異世界で俺だけレベルが上がらない！ だけど努力したら最強になれるらしいです？

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突きつけられた刃の圧力

　倉野の反応から想像以上の事態が起きていると察したノエルが慌てて問いかけた。

「どうしたのよ。一体何が起きているの？」

　問いかけられた倉野はもう一度表示された文字を読んでから返答する。

「帝都から西に徒歩で半日ほどの場所にあるファムズという小さな町。反国家組織はその町を一瞬で消しとばしたそうです」

　倉野がそう話すとその場にいた全員が衝撃から硬直した。硬直しながらなんとかリオネが言葉を返す。

「・・・・・・一瞬で町を？」
「ええ、真実です」

　リオネの問いかけに答える倉野。するとレイチェルは衝撃で表情を歪ませながらも言葉を吐き出した。

「ファムズは帝都と他の街を繋ぐ中継地点です。人口は百人程度。警備は手薄ですし小さな町ですので大人数で襲われればひとたまりもないでしょう。しかし、帝都の近くということもあり、何かあればすぐに帝都の兵が対処に当たるはず・・・・・・間に合わなかったということは反国家組織は本当に一瞬で・・・・・・」

　状況を整理するようなレイチェルの言葉を聞いたノエルは納得したように頷く。

「なるほど・・・・・・そのファムズって町が消し飛ばされたことから反国家組織の戦力がある程度大きいと判断したってわけね。けど、小さな町と帝都では警備の規模が違うじゃない」
「もちろんそうです。警備も戦力も桁違いです・・・・・・でも・・・・・・」

　レイチェルは悲しげにそう話した。即座にノエルはその言葉の先を察し苦笑する。

「そっか、警備も戦力も揃っているけど人口も桁違いってわけね。言ってしまえば帝都に住む全ての人間が人質・・・・・・貴族も皇帝さえも」

　そう反国家組織は小さな町を消し飛ばしたことで自分たちの戦力を示した。その上でエスエ帝国に対して宣戦布告している。それが意味するのは反国家組織が帝都の近くにいる、いつでも攻撃を仕掛けられるという状況だ。おそらく反国家組織は帝都について調べ尽くしておりどのように攻撃すれば最も被害が出るかを知っているだろう。
　反対にエスエ帝国側は反国家組織についてそれほど情報を持っているとは思えない。得体の知れない相手といつ攻撃を仕掛けられるか分からない状況。そして小さいとはいえ町を消し飛ばすほどの戦力。
　迂闊に動けば庶民はもとより貴族や皇帝の住む城にまで被害が及ぶかも知れない。
　事態の深刻さが少しずつ露わになっていく。
　重くなった空気の中でリオネが倉野に問いかけた。

「あの、反国家組織はどうやってそれほどの戦力を集めたのでしょうか。帝都の入り口である港は厳戒態勢を敷いていました。ってことは陸路も警戒しているはずです。そんな中で町を吹き飛ばすほどの戦力を集められるとは思えないのですが」

　リオネの疑問を受け止めた倉野はなるほどと頷く。

「確かにそうですね。調べてみます・・・・・・スキル説明発動。反国家組織の戦力について」