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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
懐かしき出会い
そうして連れられた外の空は、もはや星が瞬くころとなっていた。
時の流れは早いなあ、などと考え惚けていた俺は、さらに早い時の流れを実感することとなる。
「さて、ここで合ってる……わよね?」
「知らねえよ、自分の心に聞きやがれアホ魔術師」
「~~~~~~っっ」
側から見ているだけでも明らかに仲が破綻しているそのコンビを横目に、俺はその少しばかり古ぼけたビルのドアを開ける。
中は……暗い。
奥まで続くその空間は、もはや誰もいなかったかのように散らかっており、生活の痕跡など何一つ見受けられない中。
背後より、サナが一言、口走った。
「……開けゴマ!!」
何を言ってるんだと振り向いた瞬間……一言目が発された2秒後、もう一度サナは叫ぶ。
「開け、コマ!!」
……と。突如部屋に明かりが灯る。そして、立てられた段ボールの隅から姿を見せたのは……イデアだった。
なるほど、開けゴマも開けコマも、合言葉だったのか……
……いやいや、合言葉にしてはふざけすぎだろ。
開いた先にまずいたのは———少し逆立った髪が特徴的で、古ぼけたローブを見に纏った……青年。
「兄……さん……?」
……そう。俺の———アレン・セイバーの兄、イデア・セイバーだった。
「……………よお、アレン。2年ぶりだな」
「は……? 2年……ぶり……?」
口を開け唖然とした俺に、畳み掛けるようにイデアは説明する。
「貴様があの日……ゴルゴダ機関に……いや、そこの少女にさらわれ、消息を絶ってからはや2年……経ったんだ。なんだ、聞いてなかったのか?」
「…………アテナ、お前が俺を……さらったのか……?」
「うい」
「うい……じゃねえよ……元凶、お前じゃねえか……」
まあでも、アテナが俺と出会うためには仕方なかったのか…と、不服ながらも納得し、その事象を自分の中で片付けた頃。
「マスターーーーっ!!」
どこか聞き覚えのある女の声は、猛スピードでこちらへと近づいてくる。
「わふっ」
突如眼前に現れたその女に、俺は抱きつかれながら後ろに倒れ込んだ。
———そう、この声は。この呼び方は、アイツ———機巧天使コック意外ありえなかった。
「……なあ、コック。会えて嬉しくは……あるんだろうし、俺もそうなんだけど……いきなり抱きつくのは……ヤバくないか……?」
「いいえヤバくありません! 私はマスターが帰ってこられたことが嬉しいのです~!!」
まあ、特にこの場においては。三角関係……修羅場に発展しそうなこの場において、そんな求愛行動は文字通り死を意味する可能性も……
「………月天使徒殲滅制圧最終———」
「やめろアテナこの場を吹き飛ばす気か?!」
「そちらの少女は……機神でございますか!
何とも非常に珍しく、私の探究心をくすぐる存在ではありますが……なぜ攻撃体制に移行しておられるのでしょう……?」
「……でェ? 俺はもう行っていいのか?」
段ボールで作られた玉座……のようなものに、偉そうにもふんぞり返ったクラッシャーが質問する。
「ええ。明日は9時集合だから、そこら辺覚えててね」
聞き流すかのように、返事もせずクラッシャーは出口へと足を進め、その後フツーに外に出ていった、が。
「………なあ、どうやったらあんなヤツと協力なんて……できたんだ……?」
……と、俺の心には疑問が残った。
「アイツは……クラッシャーは、1人でこのオリュンポスに乗り込み、自らの力の無さを嘆いたそうなの。
……それで、不服だけど私たちに、エターナルの完全阻止を求めてきた。
私たちの出した条件が、白。貴方を連れて来させることよ。……正直、機神まで付いてくるとは思っちゃいなかったけど」
「あい」
サナがポン、とアテナの頭を撫でるように手を置くと、アテナも共鳴するかの様に反応する。
「…………で、気になったんだが……センはどこだ?」
そう、俺たちの仲間の中でも……センだけが、この空間にいないのである。
……明らかな疑問、不可解な点であったが、その疑問は驚愕となって返された。
「セン様……でしたら、妻の出産がどう……とかで、忙しいんじゃないですかね……?」
「ほへ~妻か~ってつまあ?!」
あまりにも自然すぎるコックの発音と、その内容の乖離の激しさに困惑する。
「ちょちょちょ、ちょっと待ったコック?! 妻……センの妻……って誰だよ……? そもそもアイツ何歳だ、何歳で妻作ってんだあ?!」
「セン様の妻は……くいな、とか言う下等生b……獣人の少女、ですね……確か……イデアさんが結婚式の写真を大事にとっておられたかと……」
しれっと実にさりげなく、下等生物とか言おうとした事には触れないでおいて。
「……兄さん、が……持ってんのか……?」
すると、腕を組んでいたイデアが、スッと2本の指で写真をこちらに投げ渡す。
そこには、仲睦まじそうに座っている……あの試合、魔武道大会で見かけた獣人の少女と、センの姿が。
その後ろでニコニコしてるのは……兄さん……?!
