文字の大きさ
大
中
小
89 / 256
断章Ⅰ〜アローサル:ラークシャサ・ラージャー〜
神殿の剣士
「随分と手こずっているじゃないか、貴様ともあろう者がなっ!!」
ソラより響く、聞き覚えのある声。
「……イデア、か」
その声の主は……紛れもなく、白の兄———イデア・セイバーだった。
「久しぶりじゃないか、黒」
「……くだらない、いくらどれだけ仲間が増えようと、この私には勝てん」
そのフードの男が———黒が、そのフードを投げ捨てる。
「さぞ動きにくかったろう、そんなモノを身につけて」
「馬鹿にするなイデア、フードがあったから勝てなかった~みたいな、お前みたいな言い訳はしないさ」
「フン……言ってくれるじゃないか、影武者ごときが」
「合わせるぞ、イデア……!」
2人同時、刀を構え、全く同じタイミングで駆け出す。
「我が力の前には、無力……!」
男の、ヴォレイの身体より放出される覇気が、空気の刃となり襲いかかる。だが、イデアと黒、この2人が組めば、そんなモノは敵ではなかった。
「イデア、前だ……っ!」
「黒は左…………だぞ!」
……そう、生まれてこのかた、誰とも「一緒」には組まないと誓ったイデアだったが、「一緒」に何かを成し遂げる強さを一番よく分かっていたのは、他でもないイデア自身だった。
それは、数年前、カミを、機神オーディンを堕とした時と全く同じの体系。
……そう、オーディンを堕としたのは、イデア1人の力ではない。
「イデア、上、来るぞ……っ!」
「分かって……いる……!」
……そう、機神オーディンを堕としたのは、この2人で、なのだ。
———かつて、ヘファイストス神殿国に攻めて来た『機神』と呼ばれしカミの一柱。
この2人でなければ、ヘファイストス神殿国の王、ヴァーサ・セイバーの影武者である黒と、国王の息子でもあるイデアでしか、オーディンは墜とせなかったのである。
当時少年期だったイデア1人でカミが堕とせるわけもなく。
だからこそ、この2人の息は、数年経ち久しぶりに再会したこの時でなお衰えてはおらず、白とサナのコンビに劣らないほどのシナジーを生み出していた……!!
それは、魔術や神技などの小細工は一切なしの、完璧なコンビネーション。
「上……いや下……!」
イデアは跳び上がり、黒は下からその隙を突く。
これ以上はないほど完璧すぎるコンビネーション。
阿吽の呼吸。その身体も、動きも、その呼吸でさえも、全く完璧に同じく共有されていた。
隙などなく、2秒後には自身が両断されている、といった状況に陥ったヴォレイは。
……ようやく、真の力を解放した。
唐突に発生する熱気。
あまりの衝撃に、黒もイデアも吹き飛ばされる。
確実に勝った、と高を括ったのが、そのコンビの唯一の間違いだった。
その最中に立っていたのは、黒い……いや、血で染まった赤い修道服がはだけ、その屈強な肉体を曝け出している男のみであった。
「このオレを、ここまで追い詰めるとはな……!」
「なんだ……アレ……??」
「魔気が変わった……ついでに一人称も変わった……なんだこの圧倒的な覇気は……! この俺様が……震えている……だと……?」
戦慄していた。
この大陸内でもトップクラスの実力者でもある、イデアと黒の2人が、あろう事か戦慄し、震え上がるほどの覇気。
まさに化け物、と言わざるを得なかった。
一瞬、イデアは気を抜いてしまった。
……が、ヤツはその一瞬の、刹那にも満たない隙を見逃さなかった。
「イデア、来るぞ……!」
既に黒の眼前には風が吹き抜けており、もう遅かった、と知覚できたのはその1秒後であった。
返り血が頬に数滴、飛び散る。
まさか、あのイデアがたったの一撃で———やられてしまったと言うのだ。
次秒。
ほとばしる電流のように、たったの一瞬にして黒の意識が吹き飛ぶ。
今、どうなっている?
吹き飛んでいる? それとも立っている? それとも倒れている?
