62 / 256
C・C・C(カーネイジ・クライシス・クラッシャー)
怒りの一撃
しおりを挟む
動かそうと力を入れ奮発した瞬間、「白の世界」より意識が戻る。
それと同時に、「アダム」と話すことで落ち着いていた心境も揺らぎ始め、昂り始める。
……そりゃあ、そうだろう。
愛する人を目の前で殺されて、怒らない者などいないのだから。
◆◇◆◇◆◇◆◇
5秒経過。
全てに色が戻り、全てが動き出す。その中で、
「……なぜキサマ……瞬間移動でもしたのか……?」
たった俺だけの動きが吹き飛んでいた。
「逃がすかぁぁぁぁあっ!」
『メタル・クライシス』によって再度形成されたクラッシャーのその鋼の肉体を、斜めに両断する。
中のコード……らしきものがパチリと音を立て発光する。
「この……虫ケラが……ああっ!!」
「絶対に、許さないっ!」
逃げようと後退するクラッシャーの身体を、これでもかとまでに何度も何度も切断する。
……しかし。
「無駄なんだ、貴様の攻撃は! 地を這い、ゴミ虫のように無様に散るといい!!」
またもや飛んでくるは無数の鉄の針。
「もうそれは……見飽きたんだよっ!」
それら全てを跳び上がり回避した後、超スピードで落下する。
俺の身体がぶっ壊れてでも、ここで終わらせるしかないんだよっ!
「背水の陣、全力解放!!」
視界は白に染まる。
身体は蒼銀の魔力を身に纏い、より鮮明に光り輝く。
感覚を研ぎ澄まし、興奮する肉体を抑えつけ……
……だめだ、やっぱり……!
「極ノ項!!」
「さっきからうるさいヤツめ! 気でも狂って叫びたくなったか!」
やはり、意識を研ぎ澄ましちゃダメだ。
この、この今の、煮えたぎった感情を武器にして戦う……!
それが俺の……最適解!
「もらったああああああっ!!!!」
音速の落下。しかし。
「…………俺の勝ち、だな!」
すんでのところで回避され、ヤツは既に構えに入っている……
ならば。
「ふっ!」
「な……何ぃっ?!」
既に振り下ろされたその刀を、0秒で上まで持ち上げ切り上げる……!
本来来るはずのない剣筋。
だがしかし、その「来るはずのない」という意表、虚を突いた打突……!
「き……ふざけやがって……!」
擦れる断面。
舞い散る鉄塵。
それは、刀が確実に命中していたことを示す。
「メタル・クライシス……!」
瞬間、倒壊した住宅より、鉄の瓦礫が全方位より襲いかかる。
「ザ・オールマイティっ!!」
一瞬、一瞬だけでも時を止め、僅かにでも有利に動ける時間を作り出す……!
瓦礫を切り分け、全てが、時が止まった世界にて、すぐにヤツを斬り伏せんと跳び上がる。
……が、瞬間。
「……なんだと……どうしてそこにいる……!」
神力領域が解ける……反撃の機は相手にある……!
「ふっ…………!!」
いつの間にやら、クラッシャーはその右腕に纏った鉄塊を俺目がけ薙ぎ払う。
こちらもそう易々と、薙ぎ払われるわけにはいかないが……!
「……っ……ああっ!!」
『メタル・クライシス』の影響だろうか、謎の方向より謎の力が加わり、刀が弾け飛ぶ。
「肉弾戦か……上等……!」
「まだ諦めないとでも言うのか?!」
左腕に力を込め、食らわせるは全身全霊の拳。
骨が砕ける激痛。だが、まだ動くと言うのなら気にしない……!
「ふ……クソ……カスの分際で……下等生物の分際でええっ!!」
その苦痛に歪んだ顔はすぐさま戻り、鉄の巨腕が振り下ろされる。
避けられはしない。
ここまで近距離であれば、激突は必須……
ならば……力爆!
「背水の陣、力爆!!」
今まさに殴りかからんと、後ろに引いた右腕が魔力により肥大化する。
「な……なんだと……っ、この俺のメタルクライシスに……拮抗している……!」
その拳がぶつかり合った結果、起きたのは完璧なる拮抗状態。
互いに互いが拳のみに集中し、他の小細工に手を回している余裕はないこの状況において、この拳の力のみが、戦況を左右する決め手となる……!
