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断章Ⅰ〜アローサル:ラークシャサ・ラージャー〜
神殿の剣士
「随分と手こずっているじゃないか、貴様ともあろう者がなっ!!」
ソラより響く、聞き覚えのある声。
「……イデア、か」
その声の主は……紛れもなく、白の兄———イデア・セイバーだった。
「久しぶりじゃないか、黒」
「……くだらない、いくらどれだけ仲間が増えようと、この私には勝てん」
そのフードの男が———黒が、そのフードを投げ捨てる。
「さぞ動きにくかったろう、そんなモノを身につけて」
「馬鹿にするなイデア、フードがあったから勝てなかった~みたいな、お前みたいな言い訳はしないさ」
「フン……言ってくれるじゃないか、影武者ごときが」
「合わせるぞ、イデア……!」
2人同時、刀を構え、全く同じタイミングで駆け出す。
「我が力の前には、無力……!」
男の、ヴォレイの身体より放出される覇気が、空気の刃となり襲いかかる。だが、イデアと黒、この2人が組めば、そんなモノは敵ではなかった。
「イデア、前だ……っ!」
「黒は左…………だぞ!」
……そう、生まれてこのかた、誰とも「一緒」には組まないと誓ったイデアだったが、「一緒」に何かを成し遂げる強さを一番よく分かっていたのは、他でもないイデア自身だった。
それは、数年前、カミを、機神オーディンを堕とした時と全く同じの体系。
……そう、オーディンを堕としたのは、イデア1人の力ではない。
「イデア、上、来るぞ……っ!」
「分かって……いる……!」
……そう、機神オーディンを堕としたのは、この2人で、なのだ。
———かつて、ヘファイストス神殿国に攻めて来た『機神』と呼ばれしカミの一柱。
この2人でなければ、ヘファイストス神殿国の王、ヴァーサ・セイバーの影武者である黒と、国王の息子でもあるイデアでしか、オーディンは墜とせなかったのである。
当時少年期だったイデア1人でカミが堕とせるわけもなく。
だからこそ、この2人の息は、数年経ち久しぶりに再会したこの時でなお衰えてはおらず、白とサナのコンビに劣らないほどのシナジーを生み出していた……!!
それは、魔術や神技などの小細工は一切なしの、完璧なコンビネーション。
「上……いや下……!」
イデアは跳び上がり、黒は下からその隙を突く。
これ以上はないほど完璧すぎるコンビネーション。
阿吽の呼吸。その身体も、動きも、その呼吸でさえも、全く完璧に同じく共有されていた。
隙などなく、2秒後には自身が両断されている、といった状況に陥ったヴォレイは。
……ようやく、真の力を解放した。
唐突に発生する熱気。
あまりの衝撃に、黒もイデアも吹き飛ばされる。
確実に勝った、と高を括ったのが、そのコンビの唯一の間違いだった。
その最中に立っていたのは、黒い……いや、血で染まった赤い修道服がはだけ、その屈強な肉体を曝け出している男のみであった。
「このオレを、ここまで追い詰めるとはな……!」
「なんだ……アレ……??」
「魔気が変わった……ついでに一人称も変わった……なんだこの圧倒的な覇気は……! この俺様が……震えている……だと……?」
戦慄していた。
この大陸内でもトップクラスの実力者でもある、イデアと黒の2人が、あろう事か戦慄し、震え上がるほどの覇気。
まさに化け物、と言わざるを得なかった。
一瞬、イデアは気を抜いてしまった。
……が、ヤツはその一瞬の、刹那にも満たない隙を見逃さなかった。
「イデア、来るぞ……!」
既に黒の眼前には風が吹き抜けており、もう遅かった、と知覚できたのはその1秒後であった。
返り血が頬に数滴、飛び散る。
まさか、あのイデアがたったの一撃で———やられてしまったと言うのだ。
次秒。
ほとばしる電流のように、たったの一瞬にして黒の意識が吹き飛ぶ。
今、どうなっている?
吹き飛んでいる? それとも立っている? それとも倒れている?
