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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
停戦/見参
*◇*◇*◇*◇
一方、その頃。
白はというと、ある可能性を懸念していた。
……それは、イデアやサナたちと、3番隊のメンバーが交戦しているんじゃないか、という可能性で。
もしそうなった場合……確実に、どちらかは死ぬだろう。
それは、ダメだ。
もう1度喪失を経験すれば……きっと、白自身は、壊れてしまう。
そんな気がして、無性に抗いたくなると。
「……アテナ、3番隊を……ディルたちを、探すぞ」
「白、なんか、ちょっと……怖い」
「———怖い、か。……ごめんな、そんな風に接するつもりはなかったんだ、だけど……」
「しかた、ない、のは……分かってる」
「……ありがとう。……行くか」
*◇*◇*◇*◇
その頃、イデアと女———イチゴは未だに熾烈な争いを繰り広げ続けていた。
「……チッ、どこまでも……ラチがあかないっ!!!!」
振られ続ける神速を、その全てを女は回避する。
何度やろうとも、結果は同じ———だった。
「…………っ……」
「ようやく……避けられずに当てる事ができたぜ……!」
その刀は、女の右肩に擦れ、そこから赤黒い液体が滲み出す。
……そう、ようやく攻撃が当たったのだ。
ようやく当たったと、脳が歓喜に打ち震えた瞬間、身体に違和感が生じる。
「……灰、色……?」
ふとして自身の左手に目を落とすと、そこには灰色に変色した左手が。
同時に左手を動かそうともするが———反応がない。
どう言う事だ、左手が俺の脳の命令を受け付けていないのか……?
「……降参、するのなら、今の、うち」
「…………!」
降参、だと?
降参、と、今確かにこの女は口にした、のか?
ゴルゴダ機関のヤツらにもそんな、そんな慈悲深い事が言えたのかと困惑するが。
「貴方、じゃ……私、には……勝てない。このまま続けていれば、貴方の身体が……崩壊する」
「……ならば降参して、甘く死を待て。……と? そう言いたいのか、ゴルゴダ機関」
「貴方だって、死にたくは……ない、はず。殺しはしない、私たち第3が、なんとか……してみせる、だから、こんな戦いは終わりで……」
「降参すれば、いずれ終末へと繋がるやもしれない、この件はそう言う問題だ。だからこそ俺たち救世主の一族が、ここにいるのだ」
「救世主……つまり、貴方が『鍵』……?」
「……俺は『鍵』なんぞじゃあない。俺をヤツと一緒にするな」
「そうか、神殿国の…………しかし何、で、鍵が……じゃあ、やはりツバサは、あの子を………………!
…………ん、そう……ならば、降参するつもりは……」
「ない。貴様らがどれだけ情けをかけようと、俺の行手を阻むと言うのなら……俺は殺す」
「………………行手を阻まない、と言ったら?」
「貴様らにそんな利口な事はできやしないとは思うが…………もしそうなるのなら、戦いはしない。どっかの人斬りとは違うのでな」
「……レイラ、フードを寄越して!」
と、女は大声で口にする。
「……おい、何をする気だ」
「……停戦。貴方が、戦わずに……この先に向かうと言うのなら、私は、邪魔を……しない。……むしろ、エターナルを瓦解へ追い込むと、言うのなら……協力する」
「何を言っている、ゴルゴダ機関はエターナルの要、貴様らの悲願こそ、エターナルなんじゃなかったのか」
「そうっすよ隊長、何を言ってるんすか!……コイツは、コイツは、私たちの仲間を傷付けて…………!」
憤慨する少女をよそに、その女……『隊長』だとか呼ばれていた女は話を続ける。
「……大丈夫……レイラ、カーオはまだ……息がある。……それに、こんな無益な戦いを……続けて、何になると言うんだ……?」
「でもコイツは、外から攻めてきた部外者で……復讐の……ゴルゴダ機関への復讐のために攻めてきたかもって……!」
「そう……じゃない事が分かった、ならばもう、いいでしょ? 私たち……第3の結成理由を、忘れた……?」
「…………っ」
少女は不服そうに唇を噛みしめ、握り拳を作りこちらを睨みつける。
裏切る……つもりはないか、仲間をわざわざ説得してまで裏切る必要は……おそらくないだろう。
女がフードを羽織った瞬間、身体にまとわりついていた妙な違和感が、晴れるように一斉に拭われる。
「……なあ、なぜだ?……貴様らは、貴様らはプロジェクト:エターナルの遂行の為———俺をゼウスの神核へと近づけさせない為に戦っていたんじゃないのか?」
「私たちは、ただ抗っていただけ。貴方たちが、私たちへの……私怨で……ここを襲撃したと思い込んでいた。
……先のヴォレイの件、そしてギル……カーネイジの件も、あって……か、私たちは、西大陸の報復———無差別的な破壊行為を危惧していた。
……ただ、エターナルを瓦解させる、為だけに……攻めてきた、となれば……話は、別」
「……ふん、貴様らの内情など知ったこっちゃないが、どうやら戦う必要はないらしい———っ?!」
安堵したのも束の間、場を襲ったのは———どこか、まるで嗅いだことのあるような臭いと、どこか既視感のある魔気だった。
……違う、これは魔気ですらない。……瘴気だ、魔王軍幹部、それ相応の……瘴気……!!
