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番外編
番外編――年末年始、ローテローゼの危機2――
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湯船から出たローテローゼとマティスは、濡れた体のまま互いの唇を堪能していた。
角度を変えて深く唇を合わせ、マティスの舌がローテローゼの舌を追い回す。舌の動きに合わせてマティスの手がローテローゼの胸を刺激する。
ローテローゼも、躊躇いがちに手を動かした。マティスの下腹部を彷徨い、熱を持つそれをそっと握りこむ。思わぬゆるゆるとした刺激にマティスが悩まし気な吐息を漏らした。
「あ、ああ、ローテローゼさまっ……」
たちまち硬く反り返ったそれを、ローテローゼは照れたように見つめる。
「……マティス、お願い……」
「はい」
欲しいの、と、小さく呟きながら体を摺り寄せる。
「仕方、ありませんね……」
ローテローゼは壁に手を突き、自らお尻をマティスの方へ差し出した。さすがに恥ずかしいのだろう、首筋まで赤くなっている。
「……積極的な姫……好きだよ……」
ぐぷ、ぬぷ、と湿った音がして、あっさり根元まで飲み込んでいく。
「あっ、あっ……くるしいっ……」
「あなたが、あんまり煽るから……」
ローテローゼの細い腰を掴み、手前まで引き抜いた後、奥まで一気に貫く。何度も繰り返しているうちに、ローテローゼの嬌声が悲鳴のようになっていく。
「ローテローゼさま……出しますよっ……」
「あ、あ、ああっ……」
くったりとしたローテローゼを抱きかかえ、再度挿入しようとしたとき、扉がノックされる気配がした。
「え!? もしかして、宰相!?」
「そう、でしょうね……」
こうして二人は、一気に現実へと引き戻されることになった。
「……新しい書状が届いてるわね……」
ドアの下に、差し込まれた書類がある。ちらりと見えるサインは宰相のもの、黄色い線がサインの下にひかれているということは少し急ぎの要件である。
おそらく、ノックをしたがローテローゼの返事がなかったため書類を置いていったのだろう。たちまちローテローゼの顔つきが王のそれへと変わる。
腕に抱いていたローテローゼをソファーに下ろしたマティスは、名残惜しそうにキスをしたあとバスローブをきっちりとローテローゼに着せた。マティスはといえば、タオルで腰から下を覆うだけである。見事に鍛えられた上半身がローテローゼの目には眩しく映る。
「あ、マティス、この怪我……あの時の……」
その背中に新しい傷跡があり、ローテローゼは思わず立ち上がった。
ぴたり、と抱き着いたあと、つつつ……、と指先で傷跡をなぞればマティスがぴくんと震えた。
「ローテローゼさま、それは、ちょっと……」
「くすぐったい?」
はい、とマティスが頷き、小さく笑ったローテローゼが、そこに舌先を這わせた。
「う、あ。ダメ、です……」
べりっとローテローゼを引きはがしたマティスの呼吸は、すっかり荒くなっている。
「続きはあとで! わかりましたか?」
「はい」
書類に目を通すローテローゼをその場に残し、マティスは仕事道具をとって戻ってくる。
「ありがとう」
あれこれと書類に目を通したローテローゼは、がばっと立ち上がった。
「ローテローゼさま……何か大変なことですか?」
ええ、と、ローテローゼは頷いた。
「……お兄さまを今すぐここへ呼んで!」
「呼んで差し上げたいのはやまやまですが……いまだに、後宮のベルナールさまのお部屋から外へ出る許可が下りておりません」
そうよね、と、ローテローゼはソファーへと座りなおした。勝手に駆け落ちし、あらぬ疑いをかけられたベルナールは未だ誰にも許されてはおらず、後宮に謹慎……というか幽閉されている。
ローテローゼは諦めたように再び手元の書類へと視線を落とす。
「宰相を……呼んでくれる? 説明してもらわなきゃ……」
ほどなくしてやってきた宰相は、新しい書類の束を持っていた。
「ローテローゼさま、まずはこちらをご覧ください」
渡された紙には、行事がずらっと書いてある。
その一覧を見たローテローゼは、呆れると同時に頭を抱えた。
