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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
救出
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見えた。
私が見通した未来は———最悪の一言だった。
全員、殺される。
この場にいる全員、用済みだと、この男———エグゼキューティブの会議にすら顔を出さなかった、ゴルゴダ機関総帥———刹那に、私たちは全員……殺される。
そうか、やはり気付かれていた、第3がエターナルを阻止しようとしていることに。
そしてこの場で確実に抹殺する気だ、「もう用済みだから」と切り捨てて……!
———悪手だった、こんな事ならば、ツバサ君が『鍵』かもしれないと言う疑惑が出た時、彼をオリュンポスから無理にでも追い出しておくべきだった……!
……別地点のアルファポイント入口では、おそらく西大陸———人界軍の奴らと、ゴルゴダ機関の奴らがやり合っている……この混乱に乗じて『鍵』を奪う時と見たか、刹那……!
「……レイラ。……ディル、と……カーオを連れて、ここから…………逃げて」
「え……でも、隊長、あの、あの男は、総帥だと語ったあの男は……」
「うるさい、さっさと逃げて! じゃないと…………貴方達が、死ぬ!」
「それが、ディルもさっきから……どこに行ったかがまるで分からなくて……!」
「…………なら、貴方達でも逃げて、そして生き延びて」
「生き延びて、って……なら、隊長は……隊長は何を……」
「『崩壊』を使う。……あの刹那相手、に、1時間も持ち堪えられるかは……分からない、けど」
「…………覚悟が要るっすよ、隊長。いくら確定してない未来が変わるって言っても、その未来が———いい方向に転ぶかは……分からない。
……隊長だけ、隊長だけ死ぬかもしれないっす、それでもいいんすか、それでも……!」
「いいの。……私は、既に……『死んでくれ』と願われた側の、人間……だから」
「……でも、隊長。……だからって、生きる事を———最後の最後まで、生き抜くことをあきらめないで……ください」
「分かって……いるわ」
「最後まで……お世話に、なり……ました、隊長」
「……ええ、…………死なないで」
対峙するイデアと刹那の前に、颯爽と現れる黒き影。
それは———先程までイデアが敵対していた、女だった。
「これは、3番隊隊長、イチゴさん。……私の前に立ち塞がるとは、一体何のつもりですか?」
「……教える、必要は……ない」
「総帥の命令でも、聞けませんか?」
「……………………聞く、と、思う……?」
「それは残念。ならば……貴方にも死んでもらうしかありませんね」
その言葉を聞き入れた女———イチゴは、「元々そのつもりだっただろ」と言わんばかりの、あまりにも鋭い形相で刹那を睨みつける。
「……貴方は……この場から、逃げて」
「この俺に、撤退を命じると?」
「…………そう、その通り。……不服、かもしれないけど……貴方の命には代えられないから」
「そうか、本当に、いいんだな?」
「……………………覚悟は、腹は既に……決まってる、から」
出会って間もない2人の、信頼の眼差しが交差する。
「…………健闘を、祈る」
……そう、分かっていた。
万に勝ち筋など、1つもないと言うことを。
まだ刹那と名乗った男の実力は未知数だ、それでも。
それでも、未来を見通したイチゴの、その決意の眼差しを見れば、刹那の実力など———手に取るように分かってしまったのだから。
だからこその、「健闘を祈る」なのだ。
ここにいる誰もが、無意識下に「刹那には誰も勝てない」と認知したからこその、せめてもの祈り———労いが、その言葉の指し示す意味だった。
もうイデアは、ここへは戻れない、別ルートから、『機神ゼウス』の神核へと至る道を探さなければならない。
それでも、女はイデアに託したのだ、イデアが———いや、イデアたちがきっとそうしてくれるだろうなどと言った、淡い祈りを。
あの女———イチゴが、死を以てその祈りを捧げたと言うのなら———、
……イデアも、その祈りに……応えねばなるまいと。その決意を、今一度固めた。
見えた。
私が見通した未来は———最悪の一言だった。
全員、殺される。
この場にいる全員、用済みだと、この男———エグゼキューティブの会議にすら顔を出さなかった、ゴルゴダ機関総帥———刹那に、私たちは全員……殺される。
そうか、やはり気付かれていた、第3がエターナルを阻止しようとしていることに。
そしてこの場で確実に抹殺する気だ、「もう用済みだから」と切り捨てて……!