「ず……あ……ああああっ!!」
そして、押し切った。
流れるようにして、拳はヤツの顔面を直撃。
すぐさまクラッシャーは、転がるようにして吹き飛ばされていった。
「……は、……あっ……」
「最後の、最後の言葉は、言い残すことでもあるか、クラッシャー!」
それと同時に、「アダム」と話すことで落ち着いていた心境も揺らぎ始め、昂り始める。
……そりゃあ、そうだろう。
愛する人を目の前で殺されて、怒らない者などいないのだから。
◆◇◆◇◆◇◆◇
5秒経過。
全てに色が戻り、全てが動き出す。その中で、
「……なぜキサマ……瞬間移動でもしたのか……?」
たった俺だけの動きが吹き飛んでいた。
「逃がすかぁぁぁぁあっ!」
『メタル・クライシス』によって再度形成されたクラッシャーのその鋼の肉体を、斜めに両断する。
中のコード……らしきものがパチリと音を立て発光する。
「この……虫ケラが……ああっ!!」
「絶対に、許さないっ!」
逃げようと後退するクラッシャーの身体を、これでもかとまでに何度も何度も切断する。
……しかし。
「無駄なんだ、貴様の攻撃は! 地を這い、ゴミ虫のように無様に散るといい!!」
またもや飛んでくるは無数の鉄の針。
「もうそれは……見飽きたんだよっ!」
それら全てを跳び上がり回避した後、超スピードで落下する。
俺の身体がぶっ壊れてでも、ここで終わらせるしかないんだよっ!
「背水の陣、全力解放!!」
視界は白に染まる。
身体は蒼銀の魔力を身に纏い、より鮮明に光り輝く。
感覚を研ぎ澄まし、興奮する肉体を抑えつけ……
……だめだ、やっぱり……!
「極ノ項!!」
「さっきからうるさいヤツめ! 気でも狂って叫びたくなったか!」
やはり、意識を研ぎ澄ましちゃダメだ。
この、この今の、煮えたぎった感情を武器にして戦う……!
それが俺の……最適解!
「もらったああああああっ!!!!」
音速の落下。しかし。
「…………俺の勝ち、だな!」
すんでのところで回避され、ヤツは既に構えに入っている……
ならば。
「ふっ!」
「な……何ぃっ?!」
既に振り下ろされたその刀を、0秒で上まで持ち上げ切り上げる……!
本来来るはずのない剣筋。
だがしかし、その「来るはずのない」という意表、虚を突いた打突……!
「き……ふざけやがって……!」
擦れる断面。
舞い散る鉄塵。
それは、刀が確実に命中していたことを示す。
「メタル・クライシス……!」
瞬間、倒壊した住宅より、鉄の瓦礫が全方位より襲いかかる。
「ザ・オールマイティっ!!」
一瞬、一瞬だけでも時を止め、僅かにでも有利に動ける時間を作り出す……!
瓦礫を切り分け、全てが、時が止まった世界にて、すぐにヤツを斬り伏せんと跳び上がる。
……が、瞬間。
「……なんだと……どうしてそこにいる……!」
神力領域が解ける……反撃の機は相手にある……!
「ふっ…………!!」
いつの間にやら、クラッシャーはその右腕に纏った鉄塊を俺目がけ薙ぎ払う。
こちらもそう易々と、薙ぎ払われるわけにはいかないが……!
「……っ……ああっ!!」
『メタル・クライシス』の影響だろうか、謎の方向より謎の力が加わり、刀が弾け飛ぶ。
「肉弾戦か……上等……!」
「まだ諦めないとでも言うのか?!」
左腕に力を込め、食らわせるは全身全霊の拳。
骨が砕ける激痛。だが、まだ動くと言うのなら気にしない……!
「ふ……クソ……カスの分際で……下等生物の分際でええっ!!」
その苦痛に歪んだ顔はすぐさま戻り、鉄の巨腕が振り下ろされる。
避けられはしない。
ここまで近距離であれば、激突は必須……
ならば……力爆!
「背水の陣、力爆!!」
今まさに殴りかからんと、後ろに引いた右腕が魔力により肥大化する。
「な……なんだと……っ、この俺のメタルクライシスに……拮抗している……!」
その拳がぶつかり合った結果、起きたのは完璧なる拮抗状態。
互いに互いが拳のみに集中し、他の小細工に手を回している余裕はないこの状況において、この拳の力のみが、戦況を左右する決め手となる……!
「ず……あ……ああああっ!!」
そして、押し切った。
流れるようにして、拳はヤツの顔面を直撃。
すぐさまクラッシャーは、転がるようにして吹き飛ばされていった。
「……は、……あっ……」
「最後の、最後の言葉は、言い残すことでもあるか、クラッシャー!」
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる