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第20話 不確かなもの
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体の水分を柔らかいバスタオルで拭って、アパートに置いてあるベッドとは格段に大きさの違うベッドに裸のまま寝転がる。静かな部屋は居心地が悪かった ので、枕元のスイッチを弄くって適当な音楽をかけようとしていたら、竜司に腕を掴まれその体の下に引き込まれた。
「今日は隣気にして声殺さなくても平気だぞ」
普段から壱流が非常に気にしていることを指摘し、竜司はにやっと笑みを見せた。
風呂の中での愛撫で火照った壱流のあちこちにキスを落としながら、ライブの前に途中で中断されて欲求不満だった体を弄ぶ。
「壱流の、こんなぬるぬるになってる」
「……仕方ないじゃん」
竜司は楽しそうに体勢を入れ替えると、後ろ向きに跨ってぱくんと壱流を口に咥え、先端から溢れてくる雫を舐め取った。壱流の口元に、人のがどうのと言えないくらいの状態になっているものがあって、若干戸惑う。
(もしや舐めろということか?)
少し躊躇ったが、同じようにそれを口に含む。
大きくて、苦しい。それでも頑張って舐めていたら、また竜司の指が中に入ってきたのでびくりとした。
何度も体を重ねて、壱流が気持ち良いと思う場所を探り当てて攻め立てるのが上手くなった。膝が震えて息が上がり、更に苦しくなって思わず口を離す。
「竜ちゃ……、も、許し」
「もう挿れて欲しいのか?」
こくこくと頷いて、再び体勢を入れ替えた竜司にすがりつく。壱流をこんな体にしてしまった竜司の責任は重い。最初は血を吐きそうなほどの葛藤があったのに、今は竜司が欲しくてうずうずしてる。
(好き)
こんなふうになるなんて、知らなかった。
(大好き)
好きになろうと、受け入れようと自分を無理に誤魔化していたつもりだったのに、本当に竜司をこんなふうに好きになるなんて、思わなかった。
心のどこかで「本当は違う。竜司は友達だ」という意識があったのに、好きだと言われ抱かれて、手放せなくなってしまった。
けれど今の竜司は、本当の竜司ではない。
それがいつかはわからないけれど、思い出す時がきっと来る。
嬉しいことなのに、それは怖い。自分が何を望んでいるのか、わからない。
「もし……竜司が、」
熱に潤んだ瞳で、壱流はぽつりと言った。
「全部思い出しても……っ」
熱い感触がゆっくりと押し入ってきた。圧迫感と気持ち良いのが交じり合って、上手く言葉が出ない。
途切れた壱流の声に、竜司は腰を引き寄せながら苦しそうな顔をじっと見つめた。
「どうした?」
「……俺のこと、好きでいてくれる?」
「俺はずっとずっと壱流が好きだ」
深く穿った感覚に、喉から甘さを含んだ声が零れた。
悲しくないのに、泣きたくなった。
「今日は隣気にして声殺さなくても平気だぞ」
普段から壱流が非常に気にしていることを指摘し、竜司はにやっと笑みを見せた。
風呂の中での愛撫で火照った壱流のあちこちにキスを落としながら、ライブの前に途中で中断されて欲求不満だった体を弄ぶ。
「壱流の、こんなぬるぬるになってる」
「……仕方ないじゃん」
竜司は楽しそうに体勢を入れ替えると、後ろ向きに跨ってぱくんと壱流を口に咥え、先端から溢れてくる雫を舐め取った。壱流の口元に、人のがどうのと言えないくらいの状態になっているものがあって、若干戸惑う。
(もしや舐めろということか?)
少し躊躇ったが、同じようにそれを口に含む。
大きくて、苦しい。それでも頑張って舐めていたら、また竜司の指が中に入ってきたのでびくりとした。
何度も体を重ねて、壱流が気持ち良いと思う場所を探り当てて攻め立てるのが上手くなった。膝が震えて息が上がり、更に苦しくなって思わず口を離す。
「竜ちゃ……、も、許し」
「もう挿れて欲しいのか?」
こくこくと頷いて、再び体勢を入れ替えた竜司にすがりつく。壱流をこんな体にしてしまった竜司の責任は重い。最初は血を吐きそうなほどの葛藤があったのに、今は竜司が欲しくてうずうずしてる。
(好き)
こんなふうになるなんて、知らなかった。
(大好き)
好きになろうと、受け入れようと自分を無理に誤魔化していたつもりだったのに、本当に竜司をこんなふうに好きになるなんて、思わなかった。
心のどこかで「本当は違う。竜司は友達だ」という意識があったのに、好きだと言われ抱かれて、手放せなくなってしまった。
けれど今の竜司は、本当の竜司ではない。
それがいつかはわからないけれど、思い出す時がきっと来る。
嬉しいことなのに、それは怖い。自分が何を望んでいるのか、わからない。
「もし……竜司が、」
熱に潤んだ瞳で、壱流はぽつりと言った。
「全部思い出しても……っ」
熱い感触がゆっくりと押し入ってきた。圧迫感と気持ち良いのが交じり合って、上手く言葉が出ない。
途切れた壱流の声に、竜司は腰を引き寄せながら苦しそうな顔をじっと見つめた。
「どうした?」
「……俺のこと、好きでいてくれる?」
「俺はずっとずっと壱流が好きだ」
深く穿った感覚に、喉から甘さを含んだ声が零れた。
悲しくないのに、泣きたくなった。
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