悪役令嬢のafter story〜王子に婚約破棄されて公爵家からも勘当された少女は好きに生きていく事にしました〜

二章※1話以降現在推敲中

2話

2話
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　という訳で、冒険者ギルドの方に来た。
　職業柄か、他の場所よりローブを着ている人間も多い。
　これなら無駄な注目を集めることも無いだろう。

　中に入ると、朝とは随分と違った光景だ。
　相変わらずアルコールの匂いはするが、飲んだくれてる人間はだいぶ少ない。
　依頼を張ってはる掲示板も前よりは埋まってる気がする。

　あの後、張り替えがあったのだろう。
　美味しい依頼の奪い合いである。
　まだ飲んだくれてるのは、その奪い合いに負けたやつだろうか？

　もしくは、早めに仕事を終わらせたやつか。

　受付にもちょこちょこ冒険者がいるが、空いてはいるっぽい。
　結構余裕を持って置かれてるようだ。
　待ち時間が少ないのは、冒険者にとっても依頼をする人間にとっても良いことだろう。

　まぁ、その分ギルドのマージンが抜かれているのだろうけど。
　王都内での仕事が、同じような内容の日雇いより稼げない理由もそれだ。

　そこに文句を言っても仕方ないのだけど。
　儲けがないと運営も出来ないし。
　ここ王都だけならともかく、田舎の方の人が少ないギルドの維持費も捻出しなきゃ行けないのだろうし。

　例の受付嬢は……
　あ、いた。
　ちょうど空いてる。

　朝、依頼の処理をしてもらったのと変わらない席だ。
　冒険者ギルドの受付嬢。
　これ、結構な長時間労働らしい。

　お金を稼ぐっていうのは大変だ。

「ねぇ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「はい、如何いたしましたか？」

「どこか、良さげな宿知らない？」

「……へ？」

　受付嬢の動きがちょっと停止する。
　初めてギルドを使った時、依頼をしに来たんじゃなくて冒険者になりに来たって言った時と同じ。
　私、何かおかしなこと言っただろうか？

　……よく考えれば、これを受付嬢に聞くのは失礼だったかもしれない。
　どう考えても受付嬢の仕事じゃないし。
　屋台のおっちゃんはあんな感じだったから良いとして、この受付嬢見るからに真面目そう。

「えっと、私今日ここで冒険者になった者なんだけど。ギルドなら、冒険者向けにおすすめの宿とか紹介してたりしないかなぁって思って」

　とりあえず仕事の邪魔をしに来た訳ではないですよとアピール。
　ついでに、冒険者カードも渡しておく。
　あくまで冒険者としてギルドに質問しに来ましたって事で。

　なんか言い訳くさくなってしまった。
　いや、まごうことなき言い訳だけど。

「あ、あなたは！」

「覚えててくれたんですか？」

「えっと……、中級の魔法使いなんて珍しいですから」

「あぁ、なるほど」

「それに、ギルドには女の子も滅多に来ないですし」

　どうやら私のことを覚えてくれていたらしい。
　まぁ、中級魔法なんて庶民には滅多にいないし。
　印象にも残るか。

　あと、やっぱり女ってだけで結構目立つようだ。
　ローブを買っておいてよかった。
　注目されるだけならまだしも、ナンパとかストーカーとかされても困る。

　流石に、冒険者を殺したのがバレたらギルドは使えないだろうし。

「ギルドの周りにいくつか宿がありますが」

「昨日泊まったんだけど、体痛くなっちゃって」

「なるほど」

　受付嬢が何か資料のようなものをめくっている。
　やっぱり、紹介用の宿があるらしい。

「ちょっと、ご予算高くなっちゃうんですけど」

「それは大丈夫」

「でしたら、こちらなんていかがでしょうか？」

　資料を見せてくれる。
　部屋の広さとかベットのブランドとか色々書いてある。
　まぁ、いまいち分からないけど。

　分からないものは仕方がない。
　とりあえず、受付嬢の言葉を信じることにしよう。

「じゃあ、そこで」

「はい、少々お待ちください」

　簡単な地図と紹介状をくれた。
　紹介状と冒険者カードを一緒に提示すると、初回は料金が1割引になるらしい。
　結構ガッツリ提携してるっぽいな。

　何かなら何までありがたい。

「仕事の邪魔してごめんね」

「いえ、冒険者のサポートが私の仕事ですので」

　本当に良い人だ。
　利用しといてなんだが、心配になるレベルである。

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