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第一章 学園編
9話 イーニアス皇子
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「お、クロト! 一ヶ月ぶりじゃねぇか!」
イザベラさんに別れを告げた後、俺はまっすぐエルトリア学園に向かった。
学園には新入生が続々と入っていき、校舎の窓から覗く上級生は値踏みするようにこっちを見ている。学園内の上下関係がどうなっているのかは知らないが、毎年こういうものなのだろうか。
そんな事を考えながら門の前に立ち学園を見上げていると声をかけられた。
「お、ガイナ! 久しぶり」
声の正体はガイナだ。適正判断の時に出来た俺の友達。ベルガラック男爵家の長男って言ってたっけか。
その後ろにエルネア公爵家長女のマナもいる。
「あんた達変わってないわね。ま、一ヶ月じゃそう変わらないか」
「マナも久しぶりだな」
「ええ、久しぶり」
「じゃあ行くか」
俺たちは新入生の集合場所である第二校舎に向かう。普段は総合学科で使っている校舎で、門から見て正面に見える第一校舎の更に奥にある建物だ。
「俺達、なんでこんなに見られてるんだ?」
門からはまっすぐ煉瓦の道が続き、両脇には木が植えられている。その根元には人工的に川が流されているので、風景としてはかなり綺麗だ。
そして俺達は、その道の端や校舎にいる上級生達にずっと見られていた。
「そりゃぁ今年の新入生には色々とやべぇ奴らが多いんだよ」
「やべぇ奴ら?」
「ああ、例えばこいつな」
と、ガイナはマナを指差す。
「ちょっと、やめてよ」
「わりぃわりぃ。でも事実だ。エルネア公爵家の長女だからな。それだけ注目されている」
「もちろん私だけじゃないわ。今年はイーニアス皇子も入学したらしいし」
「イーニアス皇子?」
「ああ 現皇帝デルタアールの一人息子で、このまま行けば次期皇帝になる男だ」
一人息子か。次期皇帝となればどうにか縁を作れれば自分だけでなく家族の安寧にも繋がる。取り入れられればそれが莫大な価値を得るわけだ。ならまぁ、注目されるのも当然か。
「そしてそれ以上に注目を集めてるのは『氷の悪魔』だ」
「氷の悪魔?」
「それなら私の方が詳しいわ。『氷の悪魔』、本名はエヴァリオン・ハルバード。ハルバード公爵家の長女よ」
「ハルバード公爵? 帝国領にいない公爵か?」
「いえ、本当は居たの。私達エルネア公爵の領にね」
「ん、どういう事だ?」
「それは……あ、着いたわ」
そんな事を話している内に俺たちは集合場所についた。
今年の新入生は総勢千人ほど。ただ全員を一度に集める場所がないため、百人一塊の十グループに分けて教室に召集されている。
俺たち三人は同じ教室に入る。来た順に教室に振り分けられるため、バラバラになるという事は無かった。
そして偶然なことにさっき話題に上がったイーニアス皇子が同じ部屋だった。『氷の悪魔』――エヴァリオン・ハルバードも。
部屋は正面のスクリーンを中心に机が半円形型に並んでいる。
後ろに行くに連れて段差が付き、前が低く後ろが高くなっている。大きさはちょうど百人が入る程度。
「お、あれがイーニアス皇子だぜ」
ガイナが指差しながら耳打ちする。
指差した方を見るとスクリーンの前の机に座っているブロンドの髪をなびかせたいかにもって感じの皇子がいた。
その周りに大剣を背負った青髪の少年と背中に片手剣を持った少年が立ち、少し離れたところに赤いローブをまとった黒髪の少女が座っている。
あの三人は皇子の護衛ってところか。同い年のはずだけど、強さで言うと俺よりもあいつらの方が数段上だな。イザベラさんに感じたのと同じ、強者を連想させるような雰囲気を纏っている。
俺達は教室の一番後ろに座り、教室の様子を眺める。緊張している人もいれば、俺達みたいに友達同士で来たらしくワイワイ騒いでいる人達もいる。
そして俺達から見て左、窓際の席に前髪ぱっつん、ストレートロングの金髪の髪を腰まで伸ばした少女が座っていた。
なんとなく雰囲気でわかる、この子がエヴァリオン・ハルバード。しかしその周りには人が全く寄っていない……避けられているのか。
俺は全く聞いた事の無い噂だが、『氷の悪魔』なんて呼び名と関係しているのか?