「……なあ兄さん、そんなにセンと仲良かったか……?」
「黙れ、それ以上口を開くな。貴様の命が惜しければな……」
遮るようにして兄さんは威嚇の言葉を放つが……それはもうセンと仲が良いと言ってるようなもんじゃないか。
……と。
「…………さ! 明日も早いしみんなもう寝るわよ……イデアはこの後も当番だけど……」
「なあサナ、明日も早い……って、明日何かするのか?」
「え、言ってなかった? 明日……ゴルゴダ機関の総本部、アルファポイントに攻め込むのよ」
「やはりアルファポイントか……いつ出発する?」
「イデア」
「行くのは明日よ」
「……で、明日9時から、アルファポイントの……ここの入り口から攻め込む訳」
一息付いた後、そう言ってサナが指を指したのは、円状に広がるオリュンポスの地図の、北西側。
俺たちの現在地を指した赤いピン……が、オリュンポスの東部にあるから……オリュンポスの全長を考えても、かなり歩かないといけないな……
だからこそ、早く寝なきゃいけないのか、と理解し、寝床につこ……うともしたが、寝床……どこだ?
「な、なあ、俺たちはどこで寝るんだ、一体……?」
「女性陣は発泡スチロール入り段ボールの中。
男は……床で寝るのよ」
「ですよね~」
そう言えば、宿で過ごしてた時もそんな感じだったな……
……だなんて思いながらも、既に床で寝る事に慣れてしまっていた俺は、床に倒れ伏した瞬間、戦いの疲れからかそのまま寝てしまった。
時の流れは早いなあ、などと考え惚けていた俺は、さらに早い時の流れを実感することとなる。
「さて、ここで合ってる……わよね?」
「知らねえよ、自分の心に聞きやがれアホ魔術師」
「~~~~~~っっ」
側から見ているだけでも明らかに仲が破綻しているそのコンビを横目に、俺はその少しばかり古ぼけたビルのドアを開ける。
中は……暗い。
奥まで続くその空間は、もはや誰もいなかったかのように散らかっており、生活の痕跡など何一つ見受けられない中。
背後より、サナが一言、口走った。
「……開けゴマ!!」
何を言ってるんだと振り向いた瞬間……一言目が発された2秒後、もう一度サナは叫ぶ。
「開け、コマ!!」
……と。突如部屋に明かりが灯る。そして、立てられた段ボールの隅から姿を見せたのは……イデアだった。
なるほど、開けゴマも開けコマも、合言葉だったのか……
……いやいや、合言葉にしてはふざけすぎだろ。
開いた先にまずいたのは———少し逆立った髪が特徴的で、古ぼけたローブを見に纏った……青年。
「兄……さん……?」
……そう。俺の———アレン・セイバーの兄、イデア・セイバーだった。
「……………よお、アレン。2年ぶりだな」
「は……? 2年……ぶり……?」
口を開け唖然とした俺に、畳み掛けるようにイデアは説明する。
「貴様があの日……ゴルゴダ機関に……いや、そこの少女にさらわれ、消息を絶ってからはや2年……経ったんだ。なんだ、聞いてなかったのか?」
「…………アテナ、お前が俺を……さらったのか……?」
「うい」
「うい……じゃねえよ……元凶、お前じゃねえか……」
まあでも、アテナが俺と出会うためには仕方なかったのか…と、不服ながらも納得し、その事象を自分の中で片付けた頃。
「マスターーーーっ!!」
どこか聞き覚えのある女の声は、猛スピードでこちらへと近づいてくる。
「わふっ」
突如眼前に現れたその女に、俺は抱きつかれながら後ろに倒れ込んだ。
———そう、この声は。この呼び方は、アイツ———機巧天使コック意外ありえなかった。
「……なあ、コック。会えて嬉しくは……あるんだろうし、俺もそうなんだけど……いきなり抱きつくのは……ヤバくないか……?」
「いいえヤバくありません! 私はマスターが帰ってこられたことが嬉しいのです~!!」
まあ、特にこの場においては。三角関係……修羅場に発展しそうなこの場において、そんな求愛行動は文字通り死を意味する可能性も……
「………月天使徒殲滅制圧最終———」
「やめろアテナこの場を吹き飛ばす気か?!」
「そちらの少女は……機神でございますか!