年をまたいで、国民と触れ合う行事が目白押しである。
「これ……本当に全部やるのね……?」
「はい、左様でございます」
角度を変えて深く唇を合わせ、マティスの舌がローテローゼの舌を追い回す。舌の動きに合わせてマティスの手がローテローゼの胸を刺激する。
ローテローゼも、躊躇いがちに手を動かした。マティスの下腹部を彷徨い、熱を持つそれをそっと握りこむ。思わぬゆるゆるとした刺激にマティスが悩まし気な吐息を漏らした。
「あ、ああ、ローテローゼさまっ……」
たちまち硬く反り返ったそれを、ローテローゼは照れたように見つめる。
「……マティス、お願い……」
「はい」
欲しいの、と、小さく呟きながら体を摺り寄せる。
「仕方、ありませんね……」
ローテローゼは壁に手を突き、自らお尻をマティスの方へ差し出した。さすがに恥ずかしいのだろう、首筋まで赤くなっている。
「……積極的な姫……好きだよ……」
ぐぷ、ぬぷ、と湿った音がして、あっさり根元まで飲み込んでいく。
「あっ、あっ……くるしいっ……」
「あなたが、あんまり煽るから……」
ローテローゼの細い腰を掴み、手前まで引き抜いた後、奥まで一気に貫く。何度も繰り返しているうちに、ローテローゼの嬌声が悲鳴のようになっていく。
「ローテローゼさま……出しますよっ……」
「あ、あ、ああっ……」
くったりとしたローテローゼを抱きかかえ、再度挿入しようとしたとき、扉がノックされる気配がした。
「え!? もしかして、宰相!?」
「そう、でしょうね……」
こうして二人は、一気に現実へと引き戻されることになった。
「……新しい書状が届いてるわね……」
ドアの下に、差し込まれた書類がある。ちらりと見えるサインは宰相のもの、黄色い線がサインの下にひかれているということは少し急ぎの要件である。
おそらく、ノックをしたがローテローゼの返事がなかったため書類を置いていったのだろう。たちまちローテローゼの顔つきが王のそれへと変わる。
腕に抱いていたローテローゼをソファーに下ろしたマティスは、名残惜しそうにキスをしたあとバスローブをきっちりとローテローゼに着せた。マティスはといえば、タオルで腰から下を覆うだけである。見事に鍛えられた上半身がローテローゼの目には眩しく映る。
「あ、マティス、この怪我……あの時の……」
その背中に新しい傷跡があり、ローテローゼは思わず立ち上がった。
ぴたり、と抱き着いたあと、つつつ……、と指先で傷跡をなぞればマティスがぴくんと震えた。
「ローテローゼさま、それは、ちょっと……」
「くすぐったい?」
はい、とマティスが頷き、小さく笑ったローテローゼが、そこに舌先を這わせた。
「う、あ。ダメ、です……」
べりっとローテローゼを引きはがしたマティスの呼吸は、すっかり荒くなっている。
「続きはあとで! わかりましたか?」
「はい」
書類に目を通すローテローゼをその場に残し、マティスは仕事道具をとって戻ってくる。
「ありがとう」
あれこれと書類に目を通したローテローゼは、がばっと立ち上がった。
「ローテローゼさま……何か大変なことですか?」
ええ、と、ローテローゼは頷いた。
「……お兄さまを今すぐここへ呼んで!」
「呼んで差し上げたいのはやまやまですが……いまだに、後宮のベルナールさまのお部屋から外へ出る許可が下りておりません」
そうよね、と、ローテローゼはソファーへと座りなおした。勝手に駆け落ちし、あらぬ疑いをかけられたベルナールは未だ誰にも許されてはおらず、後宮に謹慎……というか幽閉されている。
ローテローゼは諦めたように再び手元の書類へと視線を落とす。
「宰相を……呼んでくれる? 説明してもらわなきゃ……」
ほどなくしてやってきた宰相は、新しい書類の束を持っていた。
「ローテローゼさま、まずはこちらをご覧ください」
渡された紙には、行事がずらっと書いてある。
その一覧を見たローテローゼは、呆れると同時に頭を抱えた。
年をまたいで、国民と触れ合う行事が目白押しである。
「これ……本当に全部やるのね……?」
「はい、左様でございます」
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