「おぉーし! 集まってるか?」
そんな事を考えているうちに先生と思わしき男が入ってきた。
赤髪をオールバックにし、赤い鎧を着ているがかなりガタイが良く、筋肉隆々なのがわかる男の人だ。結構な強面とその体格から怖いという感想が出てくる。
「俺の名前はアラン。気軽にアランと呼んでもらっても構わん。主に武術学科で剣を教えている、よろしく」
「おいおい、アランってあのアランかよ……」
「なんだ、ガイナ。知ってるのか?」
「逆にクロトは知らねぇのかよ。龍騎士団の団長だぜ?」
「な……まじかよ」
龍騎士団って言えば帝国内にある騎士団の中で一番強いとされている騎士団。それも団長ってかなり強いってイザベラさんが言ってたよな……
位で言えばイザベラさんと同じ。そのイザベラさんが強いと言うレベルって事は相当なものなんだろう。気迫だけでも凄まじいな。
「んーと、そうだな。俺は説明がめんどくさい……じゃなくて下手なんで、いきなりではあるがパパっと説明するぞ」
頭をポリポリと掻きながら視線をイーニアス皇子に視線を向ける。
「まずイーニアス皇子。デルタアール皇帝より王族としてではなく一人の生徒として扱ってほしいと言われてます。それで大丈夫でしょうか?」
急に雰囲気が変わった。
あんなに荒そうな人でも流石国に仕える武人。メリハリはしっかりしてるんだな。
「はい。僕からお願いした事ですから、それで大丈夫です」
「ありがとうございます。じゃあ周りの奴らもそういうことだから。皇子と仲良く出来る機会なんてここを除けば殆どないだろうから、適当に仲良くやってくれ」
「あれが次期皇帝か、結構良いんじゃないか?」
「……あの皇子はだめよ」
「マナ?」
「……」
マナはなにか心当たりがあるのかじっと皇子を見つめて……いや睨みつけている。
「じゃあぱぱっと学園について説明するぞー。この学園では授業は掲示された時間に勝手にやってるので自由に授業を受けてもらえればいい。単位だなんだってのは配られた資料に書いてる。質問あれば俺以外の奴に聞いてくれ。で、一番重要な事だが、この学園ではグループで授業を受けてもらう事になっている。所謂チームと言う奴だ」
早口で説明したのちに、紙の束をぺらぺらと掲げて話を続ける。
「このチームが結構重要でな。四年間同じチームで対抗戦やらなんやらにも出てもらう。人数制限は最大七人まで。メンバーの途中加入や脱退は教員に申し出てくれれば特に制限は無い。んまぁ、とにかく誰かと組んでくれ。この紙にメンバーの名前とチーム名、リーダーの名前を書いて提出して今日は終わりにすっから。じゃ、よろしく」
本当にぱぱっとだな……
俺みたいに田舎から出て来た人間はこの説明じゃ戸惑うだろうが、周りに居るのはいずれも名立たる貴族の子息令嬢だ。学園の事も事前に頭に入れて来てるから、この程度の説明でもすんなり受け入れてチームを作るべく声をかけている。
「なんでチームで授業を受けるんだろう」
「それは簡単で大人、というよりは政治的な事情があるからよ」
「政治的な事情?」
「この学園に来るのは貴族の子息令嬢、またはそれに仕える兵士になる子が殆ど。この学園で仲良くしておけば、将来的に戦争や内乱を防ぐ事に繋がるのよ。その為の布石ってわけね」
「なるほどな……」
さて、俺達も決めないとな。
ガイナとマナは……当たり前だろ? と言う風にこっちを見ている。この二人は決定だな。さて、三人でもいいのかな。
「この三人でいいか?」
「いや、人は多い方がいい。七人とまではいわないが、せめて五人は欲しい」
「なんで?」
