【完結】身代わりで男装した王女は宮廷騎士の手で淫らに健気に花開く

酉埜空音

文字の大きさ
106 / 120
番外編

番外編――年末年始、ローテローゼの危機2――

しおりを挟む
 湯船から出たローテローゼとマティスは、濡れた体のまま互いの唇を堪能していた。
 角度を変えて深く唇を合わせ、マティスの舌がローテローゼの舌を追い回す。舌の動きに合わせてマティスの手がローテローゼの胸を刺激する。
 ローテローゼも、躊躇いがちに手を動かした。マティスの下腹部を彷徨い、熱を持つそれをそっと握りこむ。思わぬゆるゆるとした刺激にマティスが悩まし気な吐息を漏らした。
「あ、ああ、ローテローゼさまっ……」
 たちまち硬く反り返ったそれを、ローテローゼは照れたように見つめる。
「……マティス、お願い……」
「はい」
 欲しいの、と、小さく呟きながら体を摺り寄せる。
「仕方、ありませんね……」
 ローテローゼは壁に手を突き、自らお尻をマティスの方へ差し出した。さすがに恥ずかしいのだろう、首筋まで赤くなっている。
「……積極的な姫……好きだよ……」
 ぐぷ、ぬぷ、と湿った音がして、あっさり根元まで飲み込んでいく。
「あっ、あっ……くるしいっ……」
「あなたが、あんまり煽るから……」
 ローテローゼの細い腰を掴み、手前まで引き抜いた後、奥まで一気に貫く。何度も繰り返しているうちに、ローテローゼの嬌声が悲鳴のようになっていく。
「ローテローゼさま……出しますよっ……」
「あ、あ、ああっ……」
 くったりとしたローテローゼを抱きかかえ、再度挿入しようとしたとき、扉がノックされる気配がした。
「え!? もしかして、宰相!?」
「そう、でしょうね……」
 こうして二人は、一気に現実へと引き戻されることになった。


「……新しい書状が届いてるわね……」

 ドアの下に、差し込まれた書類がある。ちらりと見えるサインは宰相のもの、黄色い線がサインの下にひかれているということは少し急ぎの要件である。
 おそらく、ノックをしたがローテローゼの返事がなかったため書類を置いていったのだろう。たちまちローテローゼの顔つきが王のそれへと変わる。
 腕に抱いていたローテローゼをソファーに下ろしたマティスは、名残惜しそうにキスをしたあとバスローブをきっちりとローテローゼに着せた。マティスはといえば、タオルで腰から下を覆うだけである。見事に鍛えられた上半身がローテローゼの目には眩しく映る。
「あ、マティス、この怪我……あの時の……」
 その背中に新しい傷跡があり、ローテローゼは思わず立ち上がった。
 ぴたり、と抱き着いたあと、つつつ……、と指先で傷跡をなぞればマティスがぴくんと震えた。
「ローテローゼさま、それは、ちょっと……」
「くすぐったい?」
 はい、とマティスが頷き、小さく笑ったローテローゼが、そこに舌先を這わせた。
「う、あ。ダメ、です……」
 べりっとローテローゼを引きはがしたマティスの呼吸は、すっかり荒くなっている。
「続きはあとで! わかりましたか?」
「はい」

 書類に目を通すローテローゼをその場に残し、マティスは仕事道具をとって戻ってくる。
「ありがとう」
 あれこれと書類に目を通したローテローゼは、がばっと立ち上がった。
「ローテローゼさま……何か大変なことですか?」
 ええ、と、ローテローゼは頷いた。

「……お兄さまを今すぐここへ呼んで!」

「呼んで差し上げたいのはやまやまですが……いまだに、後宮のベルナールさまのお部屋から外へ出る許可が下りておりません」
 そうよね、と、ローテローゼはソファーへと座りなおした。勝手に駆け落ちし、あらぬ疑いをかけられたベルナールは未だ誰にも許されてはおらず、後宮に謹慎……というか幽閉されている。
 ローテローゼは諦めたように再び手元の書類へと視線を落とす。
「宰相を……呼んでくれる? 説明してもらわなきゃ……」

 ほどなくしてやってきた宰相は、新しい書類の束を持っていた。
「ローテローゼさま、まずはこちらをご覧ください」
 渡された紙には、行事がずらっと書いてある。
 その一覧を見たローテローゼは、呆れると同時に頭を抱えた。
 年をまたいで、国民と触れ合う行事が目白押しである。

「これ……本当に全部やるのね……?」
「はい、左様でございます」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...