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『先輩、生贄になる』①
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『先輩、生贄になる』①
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わらしべ、成功っと。
弱っちい先輩とただの小動物の死骸が強力な戦力に早変わり。
いやぁ、我ながら上手くいった。
まぁ、別にそうと決まったわけではないし、なんならそうならない可能性も余裕で有るんだけど。
その可能性を手に入れたってだけでも儲けものだ。
期待値としては大幅プラス、なんたって掛け金が掛け金だし。
……あ、そうだ。
「一応、勘違いはして欲しくないから言うんだけど」
「あ? なんだ?」
「別に僕、仲間を売るような事はしないからね」
「……この女は?」
「この娘は仲間じゃ無いから」
ここら辺、勘違いされたくはない。
仲間を売るような信用ならない奴だと思われてたら、上手くいくものもいかなくなる。
それじゃダメだ。
先輩は僕の奴隷であり所有物。
別に仲間とかそういった存在では無いのだ。
そこんとこ、誤解の無いように。
「いや、そこ自己判断じゃ意味ねーだろ」
「違うって。……せっかくだから、さっきの質問に答えるよ」
「質問?」
「僕がマスコットを信用出来ないと思った理由」
「お、おう」
「それ聞けばこの娘が仲間じゃ無いってのも理解してもらえると思うから」
やっぱ、そう思われちゃってたか。
先輩との関係、ちゃんと説明しておくべきだな。
どのみち、話す必要のあった事だ。
これは先輩も知ってる事。
このヴィランとある程度長い付き合いを意識するのであれば、だ。
別段、隠す意味もないだろう。
もういいか。
「僕、このマスコットと契約して魔法少女になったんだよね」
「だろうな」
「確か、今日のお昼頃」
「昼?」
「ん? うん、昼」
「……それは、なんと言うか予想外だな」
「そう?」
先輩にも言われたが、そんなに意外なのだろうか。
考えてみれば、魔法少女になったからと言って別に戦闘の訓練を受けるわけじゃない。
そりゃ、歴の長い方が優れている可能性が高いとは思うが、スポーツなんかほど顕著ではないと思う。
歴より本人の資質によるところが大きいのだろうか?
ポンコツ先輩はポンコツなのでそのまま流したが、このヴィランから見てもそう見えるってことは僕にはそこそこ魔法少女としての才能ってやつがあるのかも知れない。
だから、初心者だっていうのが意外に見えた。
なんか良いな才能って言葉、妹が言われてるのはよく聞いていたが僕には無縁だったから。
まぁ、魔法少女に先輩みたいなポンコツが多いって線もあるが。
魔法少女自体、詐欺に引っかかってなるようなものだし。
それに引っかかるってことは、必然的に似たような人が集まるみたいな?
……多分、後者だろうな。
「随分、戦闘慣れしてるように見えたからな。それに、価値観もなんと言うか一般人離れしていた」
「へぇ、あなたから見てもそう見えたんだ」
「だが、そうか……。今日、魔法少女になったばかりの女に拳を止められたのか」
「信じられない?」
「まぁ、な」
「さっきも意外だって言われたんだよね」
「誰に?」
「この娘に」
「……魔法少女になった後、出会ったのか」
口ぶり的に、拳を止めた相手が初心者だと知って結構ショックだったのだろうか?
別に本気でもなかったくせに。
いや、本気じゃなくても歴の浅い奴に止められればそれなりに驚きはするか。
ヴィランのプライドを刺激するつもりはなかったんだが。
「変身すれば体は勝手に動く、知ってるでしょ?」
「上手く動かせない魔法少女も多い。この女の方が歴も長いのだろうが、現に俺の攻撃には対応出来ていなかった」
「それは、この娘が鈍臭いだけなんじゃない?」
「随分な言い草だな。一応、魔法少女としては先輩なのだろう?」
まぁ、先輩はポンコツ先輩だから。
仕方ないね。
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わらしべ、成功っと。
弱っちい先輩とただの小動物の死骸が強力な戦力に早変わり。
いやぁ、我ながら上手くいった。
まぁ、別にそうと決まったわけではないし、なんならそうならない可能性も余裕で有るんだけど。
その可能性を手に入れたってだけでも儲けものだ。
期待値としては大幅プラス、なんたって掛け金が掛け金だし。
……あ、そうだ。
「一応、勘違いはして欲しくないから言うんだけど」
「あ? なんだ?」
「別に僕、仲間を売るような事はしないからね」
「……この女は?」
「この娘は仲間じゃ無いから」
ここら辺、勘違いされたくはない。
仲間を売るような信用ならない奴だと思われてたら、上手くいくものもいかなくなる。
それじゃダメだ。
先輩は僕の奴隷であり所有物。
別に仲間とかそういった存在では無いのだ。
そこんとこ、誤解の無いように。
「いや、そこ自己判断じゃ意味ねーだろ」
「違うって。……せっかくだから、さっきの質問に答えるよ」
「質問?」
「僕がマスコットを信用出来ないと思った理由」
「お、おう」
「それ聞けばこの娘が仲間じゃ無いってのも理解してもらえると思うから」
やっぱ、そう思われちゃってたか。
先輩との関係、ちゃんと説明しておくべきだな。
どのみち、話す必要のあった事だ。
これは先輩も知ってる事。
このヴィランとある程度長い付き合いを意識するのであれば、だ。
別段、隠す意味もないだろう。
もういいか。
「僕、このマスコットと契約して魔法少女になったんだよね」
「だろうな」
「確か、今日のお昼頃」
「昼?」
「ん? うん、昼」
「……それは、なんと言うか予想外だな」
「そう?」
先輩にも言われたが、そんなに意外なのだろうか。
考えてみれば、魔法少女になったからと言って別に戦闘の訓練を受けるわけじゃない。
そりゃ、歴の長い方が優れている可能性が高いとは思うが、スポーツなんかほど顕著ではないと思う。
歴より本人の資質によるところが大きいのだろうか?
ポンコツ先輩はポンコツなのでそのまま流したが、このヴィランから見てもそう見えるってことは僕にはそこそこ魔法少女としての才能ってやつがあるのかも知れない。
だから、初心者だっていうのが意外に見えた。
なんか良いな才能って言葉、妹が言われてるのはよく聞いていたが僕には無縁だったから。
まぁ、魔法少女に先輩みたいなポンコツが多いって線もあるが。
魔法少女自体、詐欺に引っかかってなるようなものだし。
それに引っかかるってことは、必然的に似たような人が集まるみたいな?
……多分、後者だろうな。
「随分、戦闘慣れしてるように見えたからな。それに、価値観もなんと言うか一般人離れしていた」
「へぇ、あなたから見てもそう見えたんだ」
「だが、そうか……。今日、魔法少女になったばかりの女に拳を止められたのか」
「信じられない?」
「まぁ、な」
「さっきも意外だって言われたんだよね」
「誰に?」
「この娘に」
「……魔法少女になった後、出会ったのか」
口ぶり的に、拳を止めた相手が初心者だと知って結構ショックだったのだろうか?
別に本気でもなかったくせに。
いや、本気じゃなくても歴の浅い奴に止められればそれなりに驚きはするか。
ヴィランのプライドを刺激するつもりはなかったんだが。
「変身すれば体は勝手に動く、知ってるでしょ?」
「上手く動かせない魔法少女も多い。この女の方が歴も長いのだろうが、現に俺の攻撃には対応出来ていなかった」
「それは、この娘が鈍臭いだけなんじゃない?」
「随分な言い草だな。一応、魔法少女としては先輩なのだろう?」
まぁ、先輩はポンコツ先輩だから。
仕方ないね。
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