「チームの強さがそのまま評価に直結するからな。さっき対抗戦とか言ってたろ? この学園じゃ、何かにつけてチーム単位で競う事になる。人数が少ないってのはチームの弱さを示し、チームの弱さは俺達個人の評価を著しく下げんだよ」
「なるほど、いい成績取る為にはちゃんとチーム組んだ方が良いわけか。……で、二人は誰か知り合いいるか?」
『いない』
「即答かよ」
マナやガイナは貴族の子供なんだからそういう繋がりがあっても良さそうだがな。もちろん俺は友人なんて一人もいない。
そんな時一人の顔が浮かんでちらっと左を見る。
エヴァリオンさんは未だに一人だ。本人もチームを組む気は無さそうだし、周りも避けてる。
俺は立ち上がりエヴァリオンさんに近づく。
「おい、クロト……」
後ろでガイナが止めるが俺は気にせず近づく。
「エヴァリオンさん……だよな?」
「ん……」
コクっと頷く。その目にはありありと警戒の色が浮かんでいる。恐らく噂に関してエヴァリオンさん自身も知っているんだろう。俺が話しかけてくるのが意外でしょうがないみたいだ。
「俺の名前はクロト・アルフガルノ。よろしくな」
「ん……」
喋らない子だな。
「もしよかったらさ、俺達のチームに入らないか?」
「え……?」
「もし一人ならみんなと一緒の方が楽しいと思うし……」
「やめておきたまえ」
急に声をかけられ振り向くとイーニアス皇子が立っていた。三人の護衛も一緒だ。周りの生徒もこっちを見ている。
「あ、えっと……イーニアス皇子? 何がやめておいたほうがいいんでしょうか?」
噂についてもまだ聞いていないし、教えてくれるなら教えてもらおう。
「無理に敬語で話さなくていい。それに皇子も付けなくても大丈夫だ、ところで君の名前は?」
「それは……助かる。俺はクロト。で、やめておけって言うのはどういうことだ?」
「彼女は悪魔だ。聞いていないわけではあるまい? 『氷の悪魔』という異名を。……チームなんて組んだら君や君の仲間まで死んでしまうよ」
「どういうことだ? だいたいなんでエヴァリオンさんが氷の悪魔なんて呼ばれてんだよ」
「君、知らないのかい?」
周りもざわざわと騒ぐ。そんなに有名なのか?
「知らん」
「まぁいい、後で話してあげるよ。それよりこの学園に悪魔は居てはならない。みんなもそう思うだろ!」
「そうだそうだ!」「悪魔は来るな!」と生徒から声が上がる。皇子の言う事を否定出来ないのかとも思ったが、空気感的にはそういう感じじゃない。皆本心からそう思っているんだ。……少し、気分が悪いな。どんな噂があればこうなるんだろうか。
イーニアスは剣を抜きエヴァリオンさんに近づく。何をする気が知らないが、いい事ではないのは確かだ。
俺はテンペスターを抜き、イーニアスとエヴァリオンさんの間に入ってそれ以上の接近を止める。
「何をする気だ。イーニアス」
王族に剣を向けるなんて許されないだろうが、黙って見過ごすことはできない。イーニアスは一瞬ひるんだがすぐに俺を敵として認識した。
「クロト、邪魔をしないでくれ。そいつは悪魔なんだよ?」
「何をする気だって聞いてるんだ!」
「……レイグ」
「僕? ……わかったよ」
レイグと呼ばれたのは大剣を背負った青髪の少年だ。
「悪いね……皇子の邪魔しないでくれ」
レイグは大剣を抜きそのまま俺に斬りかかってくる。
「おい!アラン団長! いいのかよ!これ!」
俺はテンペスターでレイグの剣を受け止めつつアラン団長に呼びかける。が
「ぐがーーーーー」
ね、寝てやがる……
俺はレイグの斬撃を受け止めつつイーニアスに話しかける。
