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:御曹司、昂る(上):
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(あれ……?)
いつの間に眠ったのだろうか――。
彩葉は、ゆるゆると目を覚ました。
体が妙にだるい。ああ辰之進にオモチャを使われたのだ、と思い出したものの、そこから先の記憶が曖昧だ。
快感が過ぎて意識を飛ばしたとか恥ずかしい。変態がどんなニヤニヤ顔をしているかと思うとそれだけで腹立たしい。
そして眠る前までは漂っていなかったはずの妙に甘い匂いが纏わりついて、彩葉を眠りに誘う。
しかしーー違和感が拭えない。というかどうも身動きが取れない。窮屈なのだ。
ぺちぺち、と頬を叩かれる。冷たい手だ。
「ん……だ、れ……」
「彩葉ちゃん、起きてよ。辰之進はもう起きてるよ」
え? と彩葉の目が勢いよく開いた。なぜこの男がここにいるの、と疑問符が浮かぶ。ここは、社長が眠るベッドのはずなのに。
「んー、良い眺めだねぇ……つるつるに剃ってあるのは辰之進の趣味かな? それとも辰之進を喜ばせるためのご奉仕かな?」
彩葉はぎょっとした。
全裸で後ろ手に縛られ、足はM字に固定され、その足の間にピンクのスーツを着た件の男がいるではないか。
辰之進にしか見せたことのない場所を、なぜこの男がまじまじと眺めているのか。
「んー……さっきまで辰之進に結構激しく抱かれてたけど……さすがにこれは入らないか」
彩葉の喉が引き攣った。男が手にしているのは――どうみても野菜である。
「どれも今朝、うちの系列グループの農園でとれたばかりの産直野菜だよ」
聞いてないわそんなこと、と、胸の内で叫ぶ。
「安心して。無農薬だから体に害はないよ」
などと嬉しそうに言う。
「そうそう彩葉ちゃん、異物挿入するときはね、ゴムをちゃんとつけなくちゃいけないんだよ。知ってる?」
唖然とする彩葉の様子を楽しんでいるのが明らかだ。一体どこに持っていたのか、手際よく装着し、見せびらかしながら彩葉の胸や鎖骨、お臍や腰などあちこちを撫でまわす。
「……お、ずいぶんいい感度だね……ぼくの手が触れるだけで、肌が色付く」
片方の胸を乱暴に掴んだかと思うと、先端をぐりぐりと指でこね回す。痛いばかりで快感など全く感じない。
「いいねぇ、苦痛に歪む顔。ぼくも準備は万端だ。見るかい? 辰之進のものより短いけど太いよ?」
美形御曹司がにやりと笑う。笑いながら、野菜を無理矢理挿入しようとしてきた。
「や、やぁ……」
「辰之進、そこでよく見てるといいよ。惚れた女が別の男に調教されるのを見続けるってのは、なんとも言えずゾクゾクするからね」
ベッドの下を指さす御曹司は、心底楽しそうだ。
辰之進は辰之進で、下着だけをつけた状態で手錠と足かせ、ロープと猿轡でがっちりと拘束されていた。それでも大切な彩葉を助けようとするが、その都度ピンクスーツに押しのけられている。
「辰之進、いいからそこで、最愛の女性が幼馴染の御曹司に寝取られるのを大人しく見てるんだ」
腹部を蹴られて辰之進が呻くが、辰之進も負けじとピンクスーツに体当たりをする。
「ぐっ……やるじゃないか……でもね、それは逆効果だよ。ぼくは……Mでもあるからね、虐げられるとさらにヤる気になるんだ」
ズボンのベルトを外す音がし、ピンクの布が投げ捨てられた。
「ほら、ぼくがこんなに昂っているのわかる? ほら、ちゃんと見て!」
彩葉はぎゅっと目を閉じて、いやいやと首を横に振った。
絶対に見るものか、と。
辰之進も、変態御曹司の足元ににじり寄って、反撃を試みていた。
「ふぅん、辰之進がそういう態度なら、この女を今すぐ、ぼくのことが忘れられなくなるくらいに、激しく抱きつぶしてもいいんだよ?」
