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戦う理由
究極奥義
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「背水の陣、手ノ項っ!」
敵の懐めがけ飛び込む。
「2人がかりでも、倒せるとお思いで?」
敵は刀に魔力を纏わせる。
「……まずい、白! 来るぞ———」
すかさず、黒と共に魔力障壁を張る。
「『雪下月光』」
敵はそのまま刀を振り、魔力斬撃を繰り出す。
四方八方に分散する白色斬撃。
避ける事は不可能……!
ならば、魔力障壁でガードするのみ……!
「ぐっ……!」
「白、魔力障壁は大丈夫か?」
「……ああ、何とか……!」
斬撃の後、開けた視界には。
敵の姿はなく。
後方、上、右、左、どこにも敵の姿はなかった。
しかし、次の瞬間。
「『虚空切断』」
敵は、すぐ側にいた。
「嘘だろっ?!」
すかさず刀を振り、攻撃をガードする。
そのまま地を蹴り跳び退く。
すると、また敵の姿はそこにはなく。
「そう来るか、なら……!」
脚に魔力を込め、
「飛び上がるまでだ……!」
そのまま空中に飛び上がる。身体強化魔術による脚力強化ではなく。浮遊法を用いて。
「……なっ?!」
驚いたのは黒。
今度は黒の近くに敵は出現する。
しかし、今度は違う……!
「今だーーーーーっ!」
急降下し、敵めがけ刀を突き出し突っ込む。
「何……!」
流石にこの行動は予知できなかったのか、うまく敵の臓物を、貫いた……!
超高高度からの急降下。
いくら木刀でも、その勢いでは人の肉すら貫くだろう。
「……ふ……ふはは、ふははは———」
敵は高らかに笑う。
しかし、黒が刀で敵の首を切断した。
ボトッ、と重い音と共に、地面に向かって落ちる敵の首。
「んっ!」
敵の胴体から刀を引っこ抜く。
「終わっ……たあっ!」
安堵からか、声が裏返る。
「やったな、白。俺たちの、勝ちだ……」
「…………とでも思っていましたか?」
首が無くなったはずの敵だが、もう既にその首はくっついていた。
……え?
なんで?
よく考えたら、いやよく考えなくとも明らかにおかしい。
この手で突き刺して、黒が首を斬ったはずなのに?
「まさか……貴様、まさか貴様……ソウルレスかっ?!」
血もちゃんと残っている。幻術の類いでは無いはずだ。
ではなぜ、敵はまだ生きている?
死んだ人間が、生きているだなんて、そんな事ある訳がないのに。
「お試し期間はここでおしまいです、しかし、殺すのはあまりにも惜しすぎる。特に白さん。貴方が一番」
「……え?」
「今日はここまでにしておきます。ですが、白さん、貴方とは近いうちにまた会うことになるでしょう」
「どういう事だ、コイツと会って何が狙いだ」
「だから、見逃すと言っているのです。私は貴方の強さに興味が湧きました。だからこそ、今は泳がせます。『鍵』の気配もしませんでしたし、まあここで殺す必要もないでしょう」
「見逃す……だと?」
「ええ、死ぬのは日常茶飯事なので。特に気分を害してもいませんしね」
「??」
気がつくと、既に敵は姿を消していた。
「何だったんだ、今のは」
「……白、今のが魔王軍幹部最強、ダークナイトだ。どうだ、勝てそうか?」
「いいや、全然。ましてや不死身なんて聞いてない」
そう、確信した。奴は不死身だ。
奴の発言、そして奴の不可解な現象。
それらから導き出せる今の答えは、奴が不死身だって事だけだった。
……どうやって戦うかは分からない。どうやってあんな化け物に勝つかも分からない。だけど、
「……戦うしかないと分かったか」
「ああ、大切な人を守る為には、戦わなければならない。昔から、分かっていたつもりだったが、今よく分かったよ」
「……そうか」
「戦うよ。俺は。大切な者を守る為に」
「……なら、強くならないとな。まだまだお前に教える事もある。お前だって強くなりたいだろう?」
「ああ、魔王軍相手に最前線で戦えるくらいには……!」
「だったら、まずは弱点を克服して……」
◆◆◆◆◆◆◆◆
……それから、またまた長ーい修行が始まった。
「まずは刀の素振りだ、1回降る毎に振り方を変えるんだ、無駄な動きを一切なくせ! それがお前の目標だ!」
「1387……、1388、1389……!」
「どうした、振るスピードが遅くなっているぞ! もっと速く、そして無駄なく振れ! 姿勢を崩すな、足を動かすなっ!」
「黒、サナがいなくなって、から……途端に厳しく、なったな……」
「ああ、俺の場合、魔術に関しては疎いからな……って、無駄口叩かずに振り続けろ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「18876っ、18877っ! 18878っ!」
「……1日振り続けてようやく形になってきたな、その調子、といきたいがもう8時だ、夕食食べるぞ!」
「……えっと、ご飯は野菜……じゃないのか?」
出されたご飯は———おそらくオークの肉だった。
「肉を食べて力をつける、これも修行の一環だ」
「修行方針……変わってないか……?」
◆◆◆◆◆◆◆◆
肌寒い早朝。
「37! 38!」
「ふん、最初から形になるようになったな、もうそろそろこの修行もいいだろう。さて、そろそろ組み手でもするか」
「だったら、今日こそは……勝たせてもらうぞ」
2人共に木刀を構える。
「……ふ、こうしてお前と相対すると、師匠との日々を思い出すな。お前には師匠の面影がある」
「まあ、今は黒が師匠だけどな」
「……それじゃあ、いかせてもらうぞっ!」
互いに駆け出し、刀と刀がぶつかり合う。
衝撃が草地に広がる。
「ふんっ!」
組み合った後すぐに横に刀を入れにいく。
「速くなったな、だがっ!」
黒もすかさず刀でガードする。
しかし、それでも刀を振り続ける……!
