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学園作り

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「食べ物で人々の意識が・・・・・・なんだか大きな話ですけどトミオカさんが言うと本当にそうなるような気がしてきます」

 アメリアはそう言って嬉しそうに笑う。
 確かに荒唐無稽にも感じる話だが、優しさとは広がるものだと冨岡は考えていた。源次郎の優しさで育った冨岡がアメリアを救いたいと思うように。孤児院で育ったアメリアがそれを受け継いだように。
 想像よりもアメリアが話を受け入れてくれそうだと感じた冨岡はさらに話を続ける。

「ですから俺が売るのは安くて美味しくて手軽で今まで食べたことのないようなものです。そしてそれをアメリアさんにもフィーネちゃんにも手伝ってもらいたいと思ってるんですよ」
「私とフィーネにも?」
「はい。俺だけでは調理と接客を回すことはできませんからね」

 そう冨岡が説明するとアメリアは首を傾げた。

「確かに人手が必要なのはわかりますが私だけではなくフィーネもですか?」
「もちろんアメリアさんとフィーネちゃんの気持ち次第ですが、実践に勝る勉強はないと思います。商売をするためには読み書きも計算も必要になりますよね。目的なく勉強するよりも身につくと思いませんか?」

 問いかける冨岡。確かにただ勉強するのと必要だと認識して勉強するのでは効率が違うだろう。本人の意識も大きく変わってくるはずだ。

「そう言われればそうですが・・・・・・」
「それに手伝ってくれればいくらでも美味しいものが食べられます。フィーネちゃんは喜んでくれるはずです。いえ、もしかするとここまでは建前かもしれません。フィーネちゃんに手伝ってもらいたい一番の理由はアメリアさんと一緒にいる時間が増えるということです。幼いフィーネちゃんにはアメリアさんと一緒にいる時間が必要なはずです。しかし、状況がそれを許さない。だったら、状況を変えましょうよ」
「トミオカさん・・・・・・そこまで私たちのことを・・・・・・ふふっ、嬉しいです。微力ですがお手伝いさせてください」
 
 アメリアは言いながら涙ぐむ。
 冨岡の優しさに胸を打たれたのだ。自分やフィーネのことを真剣に考えてくれる彼を信じたい。アメリアは強くそう思った。
 アメリアからの色良い返事を聞いた冨岡は優しく微笑み話しかける。

「ありがとうございます。そう言ってもらえて良かった。早速明日から市場調査をしたいと思ってます。色々候補はあるのですがどんな料理がいいのか考えてみますね」
「ふふっ、行動の早さもトミオカさんの素敵なところですね。予定が決まっているので明日は仕事があるのですがそれ以降の予定は一旦白紙に戻しておきます」

 冨岡の即決に背中を押されアメリアも今後の予定について見直した。
 ある程度の話が決まったところでアメリアが気になったことを言葉にする。

「そういえばもう一つの要素がありましたよね。フィーネが将来のために学ぶ場所・・・・・・それも兼ねているのでしょうか?」

 アメリアから問いかけられると冨岡は首を横に振った。

「いえ、それはさらに先の話です。アメリアさんが協力してくれるのなら俺はここに学園を作りたい」
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