3 / 13
お昼ご飯の時間!
しおりを挟む
「なんかあっさりしてそうな弁当だね」
「なんでナチュラルに一緒に昼食を食べているのか小一時間問い詰めたいところだけどひょいひょいと僕のおかずを取らないでくれ」
昼休み。僕は弁当を食べようとしたら前の席の奴に邪魔をされた。
「うーん、味薄いなぁ」
「僕はこういう味が薄い奴を食うのが好きなんだよ。別にお前の評価を求めてるわけじゃない」
「あのさぁ」
小夜曲は自分の昼食であろう菓子パンを開けながら言った。
「さっきからお前だとかなんだとかと。私にだってちゃんと名前があるんだぞ」
「おいセレナーデ」
「確かに小夜曲はセレナーデともいうけどさ、違うでしょ」
すると彼女はぐぃっと顔を近づけて、
「友達なんだからユキって呼んでよ」
「別に僕は友達と思ってないから君のことは彼女って呼ぶことにするよ」
「名前で呼んでよー」
もしゃもしゃと菓子パンを食べながら彼女は喘ぐように言った。
「ユキってさ、呼べない? 誠」
「ユキ」
「へっ……」
呼べと言われたので呼ぶと、凄い驚いた顔をされた。なんだか若干頬も赤く染まってるような……。
「とっ、突然言われるのは流石にびっくりというか……予測してなかったと言いますか……」
「お前が呼べって言ったんだろうに」
なにを考えているんだろうこいつは。
「にしても、お前が僕に関わる理由ってなんだ?」
「関わる理由……?」
問い質すと聞き返されたので僕はコクリと頷く。
「そうだ、別に僕と関わる必要性はないだろ。君にはそれだけのコミュ力がある、どんなグループの中に入っても結構話についていけるタイプの人間だ」
「まぁ確かにコミュ障と言われたことはないね」
「だからこそなんで僕と関わるのかが不思議なだけだ。妙なおせっかいならやめてくれよ、単に目障りなだけだから」
「おせっかいとかそういうんじゃないよ」
するとその時、彼女は少し悲しそうな笑顔を浮かべた。
「私はただ……」
とだけ言って、にこっと眩しい笑顔を貼り付けた。
「若干の知り合いで席も近いのに関わらない理由って逆にある?」
「……どうなんだろうな」
周りを見渡すが会話をしている生徒はほとんどいない。みんな黙々と弁当を食ってる中、僕らだけが楽し気に雑談をしている。
「入るグループがないのか」
「そういうこと、だから話しやすい君と話してるんだよ」
「知り合いっつっても数分くらいしか喋ってなかったけどな」
「それでも喋ったんだから知り合いだよ、そして私はその時から友達と思ってたけど?」
「運命を感じすぎだろ」
あんな多少話した程度で友達とかこいつの友達基準どんだけ低いんだ。
「面白いね、誠って」
「急にどうした」
「うぅん、ぼっちを好むだとかなんだとか言いながら私を拒絶しないんだなぁって」
「別に、拒絶を求めるなら本当に拒絶をしてもいいんだぞ」
「つまり君は自分から関係を求めはしないけど、寄って来る人を拒絶はしない人っていうわけだね」
「……悪い?」
それが僕のスタンスだ。
勝手に関わってくるのであれば好きにすればいい。
「全然悪くないよ、良かったって思っただけ」
「ふーん」
「そうやって適当に相槌を返すの良くないと思うよー」
「拒絶はしないけど話は面白く出来ないよ、する気もないしね。それが僕のやり方」
「なるほど、そうやって関わってくる人たちを突き放してるってわけだね」
「うぐ……」
「図星だね、なんでそんなに人を遠ざけるかなぁ誠って」
「言えない事情って奴だよ、深くは聞かないでくれ」
「とか言いながらきっとぼっちが好きだからなんだろうなぁ」
「勝手に解釈しといて、それに関して僕は何も言わないし、もうこの話題には触れない」
「悪かったって、そうカッカしないでよ誠」
と言いながら頭を撫でてくる小夜曲。僕はその手を払いのけながら言った。
「子供扱いするな、ったく」
「こうやって子供扱いされて怒ってるところを見ると、そこがすでに子供っぽいって私は思うけどなぁ……」
「うるさいっての」
それ以降僕は一言も話さなかった。
まぁそれは所謂拗ねるっていう奴で、確かに子供っぽいっていうのは的を射てるなぁと、僕は席でぼーっとしながらそう思うのだった。
「なんでナチュラルに一緒に昼食を食べているのか小一時間問い詰めたいところだけどひょいひょいと僕のおかずを取らないでくれ」
昼休み。僕は弁当を食べようとしたら前の席の奴に邪魔をされた。
「うーん、味薄いなぁ」
「僕はこういう味が薄い奴を食うのが好きなんだよ。別にお前の評価を求めてるわけじゃない」
「あのさぁ」
小夜曲は自分の昼食であろう菓子パンを開けながら言った。
「さっきからお前だとかなんだとかと。私にだってちゃんと名前があるんだぞ」
