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夜明けの味噌汁

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 幼く純粋が故の疑問だった。
 好き同士ならばずっと一緒にいたいという至極当たり前の発想だが現実はそう簡単にはいかない。けれどその言葉が冨岡とアメリアの心に波を起こす。

「そ、それは・・・・・・私もそうですが」

 アメリアがそう呟くと冨岡も釣られて本心を口にした。

「俺もそうですけど・・・・・・」

 しかし本心というものはお互い意識しあっていても気恥ずかしいものである。
 頬を染めている二人が黙るとフィーネはもうこの話に飽きたらしく机に並べられた食料を眺めていた。
 フィーネの視線に気づいたアメリアは無性におかしくなって笑ってしまう。

「もう、フィーネったら。話を投げかけておいてこれなんですから」
「ま、まぁアメリアさん。フィーネちゃんにとっては朝ご飯の方が大切ですよ。さぁ、食事にしましょう。やっぱり朝はパンかな、フィーネちゃんはどれがいい?」

 アメリアを宥めるように話しかけてから冨岡はフィーネに問いかけた。
 するとフィーネは並べられた食料を吟味するように見比べる。残っているのはおにぎり、菓子パン、保存食セット、チョコレート、飴玉などだ。
 菓子パンと言ってもメロンパンなので朝食にならないわけではない。また保存食セットの中には湯煎で調理できる白米や汁物、肉じゃがなどのおかずが十食分ある。おにぎりと組み合わせれば朝食としては十分だ。
 チョコレートに関しては昨日の件があるので食べさせるわけにはいかない。飴玉も朝食にはならないため菓子パン、おにぎり、保存食セットの中から選ぶのがいいだろう。
 冨岡が朝食になりそうなものを見繕うとフィーネはメロンパンを指差した。

「これ!」
「ああ、メロンパンか。昨日アメリアさんにも食べてもらいましたね。ちょっと待って、袋を開けてあげるよ」

 言いながら冨岡が袋を開けて手渡すとフィーネは嬉しそうに受け取り、勢いよく口に運ぶ。

「あーんっ! ん、おいひぃ!」

 メロンパンを口に入れたまま美味しさを表現するフィーネ。そんなフィーネを見てアメリアは優しく微笑んだ。

「ふふっ、美味しいですよね、メロンパン。ほら、喉に詰まらせないように良く噛んで食べるんですよ。はい、お水もどうぞ」

 アメリアは水の入ったグラスをフィーネに手渡して自分も机の上に並ぶ食料を眺める。
 どうやら冨岡の許可を待っているらしく、何度か視線を上げた。それに気づいた冨岡はアメリアにも優しく問いかける。

「アメリアさんはどれにしますか? おにぎりでもいいですけど俺の故郷だと白米と味噌汁が朝食っぽいですよ。それだけでも美味しいですけど物足りなければ、肉じゃがも合わせるといいかもしれません」
「はくまい? みそしる?」

 もちろん言葉の意味がわからずアメリアは首を傾げた。
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