「どうした、防戦一方だが、俺が押し切ってもいいのか」
入れにいった刀は全てガードされているが、このままいけば俺が押し切るのは明白だ……!
すごい……修行をする前と後で、自分の動きが明らかに違うのが分かる……!
「……さて、防戦一方もここまで、だっ!」
黒は大きく刀を振り回し、俺を遠ざける。
「背水の陣、極の項……!」
「……来たな……!」
未知の技。背水の陣、究極奥義。ダークナイトの刀を避け続けたあの技……! 一度戦ってみたかった……!
「どうした白、来ないのか?」
「言われなくとも……!」
すかさず突進し、猛スピードで刀を振り続ける。
本来ならば、ここで黒は切り刻まれているはずだ。……がしかし、黒はそれらを冷静に見極め、全て、1つ残さず避け続ける……!
「……なっ……! 全く……当たらな……消えた?!」
刀に妙な感覚。刀を水流の流れに沿って動かされたような、そんなおかしな感覚がしたあと、突然黒の姿が消えてなくなった。
「既に後ろだ」
「なっ?!」
黒はすんでのところで刀を止める。
「流石だ、白。修行の成果が目に見えて分かる」
「……だけど、その技には完敗だ」
「背水の陣、極の項。これからお前に教える、究極奥義だ」
敵の懐めがけ飛び込む。
「2人がかりでも、倒せるとお思いで?」
敵は刀に魔力を纏わせる。
「……まずい、白! 来るぞ———」
すかさず、黒と共に魔力障壁を張る。
「『雪下月光』」
敵はそのまま刀を振り、魔力斬撃を繰り出す。
四方八方に分散する白色斬撃。
避ける事は不可能……!
ならば、魔力障壁でガードするのみ……!
「ぐっ……!」
「白、魔力障壁は大丈夫か?」
「……ああ、何とか……!」
斬撃の後、開けた視界には。
敵の姿はなく。
後方、上、右、左、どこにも敵の姿はなかった。
しかし、次の瞬間。
「『虚空切断』」
敵は、すぐ側にいた。
「嘘だろっ?!」
すかさず刀を振り、攻撃をガードする。
そのまま地を蹴り跳び退く。
すると、また敵の姿はそこにはなく。
「そう来るか、なら……!」
脚に魔力を込め、
「飛び上がるまでだ……!」
そのまま空中に飛び上がる。身体強化魔術による脚力強化ではなく。浮遊法を用いて。
「……なっ?!」
驚いたのは黒。
今度は黒の近くに敵は出現する。
しかし、今度は違う……!
「今だーーーーーっ!」
急降下し、敵めがけ刀を突き出し突っ込む。
「何……!」
流石にこの行動は予知できなかったのか、うまく敵の臓物を、貫いた……!
超高高度からの急降下。
いくら木刀でも、その勢いでは人の肉すら貫くだろう。
「……ふ……ふはは、ふははは———」
敵は高らかに笑う。
しかし、黒が刀で敵の首を切断した。
ボトッ、と重い音と共に、地面に向かって落ちる敵の首。
「んっ!」
敵の胴体から刀を引っこ抜く。
「終わっ……たあっ!」
安堵からか、声が裏返る。
「やったな、白。俺たちの、勝ちだ……」
「…………とでも思っていましたか?」
首が無くなったはずの敵だが、もう既にその首はくっついていた。
……え?
なんで?
よく考えたら、いやよく考えなくとも明らかにおかしい。
この手で突き刺して、黒が首を斬ったはずなのに?