何とも非常に珍しく、私の探究心をくすぐる存在ではありますが……なぜ攻撃体制に移行しておられるのでしょう……?」
「……でェ? 俺はもう行っていいのか?」
段ボールで作られた玉座……のようなものに、偉そうにもふんぞり返ったクラッシャーが質問する。
「ええ。明日は9時集合だから、そこら辺覚えててね」
聞き流すかのように、返事もせずクラッシャーは出口へと足を進め、その後フツーに外に出ていった、が。
「………なあ、どうやったらあんなヤツと協力なんて……できたんだ……?」
……と、俺の心には疑問が残った。
「アイツは……クラッシャーは、1人でこのオリュンポスに乗り込み、自らの力の無さを嘆いたそうなの。
……それで、不服だけど私たちに、エターナルの完全阻止を求めてきた。
私たちの出した条件が、白。貴方を連れて来させることよ。……正直、機神まで付いてくるとは思っちゃいなかったけど」
「あい」
サナがポン、とアテナの頭を撫でるように手を置くと、アテナも共鳴するかの様に反応する。
「…………で、気になったんだが……センはどこだ?」
そう、俺たちの仲間の中でも……センだけが、この空間にいないのである。
……明らかな疑問、不可解な点であったが、その疑問は驚愕となって返された。
「セン様……でしたら、妻の出産がどう……とかで、忙しいんじゃないですかね……?」
「ほへ~妻か~ってつまあ?!」
あまりにも自然すぎるコックの発音と、その内容の乖離の激しさに困惑する。
「ちょちょちょ、ちょっと待ったコック?! 妻……センの妻……って誰だよ……? そもそもアイツ何歳だ、何歳で妻作ってんだあ?!」
「セン様の妻は……くいな、とか言う下等生b……獣人の少女、ですね……確か……イデアさんが結婚式の写真を大事にとっておられたかと……」
しれっと実にさりげなく、下等生物とか言おうとした事には触れないでおいて。
「……兄さん、が……持ってんのか……?」
すると、腕を組んでいたイデアが、スッと2本の指で写真をこちらに投げ渡す。
そこには、仲睦まじそうに座っている……あの試合、魔武道大会で見かけた獣人の少女と、センの姿が。
その後ろでニコニコしてるのは……兄さん……?!
「……なあ兄さん、そんなにセンと仲良かったか……?」
「黙れ、それ以上口を開くな。貴様の命が惜しければな……」
遮るようにして兄さんは威嚇の言葉を放つが……それはもうセンと仲が良いと言ってるようなもんじゃないか。
……と。
「…………さ! 明日も早いしみんなもう寝るわよ……イデアはこの後も当番だけど……」
「なあサナ、明日も早い……って、明日何かするのか?」
「え、言ってなかった? 明日……ゴルゴダ機関の総本部、アルファポイントに攻め込むのよ」
「やはりアルファポイントか……いつ出発する?」
「イデア」
「行くのは明日よ」
「……で、明日9時から、アルファポイントの……ここの入り口から攻め込む訳」
一息付いた後、そう言ってサナが指を指したのは、円状に広がるオリュンポスの地図の、北西側。
俺たちの現在地を指した赤いピン……が、オリュンポスの東部にあるから……オリュンポスの全長を考えても、かなり歩かないといけないな……
だからこそ、早く寝なきゃいけないのか、と理解し、寝床につこ……うともしたが、寝床……どこだ?
「な、なあ、俺たちはどこで寝るんだ、一体……?」
「女性陣は発泡スチロール入り段ボールの中。
男は……床で寝るのよ」
「ですよね~」
そう言えば、宿で過ごしてた時もそんな感じだったな……
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※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
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