Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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激震!勇魔最終戦争…!

絶対に諦めない/希望の剣

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 いつの間にやら、空には星が瞬く頃となっていた。
 しかしそれでも、戦いは終わらない。
 文字通り、どちらかが死ぬまで。どちらかが生き残るまで……!


「……あっ」

 ……が、勝敗は既に決した。

「失墜するのみだな、救世主よ」

 魔力翼を、破壊された。
 堕ち行く景色を見つめ続ける。
 追撃はしてこない、当たり前だ、俺はここで終わりなのだから。

 もはや浮遊法を使えるほどの魔力は残っていない。


 完全に、俺の負けだ。
 超高高度からの落下。

 いくら魔力障壁を貼ろうと、この衝撃は抑えられない。
 ……そうか、ここで……









「終わっていいのか?」
「終わっていいの?」
「そこで……終わらせる気ですか」
「まだ終われはしないはずだろう?」
「マスターは、そのような選択は……もちろんしません、よね……?」


「白郎、貴方はそんなところで終わるような人では———なかったはずです」




 声が……聞こえた気がした。

「終われは……しない……はずだったろう……!」

 泣いちゃいられない。
 砕けちゃいられない。
 ここじゃ引けないんだ。

 アイツが、センが託した世界があるからこそ、俺はこんなところじゃ……終われない、ここで一歩たりとも、引くわけにはいかないんだ……!!!!

 やらなきゃならない事があると、
 やらなきゃならない時があるとセンアイツに教えたのは誰だ……!


 …………俺だ……!




「ザ・オールマイティ・シャットダウン・オブ・ワールド」


 シグマドライヴ、『鍵』の権能は目覚める。

 色が失われる。
 元より緑などない、暗黒の地よりも、色が失われる。

 しかし、それ神技ジルが覚醒した証拠であり、同時に俺が、この能力を使いこなせるという事の証明となった。

 10秒。
 止められる時間は、容易に想像がつく。

 感覚だが、直感がそうだと釘を指す。
 体力、魔力の回復に専念する。

 止まった時の世界では、俺1人。
 着地し、更なる攻撃の為に備える。
 仕切り直しだ、魔王様……!

 視界に色が戻る。と共に。

「アルビス・アルビオン、発進……!」

 魔力翼、再起動。
 神力エネルギーとの結合、開始……

 身体が青色の魔気……いや、神気に包まれる。


 暗黒の大地に灯る、白色の希望、輝き。
 まるでそれは、この夜すら照らす太陽のようで———


「……なんだと……貴公は死んだはずじゃ……」

 舞い上がる白銀の翼竜。
 吹き抜けた風と雲が、衝撃波となって空を駆ける。

「魔力器官、同期……! 概念改竄:神威っ!」

 神威が、その手から姿を消す。
しかし、胸に突き刺さった持ち手より剣が———雨雲の中、一筋差した陽の光のような、暖かい剣が飛び出す。

「エクスカリバー、伝説の、聖剣よ、出でよ……!」


 身体中の魔力、神力をフル稼働させる。
 骨も、血も、肉も、皮さえも、この聖剣に捧げる……!

 だからこその、見えた勝機。

「ガイア・コンソール、出力100%! 面白い戦いになってきたじゃないかあっ!」



 魔族の王は、そのランスを天に掲げる。

「この真形を見よ! これこそ真の姿っ!」

 ランスの針の部分が2つに割れ、中から細長い、もう1つの暗黒に輝く剣が姿を晒す。

「創世天地/開闢神話……! この剣は古代そのものを概念として刻んだ剣、二重概念! 貴様にこれが止められるかあっ!」

「止めてみせる、必ず!」


 巨大な渦巻く魔力の層。
 その根源に座するは魔族の王、神域の魔術師、アベル・セイバー。


「だけど、負ける訳にはいかないっ! アルビオンアーマー、フルスロットッ!」

 天を割く稲妻の如く、晴天の日々に突如落ちる霹靂の如く駆け上がる。


「ガイア・コンソール・オールドデウス! 古き神の時代、古きこの星は終わりを告げる! 避ければ全ては無に帰す!」

「エクスカリバー、この時代を———照らせええええっ!」


 その剣が振り下ろされる。
 星を穿つ一撃。
 だが。

「希望は、俺の中にあるっ!」






 両断。
 最強最悪、究極にして絶望の一撃を、希望の刃で割ってみせた———!

 風が吹き荒れる。星が揺れる。
 海は唸り、地は叫び、天は割れる。
 だが、その新しき神話の最中に立つのは。



「勝ってみせる、この戦い!」



 かつて、夢で見た「主人公」がそうしたように。
「生きたい」と、「もしも願いが叶うなら」と、そう叫ぶ。


「俺は、俺の好きな人と一緒に暮らせる世界を、作るために…………戦うっ!!!!」
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