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珍しく
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※央未視点です。
朔はなんやかんやで、浮気は今まで
して来なかったらしい。
(地元の友達の証言もあるし、とりあえずは信頼してる)
ごくわずかな人にだけ、俺と朔との関係は
バレてるし。
まぁそうだろうな、高校の頃も朔は俺に
休み時間になれば会いに来てたし。
昔はさ、朔はもう少しだけ
大人しくて。
一瞬、声をかけるのを躊躇うほどに
勉強もしてたし、読書が好きで
案外物知りだし、インテリ然としてて
なんかカッコよくて。
今はほら、ただのクソ彼氏だから。
ただ、海外から戻ってきた朔は
『生きてる』感じになった。
前よりも、ほんと少しだけ。
人間味にあふれてて、自由が好きで
俺の自由さえも、時には尊重してくれて
熱い想いを俺に歪んだままぶつけて
くるのが、愛しく思える。
体で繋がるんじゃなくて、気持ちで
心で繋がれたら良いとか
俺も朔もそんな綺麗事が似合わない。
好き、だから抱いて欲しいし、
キスもちゃんとして。
出来れば、手だって繋いでたい。
沢山沢山望むよ、だって好きな相手だもん。
俺が世界一愛おしいと思える男が
毎日俺の部屋に帰って来る。
それだけで、充分なのに。
朔の未来さえも縛ってしまいたくなるから
自制心も忘れない。
昨日の夜、結構がっつり抱かれて
脳の奥?かな。
フワフワするみたいに、なんだか
酔いしれてた。
『行ってくる』って、違うホームで
朝に別れても帰る家は同じ。
仕事中も時々、朔の事は考える。
お昼頃にはメッセージが届いてたりする。
夕食を外で一緒に食べて帰る事もある。
満たされてる、毎日。
「珍しいね、朔が体調崩すなんて…一応明日まで様子見て、もしなんなら朝イチで病院行ってみたら?」
『…っ、大丈夫…』
帰宅した朔は、何となく元気がなくて
珍しい、くらいしか思ってなかったけど。
晩御飯もあんまり進まない様子を見て
俺は心配になってきた。
多分、熱があるのかな。
体温計も用意してはあるけど
朔は言う事聞いてくれないだろな。
「朔、痩せ我慢しても駄目だよ。体の事は本人にしか分からないんだから。俺だって朔の力にないたいのに、そんなんじゃ困る…」
お風呂から出て来た朔は、ぼーっとして
着替えた後はリビングソファに
座ってる。
「もー、熱測るよ?朔」
肩を落としながら、俺はリビングの
キャビネットにある救急箱から
体温計を取り出す。
『寝たら治るって、』
「うん、じゃあもう寝ようね?朔」
ほら、と朔に体温計を手渡すと
渋々といった様子で、朔が脇に体温計を
差し入れた。
しばらくの沈黙に、俺はドキドキしつつ
その時を待つ。
電子音が鳴ってしばらくし、朔が
体温計を取り出すと液晶を見て
一瞬動きを止めた。
「そんな高いの?!」
『…いや、思った程ないから。微妙~』
返ってきた体温計を見てみた。
「37,4℃かぁ、また微妙な」
『だから寝たら治るって…』
いやいや、体温よりも俺は朔が
元気無いってのが気になるんだよ。
「そっかぁ、じゃあ俺も今日は早く寝る。」
うんうん、と頷いて坂の頭を撫でると
『なぁ、央未の…その、一緒に寝ても良いか?』
へぁ…?!
朔が俺をジッと下から覗き込んでくる。
顔がイイ、目が少し力無いけど
かなり殊勝になってるみたいだ。
「ぃ、イイに決まってるだろ…、じゃ身支度済ませてこ。」
不覚にも、しおらしい朔に胸がキュッと
してしまった。
体調崩してる朔が、何だかとても
頼りなさげで。
こんなの、何でもしてあげたくなっちゃう、
歯磨きとか、翌日の着替えの準備に
寝る前のトイレまで済ませてから
床に就く。
朔は、口数少なくそれでも
身支度をきちんと済ませてから
寝室に来て、俺と朔は同じ布団で寝る。
一応、額も冷やした方がいい?と
朔に聞いてはみたけど。
いらないって言われた。
明日の朝には、熱も下がるだろうし。
と、希望を込めた朔の言葉に俺も頷いた。
静かで、いつもより少し長い夜。
おやすみのキスもない。
ちょっと寂しい気がしたけど、
今はゆっくりと体を休めてもらいたい。
向かい合うみたいに眠っていた。
朔は間違いなく、俺の片割れだな。
言葉で語る感覚では無くて、本能で解る。
俺が望んでる、俺の世界に最も必要な
唯一無二の存在なんだよ。
だからかな、俺と朔は離れやしない。
祈る様な気持ちで眠りについた。
朝までの時間は長くて短い。
レースカーテンから薄く差し込む
朝の光。
唇が、うっすら温かい。
まさか、と思って目を覚まし
頬に触れるまつ毛がくすぐったい。
朔だ、
ゆっくりと開いた目蓋。
ぞくん、とする瞳の色の深さが
すぐそこにあった。
『おはよう、央未』
「……はよ、だめ…ちゅき…っ♡」
『ん…?朝から濡れた?』
朝一でも綺麗で爽やかな笑顔で
朔が笑う。
んでもって、爽やかにエッチな事言う。
あー、もう!