……それすらも分からないほどに、ただひたすらに両者の感覚が震え上がる。
ソラより響く、聞き覚えのある声。
「……イデア、か」
その声の主は……紛れもなく、白の兄———イデア・セイバーだった。
「久しぶりじゃないか、黒」
「……くだらない、いくらどれだけ仲間が増えようと、この私には勝てん」
そのフードの男が———黒が、そのフードを投げ捨てる。
「さぞ動きにくかったろう、そんなモノを身につけて」
「馬鹿にするなイデア、フードがあったから勝てなかった~みたいな、お前みたいな言い訳はしないさ」
「フン……言ってくれるじゃないか、影武者ごときが」
「合わせるぞ、イデア……!」
2人同時、刀を構え、全く同じタイミングで駆け出す。
「我が力の前には、無力……!」
男の、ヴォレイの身体より放出される覇気が、空気の刃となり襲いかかる。だが、イデアと黒、この2人が組めば、そんなモノは敵ではなかった。
「イデア、前だ……っ!」
「黒は左…………だぞ!」
……そう、生まれてこのかた、誰とも「一緒」には組まないと誓ったイデアだったが、「一緒」に何かを成し遂げる強さを一番よく分かっていたのは、他でもないイデア自身だった。
それは、数年前、カミを、機神オーディンを堕とした時と全く同じの体系。
……そう、オーディンを堕としたのは、イデア1人の力ではない。
「イデア、上、来るぞ……っ!」
「分かって……いる……!」
……そう、機神オーディンを堕としたのは、この2人で、なのだ。
———かつて、ヘファイストス神殿国に攻めて来た『機神』と呼ばれしカミの一柱。
この2人でなければ、ヘファイストス神殿国の王、ヴァーサ・セイバーの影武者である黒と、国王の息子でもあるイデアでしか、オーディンは墜とせなかったのである。
当時少年期だったイデア1人でカミが堕とせるわけもなく。
だからこそ、この2人の息は、数年経ち久しぶりに再会したこの時でなお衰えてはおらず、白とサナのコンビに劣らないほどのシナジーを生み出していた……!!
それは、魔術や神技などの小細工は一切なしの、完璧なコンビネーション。
「上……いや下……!」
イデアは跳び上がり、黒は下からその隙を突く。
これ以上はないほど完璧すぎるコンビネーション。
阿吽の呼吸。その身体も、動きも、その呼吸でさえも、全く完璧に同じく共有されていた。
隙などなく、2秒後には自身が両断されている、といった状況に陥ったヴォレイは。
……ようやく、真の力を解放した。
唐突に発生する熱気。
あまりの衝撃に、黒もイデアも吹き飛ばされる。
確実に勝った、と高を括ったのが、そのコンビの唯一の間違いだった。
その最中に立っていたのは、黒い……いや、血で染まった赤い修道服がはだけ、その屈強な肉体を曝け出している男のみであった。
「このオレを、ここまで追い詰めるとはな……!」
「なんだ……アレ……??」
「魔気が変わった……ついでに一人称も変わった……なんだこの圧倒的な覇気は……! この俺様が……震えている……だと……?」
戦慄していた。
この大陸内でもトップクラスの実力者でもある、イデアと黒の2人が、あろう事か戦慄し、震え上がるほどの覇気。
まさに化け物、と言わざるを得なかった。
一瞬、イデアは気を抜いてしまった。
……が、ヤツはその一瞬の、刹那にも満たない隙を見逃さなかった。
「イデア、来るぞ……!」
既に黒の眼前には風が吹き抜けており、もう遅かった、と知覚できたのはその1秒後であった。
返り血が頬に数滴、飛び散る。
まさか、あのイデアがたったの一撃で———やられてしまったと言うのだ。
次秒。
ほとばしる電流のように、たったの一瞬にして黒の意識が吹き飛ぶ。
今、どうなっている?
吹き飛んでいる? それとも立っている? それとも倒れている?
……それすらも分からないほどに、ただひたすらに両者の感覚が震え上がる。
感想 203
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
黄金の艦隊 マネー・パワーで歴史を変える男
俊也「平和を金で買えるなら、それに越したことはない。
戦争が避けられないなら、せめて日本が負けない力を金で買おう」
1930年代より世界経済の混乱に乗じて自らの海運会社を急成長、新興財閥を立ち上げた男の、重課金架空戦記!??
姉妹作
「零戦戦記」
「総統戦記」
も、よろしくお願いします。