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ハンバーガー

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 メルルズパンの厨房に立った冨岡は調理台の上に材料を並べる。
 合い挽き肉、玉ねぎ、サラダ油、パン粉、牛乳、卵、塩、胡椒、ケチャップ、スライスチーズ、レタス、トマトだ。
 冨岡はメルルに頼み包丁、まな板、ボウル、フライパンを準備すると合い挽き肉をボウルに移す。

「トミオカさん、何作るのー?」

 踏み台を使って冨岡の手元を覗くフィーネ。その隣でメルルも首を傾げていた。

「お肉ですよね? それをどうするんですか」
「まぁ、見ててくださいよ」

 言いながら冨岡は玉ねぎをみじん切りにしてボウルに加える。さらにパン粉、牛乳、卵、塩、胡椒を混ぜ合わせて粘りが出るまで捏ねた。
 フライパンを火にかけ、サラダ油を引くとボウルの中身を素早く形成し楕円形にまとめるとじっくり焦げ目がつくまで焼く。両面焼き上げると水を加えて軽く蒸し焼きにし中まで火を通した。
 最も基本的なハンバーグである。
 ハンバーグが完成すると冨岡はメルルの作ったパンを上下に切り分けてレタス、ハンバーグ、ケチャップ、スライスチーズ、スライストマトの順番にのせて調理終了だ。

「出来ました! 手作りハンバーガーです」

 同じものを三つ作りそれぞれさらに並べる冨岡。香ばしい肉の香りと鮮やかな野菜の色が食欲をそそる。
 完成したハンバーガーを眺めながらメルルが目を輝かせた。

「うわぁ、すごく豪華な料理ですね。お肉と野菜をパンに挟んで食べることはありますけど、薄切りにしたお肉と野菜くらいです。こんなにちゃんとした料理にするなんて」
「そんなに豪華なものではありませんよ。材料費も銀貨二枚くらいで収まってますし、全部で十個くらい作れます。料理手順も焼いて挟むだけですから簡単でしょ」

 冨岡がそう説明するとソワソワしたフィーネが喉を鳴らす。早く食べたいという意思表示だ。
 それに気づいた冨岡は笑いながらフィーネにハンバーガーを手渡す。

「どうぞ、フィーネちゃん。メルルさんもぜひ食べてみてください」

 フィーネとメルルは皿を持ってハンバーガーを眺めた。しかし、食べ方がわからないらしくあらゆる角度から観察している。
 それはそうか、と冨岡は食べ方を教えながら食べ始めた。

「ハンバーガーは手づかみで食べるんですよ。こうやって手で持って思いっきりガブっと! うん、美味い!」

 モグモグとハンバーガーを味わう冨岡の姿を見たフィーネとメルルは我慢できなくなり、彼と同じように手づかみで齧り付く。

「あーむっ! ん、美味しい!」

 満面の笑みを浮かべるフィーネ。

「はむ・・・・・・な、何ですかこれ! 肉汁が溢れてきて、野菜の甘みと絡まり合いとっても美味しいです。酸味のあるソースと旨味を吸ったパンも最高!」

 驚きながらもメルルの手、いや口は止まらない。
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