何で俺のクソ彼氏ってこんなに、
好きにさせるの上手いんだよ。
ちなみにこの後、朝から朔に
一発抜かれてしまって
俺はグッタリ&賢者タイム発動したのは
言うまでもなかった。
朔はなんやかんやで、浮気は今まで
して来なかったらしい。
(地元の友達の証言もあるし、とりあえずは信頼してる)
ごくわずかな人にだけ、俺と朔との関係は
バレてるし。
まぁそうだろうな、高校の頃も朔は俺に
休み時間になれば会いに来てたし。
昔はさ、朔はもう少しだけ
大人しくて。
一瞬、声をかけるのを躊躇うほどに
勉強もしてたし、読書が好きで
案外物知りだし、インテリ然としてて
なんかカッコよくて。
今はほら、ただのクソ彼氏だから。
ただ、海外から戻ってきた朔は
『生きてる』感じになった。
前よりも、ほんと少しだけ。
人間味にあふれてて、自由が好きで
俺の自由さえも、時には尊重してくれて
熱い想いを俺に歪んだままぶつけて
くるのが、愛しく思える。
体で繋がるんじゃなくて、気持ちで
心で繋がれたら良いとか
俺も朔もそんな綺麗事が似合わない。
好き、だから抱いて欲しいし、
キスもちゃんとして。
出来れば、手だって繋いでたい。
沢山沢山望むよ、だって好きな相手だもん。
俺が世界一愛おしいと思える男が
毎日俺の部屋に帰って来る。
それだけで、充分なのに。
朔の未来さえも縛ってしまいたくなるから
自制心も忘れない。
昨日の夜、結構がっつり抱かれて
脳の奥?かな。
フワフワするみたいに、なんだか
酔いしれてた。
『行ってくる』って、違うホームで
朝に別れても帰る家は同じ。
仕事中も時々、朔の事は考える。
お昼頃にはメッセージが届いてたりする。
夕食を外で一緒に食べて帰る事もある。
満たされてる、毎日。
「珍しいね、朔が体調崩すなんて…一応明日まで様子見て、もしなんなら朝イチで病院行ってみたら?」
『…っ、大丈夫…』
帰宅した朔は、何となく元気がなくて
珍しい、くらいしか思ってなかったけど。
晩御飯もあんまり進まない様子を見て
俺は心配になってきた。
多分、熱があるのかな。
体温計も用意してはあるけど
朔は言う事聞いてくれないだろな。
「朔、痩せ我慢しても駄目だよ。体の事は本人にしか分からないんだから。俺だって朔の力にないたいのに、そんなんじゃ困る…」
お風呂から出て来た朔は、ぼーっとして
着替えた後はリビングソファに
座ってる。
「もー、熱測るよ?朔」
肩を落としながら、俺はリビングの
キャビネットにある救急箱から
体温計を取り出す。
『寝たら治るって、』
「うん、じゃあもう寝ようね?朔」
ほら、と朔に体温計を手渡すと
渋々といった様子で、朔が脇に体温計を
差し入れた。
しばらくの沈黙に、俺はドキドキしつつ
その時を待つ。
電子音が鳴ってしばらくし、朔が
体温計を取り出すと液晶を見て
一瞬動きを止めた。
「そんな高いの?!」
『…いや、思った程ないから。微妙~』
返ってきた体温計を見てみた。
「37,4℃かぁ、また微妙な」
『だから寝たら治るって…』
いやいや、体温よりも俺は朔が
元気無いってのが気になるんだよ。
「そっかぁ、じゃあ俺も今日は早く寝る。」
うんうん、と頷いて坂の頭を撫でると
『なぁ、央未の…その、一緒に寝ても良いか?』
へぁ…?!
朔が俺をジッと下から覗き込んでくる。
顔がイイ、目が少し力無いけど
かなり殊勝になってるみたいだ。
「ぃ、イイに決まってるだろ…、じゃ身支度済ませてこ。」
不覚にも、しおらしい朔に胸がキュッと
してしまった。
体調崩してる朔が、何だかとても
頼りなさげで。
こんなの、何でもしてあげたくなっちゃう、
歯磨きとか、翌日の着替えの準備に
寝る前のトイレまで済ませてから
床に就く。
朔は、口数少なくそれでも
身支度をきちんと済ませてから
寝室に来て、俺と朔は同じ布団で寝る。
一応、額も冷やした方がいい?と
朔に聞いてはみたけど。
いらないって言われた。
明日の朝には、熱も下がるだろうし。
と、希望を込めた朔の言葉に俺も頷いた。
静かで、いつもより少し長い夜。
おやすみのキスもない。
ちょっと寂しい気がしたけど、
今はゆっくりと体を休めてもらいたい。
向かい合うみたいに眠っていた。
朔は間違いなく、俺の片割れだな。
言葉で語る感覚では無くて、本能で解る。
俺が望んでる、俺の世界に最も必要な
唯一無二の存在なんだよ。
だからかな、俺と朔は離れやしない。
祈る様な気持ちで眠りについた。
朝までの時間は長くて短い。
レースカーテンから薄く差し込む
朝の光。
唇が、うっすら温かい。
まさか、と思って目を覚まし
頬に触れるまつ毛がくすぐったい。
朔だ、
ゆっくりと開いた目蓋。
ぞくん、とする瞳の色の深さが
すぐそこにあった。
『おはよう、央未』
「……はよ、だめ…ちゅき…っ♡」
『ん…?朝から濡れた?』
朝一でも綺麗で爽やかな笑顔で
朔が笑う。
んでもって、爽やかにエッチな事言う。
あー、もう!
何で俺のクソ彼氏ってこんなに、
好きにさせるの上手いんだよ。
ちなみにこの後、朝から朔に
一発抜かれてしまって
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