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『隣町』⑥
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『隣町』⑥
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さて、今現在ヴィランは暴れてこそいないようだが、僕的にそう遠くには行っていないんじゃなかろうかと予想している。
少なくとも、この街の何処かには居るはず。
単純に魔法少女を撃退したのだから逃げる必要が無いって言うのと、ここまで派手に破壊したんだしその後の惨状をみて悦に浸ったりするんじゃないかなという偏見。
確か、大したダメージも受けずに魔法少女を返り討ちにしたとか。
その実力から見て、多数相手ならともかく魔法少女が1人2人相手なら余裕を持って対応は可能。
最悪でも逃走できないなんてことにはならない。
これでこの街から離れる訳ない、はず。
「ほら先輩、あなたの出番」
「へ?」
「へ、じゃなくて。ヴィランを探すの! 得意なんでしょ遠くを見るの」
「警察も沢山来てるのに、本当に居るんですか?」
「おそらく」
「でも、何も手がかりが無い状態で街中をってなると、かなり時間が掛かっちゃうんですけど」
「そういうの、スナイパーのお箱じゃないの?」
「うっ……」
別に何かタイムリミットがあるわけではない。
ただ、僕のことがいつマスコット側にいつ把握されるかも不明だし、この街に別の魔法少女が来て交渉どころでは無くなるもしくはヴィランが撤退なんて事になる可能性もある。
早く終わるならそれに越した事はない。
せっかくの光景だ。
見るなら見晴らしがいい場所の方がいい。
屋上か、もしくはマンションの上層階。
勝手な想像だが、力のあるヴィランは豪華な部屋で女でも侍らしてそうなイメージがある。
暴力団とか、マフィア的な?
街の真ん中にあるでっかいビル、傾いてこそいるが周りの光景に比べ比較的被害が少なそうに見える。
「多分、あのマンションの上層階。居なければ他の建物の上層階、もしくは屋上だな」
「アキさん、何でそんな事分かるんですか!?」
「ただの勘。いいからさっさと働け、そこに居なければまた考える」
「は、はい!」
先輩が変身するのを横目に見守る。
それにしても、魔法少女でスナイパーなんてやってるならヴィランの潜伏場所の選定なんて必須技能なんじゃ無いのか?
一年近くも活動してたって言うから、正面戦闘の経験が少ないだけで能力を活かしてヴィランと戦って来たんだろうと思っていたけど……
この感じ、ただ暴れてるヴィランを遠くから狙撃するぐらいのことしかやってなさそうだな。
やっぱり、そこら辺は魔法少女の機能で補助してくれたりは無いんだな。
遠距離も遠距離で大変だ。
まぁ、一年あったのに学ぼうともしなかったこの先輩は論外だけど。
正直、僕の予想が全くの的外れって説もある。
ただの勘だしね。
仮に見つからなかったとしても、ヴィランが居る可能性がある以上探すしかないんだが。
他の魔法少女に会うのを一番避けたい事に変わりはないが、ヴィランに奇襲されるのも困るのだ。
交渉に持ち込むには、こっちが有利とはいかずともせめて対等、絶対に不利な状況を作るわけにはいかない。
時間稼ぎだと思われたら交渉の余地がなくなる。
「あ、居ました!」
「どこ?」
「あそこです! アキさんが言ってた一番おっきい建物の最上階です」
「わお、ドンピシャ」
やっぱりか。
と言っても、別に先輩がポンコツなだけで自然に考えればあそこだろう。
警察とかも流石に把握はしてるだろうな。
魔法少女もなしにヴィランの拠点に突っ込む気が無いだけで。
ヴィランへの態度はどこも一緒、基本魔法少女任せだ。
情報自体は有力な魔法少女に共有されてる可能性が高いか。
どうするつもりなのかね。
戦力を集めているのか、
避難の完了が確認されるまで下手なちょっかいをかけないだけなのか、
あのヴィランは一旦諦めることにしたのか、
まぁいい。
「アキさん、流石です!」
「よいしょしても連れてくからな」
「うぅ……。でも、強そうですよ」
「そりゃ、そうだろうな。対応した魔法少女が重症だ」
「ひぇ、やっぱやめましょうよぉ」
それで、はい辞めましょうってなるわけないだろ。
っていうか、先輩もいい加減理解はしてるだろ。
それでも口に出ちゃうぐらい怖いんだろうけどさ。
「魔法少女2人、しかも直接会う距離なら実質私は戦力外だし1.5人分ぐらいしか……」
「戦いに行くわけじゃないし。それに逃げるだけなら僕は大丈夫だから」
「あ、あの……、私は?」
「……さぁ、行こっか」
「ちょ、嘘ですよね?」
「うるさい殺人鬼! 先輩は同類なんだし、きっと仲良くなれるよ」
「……」
今にも逃げたそうだ。
まぁ、今逃げてここで僕に殺されるか、あのマンション行ってヴィランに殺されるかだ。
寿命は長い方がいい、だろ?