興奮と怒りが滲んだ声が、降り注いだ。
いつの間に眠ったのだろうか――。
彩葉は、ゆるゆると目を覚ました。
体が妙にだるい。ああ辰之進にオモチャを使われたのだ、と思い出したものの、そこから先の記憶が曖昧だ。
快感が過ぎて意識を飛ばしたとか恥ずかしい。変態がどんなニヤニヤ顔をしているかと思うとそれだけで腹立たしい。
そして眠る前までは漂っていなかったはずの妙に甘い匂いが纏わりついて、彩葉を眠りに誘う。
しかしーー違和感が拭えない。というかどうも身動きが取れない。窮屈なのだ。
ぺちぺち、と頬を叩かれる。冷たい手だ。
「ん……だ、れ……」
「彩葉ちゃん、起きてよ。辰之進はもう起きてるよ」
え? と彩葉の目が勢いよく開いた。なぜこの男がここにいるの、と疑問符が浮かぶ。ここは、社長が眠るベッドのはずなのに。
「んー、良い眺めだねぇ……つるつるに剃ってあるのは辰之進の趣味かな? それとも辰之進を喜ばせるためのご奉仕かな?」
彩葉はぎょっとした。
全裸で後ろ手に縛られ、足はM字に固定され、その足の間にピンクのスーツを着た件の男がいるではないか。
辰之進にしか見せたことのない場所を、なぜこの男がまじまじと眺めているのか。
「んー……さっきまで辰之進に結構激しく抱かれてたけど……さすがにこれは入らないか」
彩葉の喉が引き攣った。男が手にしているのは――どうみても野菜である。
「どれも今朝、うちの系列グループの農園でとれたばかりの産直野菜だよ」
聞いてないわそんなこと、と、胸の内で叫ぶ。
「安心して。無農薬だから体に害はないよ」
などと嬉しそうに言う。
「そうそう彩葉ちゃん、異物挿入するときはね、ゴムをちゃんとつけなくちゃいけないんだよ。知ってる?」
唖然とする彩葉の様子を楽しんでいるのが明らかだ。一体どこに持っていたのか、手際よく装着し、見せびらかしながら彩葉の胸や鎖骨、お臍や腰などあちこちを撫でまわす。
「……お、ずいぶんいい感度だね……ぼくの手が触れるだけで、肌が色付く」
片方の胸を乱暴に掴んだかと思うと、先端をぐりぐりと指でこね回す。痛いばかりで快感など全く感じない。
「いいねぇ、苦痛に歪む顔。ぼくも準備は万端だ。見るかい? 辰之進のものより短いけど太いよ?」
美形御曹司がにやりと笑う。笑いながら、野菜を無理矢理挿入しようとしてきた。
「や、やぁ……」
「辰之進、そこでよく見てるといいよ。惚れた女が別の男に調教されるのを見続けるってのは、なんとも言えずゾクゾクするからね」
ベッドの下を指さす御曹司は、心底楽しそうだ。
辰之進は辰之進で、下着だけをつけた状態で手錠と足かせ、ロープと猿轡でがっちりと拘束されていた。それでも大切な彩葉を助けようとするが、その都度ピンクスーツに押しのけられている。
「辰之進、いいからそこで、最愛の女性が幼馴染の御曹司に寝取られるのを大人しく見てるんだ」
腹部を蹴られて辰之進が呻くが、辰之進も負けじとピンクスーツに体当たりをする。
「ぐっ……やるじゃないか……でもね、それは逆効果だよ。ぼくは……Mでもあるからね、虐げられるとさらにヤる気になるんだ」
ズボンのベルトを外す音がし、ピンクの布が投げ捨てられた。
「ほら、ぼくがこんなに昂っているのわかる? ほら、ちゃんと見て!」
彩葉はぎゅっと目を閉じて、いやいやと首を横に振った。
絶対に見るものか、と。
辰之進も、変態御曹司の足元ににじり寄って、反撃を試みていた。
「ふぅん、辰之進がそういう態度なら、この女を今すぐ、ぼくのことが忘れられなくなるくらいに、激しく抱きつぶしてもいいんだよ?」
興奮と怒りが滲んだ声が、降り注いだ。
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