駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

脅迫②

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「僕と義姉さんは家族なんだから、二人きりでも大丈夫だよ。変な勘繰りをする人は、居ないって。それに軽く仕事の話もするかもしれないし……ねっ?」

 こちらの不安という名の建前を潰しながら、部外者を追い出す大義名分まで提示する義弟に、私は何も言えなくなる。
『仕事の話』を持ち出されては、了承せざるを得ないから。

「……分かりました。彼らは下がらせます」

「ありがとう。義姉さんなら、そう言ってくれると思っていたよ」

 嬉しそうに頬を緩める義弟に対し、私は内心溜め息を漏らす。
と同時に、使用人達へ合図を送った。
すると、彼らは『失礼します』と一言断りを入れてから退室していく。
おかげで、あっという間に義弟と二人きりになった。

「さて、邪魔者は居なくなったことだし、早速本題へ入ろうか」

 案の定とでも言うべきか、義弟は呑気に世間話をするつもりなどないようだ。
恐らく、が帰ってくる前に用件を終えたいのだろう。
『旦那様が来れば、私の居る必要はなくなるものね』と思案する中、彼は表情を引き締める。
どこか、物々しい雰囲気を放ちながら。

「時間もないから、単刀直入に言うね────兄さんと離婚してほしい」

 もう後がないからか、義弟はハッキリと要求を口にした。
かと思えば、おもむろに両手を組む。

「もちろん、すんなり『はい』と言ってくれるなんて思っていない。義姉さんはもう残留を決めたか、少なくともまだ迷っている状態だから」

 『こちらの望む答えなんて、今すぐ出せないだろう』と言い、義弟は少しばかり身を乗り出した。

「なので、一つ条件を付け足す」

 そう前置きしてから、義弟は真剣な面持ちでこちらを見据える。

「離婚しなかった場合、ペナルティとして────クラリス・アスチルベ・フィオーレ伯爵令嬢の命をもらう」

「!?」

 ハッと大きく息を呑む私は、動揺のあまり目を白黒させた。
『何故、ここでお姉様の名前が……?』と混乱する私を前に、義弟はゆるりと口角を上げる。

「先に言っておくけど、今からクラリス嬢を保護して匿うのは無理だよ。だって────もう僕の部下に拐わせて、人気のない場所に閉じ込めてあるから」
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