それに、ヴィランの方は確実に殺されると決まった訳でもないんだ。
それぐらい分かってるさ。
先輩が、あんまりにもバカじゃなければ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『隣町』ー完ー
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さて、今現在ヴィランは暴れてこそいないようだが、僕的にそう遠くには行っていないんじゃなかろうかと予想している。
少なくとも、この街の何処かには居るはず。
単純に魔法少女を撃退したのだから逃げる必要が無いって言うのと、ここまで派手に破壊したんだしその後の惨状をみて悦に浸ったりするんじゃないかなという偏見。
確か、大したダメージも受けずに魔法少女を返り討ちにしたとか。
その実力から見て、多数相手ならともかく魔法少女が1人2人相手なら余裕を持って対応は可能。
最悪でも逃走できないなんてことにはならない。
これでこの街から離れる訳ない、はず。
「ほら先輩、あなたの出番」
「へ?」
「へ、じゃなくて。ヴィランを探すの! 得意なんでしょ遠くを見るの」
「警察も沢山来てるのに、本当に居るんですか?」
「おそらく」
「でも、何も手がかりが無い状態で街中をってなると、かなり時間が掛かっちゃうんですけど」
「そういうの、スナイパーのお箱じゃないの?」
「うっ……」
別に何かタイムリミットがあるわけではない。
ただ、僕のことがいつマスコット側にいつ把握されるかも不明だし、この街に別の魔法少女が来て交渉どころでは無くなるもしくはヴィランが撤退なんて事になる可能性もある。
早く終わるならそれに越した事はない。
せっかくの光景だ。
見るなら見晴らしがいい場所の方がいい。
屋上か、もしくはマンションの上層階。
勝手な想像だが、力のあるヴィランは豪華な部屋で女でも侍らしてそうなイメージがある。
暴力団とか、マフィア的な?
街の真ん中にあるでっかいビル、傾いてこそいるが周りの光景に比べ比較的被害が少なそうに見える。
「多分、あのマンションの上層階。居なければ他の建物の上層階、もしくは屋上だな」
「アキさん、何でそんな事分かるんですか!?」
「ただの勘。いいからさっさと働け、そこに居なければまた考える」
「は、はい!」
先輩が変身するのを横目に見守る。
それにしても、魔法少女でスナイパーなんてやってるならヴィランの潜伏場所の選定なんて必須技能なんじゃ無いのか?
一年近くも活動してたって言うから、正面戦闘の経験が少ないだけで能力を活かしてヴィランと戦って来たんだろうと思っていたけど……
この感じ、ただ暴れてるヴィランを遠くから狙撃するぐらいのことしかやってなさそうだな。
やっぱり、そこら辺は魔法少女の機能で補助してくれたりは無いんだな。
遠距離も遠距離で大変だ。
まぁ、一年あったのに学ぼうともしなかったこの先輩は論外だけど。
正直、僕の予想が全くの的外れって説もある。
ただの勘だしね。
仮に見つからなかったとしても、ヴィランが居る可能性がある以上探すしかないんだが。
他の魔法少女に会うのを一番避けたい事に変わりはないが、ヴィランに奇襲されるのも困るのだ。
交渉に持ち込むには、こっちが有利とはいかずともせめて対等、絶対に不利な状況を作るわけにはいかない。
時間稼ぎだと思われたら交渉の余地がなくなる。
「あ、居ました!」
「どこ?」
「あそこです! アキさんが言ってた一番おっきい建物の最上階です」
「わお、ドンピシャ」
やっぱりか。
と言っても、別に先輩がポンコツなだけで自然に考えればあそこだろう。
警察とかも流石に把握はしてるだろうな。
魔法少女もなしにヴィランの拠点に突っ込む気が無いだけで。
ヴィランへの態度はどこも一緒、基本魔法少女任せだ。
情報自体は有力な魔法少女に共有されてる可能性が高いか。
どうするつもりなのかね。
戦力を集めているのか、
避難の完了が確認されるまで下手なちょっかいをかけないだけなのか、
あのヴィランは一旦諦めることにしたのか、
まぁいい。
「アキさん、流石です!」
「よいしょしても連れてくからな」
「うぅ……。でも、強そうですよ」
「そりゃ、そうだろうな。対応した魔法少女が重症だ」
「ひぇ、やっぱやめましょうよぉ」
それで、はい辞めましょうってなるわけないだろ。
っていうか、先輩もいい加減理解はしてるだろ。
それでも口に出ちゃうぐらい怖いんだろうけどさ。
「魔法少女2人、しかも直接会う距離なら実質私は戦力外だし1.5人分ぐらいしか……」
「戦いに行くわけじゃないし。それに逃げるだけなら僕は大丈夫だから」
「あ、あの……、私は?」
「……さぁ、行こっか」
「ちょ、嘘ですよね?」
「うるさい殺人鬼! 先輩は同類なんだし、きっと仲良くなれるよ」
「……」
今にも逃げたそうだ。
まぁ、今逃げてここで僕に殺されるか、あのマンション行ってヴィランに殺されるかだ。
寿命は長い方がいい、だろ?
それに、ヴィランの方は確実に殺されると決まった訳でもないんだ。
それぐらい分かってるさ。
先輩が、あんまりにもバカじゃなければ。
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『隣町』ー完ー
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