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本編
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(ぜんっぜん思ってたのと違うんだけどぉー?若いな!ん?いくつだって?二十三?!若いっていうより幼い感じ?おぼこいっていうか、え、先生ロリ趣味だったっけ?メガネでしっかり顔つきはわかんないけど肌はつるつるだな。若いからだな、羨ましいな、ちくしょう。けど、なんつーか……地味だな、これ)
桃瀬はどちらかというと派手で自分の身なりに120%ほど気を遣うタイプなので余計にそう感じた。百合は地味だった。同じクラスにいたら完全に陽キャと陰キャに分かれているだろう。そんな容姿イメージを香苗も同じように抱いていた。
(このタイプに可愛いってなったってことはもう完全に中身落ちってことよね……先生のなにをくすぐっちゃったのかしら、この子は……しかし地味ねぇ。髪の毛がまたすんごい猫っ毛なのねぇ、ふわんふわん……小動物タイプって感じ?なんか、なんかわかるわぁ、なんかわかるんだよ、先生の加虐心に触れる感じあるある~)
そんなことを診察室から盗み見していたら三嶌の声に意識が戻った。
「一番、アウトいいよ」
声をかけられて患者の出ていく指示に香苗が駆け寄った。「お疲れさまでした」と患者のエプロンを取り外して見送った流れで受付状況を伝えようと思ったのに三嶌がサッと受付の方に行ってしまう。
(あ゛ーー!!待って待ってぇ!まだ伝えてないーーっ!!)
香苗は焦って追いかけようとしたが奥でタイマーが鳴ってしまいそちらに足が向いて受付には行けない。
「桃瀬くん、次の予約なんだけど――」
三嶌の声に香苗と桃瀬が息を止めた。三嶌も受付を見て一旦静止した。待合ソファに並んで座る二人の女性に院内スタッフたちは思考を一瞬止めた。
「せんせぇ~~」
やたら甘えた声で腰を上げたその女性に百合は少し身を引いた。その顔は少し怪訝な表情だった。それを三嶌と桃瀬は当然見逃さない。
「こんばんは、黛さん。どうされました?」
三嶌は目元を穏やかに緩めて、甘い声を出して近寄ってくる患者に声をかけた。予約も電話もせずいきなり訪れたその患者は、大きな声でワイヤーの違和感を感じると訴える。その患者に百合は不審な視線を送り続けていて、それを横目に桃瀬は思考を巡らせていた。
(あの視線はどういうものかな。黛様にいい印象はなさそうだし、それに笑顔で対応している先生に対してもちょっと嫌な感じで見てそう?先生絶対心情穏やかじゃないよね~、だって黛様だもん~~無駄に時間食う人だもん~~内心めっちゃ苛ついてそ~~)
桃瀬のいう時間を食う人=黛様は三嶌に惚れている。今時びっくりするが古典的ラブレターを何通も三嶌に渡している人だ。もちろん手紙の中身は熱烈な愛のメッセージが綴られていて、自分の歯を一生三嶌に委ねるとまで言う。今は部分矯正を開始して定期に通っている患者だった。
その時、同じ空間内にいた百合は体を固くしていた。装飾品が派手でやたら強く巻かれたロングの巻き髪の女性の放った言葉を反芻させていた。
(ワイヤーが外れたってなに?頬を刺している??やっぱりヤブ医者?口の中に凶器を仕込んで時間差で外れるように細工するとか?えぇ?サイコパス?怖すぎるぅぅぅーー)
とんだ妄想をまた始めていた。
桃瀬はどちらかというと派手で自分の身なりに120%ほど気を遣うタイプなので余計にそう感じた。百合は地味だった。同じクラスにいたら完全に陽キャと陰キャに分かれているだろう。そんな容姿イメージを香苗も同じように抱いていた。
(このタイプに可愛いってなったってことはもう完全に中身落ちってことよね……先生のなにをくすぐっちゃったのかしら、この子は……しかし地味ねぇ。髪の毛がまたすんごい猫っ毛なのねぇ、ふわんふわん……小動物タイプって感じ?なんか、なんかわかるわぁ、なんかわかるんだよ、先生の加虐心に触れる感じあるある~)
そんなことを診察室から盗み見していたら三嶌の声に意識が戻った。
「一番、アウトいいよ」
声をかけられて患者の出ていく指示に香苗が駆け寄った。「お疲れさまでした」と患者のエプロンを取り外して見送った流れで受付状況を伝えようと思ったのに三嶌がサッと受付の方に行ってしまう。
(あ゛ーー!!待って待ってぇ!まだ伝えてないーーっ!!)
香苗は焦って追いかけようとしたが奥でタイマーが鳴ってしまいそちらに足が向いて受付には行けない。
「桃瀬くん、次の予約なんだけど――」
三嶌の声に香苗と桃瀬が息を止めた。三嶌も受付を見て一旦静止した。待合ソファに並んで座る二人の女性に院内スタッフたちは思考を一瞬止めた。
「せんせぇ~~」
やたら甘えた声で腰を上げたその女性に百合は少し身を引いた。その顔は少し怪訝な表情だった。それを三嶌と桃瀬は当然見逃さない。
「こんばんは、黛さん。どうされました?」
三嶌は目元を穏やかに緩めて、甘い声を出して近寄ってくる患者に声をかけた。予約も電話もせずいきなり訪れたその患者は、大きな声でワイヤーの違和感を感じると訴える。その患者に百合は不審な視線を送り続けていて、それを横目に桃瀬は思考を巡らせていた。
(あの視線はどういうものかな。黛様にいい印象はなさそうだし、それに笑顔で対応している先生に対してもちょっと嫌な感じで見てそう?先生絶対心情穏やかじゃないよね~、だって黛様だもん~~無駄に時間食う人だもん~~内心めっちゃ苛ついてそ~~)
桃瀬のいう時間を食う人=黛様は三嶌に惚れている。今時びっくりするが古典的ラブレターを何通も三嶌に渡している人だ。もちろん手紙の中身は熱烈な愛のメッセージが綴られていて、自分の歯を一生三嶌に委ねるとまで言う。今は部分矯正を開始して定期に通っている患者だった。
その時、同じ空間内にいた百合は体を固くしていた。装飾品が派手でやたら強く巻かれたロングの巻き髪の女性の放った言葉を反芻させていた。
(ワイヤーが外れたってなに?頬を刺している??やっぱりヤブ医者?口の中に凶器を仕込んで時間差で外れるように細工するとか?えぇ?サイコパス?怖すぎるぅぅぅーー)
とんだ妄想をまた始めていた。
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