「おいセレナーデ」
「確かに小夜曲はセレナーデともいうけどさ、違うでしょ」
すると彼女はぐぃっと顔を近づけて、
「友達なんだからユキって呼んでよ」
「別に僕は友達と思ってないから君のことは彼女って呼ぶことにするよ」
「名前で呼んでよー」
もしゃもしゃと菓子パンを食べながら彼女は喘ぐように言った。
「ユキってさ、呼べない? 誠」
「ユキ」
「へっ……」
呼べと言われたので呼ぶと、凄い驚いた顔をされた。なんだか若干頬も赤く染まってるような……。
「とっ、突然言われるのは流石にびっくりというか……予測してなかったと言いますか……」
「お前が呼べって言ったんだろうに」
なにを考えているんだろうこいつは。
「にしても、お前が僕に関わる理由ってなんだ?」
「関わる理由……?」
問い質すと聞き返されたので僕はコクリと頷く。
「そうだ、別に僕と関わる必要性はないだろ。君にはそれだけのコミュ力がある、どんなグループの中に入っても結構話についていけるタイプの人間だ」
「まぁ確かにコミュ障と言われたことはないね」
「だからこそなんで僕と関わるのかが不思議なだけだ。妙なおせっかいならやめてくれよ、単に目障りなだけだから」
「おせっかいとかそういうんじゃないよ」
するとその時、彼女は少し悲しそうな笑顔を浮かべた。
「私はただ……」
とだけ言って、にこっと眩しい笑顔を貼り付けた。
「若干の知り合いで席も近いのに関わらない理由って逆にある?」
「……どうなんだろうな」
周りを見渡すが会話をしている生徒はほとんどいない。みんな黙々と弁当を食ってる中、僕らだけが楽し気に雑談をしている。
「入るグループがないのか」
「そういうこと、だから話しやすい君と話してるんだよ」
「知り合いっつっても数分くらいしか喋ってなかったけどな」
「それでも喋ったんだから知り合いだよ、そして私はその時から友達と思ってたけど?」
「運命を感じすぎだろ」
あんな多少話した程度で友達とかこいつの友達基準どんだけ低いんだ。
「面白いね、誠って」
「急にどうした」
「うぅん、ぼっちを好むだとかなんだとか言いながら私を拒絶しないんだなぁって」
「別に、拒絶を求めるなら本当に拒絶をしてもいいんだぞ」
「つまり君は自分から関係を求めはしないけど、寄って来る人を拒絶はしない人っていうわけだね」
「……悪い?」
それが僕のスタンスだ。
勝手に関わってくるのであれば好きにすればいい。
「全然悪くないよ、良かったって思っただけ」
「ふーん」
「そうやって適当に相槌を返すの良くないと思うよー」
「拒絶はしないけど話は面白く出来ないよ、する気もないしね。それが僕のやり方」
「なるほど、そうやって関わってくる人たちを突き放してるってわけだね」
「うぐ……」
「図星だね、なんでそんなに人を遠ざけるかなぁ誠って」
「言えない事情って奴だよ、深くは聞かないでくれ」
「とか言いながらきっとぼっちが好きだからなんだろうなぁ」
「勝手に解釈しといて、それに関して僕は何も言わないし、もうこの話題には触れない」
「悪かったって、そうカッカしないでよ誠」
と言いながら頭を撫でてくる小夜曲。僕はその手を払いのけながら言った。
「子供扱いするな、ったく」
「こうやって子供扱いされて怒ってるところを見ると、そこがすでに子供っぽいって私は思うけどなぁ……」
「うるさいっての」
それ以降僕は一言も話さなかった。
まぁそれは所謂拗ねるっていう奴で、確かに子供っぽいっていうのは的を射てるなぁと、僕は席でぼーっとしながらそう思うのだった。
40
あなたにおすすめの小説
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
高校生なのに娘ができちゃった!?
まったりさん
キャラ文芸
不思議な桜が咲く島に住む主人公のもとに、主人公の娘と名乗る妙な女が現われた。その女のせいで主人公の生活はめちゃくちゃ、最初は最悪だったが、段々と主人公の気持ちが変わっていって…!?
そうして、紅葉が桜に変わる頃、物語の幕は閉じる。
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~
桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。
高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。
見知らずの後輩である自分になぜと思った。
でも、ふりならいいかと快諾する。
すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる