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二章※1話以降現在推敲中

30話

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30話
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「今日は、洗いっこしよっか?」

「えっ!?」

 男の子が大袈裟に驚く。
 何もそんな反応しなくてもいいじゃん。

「お世話係なんだから、私の体を洗うの当然でしょ?」

「そ、そうなんですか?」

「だって、ボスから命令されたお仕事でしょ?」

「お仕事……」

「そう、お仕事。だから真面目にやらないと」

「う、うん」

 この子は真面目なのだ。
 こう言われると断れない。

 頬が赤く染まっている。
 なんかいじめてるみたいだな。
 別にそんなつもりないのに。

 ……本当だよ?

「頑張ったら、ご褒美におねぇちゃんが体洗ってあげる」

「えっと、」

「嬉しくない?」

「ちょ、ちょっと恥ずかしいです」

「おませさんね」

 顔全体が真っ赤に染まった。
 本当に可愛い反応をする。
 そんなんだから揶揄いたくなっちゃうんだけど。

 やりすぎは嫌われちゃうから程々に。
 と言っても、女の子に興味ないって訳でもないっぽいし。
 単に、照れてるだけだと思うけど。

 水球を宙に浮かべる。
 火魔法の混じった、お湯だ。

 男の子の服を脱がしていく。
 混乱してしまったのかされるがまま。
 目もくるくるしている。

 これじゃまるで私がお世話してるみたい。
 別にそれもいいけどね。

 私も服を脱ぐ。
 洗ってもらうのに、着たままじゃ無理だしね。
 流石にちょっと緊張するな。

 異性に裸を見せるのは初めてかもしれない。
 お互い生まれたままの姿になって。
 まだ混乱したままの彼のことを抱きしめる。

「ひゅっ」

「?」

 男の子が小さな悲鳴をあげる。
 体から力が抜けて、私に寄りかかるように倒れてしまった。
 えっと、どうしよう。

 ……

 ベットに入る。

 男の子は横に寝かせてある。
 裸を見て顔を真っ赤にして倒れてしまった。
 可愛い子だ。

 気持ちよさそうな寝顔。
 気絶した瞬間、一瞬心配したけど。
 まぁ、問題なさそうだ。

「疲れた」

 思わず独り言か口から出る。
 それぐらい、大変だった。
 今日は、久しぶりに頭を使った気もするし。

 まぁ、私が何か考えたって訳じゃないけど。
 特に労働に精を出した訳でもないし。
 これは、気疲れってやつなのかもしれない。

 主に頑張ったのは奴隷だ。
 ただ、それがコケれば私も何かしなきゃいけないわけで。
 そんな意味で疲労が溜まったのだ。

 自分が頑張ればどうにかなるものってのは、どうにかなってきた人生だった。
 逆に他人に任せたり期待して上手く行った経験が少ない。
 だから、こんな変な意味で疲労がたまってしまったのかもしれない。

 やっと運が向いてきた。
 今まで、私は周りの人間に恵まれなかった。
 王子に、売女に、そんなんばっかり。

 それが、どうした。
 ボスも奴隷も。
 今では有能だらけだ。

 私の足を引っ張ったりしない。
 むしろ、私を引き上げてくれるタイプの人間。
 それが複数だ。

 ストレスも、男の子が軽減してくれるし。
 体は洗ってもらえなかったけど。
 こうやって寝顔を見てるだけでも癒される。

 あ、あと屋台のおじさんも。
 トードーは美味しいし。
 会話してて、気が楽になる。

 心から思う。
 婚約破棄してくれて、勘当してくれて、本当に良かったなって。

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【第二章】ー完ー
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