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『魔法少女の初仕事』⑩
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『魔法少女の初仕事』⑩
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まぁ、相手はヴィランだ。
後悔なんて、する必要はない……
破壊された街並み、逃げ惑っていた人々。
放っておけばどれだけの被害が出たか分からないのだから。
僕は正しい事をした。
ちょっと驚いちゃっただけだ。
化け物の様に見えたヴィランが、僕らと同じ血の色をしていて。
そう、ただそれだけだ。
「マスコットさん、初仕事終わったよ」
「じゃな」
「これで、いいんだよね?」
「……とどめまで刺す必要は無かったんじゃがな」
何が、……
「あのままほっとく訳にもいかないでしょ。あのヴィランなら、死にかけの状態でも何人も殺せた」
「魔法少女は滅多な事で殺しはしないのじゃ」
「なら、どうするのさ」
「行動不能にしたヴィランは、大体我のようなマスコット達が回収するのじゃよ」
「その後はどうなるの?」
「然るべき罰が与えられるのじゃ」
罰、ねぇ……
怪しいもんだ。
このマスコット、言動からして適当だし必要最低限の情報すら伝えてこない。
そもそもこの件だって今初めて聞いた。
こんな凶悪ヴィランを任せるなんて、信用できない。
途中で逃げられて二次被害でも発生しそうだ。
手の内を知られた上でヴィランと再戦とか、そんなの考えたくもない。
というか、実際に過去魔法少女に退治されたはずなのにまた現れたヴィランとかいたしね。
絶対、コイツの同類マスコットのせいだろ。
かなり強力なヴィランで、確かあの時はかなりの被害が出たはず。
「ま、初の実戦じゃったからな。そういうこともあるじゃろう」
「次からは気をつけるよ」
うん、マスコットに任せるのは無しだな。
ヴィランは全て殺してしまおう。
街の安全優先、何より自分の命が第一だ。
「それにしてもじゃ、セイクリット・アタックのう」
「なに?」
「いやぁ、随分ノリノリじゃったなと」
マスコットがニヤニヤと軽薄な笑みを浮かべながらそんな言葉を吐く。
別におかしな事ないだろ?
魔法少女らしく、必殺技でヴィランをぶっ飛ばしてやっただけだ。
セイクリット・アタック、神聖な攻撃。
……
「ちがっ、変身して戦い方が分かったみたいに必殺技も自然と浮かんだんだって」
「そうか、マジックウェポンにそんな機能はなかった様な気がするのじゃが」
え?
マジで!?
「まぁ、中学二年生じゃもんね。そういう時期かのう」
「……マスコット?」
「あ、怒ったのじゃ?」
ぐりぐり
「やめ、黙ってぐりぐりしないで。痛い、痛いのじゃ」
「僕は厨二病じゃない」
「は、はい。お主は厨二病じゃないのじゃ!」
「よろしい」
このマスコット、さっきまで命かけて戦ってた人間になんて言い草だ。
こんなんだから信用に値しないんだ。
「妹とお揃いの衣装で女装して必殺技名を叫んでただけじゃ。保証するのじゃ、お主は決して厨二病なんかじゃないのじゃ!」
「うるさい!」
「ひぃ、怖いのじゃ」
くっそ、楽しんでやがる。
大体、僕がこんな格好なのはお前と妹のせいだろ。
、ったく。
それに、厨二病って……
意味不明な疑いを掛けないでほしい。
あれぐらい、魔法少女としては普通だろ。
だよね?