「おい、イーニアス! 俺は一言二言しか話してないけど! どんな理由で悪魔なんて呼ばれてるのかも知らないけど! だからって斬りかかるなんておかしいだろ!?」
「君は知らないんだ。彼女を」
「知らないからなんだ! お前も知らないだろ! 偉そうに悪魔なんて言って、攻撃してんじゃねぇ!」
〈黒帝流 打上剣狼〉
俺は押し付けられている大剣を軽く押し返し、追撃で剣を振り上げレイグの大剣を弾き飛ばす。大剣はレイグの後方に飛び、ガシャンと音を立てて地面に落ちる。
そしてイーニアスに剣を向ける。
「イーニアス。俺はエヴァリオンさんが何をしたのか、なぜ氷の悪魔と呼ばれてるかなんて知らない。だが、エヴァリオンさんはもう俺達のチームに入るって事になってる。仲間に手を出すなら俺も本気でやるぞ」
すると、ガイナとマナが俺の隣に立つ。
「こいつの無知さはどうにかしなきゃと思うが、俺はこいつを気に入ったんだ。どこまでもお前について行くぜ、クロト」
「クロトの無知もそうだけど、二人揃って短気なのもねぇ……これから苦労する頃になりそうだね、エヴァリオンさん。でも、女の子に剣を向けるような人より百倍……いや千倍マシよ!」
イーニアスは自分の予期していなかった展開に狼狽えるが、すぐに元の調子を取り戻す。
「ベルガラック男爵家の長男、それにエルネア公爵家の長女か。君達も悪魔の…………」
「すいません、皇子。僕もこっち派です」
何か言おうとしたイーニアスをレイグが遮る。
「な、レイグ!?」
「血迷ったか、レイグ」
今まで黙っていた片手剣の少年が話す。
「元々君達との薄っぺらい関係は好きじゃなかった。アイズ、パトリック……君達も僕と同じく、親の功績や意向で皇子直属の護衛をやっているんだろう。ならわかるはずだよ、このチームには、まだ何の思い入れも無い。それに、僕は仲間を大切にする人が好きなんだ」
はっきりと言い終えるとレイグはガイナの隣に立つ。
イーニアスは完全に動揺しきっている。が、後ろの二人は冷静だった。赤いローブをまとった少女は一歩前に出て魔術を発動しようと魔力を込めている。片手剣の少年は剣を構え、皇子の前に立つ。
対する俺達、レイグは今度は皇子に剣を向け、ガイナは拳を、マナは細剣を握る。
そして俺はテンペスターを構え一歩前に出ようとしたその瞬間、視界の左側から剣が突き出される。
「そこまで。それ以上はガキの喧嘩じゃ済まねぇだろ」
そこにはアラン団長がいた。さっきまで寝てたくせに……
「よし、時間だ! 紙出したら解散! 俺は第一校舎に戻るんで、机の上においといてくれ」
アラン団長はひらひら手を振りながら教室を出ていった。本当にどこまでも自由な人だ……
でもあれでイザベラさんが一番強いって認める騎士団の団長なんだから、人は見かけによらないと言うか、何と言うか。
改めて俺はイーニアス達の方を見る。護衛の二人は続ける気満々だ。やるしかないか……
「やめろ。アイズ、パトリック」
『は!』
「クロト、そして悪魔、レイグ。いつか後悔することになる。これは忠告として受け取ってくれ」
そう言い残してイーニアスは去っていった。
イザベラさんに別れを告げた後、俺はまっすぐエルトリア学園に向かった。
学園には新入生が続々と入っていき、校舎の窓から覗く上級生は値踏みするようにこっちを見ている。学園内の上下関係がどうなっているのかは知らないが、毎年こういうものなのだろうか。
そんな事を考えながら門の前に立ち学園を見上げていると声をかけられた。
「お、ガイナ! 久しぶり」
