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本編
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カチャカチャという金属物が触れ合う音を背後から聞くだけで恐怖心を煽られる。百合は待合で待たされている間ですでに精神的に疲労していた。
(ワイヤー外れの患者で気分が良くなって親知らずを抜こうと張り切られたらどうしよう)
勝手な思い込みで百合は一人で気分を悪くしていた。待ち時間がより妄想を掻き立てているのだ。ため息をこぼすと背後から声をかけられた。
「お待たせして申し訳ありません。歯科衛生士の谷と言います。今日は先に歯ブラシ指導からさせてもらいますね」
「……よろしくお願いします」
ひどく落ち込んでいる百合の姿に香苗は余計な心配を始めた。
(なんだ?もしや笹岡様はすでに先生のことが好きなのか?黛様と先生のやり取りで変な勘違いをして落ち込んでいる?うそ、そういうこと?えー、全然ちがうよぉ!?それ本当に勘違いだからねぇ!!)
香苗も大きな勘違いをしている。
「普段どんな風に歯磨きされてます?」
香苗から歯ブラシを手渡された百合は遠慮がちにそれを受け取り言われる通り普段磨くように歯ブラシを歯にあてた。香苗は終始優しくブラッシングの指導をしてくれて痛いことは何一つなく、百合の心は次第に落ち着きを取り戻しつつあった。
「この左上が笹岡様は少し頬っぺた側に歯が傾いているのでここを磨くときだけは意識して丁寧に磨いたほうがいいですね。歯石がたまりやすくなります。タフトブラシっていう部分磨き用の歯ブラシもあるのでポイント磨きにはお勧めですよ」
「へぇ、いろいろあるんですね……私たいして歯磨きも意識して磨くよりかは虫歯ができないようにってことしか考えずに適当に磨いていました」
「それが一番大切じゃないですか。毎日規則的に磨くが基本です。初期段階の虫歯なんかは自力でも治せちゃうんですよ?まずはブラッシングです。フッ素入りの歯磨き粉を使って重曹水でお口をうがいするのもいいですよ~」
「ほぉぉ……それはなんと素晴らしいことでしょう」
(素直に聞いて可愛いなぁ、この子本当に二十三歳?学生みたいにウブでピュアって感じ)
素直に聞き入れる百合にほわほわした気持ちを抱いていた香苗だが、百合は単純に歯医者が嫌いなだけだから通わないなら万々歳!と、邪な気持ちで聞いているのだとは思っていない。そんなとき、“コンコン”と壁を叩く音がした。香苗と百合がその音に視線を送ると三嶌が目を細めて立っていた。
「TBI終わった?」
「あ、はい。オッケーです」
香苗が慌ててチェアーサイドを片付けだすと百合の体の硬直に気づく。
(え、めっちゃ緊張してるじゃん……もう絶対好きなんじゃない?これはもう恋による緊張と硬直に間違いないな!!)
香苗もまた百合への好感度が上がったことで興奮が暴走しかけていた。
(ワイヤー外れの患者で気分が良くなって親知らずを抜こうと張り切られたらどうしよう)
勝手な思い込みで百合は一人で気分を悪くしていた。待ち時間がより妄想を掻き立てているのだ。ため息をこぼすと背後から声をかけられた。
「お待たせして申し訳ありません。歯科衛生士の谷と言います。今日は先に歯ブラシ指導からさせてもらいますね」
「……よろしくお願いします」
ひどく落ち込んでいる百合の姿に香苗は余計な心配を始めた。
(なんだ?もしや笹岡様はすでに先生のことが好きなのか?黛様と先生のやり取りで変な勘違いをして落ち込んでいる?うそ、そういうこと?えー、全然ちがうよぉ!?それ本当に勘違いだからねぇ!!)
香苗も大きな勘違いをしている。
「普段どんな風に歯磨きされてます?」
香苗から歯ブラシを手渡された百合は遠慮がちにそれを受け取り言われる通り普段磨くように歯ブラシを歯にあてた。香苗は終始優しくブラッシングの指導をしてくれて痛いことは何一つなく、百合の心は次第に落ち着きを取り戻しつつあった。
「この左上が笹岡様は少し頬っぺた側に歯が傾いているのでここを磨くときだけは意識して丁寧に磨いたほうがいいですね。歯石がたまりやすくなります。タフトブラシっていう部分磨き用の歯ブラシもあるのでポイント磨きにはお勧めですよ」
「へぇ、いろいろあるんですね……私たいして歯磨きも意識して磨くよりかは虫歯ができないようにってことしか考えずに適当に磨いていました」
「それが一番大切じゃないですか。毎日規則的に磨くが基本です。初期段階の虫歯なんかは自力でも治せちゃうんですよ?まずはブラッシングです。フッ素入りの歯磨き粉を使って重曹水でお口をうがいするのもいいですよ~」
「ほぉぉ……それはなんと素晴らしいことでしょう」
(素直に聞いて可愛いなぁ、この子本当に二十三歳?学生みたいにウブでピュアって感じ)
素直に聞き入れる百合にほわほわした気持ちを抱いていた香苗だが、百合は単純に歯医者が嫌いなだけだから通わないなら万々歳!と、邪な気持ちで聞いているのだとは思っていない。そんなとき、“コンコン”と壁を叩く音がした。香苗と百合がその音に視線を送ると三嶌が目を細めて立っていた。
「TBI終わった?」
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(え、めっちゃ緊張してるじゃん……もう絶対好きなんじゃない?これはもう恋による緊張と硬直に間違いないな!!)
香苗もまた百合への好感度が上がったことで興奮が暴走しかけていた。
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