どちらかといえば、その毛があるのは妹の方だ。
まぁ、妹の場合実力も伴ってるんだけど。
あれは中学に入ってすぐのことだったか。
妹の陰口というか、ありもしない噂話が学校で話題になった時。
ただ一言、「私は特別だから」って。
意味としては、「だから他人の意見なんて気にしない」なのか、「だから嫉妬されても仕方ない」なのか、そこら辺は聞いた事ないからわからないけど。
そんな事言えるか、普通。
仮に言った奴がいてそいつどう考えても痛いじゃん、自分は特別だからなんて思考さ。
でも、妹がそう言ったのを聞いた時思ったんだよね。
かっこいいって。
自慢の妹だし、妹相手に尊敬の感情すら抱いた。
だから、僕は魔法少女をやり遂げなきゃいけない。
セイクリット・アタックってセリフが似合うぐらい。
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まぁ、相手はヴィランだ。
後悔なんて、する必要はない……
破壊された街並み、逃げ惑っていた人々。
放っておけばどれだけの被害が出たか分からないのだから。
僕は正しい事をした。
ちょっと驚いちゃっただけだ。
化け物の様に見えたヴィランが、僕らと同じ血の色をしていて。
そう、ただそれだけだ。
「マスコットさん、初仕事終わったよ」
「じゃな」
「これで、いいんだよね?」
「……とどめまで刺す必要は無かったんじゃがな」
何が、……
「あのままほっとく訳にもいかないでしょ。あのヴィランなら、死にかけの状態でも何人も殺せた」
「魔法少女は滅多な事で殺しはしないのじゃ」
「なら、どうするのさ」
「行動不能にしたヴィランは、大体我のようなマスコット達が回収するのじゃよ」
「その後はどうなるの?」
「然るべき罰が与えられるのじゃ」
罰、ねぇ……
怪しいもんだ。
このマスコット、言動からして適当だし必要最低限の情報すら伝えてこない。
そもそもこの件だって今初めて聞いた。
こんな凶悪ヴィランを任せるなんて、信用できない。
途中で逃げられて二次被害でも発生しそうだ。
手の内を知られた上でヴィランと再戦とか、そんなの考えたくもない。
というか、実際に過去魔法少女に退治されたはずなのにまた現れたヴィランとかいたしね。
絶対、コイツの同類マスコットのせいだろ。
かなり強力なヴィランで、確かあの時はかなりの被害が出たはず。
「ま、初の実戦じゃったからな。そういうこともあるじゃろう」
「次からは気をつけるよ」
うん、マスコットに任せるのは無しだな。
ヴィランは全て殺してしまおう。
街の安全優先、何より自分の命が第一だ。
「それにしてもじゃ、セイクリット・アタックのう」
「なに?」
「いやぁ、随分ノリノリじゃったなと」
マスコットがニヤニヤと軽薄な笑みを浮かべながらそんな言葉を吐く。
別におかしな事ないだろ?
魔法少女らしく、必殺技でヴィランをぶっ飛ばしてやっただけだ。
セイクリット・アタック、神聖な攻撃。
……
「ちがっ、変身して戦い方が分かったみたいに必殺技も自然と浮かんだんだって」
「そうか、マジックウェポンにそんな機能はなかった様な気がするのじゃが」
え?
マジで!?
「まぁ、中学二年生じゃもんね。そういう時期かのう」
「……マスコット?」
「あ、怒ったのじゃ?」
ぐりぐり
「やめ、黙ってぐりぐりしないで。痛い、痛いのじゃ」
「僕は厨二病じゃない」
「は、はい。お主は厨二病じゃないのじゃ!」
「よろしい」
このマスコット、さっきまで命かけて戦ってた人間になんて言い草だ。
こんなんだから信用に値しないんだ。
「妹とお揃いの衣装で女装して必殺技名を叫んでただけじゃ。保証するのじゃ、お主は決して厨二病なんかじゃないのじゃ!」
「うるさい!」
「ひぃ、怖いのじゃ」
くっそ、楽しんでやがる。
大体、僕がこんな格好なのはお前と妹のせいだろ。
、ったく。
それに、厨二病って……
意味不明な疑いを掛けないでほしい。
あれぐらい、魔法少女としては普通だろ。
だよね?
どちらかといえば、その毛があるのは妹の方だ。
まぁ、妹の場合実力も伴ってるんだけど。
あれは中学に入ってすぐのことだったか。
妹の陰口というか、ありもしない噂話が学校で話題になった時。
ただ一言、「私は特別だから」って。
意味としては、「だから他人の意見なんて気にしない」なのか、「だから嫉妬されても仕方ない」なのか、そこら辺は聞いた事ないからわからないけど。
そんな事言えるか、普通。
仮に言った奴がいてそいつどう考えても痛いじゃん、自分は特別だからなんて思考さ。
でも、妹がそう言ったのを聞いた時思ったんだよね。
かっこいいって。
自慢の妹だし、妹相手に尊敬の感情すら抱いた。
だから、僕は魔法少女をやり遂げなきゃいけない。
セイクリット・アタックってセリフが似合うぐらい。
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