———悪手だった、こんな事ならば、ツバサ君が『鍵』かもしれないと言う疑惑が出た時、彼をオリュンポスから無理にでも追い出しておくべきだった……!
……別地点のアルファポイント入口では、おそらく西大陸———人界軍の奴らと、ゴルゴダ機関の奴らがやり合っている……この混乱に乗じて『鍵』を奪う時と見たか、刹那……!
「……レイラ。……ディル、と……カーオを連れて、ここから…………逃げて」
「え……でも、隊長、あの、あの男は、総帥だと語ったあの男は……」
「うるさい、さっさと逃げて! じゃないと…………貴方達が、死ぬ!」
「それが、ディルもさっきから……どこに行ったかがまるで分からなくて……!」
「…………なら、貴方達でも逃げて、そして生き延びて」
「生き延びて、って……なら、隊長は……隊長は何を……」
「『崩壊』を使う。……あの刹那相手、に、1時間も持ち堪えられるかは……分からない、けど」
「…………覚悟が要るっすよ、隊長。いくら確定してない未来が変わるって言っても、その未来が———いい方向に転ぶかは……分からない。
……隊長だけ、隊長だけ死ぬかもしれないっす、それでもいいんすか、それでも……!」
「いいの。……私は、既に……『死んでくれ』と願われた側の、人間……だから」
「……でも、隊長。……だからって、生きる事を———最後の最後まで、生き抜くことをあきらめないで……ください」
「分かって……いるわ」
「最後まで……お世話に、なり……ました、隊長」
「……ええ、…………死なないで」
対峙するイデアと刹那の前に、颯爽と現れる黒き影。
それは———先程までイデアが敵対していた、女だった。
「これは、3番隊隊長、イチゴさん。……私の前に立ち塞がるとは、一体何のつもりですか?」
「……教える、必要は……ない」
「総帥の命令でも、聞けませんか?」
「……………………聞く、と、思う……?」
「それは残念。ならば……貴方にも死んでもらうしかありませんね」
その言葉を聞き入れた女———イチゴは、「元々そのつもりだっただろ」と言わんばかりの、あまりにも鋭い形相で刹那を睨みつける。
「……貴方は……この場から、逃げて」
「この俺に、撤退を命じると?」
「…………そう、その通り。……不服、かもしれないけど……貴方の命には代えられないから」
「そうか、本当に、いいんだな?」
「……………………覚悟は、腹は既に……決まってる、から」
出会って間もない2人の、信頼の眼差しが交差する。
「…………健闘を、祈る」
……そう、分かっていた。
万に勝ち筋など、1つもないと言うことを。
まだ刹那と名乗った男の実力は未知数だ、それでも。
それでも、未来を見通したイチゴの、その決意の眼差しを見れば、刹那の実力など———手に取るように分かってしまったのだから。
だからこその、「健闘を祈る」なのだ。
ここにいる誰もが、無意識下に「刹那には誰も勝てない」と認知したからこその、せめてもの祈り———労いが、その言葉の指し示す意味だった。
もうイデアは、ここへは戻れない、別ルートから、『機神ゼウス』の神核へと至る道を探さなければならない。
それでも、女はイデアに託したのだ、イデアが———いや、イデアたちがきっとそうしてくれるだろうなどと言った、淡い祈りを。
あの女———イチゴが、死を以てその祈りを捧げたと言うのなら———、
……イデアも、その祈りに……応えねばなるまいと。その決意を、今一度固めた。
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