声の正体はガイナだ。適正判断の時に出来た俺の友達。ベルガラック男爵家の長男って言ってたっけか。
その後ろにエルネア公爵家長女のマナもいる。
「あんた達変わってないわね。ま、一ヶ月じゃそう変わらないか」
「マナも久しぶりだな」
「ええ、久しぶり」
「じゃあ行くか」
俺たちは新入生の集合場所である第二校舎に向かう。普段は総合学科で使っている校舎で、門から見て正面に見える第一校舎の更に奥にある建物だ。
「俺達、なんでこんなに見られてるんだ?」
門からはまっすぐ煉瓦の道が続き、両脇には木が植えられている。その根元には人工的に川が流されているので、風景としてはかなり綺麗だ。
そして俺達は、その道の端や校舎にいる上級生達にずっと見られていた。
「そりゃぁ今年の新入生には色々とやべぇ奴らが多いんだよ」
「やべぇ奴ら?」
「ああ、例えばこいつな」
と、ガイナはマナを指差す。
「ちょっと、やめてよ」
「わりぃわりぃ。でも事実だ。エルネア公爵家の長女だからな。それだけ注目されている」
「もちろん私だけじゃないわ。今年はイーニアス皇子も入学したらしいし」
「イーニアス皇子?」
「ああ 現皇帝デルタアールの一人息子で、このまま行けば次期皇帝になる男だ」
一人息子か。次期皇帝となればどうにか縁を作れれば自分だけでなく家族の安寧にも繋がる。取り入れられればそれが莫大な価値を得るわけだ。ならまぁ、注目されるのも当然か。
「そしてそれ以上に注目を集めてるのは『氷の悪魔』だ」
「氷の悪魔?」
「それなら私の方が詳しいわ。『氷の悪魔』、本名はエヴァリオン・ハルバード。ハルバード公爵家の長女よ」
「ハルバード公爵? 帝国領にいない公爵か?」
「いえ、本当は居たの。私達エルネア公爵の領にね」
「ん、どういう事だ?」
「それは……あ、着いたわ」
そんな事を話している内に俺たちは集合場所についた。
今年の新入生は総勢千人ほど。ただ全員を一度に集める場所がないため、百人一塊の十グループに分けて教室に召集されている。
俺たち三人は同じ教室に入る。来た順に教室に振り分けられるため、バラバラになるという事は無かった。
そして偶然なことにさっき話題に上がったイーニアス皇子が同じ部屋だった。『氷の悪魔』――エヴァリオン・ハルバードも。
部屋は正面のスクリーンを中心に机が半円形型に並んでいる。
後ろに行くに連れて段差が付き、前が低く後ろが高くなっている。大きさはちょうど百人が入る程度。
「お、あれがイーニアス皇子だぜ」
ガイナが指差しながら耳打ちする。
指差した方を見るとスクリーンの前の机に座っているブロンドの髪をなびかせたいかにもって感じの皇子がいた。
その周りに大剣を背負った青髪の少年と背中に片手剣を持った少年が立ち、少し離れたところに赤いローブをまとった黒髪の少女が座っている。
あの三人は皇子の護衛ってところか。同い年のはずだけど、強さで言うと俺よりもあいつらの方が数段上だな。イザベラさんに感じたのと同じ、強者を連想させるような雰囲気を纏っている。
俺達は教室の一番後ろに座り、教室の様子を眺める。緊張している人もいれば、俺達みたいに友達同士で来たらしくワイワイ騒いでいる人達もいる。
そして俺達から見て左、窓際の席に前髪ぱっつん、ストレートロングの金髪の髪を腰まで伸ばした少女が座っていた。
なんとなく雰囲気でわかる、この子がエヴァリオン・ハルバード。しかしその周りには人が全く寄っていない……避けられているのか。
俺は全く聞いた事の無い噂だが、『氷の悪魔』なんて呼び名と関係しているのか?
