。でも野良モンスターにも中級や上級のモンスターもいるのよ」
ティップでは中級モンスターすら稀だから気づけなかったのか...。
「でも魔王管轄モンスターは取り決めで野良モンスターに干渉しない、命は奪わないなんかの一方的な不可侵条約を作ってるそうよ」
「一方的??」
「野良モンスターの方はお構いなしね。邪魔をするなら魔王管轄モンスターだろうとどんどん攻撃するわ。それでもモンスターには仇討ちの概念はないからバチバチの戦いには発展しないみたい」
「ふ~ん、アンはどっちなんだ?」
「私は野良ですがどちらかと言うと人間の味方ですわね。だってキレイな物やかわいい物たくさん作ってくれるんですもの。あっ、私を野良モンスター呼ばわりしたらシメますから」
この子が天使という事は忘れた方が良さそうだw

「じいちゃん魔王管轄なのに孫のお前がそれでいいのか?」
「モンスターにそういった縛りはありませんの。とにかく自由、何をしても誰に付いても誰も何も言いませんわ」
君を見てると凄く説得力のある言葉に聞こえるよw
「本当にわたしは狭い世界で生きていたんだなぁ...」
「面白いでしょ~旅って。わたしだってまだまだ知らない事たくさんあるんだから4人で一緒に色んな所に行きましょ!」
「そうだな。よし、遺跡へは明日行くとして今日は自由時間にしよう。集合場所はあの宿屋ってことで」
「じゃあ私は競りに参加してくるわ」
「うちは姉ちゃんと一緒にいるぞ」
「エメリーがそう言うなら私もお供しますわ」
結局わたしは子供のお守りか...。
「わたしは図書館に行きたい、いいのか?」
「おう、マンガあるかな~~」
「ちょ、ちょっと待ってエメリーちゃん!!マンガを知ってるの??」
「おっ、おう。名前知ってるだけだぞ、姉ちゃん早く行こっ」
エメリーの様子が変だ、何か隠してるな。
「マァナ、それ以上はやめとこう。何か事情がありそうだ」
「そ、そうね。悪かったわ。マンガって単語にちょっとビックリしただけ...」
「....。エメリー、あなたまさか...。」
アンちゃんがポツリと呟いたのをわたしは見逃さなかった。

図書館に到着。
「思ったより小さいな、いい書物があるといいが...」
「アン、これアン好きじゃないか??」
「まぁ素敵~~!!ぜひ自分の目で見てみたいですわ~~!!」
見ていた本は世界の町を紹介する本で、サウスイースト大陸のウィザーンという町の紹介ページだった。
「ウィザーンはガラス細工が有名でな、家にもキレイな装飾が施されてる美しい町らしいぞ」
「エメリーが良ければ、その、私この町に行ってみたくなりましたわ」
「うちはいいぞ!いいよな姉ちゃん?」
「あぁ、旅の候補地に加えよう」
「お姉さまありがとうございます。お優しいのですね」
本当にキレイな物が大好きなんだなアンちゃんは...。
「じゃあこれはどうだいアンちゃん。見事な職人技で作られた美しいレイピア刺突剣だろう?」
「野蛮な武器に興味ありませんわ!!」
アンちゃんに武器を持たせるのは諦めた方がいいかもしれないなw
「そういえばアンちゃん。転移魔法でサクッと行けるんじゃないのか?」
「転移魔法は行った事があって、かつマークした1箇所しか転移出来ませんわ」
「えっ?でもこの前ケルビム連れてきたじゃないか?」
「おじいさまとは特別なパスで繋がってますの。血の繋がりのある者同士にしか出来ない特別な能力ですわ」
ってことはケルビムがいつここに現れてもおかしくないってことかw
「誰かの転移空間を使えば可能ですけど、わたしは自分で行ってみたいですわね」
この子も暇を持て余していたタイプかw

陽も落ち、全員が宿屋に合流した。
「大量だったわ~。色々買っちゃった」
「わたしが見ても全部ガラクタにしか見えんが...」
「もう2人は寝ちゃったみたいね」
「なぁマァナ。マンガってなんだ??」
「あぁ、その件ね。実は3年ほど前に滅んだ国でしか手に入らない書物らしいの。閉鎖的な国だったから外部へはほぼ流出してなくて...お父さんも欲しがってたわ」
「なんでそんな物をエメリーが知ってるんだ?」
「分からないから驚いたのよ。誰かから聞いたのか...あるいはその国の住人だった、とか?」
「それはないだろう。あいつの村はわたしが確認済みだ、両親は亡くなってしまっていたが...」
「とにかく余計な詮索はやめましょ。言いたくなったらエメリーちゃんが自分から言ってくるわよ」
「そうだな...わたし達も休もうか...」
わたし達は明日の遺跡調査に備えて眠りについた。
エメリーの過去に何があったのか、いずれ教えてくれるといいな...。
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