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エピソード・瑠衣編
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変な喧嘩みたいになってから数日。
前の変更になった会合や、出張で連絡が取りにくくなった太刀川とは微妙な距離ができたままだった。たいした連絡も取れないまま日だけが過ぎようとしていた。
社内ではなるべくオフィスから出ないように仕事をして、入江を避けるように過ごしてしまった。備品管理に倉庫まで足を運んで一人作業をしていたら扉が開く音がして、何気なく振り向いたらそこには予期せぬ人がいた。
入江だ。
瑠衣はゾッとした。ここで太刀川と過ごしていた時間をもしかして入江は知っているのだろうか、なにをどこまで知っているのだろう。あの携帯に撮られていた写真はいつのものだったのか。
「こんにちは」
入江の笑顔はやはり怖い。ジッと見つめられると何かの呪いでもかけられたように足が地面に固まった。
「おつかれさま、です」
「考えていただけましたぁ?」
思っているよりずっと軽い明るい声だったが聞いてくる内容はとても楽しい話ではなさそうだった。
「なにを……でしょうか」
「ふふ、やだぁ。若槻さんってそんなに頭の悪い方でした?そんなところが可愛かったのかしらー、たまにはそういうバカな子も楽しいかもしれないわよね」
くすくすと笑いながら言う声は明らかに人を馬鹿にした声色だった。
「自分が似合ってるって思わないでしょ?」
「別れなかったら、辞令を下すということですか?」
「そんなのいやでしょぉ?会社としても大きな損失だわぁ~、太刀川さんみたいな優秀な営業マンがウチから抜けたら誰がそこの穴を埋めるのよ~」
「仕事と……関係ありますか?」
「自分を選んでくれてるって優越感にでも浸りたい?」
入江の瞳はだんだん冷たさを帯びてきた。どこかイライラした歯がゆい感じも感じた。
「どうしてあなたなわけ?彼もどうしてこんな子選ぶのかしらね……別にスタイルがいいわけでもなさそうだし。顔だって……たいしたことないじゃない。セックスがすごくいいの?彼を悦ばせるなにか持ってるの?」
入江は距離を詰めてきた。
甘い化粧品の匂いか。香水とは違う、海外製の高級な化粧品の独特の香り。瑠衣は苦手な香りだ、それが鼻を刺激してくる。
ゆるく巻かれた髪の毛をフワッとかきあげるとそこからも香りがする。入江の香りは……瑠衣の心を焦燥させるのだ。
前の変更になった会合や、出張で連絡が取りにくくなった太刀川とは微妙な距離ができたままだった。たいした連絡も取れないまま日だけが過ぎようとしていた。
社内ではなるべくオフィスから出ないように仕事をして、入江を避けるように過ごしてしまった。備品管理に倉庫まで足を運んで一人作業をしていたら扉が開く音がして、何気なく振り向いたらそこには予期せぬ人がいた。
入江だ。
瑠衣はゾッとした。ここで太刀川と過ごしていた時間をもしかして入江は知っているのだろうか、なにをどこまで知っているのだろう。あの携帯に撮られていた写真はいつのものだったのか。
「こんにちは」
入江の笑顔はやはり怖い。ジッと見つめられると何かの呪いでもかけられたように足が地面に固まった。
「おつかれさま、です」
「考えていただけましたぁ?」
思っているよりずっと軽い明るい声だったが聞いてくる内容はとても楽しい話ではなさそうだった。
「なにを……でしょうか」
「ふふ、やだぁ。若槻さんってそんなに頭の悪い方でした?そんなところが可愛かったのかしらー、たまにはそういうバカな子も楽しいかもしれないわよね」
くすくすと笑いながら言う声は明らかに人を馬鹿にした声色だった。
「自分が似合ってるって思わないでしょ?」
「別れなかったら、辞令を下すということですか?」
「そんなのいやでしょぉ?会社としても大きな損失だわぁ~、太刀川さんみたいな優秀な営業マンがウチから抜けたら誰がそこの穴を埋めるのよ~」
「仕事と……関係ありますか?」
「自分を選んでくれてるって優越感にでも浸りたい?」
入江の瞳はだんだん冷たさを帯びてきた。どこかイライラした歯がゆい感じも感じた。
「どうしてあなたなわけ?彼もどうしてこんな子選ぶのかしらね……別にスタイルがいいわけでもなさそうだし。顔だって……たいしたことないじゃない。セックスがすごくいいの?彼を悦ばせるなにか持ってるの?」
入江は距離を詰めてきた。
甘い化粧品の匂いか。香水とは違う、海外製の高級な化粧品の独特の香り。瑠衣は苦手な香りだ、それが鼻を刺激してくる。
ゆるく巻かれた髪の毛をフワッとかきあげるとそこからも香りがする。入江の香りは……瑠衣の心を焦燥させるのだ。
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