「…………始末しないのですか、その者は部外者、のはずでしたが」
「どこに行ったかと思えば……まさか東大陸に逃げ込んでいたとはな……ダークナイト!」
そう、既視感のある魔気———その正体は、かの魔王軍幹部、ダークナイトのものであった。
しかし———その肝心の顔は、黒き仮面で覆われており、隙間より、白い美しき頭髪がその姿を覗かせている。
……そうだ、コイツは死んだはずだ。
そうは伝え聞いていたが、あの時———センと話しているダークナイトを目にした時から、必ずどこかで生きていると、その存在を危惧していたが……まさかここで出てくるとはな…………!
「ダークナイト……ではありません。その名は、遥か昔に捨て去った名。
今の名は———刹那。ゴルゴダ機関、その総帥を務める、刹那、ですとも」
「総帥、だと……?……貴様、まさかこちらにも精通していたか……何が目的だ、告げろ!」
「目的……もちろん、我が計画の完全遂行の邪魔となる存在の、抹殺です。
魔王———アベルと遊ばせている間は、まだ始末するには早いか、と思い見過ごしていましたが、ここまで来られては———殺すしかありませんとも」
「そうか、やはり俺を殺すと来たか……!」
「ええ……特に貴方には、エターナルのプランB———呪神の借りもあるので」
「1年前のアレも……貴様が仕組んでいたか……!」
1年前。
魔王が打破された直後の、世界を覆った呪術式のカミ。
それすらも、コイツが組み上げた、と言う訳か……!!!!
「無駄話は止しましょう、それでは———さようなら」
一方、その頃。
白はというと、ある可能性を懸念していた。
……それは、イデアやサナたちと、3番隊のメンバーが交戦しているんじゃないか、という可能性で。
もしそうなった場合……確実に、どちらかは死ぬだろう。
それは、ダメだ。
もう1度喪失を経験すれば……きっと、白自身は、壊れてしまう。
そんな気がして、無性に抗いたくなると。
「……アテナ、3番隊を……ディルたちを、探すぞ」
「白、なんか、ちょっと……怖い」
「———怖い、か。……ごめんな、そんな風に接するつもりはなかったんだ、だけど……」
「しかた、ない、のは……分かってる」
「……ありがとう。……行くか」
*◇*◇*◇*◇
その頃、イデアと女———イチゴは未だに熾烈な争いを繰り広げ続けていた。
「……チッ、どこまでも……ラチがあかないっ!!!!」
振られ続ける神速を、その全てを女は回避する。
何度やろうとも、結果は同じ———だった。
「…………っ……」
「ようやく……避けられずに当てる事ができたぜ……!」
その刀は、女の右肩に擦れ、そこから赤黒い液体が滲み出す。
……そう、ようやく攻撃が当たったのだ。
ようやく当たったと、脳が歓喜に打ち震えた瞬間、身体に違和感が生じる。
「……灰、色……?」
ふとして自身の左手に目を落とすと、そこには灰色に変色した左手が。
同時に左手を動かそうともするが———反応がない。
どう言う事だ、左手が俺の脳の命令を受け付けていないのか……?
「……降参、するのなら、今の、うち」
「…………!」
降参、だと?
降参、と、今確かにこの女は口にした、のか?
ゴルゴダ機関のヤツらにもそんな、そんな慈悲深い事が言えたのかと困惑するが。
「貴方、じゃ……私、には……勝てない。このまま続けていれば、貴方の身体が……崩壊する」
「……ならば降参して、甘く死を待て。……と? そう言いたいのか、ゴルゴダ機関」
「貴方だって、死にたくは……ない、はず。殺しはしない、私たち第3が、なんとか……してみせる、だから、こんな戦いは終わりで……」
「降参すれば、いずれ終末へと繋がるやもしれない、この件はそう言う問題だ。だからこそ俺たち救世主の一族が、ここにいるのだ」
「救世主……つまり、貴方が『鍵』……?」
「……俺は『鍵』なんぞじゃあない。俺をヤツと一緒にするな」
「そうか、神殿国の…………しかし何、で、鍵が……じゃあ、やはりツバサは、あの子を………………!
