Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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C・C・C(カーネイジ・クライシス・クラッシャー)

怒りの一撃

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 動かそうと力を入れ奮発した瞬間、「白の世界」より意識が戻る。
 それと同時に、「アダム」と話すことで落ち着いていた心境も揺らぎ始め、昂り始める。

 ……そりゃあ、そうだろう。

 を目の前で殺されて、怒らない者などいないのだから。


◆◇◆◇◆◇◆◇





 5秒経過。
 全てに色が戻り、全てが動き出す。その中で、

「……なぜキサマ……瞬間移動でもしたのか……?」

 たった俺だけの動きが吹き飛んでいた。

「逃がすかぁぁぁぁあっ!」

『メタル・クライシス』によって再度形成されたクラッシャーのその鋼の肉体を、斜めに両断する。

 中のコード……らしきものがパチリと音を立て発光する。

「この……虫ケラが……ああっ!!」

「絶対に、許さないっ!」

 逃げようと後退するクラッシャーの身体を、これでもかとまでに何度も何度も切断する。


 ……しかし。
「無駄なんだ、貴様の攻撃は! 地を這い、ゴミ虫のように無様に散るといい!!」

 またもや飛んでくるは無数の鉄の針。
「もうそれは……見飽きたんだよっ!」

 それら全てを跳び上がり回避した後、超スピードで落下する。




 俺の身体がぶっ壊れてでも、ここで終わらせるしかないんだよっ! 

「背水の陣、全力解放!!」

 視界は白に染まる。
 身体は蒼銀の魔力を身に纏い、より鮮明に光り輝く。
 感覚を研ぎ澄まし、興奮する肉体を抑えつけ……

 ……だめだ、やっぱり……!


「極ノ項!!」
「さっきからうるさいヤツめ! 気でも狂って叫びたくなったか!」



 やはり、意識を研ぎ澄ましちゃダメだ。
 この、この今の、煮えたぎった感情を武器にして戦う……!

 それが俺の……最適解!

「もらったああああああっ!!!!」

 音速の落下。しかし。



「…………俺の勝ち、だな!」




 すんでのところで回避され、ヤツは既に構えに入っている……
 ならば。

「ふっ!」



「な……何ぃっ?!」

 既に振り下ろされたその刀を、0秒で上まで持ち上げ切り上げる……!


 本来来るはずのない剣筋。
 だがしかし、その「来るはずのない」という意表、虚を突いた打突……!

「き……ふざけやがって……!」

 擦れる断面。
 舞い散る鉄塵。
 それは、刀が確実に命中していたことを示す。



「メタル・クライシス……!」

 瞬間、倒壊した住宅より、鉄の瓦礫が全方位より襲いかかる。



「ザ・オールマイティっ!!」

 一瞬、一瞬だけでも、僅かにでも有利に動ける時間を作り出す……!

 瓦礫を切り分け、全てが、時が止まった世界にて、すぐにヤツを斬り伏せんと跳び上がる。
 ……が、瞬間。

「……なんだと……どうしてそこにいる……!」
 

 神力領域が解ける……反撃の機は相手にある……!


「ふっ…………!!」

 いつの間にやら、クラッシャーはその右腕に纏った鉄塊を俺目がけ薙ぎ払う。
 こちらもそう易々と、薙ぎ払われるわけにはいかないが……!


「……っ……ああっ!!」

 『メタル・クライシス』の影響だろうか、謎の方向より謎の力が加わり、刀が弾け飛ぶ。





「肉弾戦か……上等……!」

「まだ諦めないとでも言うのか?!」

 左腕に力を込め、食らわせるは全身全霊の拳。
 骨が砕ける激痛。だが、まだ動くと言うのなら気にしない……!


「ふ……クソ……カスの分際で……下等生物の分際でええっ!!」

 その苦痛に歪んだ顔はすぐさま戻り、鉄の巨腕が振り下ろされる。




 避けられはしない。
 ここまで近距離であれば、激突は必須……
 ならば……力爆!

「背水の陣、力爆!!」

 今まさに殴りかからんと、後ろに引いた右腕が魔力により肥大化する。

「な……なんだと……っ、この俺のメタルクライシスに……拮抗している……!」

 その拳がぶつかり合った結果、起きたのは完璧なる拮抗状態。
 互いに互いが拳のみに集中し、他の小細工に手を回している余裕はないこの状況において、この拳の力のみが、戦況を左右する決め手となる……!




「ず……あ……ああああっ!!」

 そして、押し切った。
 流れるようにして、拳はヤツの顔面を直撃。
 すぐさまクラッシャーは、転がるようにして吹き飛ばされていった。



「……は、……あっ……」
「最後の、最後の言葉は、言い残すことでもあるか、クラッシャー!」
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