「まさか……貴様、まさか貴様……ソウルレスかっ?!」
血もちゃんと残っている。幻術の類いでは無いはずだ。
ではなぜ、敵はまだ生きている?
死んだ人間が、生きているだなんて、そんな事ある訳がないのに。
「お試し期間はここでおしまいです、しかし、殺すのはあまりにも惜しすぎる。特に白さん。貴方が一番」
「……え?」
「今日はここまでにしておきます。ですが、白さん、貴方とは近いうちにまた会うことになるでしょう」
「どういう事だ、コイツと会って何が狙いだ」
「だから、見逃すと言っているのです。私は貴方の強さに興味が湧きました。だからこそ、今は泳がせます。『鍵』の気配もしませんでしたし、まあここで殺す必要もないでしょう」
「見逃す……だと?」
「ええ、死ぬのは日常茶飯事なので。特に気分を害してもいませんしね」
「??」
気がつくと、既に敵は姿を消していた。
「何だったんだ、今のは」
「……白、今のが魔王軍幹部最強、ダークナイトだ。どうだ、勝てそうか?」
「いいや、全然。ましてや不死身なんて聞いてない」
そう、確信した。奴は不死身だ。
奴の発言、そして奴の不可解な現象。
それらから導き出せる今の答えは、奴が不死身だって事だけだった。
……どうやって戦うかは分からない。どうやってあんな化け物に勝つかも分からない。だけど、
「……戦うしかないと分かったか」
「ああ、大切な人を守る為には、戦わなければならない。昔から、分かっていたつもりだったが、今よく分かったよ」
「……そうか」
「戦うよ。俺は。大切な者を守る為に」
「……なら、強くならないとな。まだまだお前に教える事もある。お前だって強くなりたいだろう?」
「ああ、魔王軍相手に最前線で戦えるくらいには……!」
「だったら、まずは弱点を克服して……」
◆◆◆◆◆◆◆◆
……それから、またまた長ーい修行が始まった。
「まずは刀の素振りだ、1回降る毎に振り方を変えるんだ、無駄な動きを一切なくせ! それがお前の目標だ!」
「1387……、1388、1389……!」
「どうした、振るスピードが遅くなっているぞ! もっと速く、そして無駄なく振れ! 姿勢を崩すな、足を動かすなっ!」
「黒、サナがいなくなって、から……途端に厳しく、なったな……」
「ああ、俺の場合、魔術に関しては疎いからな……って、無駄口叩かずに振り続けろ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「18876っ、18877っ! 18878っ!」
「……1日振り続けてようやく形になってきたな、その調子、といきたいがもう8時だ、夕食食べるぞ!」
「……えっと、ご飯は野菜……じゃないのか?」
出されたご飯は———おそらくオークの肉だった。
「肉を食べて力をつける、これも修行の一環だ」
「修行方針……変わってないか……?」
◆◆◆◆◆◆◆◆
肌寒い早朝。
「37! 38!」
「ふん、最初から形になるようになったな、もうそろそろこの修行もいいだろう。さて、そろそろ組み手でもするか」
「だったら、今日こそは……勝たせてもらうぞ」
2人共に木刀を構える。
「……ふ、こうしてお前と相対すると、師匠との日々を思い出すな。お前には師匠の面影がある」
「まあ、今は黒が師匠だけどな」
「……それじゃあ、いかせてもらうぞっ!」
互いに駆け出し、刀と刀がぶつかり合う。
衝撃が草地に広がる。
「ふんっ!」
組み合った後すぐに横に刀を入れにいく。
「速くなったな、だがっ!」
黒もすかさず刀でガードする。
しかし、それでも刀を振り続ける……!
「どうした、防戦一方だが、俺が押し切ってもいいのか」
入れにいった刀は全てガードされているが、このままいけば俺が押し切るのは明白だ……!
すごい……修行をする前と後で、自分の動きが明らかに違うのが分かる……!
「……さて、防戦一方もここまで、だっ!」
黒は大きく刀を振り回し、俺を遠ざける。
「背水の陣、極の項……!」
「……来たな……!」
未知の技。背水の陣、究極奥義。ダークナイトの刀を避け続けたあの技……! 一度戦ってみたかった……!
「どうした白、来ないのか?」
「言われなくとも……!」
すかさず突進し、猛スピードで刀を振り続ける。
本来ならば、ここで黒は切り刻まれているはずだ。……がしかし、黒はそれらを冷静に見極め、全て、1つ残さず避け続ける……!
「……なっ……! 全く……当たらな……消えた?!」
刀に妙な感覚。刀を水流の流れに沿って動かされたような、そんなおかしな感覚がしたあと、突然黒の姿が消えてなくなった。
「既に後ろだ」
「なっ?!」
黒はすんでのところで刀を止める。
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