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『辺境伯様』への嫁入りを承諾する
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こうして、『辺境伯様』ウィリアム様と生活するようになってしばらく経過してからの事でした。
印象的だった事は確かに私の身の危険を、その身を挺して守ってくれた事ではありました。
ですが日常生活のいたるところで彼の優しさや頼もしさを垣間見れる場面がいくつもありました。
何より彼は私を義母や義妹のようにモノのように扱わないのです。それは普通の事かもしれません。ですが私にとっては普通ではありませんでした。
モノのように扱われる日常が私にとって普通の事でした。ウィリアム様の扱いは私にとっては決して普通の事ではありませんでした。
物事の基準が大きく下がった点は義母や義妹に感謝していいところかもしれません。私はそう思えるようになりました。
そして別に彼は私を急かさないのです。じっくりと考えるだけの時間を与えてくれたのです。
そもそも私には選ぶ余地などありませんでした。どこへ行く宛てもないのです。見た目さえ気にしなければウィリアム様はとても素晴らしい殿方であると理解できたのです。
ですから私は迷う事はありませんでした。それに純粋に彼の綺麗な心に私は惹かれていったのです。そしてその熱い気持ちは見た目の優劣など簡単に超えてしまえる程に、強くなっていったのです。
「どうしたんだい? シャーロット」
それはいつもの事でした。彼はテラスの椅子に腰かけていました。そして私は想いを打ち明ける事にしたのです。
「ウィリアム様にお願いがあるのです」
「お願い? それはどんなお願いですか?」
想いを伝える時、胸の鼓動が高まって、聞こえてくる程でした。彼にまでそのドキドキが聞こえてしまう程でした。それほど、胸の鼓動の高まりを抑えきれなかったのです。
「ウィリアム様されよろしければ私を妻として娶っては頂けないでしょうか?」
その言葉を聞いた時、その野獣のような表情が驚いたような顔になりました。余程驚きだったのでしょう。
「本当に私でいいのか? シャーロット。私の顔を見ればわかるだろう? 自分で言うのもなんだが、私の顔は化け物のように醜い顔をしている。この顔を見ただけで興味本位で屋敷に来た令嬢が何人も逃げ帰ってしまった程だ。そしてその噂が広まり、屋敷には何人たりとも寄り付かなくなった」
「ええ。知っております。『辺境伯様』、ウィリアム様の噂は界隈では有名だったそうですから」
私はあまり知らなかったが。義妹、ガーベラは耳に挟んだ事があるのだろう。ウィリアム様からの手紙を受け取った時、最初呪いの手紙でも受けとったかのように表情を歪めていた。
私は他の令嬢などと交友がなかったが、ガーベラにはあった。だから知っていたのだと思われる。醜い見た目をした『辺境伯様』の噂を。
「ですが見た目の問題ではありません。私は『辺境伯様』の美しい心に惹かれたのです。その気持ちは日に日に高まり、そして強い愛情を抱くようになったのです」
「本当か、シャーロット。私でいいのか?」
「はい。勿論です。それよりウィリアム様は私でいいのですか? 獣臭い女だとカーディガン家で蔑まれて、使用人以下の扱いを受けてきた。令嬢ともいえない、ただ使用人のような私で。そんな私が妻でウィリアム様はいいのですか?」
「勿論だ。君は素敵な女性だ。謙虚で我が儘を言わないし。それに勤勉だよ。獣臭いなんてそんな事はない。それだけ君が熱心に動物の面倒を見ていたからだろう? それは君が労働の末に流した汗と似たようなものだ。君がその汗をかいただけ、誰かの役に立ってきたはずなんだよ」
「ウィリアム様」
ウィリアム様の優しい言葉に私の心は強く打たれました。思わず今すぐにでもキスしてしまいたい衝動を抑えます。
「シャーロット」
私達は抱き合い、そして見つめあいます。
こうして私は正式にウィリアム様の妻になる事を心に決めたのです
印象的だった事は確かに私の身の危険を、その身を挺して守ってくれた事ではありました。
ですが日常生活のいたるところで彼の優しさや頼もしさを垣間見れる場面がいくつもありました。
何より彼は私を義母や義妹のようにモノのように扱わないのです。それは普通の事かもしれません。ですが私にとっては普通ではありませんでした。
モノのように扱われる日常が私にとって普通の事でした。ウィリアム様の扱いは私にとっては決して普通の事ではありませんでした。
物事の基準が大きく下がった点は義母や義妹に感謝していいところかもしれません。私はそう思えるようになりました。
そして別に彼は私を急かさないのです。じっくりと考えるだけの時間を与えてくれたのです。
そもそも私には選ぶ余地などありませんでした。どこへ行く宛てもないのです。見た目さえ気にしなければウィリアム様はとても素晴らしい殿方であると理解できたのです。
ですから私は迷う事はありませんでした。それに純粋に彼の綺麗な心に私は惹かれていったのです。そしてその熱い気持ちは見た目の優劣など簡単に超えてしまえる程に、強くなっていったのです。
「どうしたんだい? シャーロット」
それはいつもの事でした。彼はテラスの椅子に腰かけていました。そして私は想いを打ち明ける事にしたのです。
「ウィリアム様にお願いがあるのです」
「お願い? それはどんなお願いですか?」
想いを伝える時、胸の鼓動が高まって、聞こえてくる程でした。彼にまでそのドキドキが聞こえてしまう程でした。それほど、胸の鼓動の高まりを抑えきれなかったのです。
「ウィリアム様されよろしければ私を妻として娶っては頂けないでしょうか?」
その言葉を聞いた時、その野獣のような表情が驚いたような顔になりました。余程驚きだったのでしょう。
「本当に私でいいのか? シャーロット。私の顔を見ればわかるだろう? 自分で言うのもなんだが、私の顔は化け物のように醜い顔をしている。この顔を見ただけで興味本位で屋敷に来た令嬢が何人も逃げ帰ってしまった程だ。そしてその噂が広まり、屋敷には何人たりとも寄り付かなくなった」
「ええ。知っております。『辺境伯様』、ウィリアム様の噂は界隈では有名だったそうですから」
私はあまり知らなかったが。義妹、ガーベラは耳に挟んだ事があるのだろう。ウィリアム様からの手紙を受け取った時、最初呪いの手紙でも受けとったかのように表情を歪めていた。
私は他の令嬢などと交友がなかったが、ガーベラにはあった。だから知っていたのだと思われる。醜い見た目をした『辺境伯様』の噂を。
「ですが見た目の問題ではありません。私は『辺境伯様』の美しい心に惹かれたのです。その気持ちは日に日に高まり、そして強い愛情を抱くようになったのです」
「本当か、シャーロット。私でいいのか?」
「はい。勿論です。それよりウィリアム様は私でいいのですか? 獣臭い女だとカーディガン家で蔑まれて、使用人以下の扱いを受けてきた。令嬢ともいえない、ただ使用人のような私で。そんな私が妻でウィリアム様はいいのですか?」
「勿論だ。君は素敵な女性だ。謙虚で我が儘を言わないし。それに勤勉だよ。獣臭いなんてそんな事はない。それだけ君が熱心に動物の面倒を見ていたからだろう? それは君が労働の末に流した汗と似たようなものだ。君がその汗をかいただけ、誰かの役に立ってきたはずなんだよ」
「ウィリアム様」
ウィリアム様の優しい言葉に私の心は強く打たれました。思わず今すぐにでもキスしてしまいたい衝動を抑えます。
「シャーロット」
私達は抱き合い、そして見つめあいます。
こうして私は正式にウィリアム様の妻になる事を心に決めたのです
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