「おぉーし! 集まってるか?」
そんな事を考えているうちに先生と思わしき男が入ってきた。
赤髪をオールバックにし、赤い鎧を着ているがかなりガタイが良く、筋肉隆々なのがわかる男の人だ。結構な強面とその体格から怖いという感想が出てくる。
「俺の名前はアラン。気軽にアランと呼んでもらっても構わん。主に武術学科で剣を教えている、よろしく」
「おいおい、アランってあのアランかよ……」
「なんだ、ガイナ。知ってるのか?」
「逆にクロトは知らねぇのかよ。龍騎士団の団長だぜ?」
「な……まじかよ」
龍騎士団って言えば帝国内にある騎士団の中で一番強いとされている騎士団。それも団長ってかなり強いってイザベラさんが言ってたよな……
位で言えばイザベラさんと同じ。そのイザベラさんが強いと言うレベルって事は相当なものなんだろう。気迫だけでも凄まじいな。
「んーと、そうだな。俺は説明がめんどくさい……じゃなくて下手なんで、いきなりではあるがパパっと説明するぞ」
頭をポリポリと掻きながら視線をイーニアス皇子に視線を向ける。
「まずイーニアス皇子。デルタアール皇帝より王族としてではなく一人の生徒として扱ってほしいと言われてます。それで大丈夫でしょうか?」
急に雰囲気が変わった。
あんなに荒そうな人でも流石国に仕える武人。メリハリはしっかりしてるんだな。
「はい。僕からお願いした事ですから、それで大丈夫です」
「ありがとうございます。じゃあ周りの奴らもそういうことだから。皇子と仲良く出来る機会なんてここを除けば殆どないだろうから、適当に仲良くやってくれ」
「あれが次期皇帝か、結構良いんじゃないか?」
「……あの皇子はだめよ」
「マナ?」
「……」
マナはなにか心当たりがあるのかじっと皇子を見つめて……いや睨みつけている。
「じゃあぱぱっと学園について説明するぞー。この学園では授業は掲示された時間に勝手にやってるので自由に授業を受けてもらえればいい。単位だなんだってのは配られた資料に書いてる。質問あれば俺以外の奴に聞いてくれ。で、一番重要な事だが、この学園ではグループで授業を受けてもらう事になっている。所謂チームと言う奴だ」
早口で説明したのちに、紙の束をぺらぺらと掲げて話を続ける。
「このチームが結構重要でな。四年間同じチームで対抗戦やらなんやらにも出てもらう。人数制限は最大七人まで。メンバーの途中加入や脱退は教員に申し出てくれれば特に制限は無い。んまぁ、とにかく誰かと組んでくれ。この紙にメンバーの名前とチーム名、リーダーの名前を書いて提出して今日は終わりにすっから。じゃ、よろしく」
本当にぱぱっとだな……
俺みたいに田舎から出て来た人間はこの説明じゃ戸惑うだろうが、周りに居るのはいずれも名立たる貴族の子息令嬢だ。学園の事も事前に頭に入れて来てるから、この程度の説明でもすんなり受け入れてチームを作るべく声をかけている。
「なんでチームで授業を受けるんだろう」
「それは簡単で大人、というよりは政治的な事情があるからよ」
「政治的な事情?」
「この学園に来るのは貴族の子息令嬢、またはそれに仕える兵士になる子が殆ど。この学園で仲良くしておけば、将来的に戦争や内乱を防ぐ事に繋がるのよ。その為の布石ってわけね」
「なるほどな……」
さて、俺達も決めないとな。
ガイナとマナは……当たり前だろ? と言う風にこっちを見ている。この二人は決定だな。さて、三人でもいいのかな。
「この三人でいいか?」
「いや、人は多い方がいい。七人とまではいわないが、せめて五人は欲しい」
「なんで?」
「チームの強さがそのまま評価に直結するからな。さっき対抗戦とか言ってたろ? この学園じゃ、何かにつけてチーム単位で競う事になる。人数が少ないってのはチームの弱さを示し、チームの弱さは俺達個人の評価を著しく下げんだよ」
「なるほど、いい成績取る為にはちゃんとチーム組んだ方が良いわけか。……で、二人は誰か知り合いいるか?」
『いない』
「即答かよ」
マナやガイナは貴族の子供なんだからそういう繋がりがあっても良さそうだがな。もちろん俺は友人なんて一人もいない。
そんな時一人の顔が浮かんでちらっと左を見る。
エヴァリオンさんは未だに一人だ。本人もチームを組む気は無さそうだし、周りも避けてる。
俺は立ち上がりエヴァリオンさんに近づく。
「おい、クロト……」
後ろでガイナが止めるが俺は気にせず近づく。
「エヴァリオンさん……だよな?」
「ん……」
コクっと頷く。その目にはありありと警戒の色が浮かんでいる。恐らく噂に関してエヴァリオンさん自身も知っているんだろう。俺が話しかけてくるのが意外でしょうがないみたいだ。
「俺の名前はクロト・アルフガルノ。よろしくな」
「ん……」
喋らない子だな。
「もしよかったらさ、俺達のチームに入らないか?」
「え……?」
「もし一人ならみんなと一緒の方が楽しいと思うし……」
「やめておきたまえ」
急に声をかけられ振り向くとイーニアス皇子が立っていた。三人の護衛も一緒だ。周りの生徒もこっちを見ている。
「あ、えっと……イーニアス皇子? 何がやめておいたほうがいいんでしょうか?」
噂についてもまだ聞いていないし、教えてくれるなら教えてもらおう。
「無理に敬語で話さなくていい。それに皇子も付けなくても大丈夫だ、ところで君の名前は?」
「それは……助かる。俺はクロト。で、やめておけって言うのはどういうことだ?」
「彼女は悪魔だ。聞いていないわけではあるまい? 『氷の悪魔』という異名を。……チームなんて組んだら君や君の仲間まで死んでしまうよ」
「どういうことだ? だいたいなんでエヴァリオンさんが氷の悪魔なんて呼ばれてんだよ」
「君、知らないのかい?」
周りもざわざわと騒ぐ。そんなに有名なのか?
