【R18】ねぇ先輩、抵抗やめなよ~後輩にホテル連れ込まれてマカ飲まされて迫られてんだけど?~

レイラ

文字の大きさ
2 / 18
本編

02 俺がベッド使うからな

しおりを挟む
 水瀬は職場の後輩で、今日こうして地方までやってきたのは、先方との商談のためである。
 仕事はそこそこ出来るが、やたらと黒戸にちょっかいを掛けてくる、お色気系美女、水瀬と二人での出張は、彼にとってあまり居心地の良いものではなかった。
 けれども仕事は仕事だと切り替えて、理想よりも遥かに上手く話をまとめ上げたその手腕は、まさしく営業部のエースといったところだ。

 そしてその心地良い達成感に任せ、水瀬に誘われるがまま居酒屋の暖簾をくぐってしまったのがそもそもの間違いだった。
 やっぱり先輩は凄いですかっこいい、色々教えてください今月の売り上げは先輩が飛びぬけていますね勉強させてくださいなんて言いながらお酌をされてしまえば、さすがの黒戸でも酒がすすむ。

 その結果がこれである。

「なんで都内と同じだと思ったんだ俺……水瀬と同室だなんて、クソっ!」

 思わず恨み節が漏れるのは仕方がない。
 ここは地方。所謂田舎だ。何をするにしても車の距離だし、先ほどまで酒を飲んでいた店は、主要な駅まで距離がある。
 更に水瀬の言う通り、近隣で若い子たちの間で人気のイベントがあったらしく、道は激混み。運よくタクシーが捕まり最寄りの駅にたどり着いたのだが、乗り込めそうな電車は、到底新幹線に間に合う時間のものではなかった。

 どうしたものかと途方に暮れる黒戸をよそに、水瀬がスマホを取り出すのは早かった。なにやらタップを繰り返し、奇跡的に駅前のビジネスホテルを取れたのだと腕を引かれ、ホテル横のコンビニで色々買わされた時も頭は回っていなかったように思う。水瀬はそのまま手早くチェックインを済ませ、部屋の鍵ですよ、なんて渡すから、それが黒戸一人の部屋だと思ってしまったのだ。しかもそれがダブルの部屋だったなんて、事前に分かっていたら絶対に断っていただろう。

 ともあれ、なってしまったものはどうしようもないことで。間違いが起こらないよう、テレビでも見ながらやり過ごそうと心に決める黒戸である。

 キュッとシャワーを止めて、タオルに手を伸ばす。大判のバスタオルはふかふかで、苛立った心を少しだけ和らげてくれる。と思った次の瞬間。

「おい!! 水瀬!! 俺の服どこ持って行きやがった!! つか鍵してただろ?! っておわぁ!!」
「うるさいなぁ先輩。鍵ですか? 開いてましたよ? 服、明日着るものなくなっちゃうんでコインランドリーつっこんできました。持つべきものは私みたいな良い後輩ですよね~」

 勢いよく部屋に続く扉が開けられて、反射的に前を隠した。顔を見て叫んだのは黒戸だが、仮にも女がその扉を開けるだなんて思うわけがない。

「なっ……! ぱ、ぱん……」
「あ~そりゃもちろん下着も~てか代わってもらっていいですか? 早く髪洗いたくて」

 何事もなさげに話し続ける水瀬に唖然とする。こういう時、開けた方が驚き恥じらい、顔を赤らめるものじゃなかったけ。そう思ったけれど、どうやらそれはドラマや漫画の中だけの話らしい。なんと水瀬は狼狽える黒戸などお構いなしに、タオルを手に入ってこようとしている。

「は? まっ……!」
「はいはい交代してくださいよ。先輩眠そうだし、ベッド使っていいですからね。私椅子で寝れますし」

 女の子が椅子でなんて、と普通なら言うべきなのだろうが、この時の黒戸は違った。とんでもない状況と水瀬の態度に、ふつふつと怒りが込み上げてきたのだ。

「お前! 好き勝手しやがって! 俺疲れてるし本当にベッド使うからな! つーかまだ拭いてんだから出てけ!」
「ひっど~い、こんなに先輩のこと心配してるのに~」
「はぁ……もういいわ……俺が出ていく。お前絶対ベッド入って来んなよ」

 くるりとバスタオルを腰に巻き、ガウンを掴んで部屋に戻る。シャワーを浴びただけなのに、ひどく疲れてしまった。
 水瀬が扉の鍵を閉めたことを確認して、バスローブタイプのガウンを羽織った。
 下着を着けていないことがこんなにも心許ないとは思わなかった。というかこの状態で寝ても大丈夫なのだろうか。特別寝相が悪いわけではないが、起きた時にはあられもない姿になっていることだけはわかる。絶対はだけるだろこれ。

「まぁ、椅子で寝るって言ってたし、入ってくんなって言ったしな……」

 とにかく今は早く眠ってしまわねば。やたらと黒戸に距離の近い水瀬のことだ、起きていると色々ややこしい事態になりかねない。
 そう思い、黒戸は広いベッドに滑り込む。シャワーを浴びたからか酒のせいか、身体が熱くてたまらない。

「くそっ、早く寝ないと……」

 シーツはひんやりと心地がよくて、そういえば家の硬いベッド以外で寝るのは久しぶりだな、なんて考えているうちに、黒戸の意識は微睡みの中へと消えていった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...