……それすらも分からないほどに、ただひたすらに両者の感覚が震え上がる。
ソラより響く、聞き覚えのある声。
「……イデア、か」
その声の主は……紛れもなく、白の兄———イデア・セイバーだった。
「久しぶりじゃないか、黒」
「……くだらない、いくらどれだけ仲間が増えようと、この私には勝てん」
そのフードの男が———黒が、そのフードを投げ捨てる。
「さぞ動きにくかったろう、そんなモノを身につけて」
「馬鹿にするなイデア、フードがあったから勝てなかった~みたいな、お前みたいな言い訳はしないさ」
「フン……言ってくれるじゃないか、影武者ごときが」
「合わせるぞ、イデア……!」
2人同時、刀を構え、全く同じタイミングで駆け出す。
「我が力の前には、無力……!」
男の、ヴォレイの身体より放出される覇気が、空気の刃となり襲いかかる。だが、イデアと黒、この2人が組めば、そんなモノは敵ではなかった。
「イデア、前だ……っ!」
「黒は左…………だぞ!」
……そう、生まれてこのかた、誰とも「一緒」には組まないと誓ったイデアだったが、「一緒」に何かを成し遂げる強さを一番よく分かっていたのは、他でもないイデア自身だった。
それは、数年前、カミを、機神オーディンを堕とした時と全く同じの体系。
……そう、オーディンを堕としたのは、イデア1人の力ではない。
「イデア、上、来るぞ……っ!」
「分かって……いる……!」
……そう、機神オーディンを堕としたのは、この2人で、なのだ。
———かつて、ヘファイストス神殿国に攻めて来た『機神』と呼ばれしカミの一柱。
この2人でなければ、ヘファイストス神殿国の王、ヴァーサ・セイバーの影武者である黒と、国王の息子でもあるイデアでしか、オーディンは墜とせなかったのである。
当時少年期だったイデア1人でカミが堕とせるわけもなく。
だからこそ、この2人の息は、数年経ち久しぶりに再会したこの時でなお衰えてはおらず、白とサナのコンビに劣らないほどのシナジーを生み出していた……!!
それは、魔術や神技などの小細工は一切なしの、完璧なコンビネーション。
「上……いや下……!」
イデアは跳び上がり、黒は下からその隙を突く。
これ以上はないほど完璧すぎるコンビネーション。
阿吽の呼吸。その身体も、動きも、その呼吸でさえも、全く完璧に同じく共有されていた。
隙などなく、2秒後には自身が両断されている、といった状況に陥ったヴォレイは。
……ようやく、真の力を解放した。
唐突に発生する熱気。
あまりの衝撃に、黒もイデアも吹き飛ばされる。
確実に勝った、と高を括ったのが、そのコンビの唯一の間違いだった。
その最中に立っていたのは、黒い……いや、血で染まった赤い修道服がはだけ、その屈強な肉体を曝け出している男のみであった。
「このオレを、ここまで追い詰めるとはな……!」
「なんだ……アレ……??」
「魔気が変わった……ついでに一人称も変わった……なんだこの圧倒的な覇気は……! この俺様が……震えている……だと……?」
戦慄していた。
この大陸内でもトップクラスの実力者でもある、イデアと黒の2人が、あろう事か戦慄し、震え上がるほどの覇気。
まさに化け物、と言わざるを得なかった。
一瞬、イデアは気を抜いてしまった。
……が、ヤツはその一瞬の、刹那にも満たない隙を見逃さなかった。
「イデア、来るぞ……!」
既に黒の眼前には風が吹き抜けており、もう遅かった、と知覚できたのはその1秒後であった。
返り血が頬に数滴、飛び散る。
まさか、あのイデアがたったの一撃で———やられてしまったと言うのだ。
次秒。
ほとばしる電流のように、たったの一瞬にして黒の意識が吹き飛ぶ。
今、どうなっている?
吹き飛んでいる? それとも立っている? それとも倒れている?
……それすらも分からないほどに、ただひたすらに両者の感覚が震え上がる。
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