「知らん」
「まぁいい、後で話してあげるよ。それよりこの学園に悪魔は居てはならない。みんなもそう思うだろ!」
「そうだそうだ!」「悪魔は来るな!」と生徒から声が上がる。皇子の言う事を否定出来ないのかとも思ったが、空気感的にはそういう感じじゃない。皆本心からそう思っているんだ。……少し、気分が悪いな。どんな噂があればこうなるんだろうか。
イーニアスは剣を抜きエヴァリオンさんに近づく。何をする気が知らないが、いい事ではないのは確かだ。
俺はテンペスターを抜き、イーニアスとエヴァリオンさんの間に入ってそれ以上の接近を止める。
「何をする気だ。イーニアス」
王族に剣を向けるなんて許されないだろうが、黙って見過ごすことはできない。イーニアスは一瞬ひるんだがすぐに俺を敵として認識した。
「クロト、邪魔をしないでくれ。そいつは悪魔なんだよ?」
「何をする気だって聞いてるんだ!」
「……レイグ」
「僕? ……わかったよ」
レイグと呼ばれたのは大剣を背負った青髪の少年だ。
「悪いね……皇子の邪魔しないでくれ」
レイグは大剣を抜きそのまま俺に斬りかかってくる。
「おい!アラン団長! いいのかよ!これ!」
俺はテンペスターでレイグの剣を受け止めつつアラン団長に呼びかける。が
「ぐがーーーーー」
ね、寝てやがる……
俺はレイグの斬撃を受け止めつつイーニアスに話しかける。
「おい、イーニアス! 俺は一言二言しか話してないけど! どんな理由で悪魔なんて呼ばれてるのかも知らないけど! だからって斬りかかるなんておかしいだろ!?」
「君は知らないんだ。彼女を」
「知らないからなんだ! お前も知らないだろ! 偉そうに悪魔なんて言って、攻撃してんじゃねぇ!」
〈黒帝流 打上剣狼〉
俺は押し付けられている大剣を軽く押し返し、追撃で剣を振り上げレイグの大剣を弾き飛ばす。大剣はレイグの後方に飛び、ガシャンと音を立てて地面に落ちる。
そしてイーニアスに剣を向ける。
「イーニアス。俺はエヴァリオンさんが何をしたのか、なぜ氷の悪魔と呼ばれてるかなんて知らない。だが、エヴァリオンさんはもう俺達のチームに入るって事になってる。仲間に手を出すなら俺も本気でやるぞ」
すると、ガイナとマナが俺の隣に立つ。
「こいつの無知さはどうにかしなきゃと思うが、俺はこいつを気に入ったんだ。どこまでもお前について行くぜ、クロト」
「クロトの無知もそうだけど、二人揃って短気なのもねぇ……これから苦労する頃になりそうだね、エヴァリオンさん。でも、女の子に剣を向けるような人より百倍……いや千倍マシよ!」
イーニアスは自分の予期していなかった展開に狼狽えるが、すぐに元の調子を取り戻す。
「ベルガラック男爵家の長男、それにエルネア公爵家の長女か。君達も悪魔の…………」
「すいません、皇子。僕もこっち派です」
何か言おうとしたイーニアスをレイグが遮る。
「な、レイグ!?」
「血迷ったか、レイグ」
今まで黙っていた片手剣の少年が話す。
「元々君達との薄っぺらい関係は好きじゃなかった。アイズ、パトリック……君達も僕と同じく、親の功績や意向で皇子直属の護衛をやっているんだろう。ならわかるはずだよ、このチームには、まだ何の思い入れも無い。それに、僕は仲間を大切にする人が好きなんだ」
はっきりと言い終えるとレイグはガイナの隣に立つ。
イーニアスは完全に動揺しきっている。が、後ろの二人は冷静だった。赤いローブをまとった少女は一歩前に出て魔術を発動しようと魔力を込めている。片手剣の少年は剣を構え、皇子の前に立つ。
対する俺達、レイグは今度は皇子に剣を向け、ガイナは拳を、マナは細剣を握る。
そして俺はテンペスターを構え一歩前に出ようとしたその瞬間、視界の左側から剣が突き出される。
「そこまで。それ以上はガキの喧嘩じゃ済まねぇだろ」