…………ん、そう……ならば、降参するつもりは……」
「ない。貴様らがどれだけ情けをかけようと、俺の行手を阻むと言うのなら……俺は殺す」
「………………行手を阻まない、と言ったら?」
「貴様らにそんな利口な事はできやしないとは思うが…………もしそうなるのなら、戦いはしない。どっかの人斬りとは違うのでな」
「……レイラ、フードを寄越して!」
と、女は大声で口にする。
「……おい、何をする気だ」
「……停戦。貴方が、戦わずに……この先に向かうと言うのなら、私は、邪魔を……しない。……むしろ、エターナルを瓦解へ追い込むと、言うのなら……協力する」
「何を言っている、ゴルゴダ機関はエターナルの要、貴様らの悲願こそ、エターナルなんじゃなかったのか」
「そうっすよ隊長、何を言ってるんすか!……コイツは、コイツは、私たちの仲間を傷付けて…………!」
憤慨する少女をよそに、その女……『隊長』だとか呼ばれていた女は話を続ける。
「……大丈夫……レイラ、カーオはまだ……息がある。……それに、こんな無益な戦いを……続けて、何になると言うんだ……?」
「でもコイツは、外から攻めてきた部外者で……復讐の……ゴルゴダ機関への復讐のために攻めてきたかもって……!」
「そう……じゃない事が分かった、ならばもう、いいでしょ? 私たち……第3の結成理由を、忘れた……?」
「…………っ」
少女は不服そうに唇を噛みしめ、握り拳を作りこちらを睨みつける。
裏切る……つもりはないか、仲間をわざわざ説得してまで裏切る必要は……おそらくないだろう。
女がフードを羽織った瞬間、身体にまとわりついていた妙な違和感が、晴れるように一斉に拭われる。
「……なあ、なぜだ?……貴様らは、貴様らはプロジェクト:エターナルの遂行の為———俺をゼウスの神核へと近づけさせない為に戦っていたんじゃないのか?」
「私たちは、ただ抗っていただけ。貴方たちが、私たちへの……私怨で……ここを襲撃したと思い込んでいた。
……先のヴォレイの件、そしてギル……カーネイジの件も、あって……か、私たちは、西大陸の報復———無差別的な破壊行為を危惧していた。
……ただ、エターナルを瓦解させる、為だけに……攻めてきた、となれば……話は、別」
「……ふん、貴様らの内情など知ったこっちゃないが、どうやら戦う必要はないらしい———っ?!」
安堵したのも束の間、場を襲ったのは———どこか、まるで嗅いだことのあるような臭いと、どこか既視感のある魔気だった。
……違う、これは魔気ですらない。……瘴気だ、魔王軍幹部、それ相応の……瘴気……!!
「…………始末しないのですか、その者は部外者、のはずでしたが」
「どこに行ったかと思えば……まさか東大陸に逃げ込んでいたとはな……ダークナイト!」
そう、既視感のある魔気———その正体は、かの魔王軍幹部、ダークナイトのものであった。
しかし———その肝心の顔は、黒き仮面で覆われており、隙間より、白い美しき頭髪がその姿を覗かせている。
……そうだ、コイツは死んだはずだ。
そうは伝え聞いていたが、あの時———センと話しているダークナイトを目にした時から、必ずどこかで生きていると、その存在を危惧していたが……まさかここで出てくるとはな…………!
「ダークナイト……ではありません。その名は、遥か昔に捨て去った名。
今の名は———刹那。ゴルゴダ機関、その総帥を務める、刹那、ですとも」
「総帥、だと……?……貴様、まさかこちらにも精通していたか……何が目的だ、告げろ!」
「目的……もちろん、我が計画の完全遂行の邪魔となる存在の、抹殺です。
魔王———アベルと遊ばせている間は、まだ始末するには早いか、と思い見過ごしていましたが、ここまで来られては———殺すしかありませんとも」
「そうか、やはり俺を殺すと来たか……!」
「ええ……特に貴方には、エターナルのプランB———呪神の借りもあるので」
「1年前のアレも……貴様が仕組んでいたか……!」
1年前。
魔王が打破された直後の、世界を覆った呪術式のカミ。
それすらも、コイツが組み上げた、と言う訳か……!!!!
「無駄話は止しましょう、それでは———さようなら」
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