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二章※1話以降現在推敲中
19話
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19話
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宿を出た。
向かうのは、冒険者ギルド近くの安宿だ。
奴隷たちにはやって貰う事がある。
鍵はかかっているが、安宿の鍵はそう複雑でもない。
魔法が使える人間なら解錠可能だ。
特に私は昨日この部屋の鍵を見たので、簡単に土魔法で再現できてしまう。
まぁ、私レベルになれば今泊まってるような宿のレベルの鍵でも大して意味をなさないのだけど。
部屋に入ると、全員が起床していた。
「おはよう」
スラムの匂いだ。
もう慣れてしまったが、嗅いでて愉快な匂いではない。
そりゃ、奴隷を何人も一室に入れればこうなるか。
私に買われたと言うことは覚えているらしい。
全員が言葉も発さずに頭を下げる。
それが奴隷として正しい態度なのかはよくわからないが、お爺さんぐらいの人間に頭を下げられると言うのもなかなかに珍しい経験だ。
私より身分がしたの人間はいくらでもいる。
ただ、もう隠居してるのがほとんどだ。
親世代に敬われるならともかく、その上はほぼ会う機会がない。
「早速だけど、君たちにはやってもらいたい事があるんだ」
それぐらいは理解しているだろう。
疑問はないらしい。
ま、目的もなく奴隷を飼う人間なんていない。
特に、こんな安いだけの奴隷なんて。
明確な使用用途がないとただの無駄金になる。
「ちょっと、商売の手伝いをして欲しい」
昨日、奴隷の疲労具合を加味して休養に当てたのは結構良かったのかもしれない。
少なくとも私の話を真面目に聞くつもりはあるようだ。
闇ギルドの扱いがそれだけひどかったのだろうけど、優遇する価値もないのだから仕方ない。
「あ、奴隷だからってただでこき使うつもりはないからね? 儲けの一部を君たちに還元するから、自分を買い取ることも不可能じゃないかも」
別にお金を払ってやる必要はない。
ただ、モチベーションがないと仕事の質が低下するのは常だ。
奴隷の頑張りが直接私の報酬に結びつくので多少は必要経費だ。
そもそも、生活の面倒を見てやるのも手間だしね。
お金を適当に渡して自分でやって貰った方が楽だろう。
一緒にいて楽しい人種でもないのだし。
「まぁ、維持費が想像以上にかかるから。ちょっと高額になっちゃうけど」
買い取る事が不可能じゃないと言うのも本当だ。
老先短い彼らが自由になりたいのかは知らないが、これも一種のモチーベーション管理だ。
お金を貯めても奴隷のままだとご主人様の命令で徴収できちゃうからね。
奴隷は主人の持ち物。
人権はない。
つまり、奴隷の物はご主人様の物だ。
ただ、本当に自由にしてやるつもりはない。
設定金額は、金貨数枚ぐらいに設定しておけばいいだろう。
どうせ貯まらないと思うけど。
本当に貯めた人間がいたら、奴隷からは解放しないけど職務からは解放してあげるかな。
別に嘘は言っていない。
要は、自分の残りの寿命分を買い取るのだ。
奴隷から解放するのはちょっと、ね?
機密の保持は絶対なのだ。
だから奴隷にしたままその手の契約を結ばせてもらう。
ライバルが増えても困るし、私のことを言いふらされても困るのだ。
「やる?」
形ばかりの問いかけである。
相手は奴隷だし、そもそもこいつらに拒否権はない。
拒否されたところで、処分以外の選択肢もない。
でも、これも重要である。
モチベーション維持の一環だ。
命令されてやるのと自発的にやるのとじゃ雲泥の差。
それに、奴隷がここまでの待遇を受けることもないだろう。
報酬は出来高制。
本人の頑張りによっては、奴隷に落ちる前より待遇が良くなる可能性もある。
奴隷全員が頷くまで大した時間もかからなかった。
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宿を出た。
向かうのは、冒険者ギルド近くの安宿だ。
奴隷たちにはやって貰う事がある。
鍵はかかっているが、安宿の鍵はそう複雑でもない。
魔法が使える人間なら解錠可能だ。
特に私は昨日この部屋の鍵を見たので、簡単に土魔法で再現できてしまう。
まぁ、私レベルになれば今泊まってるような宿のレベルの鍵でも大して意味をなさないのだけど。
部屋に入ると、全員が起床していた。
「おはよう」
スラムの匂いだ。
もう慣れてしまったが、嗅いでて愉快な匂いではない。
そりゃ、奴隷を何人も一室に入れればこうなるか。
私に買われたと言うことは覚えているらしい。
全員が言葉も発さずに頭を下げる。
それが奴隷として正しい態度なのかはよくわからないが、お爺さんぐらいの人間に頭を下げられると言うのもなかなかに珍しい経験だ。
私より身分がしたの人間はいくらでもいる。
ただ、もう隠居してるのがほとんどだ。
親世代に敬われるならともかく、その上はほぼ会う機会がない。
「早速だけど、君たちにはやってもらいたい事があるんだ」
それぐらいは理解しているだろう。
疑問はないらしい。
ま、目的もなく奴隷を飼う人間なんていない。
特に、こんな安いだけの奴隷なんて。
明確な使用用途がないとただの無駄金になる。
「ちょっと、商売の手伝いをして欲しい」
昨日、奴隷の疲労具合を加味して休養に当てたのは結構良かったのかもしれない。
少なくとも私の話を真面目に聞くつもりはあるようだ。
闇ギルドの扱いがそれだけひどかったのだろうけど、優遇する価値もないのだから仕方ない。
「あ、奴隷だからってただでこき使うつもりはないからね? 儲けの一部を君たちに還元するから、自分を買い取ることも不可能じゃないかも」
別にお金を払ってやる必要はない。
ただ、モチベーションがないと仕事の質が低下するのは常だ。
奴隷の頑張りが直接私の報酬に結びつくので多少は必要経費だ。
そもそも、生活の面倒を見てやるのも手間だしね。
お金を適当に渡して自分でやって貰った方が楽だろう。
一緒にいて楽しい人種でもないのだし。
「まぁ、維持費が想像以上にかかるから。ちょっと高額になっちゃうけど」
買い取る事が不可能じゃないと言うのも本当だ。
老先短い彼らが自由になりたいのかは知らないが、これも一種のモチーベーション管理だ。
お金を貯めても奴隷のままだとご主人様の命令で徴収できちゃうからね。
奴隷は主人の持ち物。
人権はない。
つまり、奴隷の物はご主人様の物だ。
ただ、本当に自由にしてやるつもりはない。
設定金額は、金貨数枚ぐらいに設定しておけばいいだろう。
どうせ貯まらないと思うけど。
本当に貯めた人間がいたら、奴隷からは解放しないけど職務からは解放してあげるかな。
別に嘘は言っていない。
要は、自分の残りの寿命分を買い取るのだ。
奴隷から解放するのはちょっと、ね?
機密の保持は絶対なのだ。
だから奴隷にしたままその手の契約を結ばせてもらう。
ライバルが増えても困るし、私のことを言いふらされても困るのだ。
「やる?」
形ばかりの問いかけである。
相手は奴隷だし、そもそもこいつらに拒否権はない。
拒否されたところで、処分以外の選択肢もない。
でも、これも重要である。
モチベーション維持の一環だ。
命令されてやるのと自発的にやるのとじゃ雲泥の差。
それに、奴隷がここまでの待遇を受けることもないだろう。
報酬は出来高制。
本人の頑張りによっては、奴隷に落ちる前より待遇が良くなる可能性もある。
奴隷全員が頷くまで大した時間もかからなかった。
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