そこにはアラン団長がいた。さっきまで寝てたくせに……
「よし、時間だ! 紙出したら解散! 俺は第一校舎に戻るんで、机の上においといてくれ」
アラン団長はひらひら手を振りながら教室を出ていった。本当にどこまでも自由な人だ……
でもあれでイザベラさんが一番強いって認める騎士団の団長なんだから、人は見かけによらないと言うか、何と言うか。
改めて俺はイーニアス達の方を見る。護衛の二人は続ける気満々だ。やるしかないか……
「やめろ。アイズ、パトリック」
『は!』
「クロト、そして悪魔、レイグ。いつか後悔することになる。これは忠告として受け取ってくれ」
そう言い残してイーニアスは去っていった。
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慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
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もしかして寝てる間にざまぁしました?
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4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
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そうそう俺の総魔力量は少なく、精霊が俺の周囲で顕現化しても何かをさせる程の魔力がないから直ぐに姿が消えてしまう。
そんなある日転機が訪れる。
いつもの如く精霊が俺の魔力をねだって頂いちゃう訳だが、大抵俺はその場で気を失う。
昔ひょんな事から助けた精霊が俺の所に現れたんだが、この時俺はたまたまうつ伏せで倒れた。因みに顔面ダイブで鼻血が出たのは内緒だ。
そして当然ながら意識を失ったが、ふと目を覚ますと俺の周囲にはものすごい数の魔石やら素材があって驚いた。
精霊曰く御礼だってさ。
どうやら俺の魔力は非常に良いらしい。美味しいのか効果が高いのかは知らんが、精霊の好みらしい。
何故この日に限って精霊がずっと顕現化しているんだ?
どうやら俺がうつ伏せで地面に倒れたのが良かったらしい。
俺と地脈と繋がって、魔力が無限増殖状態だったようだ。
そしてこれが俺が冒険者として活動する時のスタイルになっていくんだが、理解しがたい体勢での活動に周囲の理解は得られなかった。
そんなある日、1人の女性が俺とパーティーを組みたいとやってきた。
ついでに精霊に彼女が呪われているのが分かったので解呪しておいた。
そんなある日、俺は所属しているパーティーから追放されてしまった。
そりゃあ戦闘中だろうがお構いなしに地面に寝そべってしまうんだから、あいつは一体何をしているんだ!となってしまうのは仕方がないが、これでも貢献していたんだぜ?
何せそうしている間は精霊達が勝手に魔物を仕留め、素材を集めてくれるし、俺の身をしっかり守ってくれているんだが、精霊が視えないメンバーには俺がただ寝ているだけにしか見えないらしい。
因みにダンジョンのボス部屋に1人放り込まれたんだが、俺と先にパーティーを組んでいたエレンは俺を助けにボス部屋へ突入してくれた。
流石にダンジョン中層でも深層のボス部屋、2人ではなあ。
俺はダンジョンの真っただ中に追放された訳だが、くしくも追放直後に俺の何かが変化した。
因みに寝そべっていなくてはいけない理由は顔面と心臓、そして掌を地面にくっつける事で地脈と繋がるらしい。地脈って何だ?
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